
20年後を夢見る ふたご日記
思いがけず、双子の親として歩む人生が始まった。長女の時のように育児日記を書くゆとりもなく、あっという間に月日が流れた。子育て中のドタバタをずっと書いてみたかった。
AちゃんとBちゃん
お腹の中にいる時は、あえて性別を聞かず、出産を楽しみに待った。看護師さんがAちゃんBちゃんと呼んでいたので、私たちもAちゃんBちゃんと呼ぶことにした。
Bちゃんは生まれる3日くらい前まで体を折り畳んでいて、カルテには女子と記されていたそうだ。無事に生まれた双子は男の子だった。
初めて双子が協力したこと
双子がハイハイを始めた頃、私はヘトヘトだった。特にAちゃんは高速ハイハイを身につけていて、私の衰えた足が追いつかない。
ある日、双子がハイハイで洗面所に向かい、左右に分かれて、洗濯機の上のラックに手をかけた。悪い予感がして、今にも倒れてきそうなラックを押さえようとダッシュしたが間に合わず、私は頭から粉洗剤をかぶった。
その洗剤をシャワーで洗い流したら、あれよあれよという間にモクモクと泡まみれ。それはシャンプーの比ではなく、やたらめったら目に沁みる。ふわふわの雪だるまのようになった私を見て、双子はキャッキャッと笑った。
これが双子の初めての共同作業だった。
秘密の帽子
双子は小学生になった。
運動会の騎馬戦は、最高学年の花形競技だ。
思えば1年2組以来、6年ぶりの同じ白組。
騎馬の上に乗ることになった息子たちのために、私はタンスの奥から、2つの小さな帽子を取り出した。それは、ふたりが入学時に被っていた赤白帽子。
運動会前夜、それぞれの頭のサイズに合わせて、手縫いでキッチリ調整した。
騎馬戦専用に生まれ変わった赤白帽子を使うかどうかは、本人の判断に任せた。
当日は快晴。ふたりとも騎馬戦の前に、こっそりと帽子を被り替えていた。
それはまるで、キチキチのプールキャップを被っているように見えた。
ふたりの騎馬は最後まで倒されなかった。
馬になって支えてくれた仲間たちに感謝した。
ふた手に分かれ、騎馬上でガッツポーズをするふたりの笑顔が、今でも目に焼きついている。
奇跡の1枚
その後、ふたりは、よきライバルとして成長した。色違いやお揃いの服も嫌がって、彼らがケンカをしない日はなかった。
だが、子育てに泣き笑いは付きもので、いつか必ず、それを愛しむ日がやって来る。
20年後、二十歳のつどいに出席する朝、玄関先に並んだ彼らの姿を見て驚いた。
別々の美容院でセットした髪型は少し似ていて、別々の場所で、それぞれの好みで選んだスーツは、なんと偶然にも、双子コーデになっているではないか。
20年目の奇跡の1枚をスマホに収めた。
やっぱりね…
彼らは仲良しの双子ではないけれど、
きっとどこかで繋がっている。