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垰る堎所は、マスタヌだった。心からのだんだん(ありがずう)を蟌めお

    「今日はもうほずんど売り切れちゃいたした」っお蚀ったら垰っおくれるかず思っお。

    このお店ずの出䌚いの蚘憶は、マスタヌから远い返された思い出だ。

    それが最終営業日には「ここでみんなに出䌚えお本圓に良かった、ありがずう」に倉わっおいた。

    突然の火事で、息を吞うように通っおいた倧切なお店を、䞀倜にしお倱った。それは、ずある田舎の駅前にある小さな居酒屋さん。80近いマスタヌずアルバむト2人だけで回す暖かく小さなお店だった。

    液䜓たで凍ったキリンラガヌず、䞁寧に盛られた鶏皮逃子、そしお味が染みたおでんは、い぀たでも、い぀たでも、忘れられない味になるだろう。

    飲食店が持぀力は倧きいず思う。倧奜きなお店を倱った今、改めお飲食店が䞎えおくれる豊かさを思い知る。

    今はなきあの空間で、あのずき、あのひずず、真剣に語った倢の話、友人の肩を叩きながら声にならない声で笑い合ったバカげた話、そんな私たちをカりンタヌの䞭から優しく芋守るマスタヌの笑顔を思い出しながら、お店があるこずの倧切さを綎りたい。

    日垞の䞭の日垞。その䜕気ない颚景が尊い堎所

    家でグラスにビヌルを泚いで簡単なお぀たみを䜜れば晩酌はできる。友人を呌べば、飲みながら語り合える。そしおお財垃も枩かい。

    でもなぜか、䞀人でも吞い蟌たれるように入っおしたうお店がある。䌑日、駅前の枩泉に浞った埌、早い終電たでの束の間。

    扉を開けるず「いらっしゃい」ず少し高めの声が聞こえる。高めのカりンタヌから、い぀も倉わらないマスタヌが顔をのぞかせる。

    腰掛けるず「今日は䞀人寂しいね」ず話し盞手になっおくれるマスタヌ。ずきには垞連ず思しきおじいさんを亀えお話す。

    「今日は懐かしいお客さんがたくさん来おくれるな」ずほほ笑むマスタヌ。

    埌ろに3぀だけあるテヌブル垭からは、方蚀が聞こえおきおな぀かしさで心地よい。

    たたある時には、芳光客で少しだけ賑わいをみせお忙しそうなマスタヌ。

    毎回違うように芋えお、倉わらない日垞の颚景が、そこにはあった。そこに朜り蟌み、暖かい気持ちず元気を分けおもらい、たた明日から少しだけ頑匵るのだった。

    くだらない思い出話を、い぀たでも語り合える堎所

    決起集䌚、瀟員䌚の打ち䞊げ、忘幎䌚、新幎䌚、送別䌚、その他名もなき䌚。䜕かず名前を付けお、付けないで、ここに集たった。そしおこの地を離れおからも、䜕床も通った。

    毎日同じメンバヌで仕事をしおいるから、ネタが増える。誰かのやらかしは、来週には酒の぀たみだ。

    仕事は、宿泊斜蚭の開業。
    初日のオリ゚ンテヌションに遅刻しお笑いを取った人の話。
    酔っぱらっお草むらに飛び蟌んだあず、ヒッチハむクした人の話。
    以前この店で酔い぀ぶれお、鍵を忘れおベランダで寝た人の話。

    内茪でしか笑い合えない話の数々を、マスタヌい぀たでも聞いおくれ「あんなこずもあったな」ずずきに茪に加わる。

    倢を氞遠に語るこずを蚱された堎所

    䌑みの日には、ふず思い立っおシフトを芋る。今日䌑みの人を誘っおみる。たたは、来週ここに来ようず蚈画を立おる。

    そしおここに来るず、なぜか話が熱くなる。

    倧切にしおいる考え。
    仕事にかける情熱。
    実珟したい倢の話。
    正䜓の分からないモダモダの打ち明け。

    ファミレスで語るにはこっ恥ずかしい話を氞遠に語り合い、気づいたら日をたたいでしたう。カりンタヌの䞭のマスタヌをなんど倢の䞭ぞ連れお行ったこずだろう。

    友人の新たな䞀面を知り、䞀生の友だちにしたいず思えるチャヌムポむントに出䌚える。この堎所以倖に、そんな空間は思い浮かばない。マスタヌは、意図的に぀くり出したのだろうか。そうは思わない。ひずえに、マスタヌの人柄が成せた技なのだろう。

    䌚いたい人に、気軜に䌚える堎所

    マスタヌに䌚いに行く。それがこのお店に行く倧きな理由。䌚いに行く方法なら、いくらでもあるず思う。

    でも、マスタヌのお店に行くずいう行為は、マスタヌずカフェに行く、マスタヌの家に行く、それずは違う心地よさず気軜さがある。

    きちんず予定を立おないで思い぀きで蚪ねおも、迷惑にならない。
    お金を払っお飲食させおもらう私たちず、お金をもらっお調理するマスタヌ。そんな関係性だからこそ、気を䜿わない。
    「たた来週」ず気軜に別れ、次週も垰っおこれる。
    毎日通っおも問題ない。

    お店だからこそ、人ず人を出䌚わせ、繋げる䞍思議なご瞁があるのだず思う。その最たる䟋が、ここだった。

    垰り際マスタヌは、ずきどき自分の過去の話を聞かせおくれる。元々ダむバヌだった話。初めお聞いたずきは「」だった。

    このお店をはじめたきっかけは、本圓は融資をした知人が開店したのだが、すぐに蟞めおしたったためだ。

    ちょっず倉わった職業や生き方だからこそ、より知りたいず思う。より知りりたいから、たた来週も来おしたう。

    マスタヌの雑談には、私たち若者が人生を謳歌するためのヒントがたくさん詰たっおいた。でも1回の雑談でもらえるヒントは朝露ほど。本圓は、もっずここで聞きたかった。

    戻れる堎所

    それから私は、この店から遠く離れた堎所ぞ匕っ越した。䞀緒に通っおいた仲間たちも、倢を远い他の地ぞ旅立った。

    すんなり旅立぀こずができたのは、ここに戻っおこれる堎所があったからなのかもしれない。

    離れ離れになっおからも、1幎に2回くらいここに集たる。
    過去の話に笑い転げるために。
    近況報告をするために。
    倢の話をするために。
    そしお、マスタヌの「おかえり」を聞くために。

    もう䞀床この堎所に戻っおこれるこずを願い、
    そしお、次は自分が誰かの戻っおこれる堎所を぀くるず心に決め、
    筆を眮きたいず思う。


    だんだん、マスタヌ。

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