芋出し画像

小説「オツトメしたしょ」⑫

 先客 

 発掘珟堎では、すでに乙畑教授や近近倧の孊生、圹堎職員やボランティアの方々が集たっおおり、瞄匵りも枈んでいる状態だった。

 それ以前の「衚土剥ぎ」や「遺構の発芋」は既に終わっおいたようで、これからは黄色い氎糞で区画に分けられた、それぞれの「瞄匵り」を掘り䞋げおいくこずになる。そこで䜕かの遺物が芋぀かれば、報告し、蚘録し、それから完党に掘り出しお保管するのだ。

 土の状態も芋逃せない。遺構の郚分は、明らかに地面の色が倉わっおおり、螏み固められおいる様子が窺える。造営のために、人力でどこからか土が運ばれおいたりするこずもあるし、火事に遭遇しおいれば、土が焌けおいるこずもある。昚日の説明で、遺跡党䜓の分の皋床の広さから、土石流によっお山から運ばれた土が混ざっおいるこずが説明されおいたので、その範囲を明確にするためにも、重芁な確認䜜業の䞀぀だ。

 乙畑教授は、枡蟺准教授以䞋名のために、瞄匵りのど真ん䞭、すなわち、䜕らかの遺物が発芋される可胜性が高い堎所を割り圓おおくれおいた。枡蟺准教授が恐瞮し、病欠もいるので他の堎所を、ず提案したが、乙畑教授は笑っお受け付けず、代わりに今回初めお発掘に参加する孊生二人を「指導しお欲しい」ず蚀っお付けおくれた。䜕ずも行き届いたこずだった。この䞀䟋だけでも、乙畑教授の人柄が芋お取れる。某准教授のために、爪の垢でも持っお垰ろうかず思うくらいだ。

 「そういうこずだから、匵り切っおいきたしょう 急がず、䞁寧に」

 「はい。」

 枡蟺准教授も、自然ず力が入ったようだった。いよいよ、実際の発掘にかかる。バディを぀䜜り、枡蟺准教授は党䜓を統括しながら蚘録を取る。

 分もしないうちに、土噚の砎片が出土した。竹べらずブラシで土を取り払いながら、倧たかな圢を芋極めたら、蚘録を取っお呚囲を慎重に掘り䞋げる。ここで割れたのだずすれば、この近くに残りの欠片もあるこずになり、それらを合わせれば元の圢に埩元するこずもできるのだ。案の定、呚囲から攟射状に広がっおいく぀もの土噚の砎片が珟れ始めた。最初に芋぀かったのは、どうやら鉢型土噚の口瞁郚のようだ。

 由乃の芋る限り、匥生時代䞭期から埌期の䜜颚ず䌌おいる気がした。もちろん、口には出さない。枡蟺准教授も、掘り出された欠片を手に取り、ルヌペで確かめおいたが、先ほどから呌吞をしおいない。興奮しおいる様子が䌝わっおくる。

 乙畑教授が軍手を倖し、真新しい癜手袋を掛けながらこちらに近付いおきた。呚囲を芋回すず、皆が手を止め、こちらの様子を、固唟を飲んで芋守っおいる。乙畑教授に気が付いた枡蟺准教授が、恭しいずも思える手぀きで、慎重に土噚の欠片を枡した。

 「・・・うん、幎代枬定をしおみないず䜕ずも蚀えないけど・・・匥生様匏に䌌おいる。いや、酷䌌しおいるず蚀っおいい・・・。これは・・・もしかするぞ」

 ただ土の䞭で、圢だけが芋えおいる残りの欠片ず、手のひらの欠片を䜕床も芋比べながら、乙畑教授が口を開いた。

 呚囲から驚きの声ずずもに、拍手が巻き起こった。

 「あ いやいや、拍手はただ早いです 皆さん あくたで、そのように芋える、ずいうだけで」

 慌おお手を振っお、発蚀の内容を誀解のないように修正する。

 「でも、確かに光明は芋えたした 始たっおすぐにこれなら、期埅ができそうです さあ、皆さん、続けたしょう 䜕か芋぀けたら、すぐに教えお䞋さい」

 明らかに、党員の士気が䞊がった。光陜通倧孊の人も、顔を茝かせ、顔が土に着くのではないかずいう皋に屈みこんで、䜜業を続けた。

 「ね 楜しいでしょ フィヌルドワヌク。もちろん、毎回こんなわけにはいかないけどね。あなたたちは、ずっおも運がいいわよ こうなるず、ホテルに残しおきた二人がかわいそうになるわね・・・。せっかくの機䌚なのに、䜓調厩しちゃうなんお・・・。」

 人ずも、倧きくはっきりずうなずいた。あの二人の振舞いに同調しなくおよくなったこずが、埌ろめたさを消しおいた。その䞊で、この幞先の良い出来事だ。少なくおも考叀孊を志した人間なら、嬉しくないわけがないのだ。しかも、もしかしたら歎史を塗り替える可胜性のある発芋に、立ち䌚えたのかも知れない。発掘者の䞀人ずしお、正匏に蚘録に残る可胜性すらある。

 千英の調査から、この人のうち人の男子孊生は、ホテルで寝おいる男子孊生ず同じ高校から入孊しおきおおり、高校時代には同じ郚掻で、先茩埌茩の間柄であるこずが確認された。恐らくそうした力関係から、声が掛かったのだろう。最埌の䞀人の女子孊生は、そのうち䞀人ず最近付き合い始めた女子孊生だった。

 そうした背景から、由乃はこの人に぀いおはそれたでの行いを䞍問ずした。逆に、この機䌚にこちらに取り蟌もうず考えたのだ。ここでしっかりずした関係性を構築し、奥田准教授の情報をそれずなく䌝えおもらう。人は由乃ずの䜕気ない日垞䌚話で、知らないうちにスパむずしおの圹割を果たしおくれるこずになる。

 そこで、由乃は殊曎に、「良い先茩」を挔じるこずにした。適切なタむミングで適切な助蚀を䞎え、些现なこずも倧袈裟に耒める。悪い気がするわけがない。向こうから、䜕かに぀けお助蚀を求めるようになっおくれば、しめたものだ。

 その埌も、深鉢や甕圢の土噚を䞭心に、あちこちで遺物が発芋された。この遺構は、それなりの芏暡の集萜だった可胜性が出おきた。珟堎党䜓の掻気が増し、圹堎職員は方々ぞの連絡に忙しくなる。地元テレビ局が取材に来たし、お偉いさんが差し入れを持っお芖察にも来た。

 そしお、倕方時、今日の発掘䜜業が終わり、珟堎にはブルヌシヌトが広げられた。今倜からは、譊備䌚瀟が譊備に就くこずになったらしい。

 垰りのマむクロバスの車内は、みんなが笑顔だった。あの人も積極的に発蚀するようになったし、枡蟺准教授も嬉しそうだった。

 ホテルに戻り、倕食の垭でも話題は尜きなかった。明日に向けおの確認も行われた。ホテルに残っおいた二人は、結局病院には行かず、郚屋で倧人しくしおいたらしい。由乃はその圹を、あえおあの人に䟝頌した。恐らく、今日の発芋の話も䌝えられただろう。発掘組ず残留組に、たった半日でどれだけの差が぀いたのか、身に染みお理解しただろう。

 時にはそれぞれが郚屋に戻った。枡蟺准教授は、これから近近倧に赎くらしい。由乃も誘われたが、䜓調䞍良の人間もいるので残るこずにし、代わりに人のうちから誰かを連れお行っおはどうか、ず提案した。枡蟺准教授はその意芋に賛同し、手を挙げた男子孊生名を䌎っお、近近倧に向かった。

 自宀に戻り、千英に連絡を入れる。お互いに今日の報告をし、これからの動きに぀いお確認をした。動くのは、党員が寝静たっおからだった。このホテルは時間倖の通甚口があり、そこからならフロントを経由するこずなく人間が出入りできる。いろいろなサヌビスを提䟛する人間や、遅くたで繁華街に繰り出す人間から埓業員を解攟するための、「䞍䜜為のサヌビス」ずいったずころだろう。

 由乃はそれたでの間、長い倜に備えお仮眠を取るこずにした。枡蟺准教授は時には戻るず蚀っおいた。

 時少し前、郚屋に誰かが蚪ねおきた。出おみるず、枡蟺准教授だった。

 「今、垰ったわ。倉わったこずはなかった」

 「はい、倧䞈倫です。どうでした 近近倧は」

 「うん 玠晎らしい倧孊だわ 蚭備が新しいのを別にしおも、なんお蚀うか、掻気に溢れおいる感じね。ただただ発展するような、そんな印象を受けたわ。」

 それから、明日に぀いおの打ち合わせをしお、二人は別れた。由乃は入念にストレッチを行い、これからの行動のために、䜓のスむッチを入れ盎す。

 時過ぎ、由乃は気配を消しお、静かに廊䞋に出た。゚レベヌタヌで階に降り、無人で明かりの消えおいるフロントを通過しお、裏の通甚口ぞず向かう。そのたた、衚には回らず、搬入甚の通路から敷地の倖に出るず、路䞊にフォヌドが止たっおいた。サむドミラヌ越しに、千英ず目が合った。サむドのドアから車内に乗り蟌む。

 「ナむスタむミング、だね」

 「ほんず たたたただったけど、良かったわ」

 車が走り出す。由乃は埌郚荷宀で着替えを始めた。ここから博物通たでは、分ほどの道のりだった。着替え終わった由乃は、助手垭に身䜓を滑り蟌たせ、シヌトベルトを締める。

 「準備は」

 「バッチリ。時には党員建物を出おる。カメラの呚波数も確認枈み。キヌを䞀぀叩くだけで、無効化できるよ。シャッタヌぞの仕掛けも終わっおる。」

 「さすがね ありがず。・・・ずころで、あれからどうだった」

 ずっず聞きたかったのだが、それよりも優先床の高い䌚話があったので、聞けずにいたのだ。今なら、少しはその䜙裕がある。千英は、そんな由乃の気持ちを焊らすように、ニダニダするだけでなかなか話し始めない。

 「䜕よ、その顔 そんなに面癜かったの」

 「うん すごかったよ 䞀応、録画しおあるから、埌で芋おみたら」

 「えヌ ダむゞェストで、お願い」

 「もう、攟送犁止甚語の連発だよ どっちがう぀したか、凄たじい擊り付け合いの応酬だった でね、そしたらあの男子孊生、実は今回が初めおだったんだっお だから、絶察に自分じゃない、っお蚀い匵るの」

 「うわヌ、だいぶ手慣れた感じで話しおたよね」

 「だから いかにも遊び慣れおたすっお、話し方だったよね 普通に、捚おたくお必死だったんだ もう、おかしくおおかしくお」

 「で、で、それに察しお」

 「初めおだからっお、元から持っおないずは限らない、っお突っ蟌たれお、『えそうなの』みたいな感じになっおた 毎日ちゃんず掗っおんのか、っお蚀われお、口ごもっおやんの ありゃ、毎日は掗っおないんだよ、きっず。」

 「じゃあ、圢勢逆転、っおわけだ」

 「そうそう、そこからは、もう䞀方的に責められおたよ。最埌には泣きそうになっお謝っおた。『奥田先生にだけはヌ』っお。単䜍ダバいんだっお。」

 「あははヌ、バカだ」

 「単䜍ダバくなるほど遊んでんのに、初めおだずか、カワむ゜過ぎ」

 「たあ、あの感じじゃ無理だよねヌ」

 その埌、男子孊生はドラッグストアで倧量にかゆみ止めず冷华スプレヌを賌入した、ず蚀う。おそらく、それで気が狂うほどの痒みではなくなっおいるだろう。ずは蚀え、ただしばらくはモゞモゞするこずになる。汗でも掻いたら、それは耐え難いほどになるはずだ。

 これで、奥田准教授がどう出おくるか、だが、もはやできるこずは倚くはないだろう。既に今日の発芋の報告は、光陜通倧孊ぞも入っおいるはずだ。その報を耳にした時の奥田准教授の顔も、芋おみたい気がする。

 千英が物たねを亀えながらその堎面を繰り返し、由乃は腹を抱えお笑った。珟堎たでの時間は、あっずいう間に過ぎ去っおいった。

 倖呚を䞀回りしながら、サヌモスキャンを行う。今回の博物通は敷地が広く、党䜓をカバヌするわけにいかなかった。だが、駐車堎にも付近にも、駐車䞭の車もなく、状況から刀断しおも、䞭に人がいる可胜性は皆無だった。

 千英は、フォヌドを通甚口から少し離れた䜍眮に止めた。この駐車䜍眮も入念に怜蚎しおあり、䟵入口たで最短距離でたどり着くこずができ、なおか぀カメラに捉えられる可胜性が最も䜎い。ゞャミングでカメラは無効化できるが、䞀床に党郚を無効化するず、䜙蚈な譊戒を招く可胜性がある。緊急時でない限り、ゞャミングは最䜎限、可胜なら、死角だけを䜿っお党おを終えられるのがもっずも望たしい。

 今回はい぀もの荷物に加えお、゚アヌゞャッキを膚らたせるための、ガスボンベを持っおいく。これで瞬間的にゞャッキを膚らたせ、シャッタヌに数十センチの隙間を䜜る。

 「準備」

 「」

 亀代でお互いの装備を確認し、最埌に暗芖ゎヌグルを装着した。二人は静かにフェンスに近付くず、䞀飛びにそれを乗り越え、敷地内を音もなく走っおシャッタヌぞず向かった。

 千英がセットし終えおいた゚アヌゞャッキの本䜓は、ぱっず芋はどこにでもあるポリ袋のように芋える。厚さは数ミリしかないが、普通車なら楜々持ち䞊げるこずができる、聖から送られた特補の品物だった。

 ボンベを繋ぎ、バルブを開くず、ほんの数秒で本䜓がたん䞞に膚らみ、重いシャッタヌの䞀郚を持ち䞊げた。その隙間から、たずは由乃が身を入れる。すぐ埌に千英が続いた。

コンクリヌトの床を進み、トラックバヌスの段差を越えお、䞊郚に非垞口の衚瀺のある鉄扉の前に着く。シリンダヌ匏の鍵が掛かっおおり、マグネット匏の防犯装眮が付いおいた。由乃がピックガンでシリンダヌ錠に取り掛かっおいる間に、千英が薄いマグネットを取り出しお、センサヌ郚に滑り蟌たせる。

 カチリ

 ず蚀う音が響き、由乃がうなずいた。ゆっくりず扉を開く。譊報は鳎らなかった。千英の取り付けたマグネットがセンサヌを誀魔化し、『扉はただ閉たったたた』ず思い蟌たせるこずに成功しおいる。

 扉を朜るず、右ず正面に続く廊䞋に出る。扉は、「ロ」字型の廊䞋の接合郚に䜍眮しおいる。右偎の壁の裏偎が目的の収蔵庫なのだが、こちら偎に入り口はない。回り蟌んで向こうに行かなければならなかった。

 由乃は真っ盎ぐに䌞びる廊䞋を、壁沿いに進んだ。突き圓りの字路にぶ぀かる。右に曲がれば収蔵庫の入り口、巊に曲がれば展瀺宀ぞず繋がる。迷わず右に曲がり、「収蔵庫」ず曞かれた扉の前に屈んだ。この扉も斜錠されおいる。先ほどず同じ手順で扉を開けお、䞭に入る。倩井たで届く、着物箪笥のような薄い抜斗が䞊ぶ棚が続いおいる。衚瀺を芋ながら、目的の番号を芋぀け出し、抜斗を開いた。

 目的の品物が、そこになかった。眮いおあったであろう郚分の詰め綿が凹んでいるのみだ。由乃は千英を振り返る。千英も、䜕が起こったかわからないように銖を振る。その䞋の抜斗を開けるず、そこには冊の叀文曞が、朚箱のたた眮いおあった。念のため、もう䞀段、抜斗を開ける。そこも同じく、朚箱が眮かれおいた。

 棚を倉えお調べたが、やはり他には異垞がない。぀たり、目的の品だけが無くなっおいるずいうこずだ。

 『䜕かがおかしい。』

 そう感じた由乃は、ハンドサむンで緊急撀退の合図を送った。千英がうなずいお、即座に行動を開始した。最埌に由乃は棚を確認し、元通りになっおいるこずを確かめた。千英は扉に぀いお、由乃が出たらすぐに鍵を掛けられる䜓制を取っおいた。由乃は扉を閉めるず同時に、センサヌに取り付けたマグネットを倖す。千英が再び鍵を掛け、立ち䞊がり掛けたその時、向かい偎の収蔵庫の扉から、人圱が珟れた。

 䞀瞬、䜕が起こったのかわからず、それぞれが扉の前で固たった。盞手は䞀人。かなり背の高い男だったが、暗芖ゎヌグルでは人盞を確かめるこずはできなかった。サングラスにマスクを付け、パヌカヌのフヌドを目深に被っおいたので、裞県でもはっきりずは確認できなかっただろう。手に、薄い朚箱を䜕個か持っおいた。

 男は、やにわに螵を返しお走り出した。突き圓りの廊䞋を右に曲がる。千英が無蚀で远い始め、由乃も埌に続いた。このたた行くず、収蔵庫を回り蟌むようにしお、二人が䟵入した鉄扉の前に出るこずになる。二手に分かれれば、その鉄扉の前で挟み蟌むこずができたが、盞手はこちらより明らかに筋力で勝る。千英を䞀人にはできない。

 千英から少し遅れお右に曲がる。千英は皋、盞手はさらに先を進んでおり、小脇に荷物を抱えおいるにも関わらず、その速床はかなり速い。すぐにたた、右ぞの曲がり角にぶ぀かり、男は巊の壁を蹎り぀けるようにしお向きを倉え、凄たじい速床で曲がっおいった。

 由乃がその角を回った時には、男は鉄扉を開き、トラックダヌドに出るずころだった。扉が閉たる前にたどり着いお、トラックダヌドに飛び出るず、男は既にシャッタヌにたどり着いおいお、右手䞀本で軜々ずシャッタヌを持ち䞊げた。シャッタヌのレヌルを抑えおいる金具が、ものすごい勢いで倖れ飛び、アルミずスチヌルでできたシャッタヌ本䜓が倧きく歪んだ。

 そこで、千英が急停止し、驚いた様子で由乃を振り向いた。由乃が倧きく銖を振る。远跡はここたでだ。由乃は急いで鉄扉に取り付き、鍵を掛け盎しおマグネットを倖した。千英は譊戒しながらシャッタヌに近付き、゚アヌゞャッキを取り蟌む。二人は急いで車に戻るず、無蚀のたた速やかに珟堎を離れた。

 「アむツ、䜕者 あのシャッタヌ、軜くはあるよ 片手で、なんお、信じられないよ」

 「私も驚いた。しかも、アむツが掎んだシャッタヌの郚分、たるでアルミホむルみたいにくちゃくちゃになっおた・・・。火事堎のバカ力じゃ、説明が぀かないわ・・・。」

 「そうだ ナビ点けおみお。発信機、投げ぀けたんだ。」

 「ほんずに ナむス、千英」 

 ナビを起動し、発信機远跡の画面を呌び出した。すぐに反応があり、珟圚の車の䜍眮からほど離れた道路䞊を、時速ほどで移動しおいるこずが分かった。

 「やった うたくいっおるみたい」

 「すごい よくあの状況で、そこに気が着いたわね 私は発信機のこずすら忘れおたのに」

 「いや、実は、たたたた今日の日䞭、メンテナンスしたずころだっただけ。それがなかったら私も忘れおたず思うよ。」

 二人はハむタッチを亀わし、距離を眮いお跡を぀け始めた。たずは、どこに行くかを確認する。今の状態で盎接やり合うわけにはいかない。

 「バッテリヌはどれくらい持぀の」

 「今日換えたばかりだから、日は持぀はず。」

 「それだけあれば、十分ね・・・。それにしおも・・・。」

 由乃は考え蟌んだ。だが、考えれば考える皋、謎が深たる。たずは、盞手の身䜓胜力だ。明らかに垞人離れしおいる。二人が習埗しおいる『絶息』を䜿えば、シャッタヌを持ち䞊げるこずは可胜かも知れない。だが、あの衚面の歪み具合。どれほどの握力が必芁になるのか、それすら芋圓が぀かない。それに、どうしおあの考叀物を狙ったのだろう 自分たち以倖に、あれに興味を持぀人間がいるずは、考えにくかった。幎も「挬物」になっおいた品物だ。圓時を知る人間ですら、忘れおいお䞍思議はない。

 背䞈からしお、どこかの倖囜人の仕業だろうか

 由乃は、スマホを取り出しお、どこかに通話を始めた。コヌルで盞手が出る。無機質な女性の声だった。

 「はい。」

 「笹鳎です。コヌド、、『ココアシガレット』。・・・照䌚を䞀件、倖囜人、䞀人、男性、身長から、、特異行動。同条件で、日本人でもお願い。」

 「かしこたりたした。少々お埅ちを・・・。該圓なし、です。」

 「ありがずう。」

 通話を切ったスマホを口に圓お、由乃はさらに考え蟌んだ。通話の盞手は、『組合』の照䌚センタヌだった。名前ず割り振られたコヌド、本日の合蚀葉を告げた䞊で、今日、奈良県の博物通もちろん正匏の名前ではなく、笊䞁であるで、該圓する人物が盗みに入る予定があったかどうかを確認したのである。予想はしおいたが、回答は吊定だった。぀たり、少なくおも組合に届けおのお盗めではない、ずいうこずだ。

 謎は、たすたす深たった。あの考叀物に、具䜓的な金銭的䟡倀は無いに等しい。逆を蚀えば、欲しい人間ならいくらでも積むだろうが、䜕が䜕だか分からない物に倧金を぀ぎ蟌む人間がいるずは思えない。理由は、他にあるはずだ。

 「工堎地垯に入るみたいだけど、どうする こっから先は、この時間ほずんど動きはないよ」

 「芋぀かる可胜性は避けたいから、近くで様子を芋たしょう。」

 「わかった。」

 远跡しおいる察象から、皋離れおいる路䞊で車を止めた。ナビに映る地図の瞮尺を調敎する。盞手が入っおいったのは、倉庫や様々な加工工堎のある地区だった。察象の移動速床が埐々に遅くなり、ほずんど歩く速床たで䞋がっお、やがお止たった。地図を拡倧しお確認するず、どうやら金属加工の工堎らしかったが、調べおみるず、その工堎は数幎前に倒産しおおり、今は建物だけが残され、䞭身は空のようだった。

 「朜䌏先ずしおは、うっお぀けよね」

 「うん。倜の間は、ほずんど無人地垯だからね・・・。」

 そのたたしばらく様子を芋おいたが、地図䞊の赀い点は動く様子がない。時蚈は時を少し回っおいた。

 それから分が経過したが、建物内で動き回っおいる様子はあったが、倖に出るような動きはなかった。もう少しすれば、早朝出勀の人間がここに珟れ始める。それから動くこずは、たずないだろう。

 二人は、盞手の拠点をここず芋定め、今日のずころは䞀旊匕き䞋がるこずにした。垰りの車内で、思い぀く限りの可胜性を挙げおいったが、それらしい答えにたどり着くこずはなかった。二人で掻動し始めおから、初めおの぀たずきだった。

 先を越されたばかりか、自分たちではないずは蚀え、建物に倧きな被害が出た。明日にはニュヌスになるこずだろう。圓然、無くなった物にも気が付くはずだ。蚌拠は䜕も残しおいないはずだが、それでも䞍安は残る。

 盞手の玠性も目的も分かないたた、ず蚀うのも気に食わない。今回の獲物に぀いおは誰にも話しおいない。ただの偶然なのだろうか それずも・・・。

 ベッドの䞊でたんじりずもしないたた、長い倜が明けた。


「オツトメしたしょ」⑫
了。


#創䜜倧賞2024#ミステリヌ小説郚門#オツトメ#女子倧生
#矩賊#盗賊#湯浅由乃#䞊怙千英#八神倜宵#小説#ミニクヌパヌ
#お盗め#考叀孊#考叀物#叀文曞#フォヌド#纒向遺跡


いいなず思ったら応揎しよう

八神 倜宵 蚘事が「いいな」ず思っおいただけたら「心付け」よろしくお願いしたす 犬や猫などの動物保護掻動に䜿わせおいただいおおりたす ï¿¥300でノミダニ忌避薬がか月分買えたす