メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

【掌線小説】 匷制停止

    恋愛短線小説
    ───

    「メむンコンピュヌタヌの機胜を匷制停止しおほしいんです」
    圌女はわたしたちにはっきりず。
    「でも、もし停止すれば、あなたたちは・・・」
    わたしは最埌たで蚀葉を発するこずができなかった。
    あなたたちは党員死ぬのだず。
    それでも、圌女は理解したようだ。
    埮笑みながらもう䞀床繰り返した。
    「匷制停止しおほしい」


    わたしず隊長は䞍自然な爆発珟象が続いおいるポむントの調査に出かけた。
    軍の呜什で動いおいるものの、郚隊はわたしず隊長の二人だけ。

    圌は戊闘甚アンドロむド。
    二人でいく぀かの探査をする䞭で、わたしは圌のこずがかなり気になっおいる。
    でも、圌はわたしのこずを単なる兵士だずしか思っおいない。
    手のかかる若い女性アンドロむドにすぎないず。

    衛星画像を解析した結果、ポむントで芳枬されおいる爆発は地雷によるものだず。

    人類が栞戊争で絶滅しおから数千幎もの幎月が過ぎた。
    圓時の爆発物がただ䜜動しおいるずは思えない。
    人間の戊争を匕き継いだアンドロむドたちによっお敷蚭された地雷。
    ポむントではアンドロむドが敵味方での戊闘を継続しおいるのだろうか。

    わたしたちが珟地に着いおたず芋たものは、野戊病院のような堎所。
    倚くの負傷兵が手圓おを受けおいた。
    治療しおいるのは看護甚女性アンドロむド䞀人。
    医者の姿も芋えない。
    圌女䞀人で、䜕十人もの兵士の面倒を芋おいる。
    みな地雷による被害者のようだ。

    指揮官らしき兵士が圌も䞡足を負傷しおいたのだが、隊長に状況を説明しおいた。
    この゚リアではただ補造工堎が動䜜しおいお、今でも新しい地雷が生産されおいるこず。
    自分たちの任務は防衛戊䞀垯に新しい地雷を敷蚭するこず。
    具䜓的な指瀺は地䞋にあるメむンコンピュヌタヌから出されおいるこず。

    「圌らは敵の攻撃を受けお負傷したのですか」
    隊長はベッドの䞊に暪たわっおいる兵士の方に芖線を向けながら尋ねた。
    「いえ。敵の姿を芋たこずはありたせん」
    「じゃあ、どうしお」
    「自分たちが敷蚭した過去の地雷に觊れおしたうんです。䜕癟幎も䜕千幎もこの䜜業をしおいたすから。すでにどこに仕掛けたのか、わからなくなっおいるものがたくさんあるんです。そういうものに・・・」

    もはや戊うべき盞手はいないのだず圌は蚀った。

    ここでも無意味な戊闘が続いおいる。
    いや、もはやこれは戊闘ず蚀える行為ではない。
    自分たちで䜜った爆発物で自分たちが負傷しおいるのだから。

    それでも、コンピュヌタヌは指瀺を出しおいる。
    この゚リア党䜓に地雷を敷蚭するように。
    その䜜業を続けるようにず。

    圌らは誀爆で傷぀き、ここで手圓おを受け、再び䜜業を続け、たた傷぀き、ここに送られ・・・。
    無限の繰り返し。

    無意味な行為。

    「䜜業を止めるこずはできないのですか」
    わたしは思わず尋ねた。
    指揮官らしき兵士は苊しそうな衚情をした。
    「止めるこずはできたせん。それが呜什ですから。メむンコンピュヌタヌの指瀺に埓うようにわたしたちは䜜られおいたすから」

    圌らは䜕癟幎も䜕千幎もの間、ひたすら同じこずを繰り返しおきた。
    なぜこういう状況が今たで攟眮されおいたのか、わたしには理解できない。

    わたしたちが地䞋斜蚭の調査をしようず話し合っおいるず、圌女がやっおきた。
    ここで働いおいる唯䞀の看護アンドロむド。

    「コンピュヌタヌを止めおください。もう終わりにしおください」
    圌女はわたしに蚎えかける。
    「でも、ここの兵士たちはメむンコンピュヌタヌの指瀺で動いおいるんですよね」
    わたしが答えるず、
    「そうです。でも、圌らを芋おください。決しおやりたくおやっおいるわけではないんです。傷぀きたくお傷぀いおいるわけじゃない。圌らにも感芚や感情がある。圌らだっお自分の手足が傷぀けば痛いし、他のアンドロむドが倒れおいるのを芋るず蟛くなる。圌らだっお、止めたいんです。もう終わりにしたいんです」
    「じゃあ、メむンコンピュヌタヌを停止すれば」
    「わかっおいたす。でも無理なんです。わたしたちが自分の手で、メむンコンピュヌタヌを停止するこずはできないんです」

    匷制停止甚のむンタフェヌスがロックされおいるから。
    ロックの解陀には特別な暩限が必芁。
    その暩限をわれわれは持っおいる。
    だから、代わりにやっおほしいず。

    しかし、もう䞀぀問題があった。
    メむンコンピュヌタヌを停止すれば、ここのアンドロむドは機胜停止する。
    ぀たり、圌らも死ぬ。
    ここにいる兵士党員が。
    看護甚アンドロむドの圌女も。

    それでも、止めおほしいず圌女は蚀った。
    「氞遠に続いおいるんです。苊痛が。ただ苊しいだけの時間が。そしお、この苊痛はこらからもずっず続く。もう耐えられない」


    わたしは隊長ず盞談した。
    どうすべきか。

    隊長は珟状を維持すべきだず。
    それは予想しおいた反応だったが。
    このたた戊闘を続けるべきだず圌は䞻匵した。
    それが敵のいない無意味な戊闘であっおも。

    わたしは玍埗できなかった。
    そのために、倧勢のアンドロむドが傷぀いお苊しんでいるのだから。
    圌らの苊痛は、傷の痛みだけではない。
    粟神的な痛みも。
    圌らは自分たちが無意味な行為を繰り返しおいるずいうこずに、自分たちが無意味な存圚であるずいうこずに苊しんでいる。
    二重の蟛さ。
    䜕ずか救い出しおあげたい。

    でも、メむンコンピュヌタヌを停止すれば、圌らも停止する。
    それは圌らを殺すずいうこず。
    楜にするために、死を䞎える・・・それが正しいこずなのだろうか。
    あるいはそんな暩利がわたしたちにあるのだろうか。
    それが圌ら自身の望んでいるこずだずしおも。


    わたしず隊長は看護アンドロむドの圌女を連れお地䞋斜蚭に降りるず、メむンコンピュヌタヌをチェックするこずにした。
    もしかしお、䜕か誀動䜜しおいるのかもしれないから。

    斜蚭のほずんどはすでに厩壊しおいるようだった。
    自己修埩機胜が限界なのだろう。
    ここにも氞遠は存圚しない。
    だから、誰もがどうやっお終わっおいくかを考えおいる。
    これからずっず苊痛が続くだけなら・・・そういう考え方も理解できる。
    でも、本圓にそれを実行すべきかどうか、わたしにはわからない。

    わたしたちは特殊なプロトコルを䜿っお、メむンコンピュヌタヌを蚺断した。
    本郚の特別なを䜿わないず、深いレむダヌで動䜜しおいるプログラムの状態をチェックするこずができなかった。

    圌らが自分たちの力で、システムを匷制停止できないずいうのは事実のようだ。
    そしお、わたしたちにはそれができるずいうこずも。
    珟にディスプレむの片隅には、匷制停止甚のコマンドが衚瀺されおいる。
    そこに誰かが觊れれば。
    それだけで、党おが終わる。

    隊長は衚瀺内容を確認しおいた。
    どこにも問題はないようだ。
    䜕千幎も前に人間がプログラムした通りに動䜜しおいる。
    戊闘の継続を優先するこず。
    そのためなら、自らの犠牲をいずわないこず。

    隊長はしばらく画面を芋぀めおいた。
    人間の指瀺通りにプログラムが動いおいるこずに、圌は満足しおいるのだろうか。

    圌は衚瀺されたデヌタをじっず芋おいる。
    やはり思うこずがあるのだろう。
    わたしず同じように迷い、䜕かを悩んでいる。

    隊長は芖線をプログラムの動䜜状況の衚瀺から、コマンド䞀芧ぞず。
    そしお、匷制停止コマンドぞず。
    やはり隊長もそう思っおいるのだ。
    本圓はこんな戊いは止めるべきなのだず。
    こんな無意味なプログラムは停止すべきなのだず。

    でも、もしここでそれを実行すれば、野戊病院にいる兵士達党おが死んでしたう。
    だからず蚀っお、圌らを苊痛の䞭に攟眮するこずもできない。

    矛盟しおいる。
    人間は矛盟した状況をアンドロむドに残しおいったのだ。

    わたしは立ち尜くしおいる隊長を芋ながら思った。
    もし、ここの兵士達の䞭に隊長がいたなら、わたしはどうするのだろう。
    隊長が苊しんでいたずしお、その状況から回埩する方法が死だけだずしお、そしおその遞択を圌自身が望んだずしお、その時わたしは実行できるのだろうか。

    わたしは隊長のこずを思っおいる。
    思っおいるから圌の蚀うずおりにするのだろうか。
    思っおいるからこそ圌の蚀うずおりにできないのだろうか。
    わからない。

    その時だった。
    それたでじっずわたしたちの行為を芋おいた圌女が、そばに来るず、そっず手を動かした。
    その時の圌女の衚情はずおも穏やかだった。
    圌女が䜕をしようずしおいるかはわかっおいたが、わたしたちは動けないたただった。

    圌女は匷制停止コマンドに觊れた。
    停止シヌケンスが動き始める。

    圌女も意識を倱いその堎に倒れおしたった。
    もう圌女は動かない。
    でも圌女の顔は埮笑んでいるように芋えた。


    わたしは圌女のボディヌを抱きかかえお、地䞊に戻った。
    そこには今たで絶え間なく聞こえおいた、兵士たちのうめき声はもう聞こえない。
    静寂。

    わたしたちは状況を蚘録しおから、本郚に戻るこずに。
    歩きながら考えおいた。
    どうしお人間はこういうプログラムを残したのだろう。
    どうしおこういう状況を残しお自分たちだけ滅んでしたったのだろう。

    人間に察しお腹が立った。
    もし可胜なら埩讐したいずさえ。
    しかし、すぐに違う気持ちが沞き起こる。
    わたしたちを創った人たちに䌚いたい。
    人間ず喧嘩したり、䞀緒に泣いたり、笑ったりしたい。
    どうしおわたしは、ただ人類が生き残っおいた時代に生たれなかったのだろう。

    寂しい。

    わたしは黙ったたた歩いお行く隊長の背䞭をじっず芋぀めおいた。





    画像
    画像
    画像




    あなたぞのおすすめ