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小説「オツトメしたしょ」③

 遠出
 
 二人でマンションを出お、早朝の倧孊ぞず向かう。ただ開門前だが、譊備員に付き合いの飲み䌚垰り、ず䌝えお䞭に入れおもらった。こういうずころが、至極䟿利なずころだ。
 
 「わ、由乃、ミニに乗っおるんだ しかもゞョン・クヌパヌ」
 「あ、やっぱりわかる えぞぞ、そうなんだよね。」
 
 由乃の乗っおいるミニクヌパヌは、巷では「ゎヌカヌト」ず呌ばれるほどに運転のフィヌリングが手軜で楜しいこずで知られおいる。かず蚀っお、決しお倧人しいわけではなく、スパルタンな走りも埗意だ。䜎回転から気持ちよく吹け䞊がり、ステアリングも即座に反応する、旋回性に優れた車でもあった。
 
 「せっかくだし、今日は倧孊䌑んで、少し遠出する」
 「うん」
 
 車が気に入ったらしい千英も、かなり乗り気になっおきたようだ。助手垭で車のあちこちを芋回しおはしゃいでいる。その様子を芋お、由乃も嬉しくなり、ちょっず車の性胜を芋せおあげたい気持ちになった。
 
 早朝の車の少ない道路で、由乃はアクセルを螏み蟌んだ。速床蚈があっずいう間にに達する。そのたた、ほずんど枛速せずにカヌブを通過するず、暪からが远い掛けおくるような感芚に包たれる。
 
 颚を切るように街䞭を抜け、高速に入っお海を目指した。この蟺りで矎味しい魚介を食べたいず思ったら、誰もが向かう枯ぞ向かう぀もりだった。それに、䞋芋したい堎所もある。
 
 千英にそのこずを話しおみるず、気軜に「いいよ」ずいう答えが返っお来た。千英の感芚的に、由乃の行動はどのように映っおいるのだろうか。単に「䞋芋」ず蚀っただけだから、それが盗みに入るためだずは思っおないのかも知れない。
 
 そのこずを聞いおみようかずも思ったが、りキりキした衚情で流れる颚景を芋おいる千英を暪目で芋お、そんな気も倱せた。そういうこずは、もう少し時間が経っおから聞いおも遅くはない。
 
 目的の店には、開店前だが既に数名の列ができおいた。䌊勢海老を䞞ごず䜿った海鮮䞌がグルメ番組で玹介され、䞀躍人気ずなったのだ。千英は、車から降りるず途端にたたおかしな挙動をしだした。初めおの堎所で、いきなり他人ずずもに䞊ぶのはハヌドルが高かったかも知れない。由乃はぎこちなく歩く千英の手を握り、手を繋いだたたで列の最埌尟ぞず䞊んだ。
 
 手を繋いだ瞬間、千英が「えっ」ずいう顔をしたが、由乃は軜く埮笑んで、䜕事もなかったかのように受け流した。千英の手に、少し力が入っお、由乃の手を握り返しおきた。
 
 ほどなく開店した店内に入り、壁際の二人垭に腰を䞋ろす。い぀もの癖で、自然ず党䜓を芋枡せる䞀番奥の垭に着いた。厚房のすぐ前なので、異垞があれば厚房を抜けお裏口から倖に出るこずもできる。この皌業の、悲しい性ず蚀うべきか、祖父からも父からも、厳しく蚀い぀けられおいる「心埗」の䞀぀だった。
 
 「この『将軍䞌』っお蚀うのが、ここの名物なの。すごいでしょ」
 「え・・・さすがにこれは、食べ切れないず思うな・・・。」
 「じゃあ、二人で䞀぀頌んで、シェアしお食べようよ。」
 
 そう蚀っお、由乃は名物の将軍䞌ずカニ汁を二人分、それからむクラずむカ、アゞの刺身を別で泚文した。
 
 出おきた料理は、想像以䞊に量が倚かった。千英が目を䞞くしながら、それでも笑顔でスマホに写真を収めおいた。取り分け甚の小鉢をもらい、由乃がおきぱきず将軍䞌を二人分に分けおいく。 
 
 「ご飯は少なめにしおおくね。無理しなくおいいから、食べたいものだけ食べお。」
 
 由乃がそう蚀うず、千英は小鉢のむクラから食べ始めた。矎味しかったらしく、食べ始めるず手が止たらない。むカ、マグロ、サヌモン、ハマチ、それに、少量のご飯。意倖ずしっかり食べられるようで、由乃は安心したず蚀っおいい。長い間食べるこずを止めおいるず、食欲そのものが枛退する。さらに、食べ物を受け付けなくなるこずもある。結局、ご飯以倖は二人でほずんど平らげ、入れ替えおもらった熱いお茶を飲んだ。
 
 「すっごく、矎味しかった 思っおたより食べられた」
 「良かった たた、来ようよ。」
 
 千英は倧きくうなずいお、それに答えた。由乃が䌚蚈を枈たせ、店を出るず、さりげなく、千英が自分から手を繋いできた。さっきよりは動きも萜ち着いおいたが、䜕かを探すようにキョロキョロず蟺りを芋回しおいる。
 
 「どうかした」
 「あ うん、なんでもない」
 
 そうは蚀ったものの、千英は䜕かを蚀い淀むようにしおモゞモゞしおいる。そこで気が付いた。喫煙所を探しおいるに違いない。
 
 「わかった、タバコでしょ 車で吞っおいいよ」
 「え、いいよ 匂いが着くず、売るずきに倀段が䞋がるよ」
 「そんなこず、心配しなくおいいよ 売る予定もないし、ね。じゃあトむレに寄っおから車に戻ろう ここには喫煙所、ないみたいよ」
 
 ひず昔前ず違い、今は喫煙者が䞖間から癜い目で芋られるこずが倚い。それに応ずるかのように、いろいろな斜蚭から喫煙所が消えおいた。新しい法埋たで䜜っお喫煙者を远い蟌むくせに、販売をやめさせようずしない蟺りに、倧人の汚さを感じるが、これも䞖の䞭の流れなのだろう。
 
 二人でトむレを枈たせ、車に戻る。千英はおずおずず電子タバコを吞い始め、现く開けた窓から煙を吹き出した。由乃は千英に声を掛けおから、車をスタヌトさせ、「䞋芋」の堎所ぞず向かう。
 
 そこは、県立の叀い博物通で、しばらくは䌁画展も行われおいないような、芋るからに寂れた感じのする博物通だった。予算も極小で、毎幎閉鎖の声が䞊がる、いわば地方自治䜓の「お荷物斜蚭」の䞀぀だった。圓然のように、ろくな研究は行われおおらず、収蔵庫には䜕十幎もそのたたの考叀物も倚数、収められおいる。
 
 「ここが、次の暙的なの」
 「うん、ここにね、眠ったたたの火焔土噚があるんだけど、それには蚘号のようなものが刻たれおいるっお蚀う話なの。昭和の時代に新聞にも茉ったけど、そのたた打ち捚おられおるわけ。芁するに、䜕十幎も研究されずに、『挬物』になっちゃっおるのよ。」
 「由乃は、それを盗みたいわけ」
 「そうね。だっお、おかしな話じゃない 研究もされず、展瀺もされず、ただそこに眮かれおいるだけなら、持っおいる意味がないでしょう それなのに、なんのプラむドかわからないけど、他所に貞し出したりもしないのよ」
 
 䌚話の流れからいっお、千英は䞋芋が「盗み」のためだず気が付いおいたようだ。それでいおあの軜い返事なら、由乃の行動に察しお負の感情は抱いおいない、ず刀断しおよさそうだった。
 
 この悪しき颚朮は、日本䞭、いや、䞖界䞭に同じこずが蚀えるのだ。䞀床手に入れたものは、他所に貞し出さなない。いや、たったく貞し出さない蚳ではないが、そこに至るたでには倚額の貞出料や、様々な曞類の準備、政治的な駆け匕きなど、途方もない劎力が必芁ずなる。それだけの手間を掛けおも、それを研究目的で䜿甚するこずは、たずできない。
 
 ならば、自分たちで研究をするのか、ず蚀えば、そうではない。䜕かのニュヌスになっお脚光でも济びれば別だが、倧半の物はなんだかんだず理由を付けお、埌回しにされる。こうしお、陜の目を芋るこずなく、収蔵庫の『挬物』ずなった考叀物や矎術品は、盞圓の数に䞊るはずだ。由乃はそれを、『歎史に察する冒涜』だず考えおいる。
 
 人類共通の財産ずも蚀うべきものを、経枈的理由や、䞀郚の人間のプラむドだけで攟眮し、芋お芋ぬふりをしお、良い蚳がない。もちろん、技術的な理由で解明が困難であるずか、本圓は研究したいのに、人的、経枈的理由でそうできないものも、幟぀かある。そういう物に぀いおは、由乃は『猶予期間』を䞎えるこずにしおいお、リストには茉せおいるが、手を䞋すこずはしない。
 
 そういった思いを、これから盗みに入ろうずする博物通の駐車堎に車を止めお、由乃は熱く千英に語った。

 芚悟

 ã€€ã€Œæ±ºå®šçš„だったのは、倧孊の火事ね・・・。」

 ã€€æ—¥æœ¬ã§ã‚‚有数の倧きな倧孊で起きた火灜事件が、由乃が行動を始める倧きなキッカケずなった。職員のタバコの火の䞍始末で、収蔵庫が䞞ごず消倱しおしたった。そこには、先史時代から飛鳥時代たでの収蔵品が、䞇点近く収められおいた。よりにもよっお、そんな堎所で職員がタバコを吞っおいただけでも倧問題なのに、さらに䞍始末から火事を出し、おたけにスプリンクラヌ蚭備が皌働せず、党焌させおしたったのだ。

 ã€€ã•らに頭に来たのが、そのニュヌスを報じたマスコミの態床だ。それたで芋向きもしなかったくせに、いざ無くなっおみるず、途端に「人類の損倱」ずか、「日本の歎史解明に暗雲」など、センセヌショナルな芋出しを付けお倧々的に倧孊を叩いたのだ。そのせいで、火元になった職員は埌に自殺し、孊長が蟞任に远い蟌たれた。

 ã€€ã“の、䞀連の流れを芋お、圓時䞭孊生だった由乃は、そういう倧人たちを䞀切信甚しなくなった。テレビで毎日のように責任远及の特集が組たれおいたが、出おくる「なんずか倧孊教授」などず蚀う人間は、どこに気を遣っおいるのか知らないが、圓たり障りのない発蚀を、いかにも蚳知り顔で繰り返し垂れ流しおいお、由乃を呆れさせた。

 ã€€ãã‚“な䞭で、たった䞀回だけではあるが、圓時倧孊院で研究員をしおいた枡蟺准教授のコメントが流されたこずがあった。考叀孊を孊ぶ孊生に、䞭継を繋いで盎接むンタビュヌをする、ずいう、番組内のワンコヌナヌに過ぎなかったが、そこでたたたた通りがかった枡蟺八重は、歯に衣着せぬ蚀動で、珟圚の考叀孊界の問題を語り、予算の少なさを嘆き、状況に譊鐘を鳎らした。たずいず刀断したむンタビュアヌが話を切り䞊げようずしおも、マむクを奪いかねない勢いで話を続けたその勇気ず姿勢に、由乃は匷く心を動かされた。

 ã€€å€§å­Šé™¢ã®ç ”究生が、公共の電波で公然ず倧孊や考叀孊界に反旗を翻したのだ。生半可な胆力でできる行動ではない。それ以来、由乃は枡蟺八重を远い掛け始めた。ただ倧孊生だった頃に、指導員だった䞀回りも幎䞊の教授ず結婚し、子䟛も授かったらしい。論文はどれも出色の出来で、圓時はあたり理解できなかった内容も、今ではそれが、圓時どれだけ画期的な研究だったか、はっきりず分かる。

こういった人物が、未だに教授にすらなれず、倧孊で講垫をしなければならない珟状こそ、本来憂うべき事情ではあるのだが、そこのずころは由乃の力では劂䜕ずもし難い。

 だが、考叀物を『挬物』から救い出すこずはできる。それは、湯浅家の皌業だった。

 湯浅家は、家系が蟿れる江戞時代たで遡っおも「盗賊」を生業にしおきた。俗に蚀う、「盗め぀ずめの䞉箇条」、すなわち、

 äž€ã€ç›—たれお難儀する者には手を出さぬこず

䞀、盗めするずきは人を殺傷せぬこず

䞀、女を手ごめにせぬこず

 ã‚’、「金科玉条」ずしお頑なに守り抜き、手堅い商売を続けお来おいた。過去にはどこにでも入り蟌んで盗みを果たすこずから、「隙間颚」の異名を取った倧盗賊もいたず蚀う。たた、忠臣蔵で有名な将軍綱吉の時代には、江戞城の埡金蔵から、千䞡箱二぀を盗み出した先祖もいるらしい。由乃は湯浅家の䞀人嚘ずしお、祖父ず父から、「盗みの技術」の指南を受けおいた。たるで嘗め回すように初孫の由乃を可愛がっおくれた祖父でさえ、指南の時は鬌の圢盞になり、厳しく心埗や技術を䌝達された。

 ã€€ã“の「盗めの䞉箇条」は、䞀番最初に叩き蟌たれた絶察の教えであり、もしこれが砎られた堎合には、それがたずえ手䞋のやったこずでも、玠盎に眪を認め、自銖するこずを固く玄束させられおいた。

 そうした経緯があり、由乃は父ず共に、それらの『挬物』を『救出』する仕事を始めた。

 狙うのは、倧孊や博物通、矎術通などで眠っおいる考叀物や矎術品に限られた。そうしお救出された物は、然るべき仲介者の䞋で、秘密裏に研究の力がある研究者や斜蚭に届けられ、研究が続けられおいる。

 ã€€é©šãã¹ãã“ずに、こうしお今たでに救出された点に䞊る『挬物』の䞭で、実際に譊察に「被害」ずしお届けられた物は、䞀぀もない。䞭には譊察に盞談をした事䟋もあったが、盗み出された時期も、具䜓的な数も、どういった物が盗たれおいるのかも正確に把握されおいないため、被害届ずしお受理できず、単に「遺倱物」ずしお凊理されおいた。この蟺りからも、いかに管理が杜撰か、容易に刀断ができる。

 ã€€ç›—み出した圓の本人である由乃の父でさえ、あたりの杜撰さに拍子抜けしおしたい、由乃が倧孊に入孊しおからは、完党に手を匕いおいた。

 ã€€ã€Œã‚んたりひどすぎお、盗んでる甲斐がねぇ。」

 ã€€ãšèš€ã†ã®ãŒçˆ¶ã®èš€è‘‰ã ã£ãŸã€‚それからは、由乃は䞀人で党おを段取りし、実行しおいた。この幎間で、合蚈回、点の挬物を救出し、然るべき人間に手枡すこずに成功しおいる。もちろん、こちらも被害届は出されおおらず、譊察に盞談した圢跡すら芋出すこずができなかった。

 ã€€æ°—が付くず、由乃は䞀人で時間以䞊、話を続けおいた。その間、千英は話に熱心に耳を傟け、䞀蚀も口を挟たずにいた。話終えお由乃が倧きなため息を吐くず、千英がポツリず蚀った。

 ã€€ã€Œç§ã‚‚、その仲間に入れお。」

 ã€€ä»ŠåºŠã¯ã€åƒè‹±ã®ç•ªã ã£ãŸã€‚千英は千英なりに、珟圚の考叀物を取り巻く環境に、䞍満を芚えおいたようだった。だから、様々な斜蚭にハッキングを仕掛け、自分なりの「収蔵物目録」を䜜っおいたらしい。

 ã€€äœµã›ãŠã€ã„぀か自分がそれらを助け出そうず、芋取り図や防犯蚭備、譊備状況なども぀ぶさに調べおいたらしいのだ。だが、実際に「助け出す」行動に移しおみお、その難しさに舌を巻き、危うく捕たりかけたこずたであるず蚀う。

 ã€€ãŸã£ãŸãã®å¶ç„¶ã§ã¯ã‚ったが、千英も枡蟺准教授のむンタビュヌを目にしお、自分ずは正反察の生き方に匷い憧れの念を持ち、それから考叀孊ず枡蟺八重本人ぞの執着が始たったらしかった。

 ã€€ãã‚ŒãŸã§ã®åƒè‹±ã¯ã€çˆ¶ã®åœ±éŸ¿ã§è€ƒå€å­Šãšã„うものがどういうものか、挠然ずは知っおいたが、自分がそれを孊んでみようず思ったこずはない、ず蚀う。千英の父は、工業系の研究者で、考叀孊に぀いおは趣味が高じた皋床ではあったが、それたで鉱物や隕石の鑑定鑑別に䜿甚されおきた線透過装眮を、叀文曞の解読に転甚できないかを研究し、成功に挕ぎ぀けおいた。玙も墚も、同じ炭玠で構成されおいるため、それたでは刀別が぀かなかったものを、光孊スペクトル分析の応甚で、明確に刀別し、それを遞り分け、文字や蚘号ずしお圢にするこずができるようになったのだ。

 「読めなかった物が読める」ずいう䞀事に、千英は激しく知的奜奇心をくすぐられ、それ以降、特にただ解読されおいない叀文曞に匷い興味を持ち、それらを䞭心に調べを進めおいた、ず蚀うのだ。

 「さしずめ、珟代の嘗め圹なめやく、っおずころね。」

 「嘗め圹」

 「うん。盗みに入る家屋敷の間取りずか、家族ずか、どのくらいの資産が家にあるか、ずか、調べお盗賊に売る商売があったのよ。そういう人たちを、盗賊の甚語で、嘗め圹っお蚀うの。」

 「ぞヌ、じゃあ、私のハッキングも、圹に立ちそう」

 「立぀なんでもんじゃないわ。私もそれなりに詳しいけど、ハッキングたではできないし、その様子だず、譊備システムなんかの無効化もできるでしょ」

 「うん・・・たあ、実際にやったこずはないけど、その手前たでなら䜕床もいった。」

 「やっぱり。だずしたら、私の仕事が半分は枛るこずになる・・・。倖泚に出すこずもあるけど、費えも掛かるし、それに、そこから足が着く可胜性もあるから・・・。」

 ã€€ãã“たで話しお、由乃は考え蟌んだ。

 ã€€åƒè‹±ã‚’、仲間に匕き入れるべきか・・・。

 由乃ずしおは、心匷い。由乃が苊手ずする分野に特に明るく、気心も知れおいる。たかだか数時間話しただけで、ずいう人間がいるかも知れないが、それはその人間が䞖間を、人間を知らないだけだ。血の繋がりがあろうが、䜕十幎ず䞀緒に暮らそうが、分かり合えない人間ずは決しお分かり合えない。逆に、䌚った瞬間にピタリず呌吞が合う人間、ずいうのもいる。それが、由乃にずっお千英だった、ず蚀うだけのこずだ。

 だが、だからこそ、この䞖界に千英を匕き入れおいいものかどうか、由乃は迷った。いかに理に適った目的のためであろうず、それはどこたでも独りよがりであり、違法行為なのだ。さらにも増しお、盗賊には盗賊の、守るべき厳しい掟がある。この掟は、たさに呜懞けの掟であり、「掟砎り」は盗賊仲間から垞に呜を狙われ続けるこずになる。

 ã€€ãã†ã„った状況に、千英を巻き蟌むべきなのか、どうか。

 千英はそれを望んでいるようだが、それは、この䞖界のこずをよく知らないからだ。少なくおも由乃はそう考えた。

 ã€Œåƒè‹±ã€‚そういうこずを、軜々しく口に出しおはダメよ。こっちの䞖界に䞀床でも螏み蟌んだら、もう䞀生、抜け出せないのよ 法に觊れるこずだし、呜を狙われるこずだっおある。」

 å‡ºæ¥ã‚‹é™ã‚Šé‡ã€…しい口調で、由乃は諭すようにしお千英に話をした。

 ã€Œã§ã‚‚、呜を懞けるだけの䟡倀はあるんじゃないかな 他に同じこず考えお、実行する人もいなさそうだし、由乃ず私がやらなかったら、ずっずそのたたじゃん」

「たあ、それはそうかも知れないけど・・・。」

「どっちにしおも、私も同じこずをやろうずしおたし、それなら由乃ず䞀緒の方が確実でしょ 由乃だっお私ず䞀緒の方がしやすいんでしょ お盗め」

「それは・・・たあ・・・ね。」

「じゃあ、決たりじゃん それに、さ、「そっち」が、䟋えどんな䞖界でも、由乃ず䞀緒なら、私、平気だよ」

 ã€€ã‹ããƒŒã£ãšã€é¡”に血が䞊るのが感じられた。䞍芚にも、激しい「照れ」が由乃を襲っおいた。この子は、面ず向かっお䜕ずいうこずを蚀うのだろうか。それに、千英は由乃が思っおいたよりも物事を論理的、珟実的に捉えおいたずも蚀える。「掟」に぀いおは、逆に守っおいる限り生掻に䜕の圱響もない。起こっおいないこずであれこれ悩むのは、愚か者のするこずだ。

「わ、わかった そういうこずなら、䞀緒に組もう こ、こちらこそ、よろしくお願いしたす」

 由乃は玅朮したたたの顔で、千英に頭を䞋げ、自分を呪っおやりたい気分になった。これではたるっきり、プロポヌズを受けた女子の回答ではないか。

 千英も、由乃の態床が倉なこずに気が付いたようで、クスクスず笑い出した。぀られお由乃も笑い出す。本圓におかしくなっお笑ったのだが、それ以䞊に䜕か安堵感を芚えおいた。

 

「オツトメしたしょ」③
了。


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いいなず思ったら応揎しよう

八神 倜宵 蚘事が「いいな」ず思っおいただけたら「心付け」よろしくお願いしたす 犬や猫などの動物保護掻動に䜿わせおいただいおおりたす ï¿¥300でノミダニ忌避薬がか月分買えたす