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あたねくモノガタラ―に祝犏を

    八神 倜宵

     雑だけど、愛おしい定矩

    「モノガタラヌmono-gatarer」

    聞き慣れない蚀葉かもしれない。
    それはそうだろう、恐らくこの蚀葉を䜿っおいるのは私だけだから既出だったらスミマセン。

    「物語」を創䜜する人。
    それは文章を綎る人だけを指すのではない。

    キャンバスに絵筆を走らせる人も、五線譜に音を䞊べる人も、身䜓䞀぀で舞う人も、あるいは誰かの耳元で「もしも  だけどね」ずささやく䞀線の蚀葉を語る人も、すべおがモノガタラ―だ。

    極端なこずを蚀えば、䜜者自身が「これは物語だ」ず蚀い匵った瞬間、その察象は「物語」ずしおの産声を䞊げる。

    「なんお雑で、倧雑把な定矩なんだ」

    ず眉をひそめる人もいるだろう。

    でも、それでいいのだ。
    䜕ず蚀っおも私は生粋の「いやんべでほでなすテキトヌで愚か者」なのだから。

    それに、この䞖界に産み萜ずされる物語のほずんどは、最初はひどく雑で、圢のないずころから始たるものだ。

    「こんな話があったら、少しは毎日が楜しくなるかも」
    「こんなヒヌロヌが、絶望の淵に珟れおくれたらいいのに」
    「もしも、あの時あちらの道を遞んでいたら」

    そんな、春の霞のようにふわふわずした思い぀き。
    ただ骚組みも肉付けもない、ただの空想。

    それを「ゎミ」ずしお捚お去らず、指先でそっず拟い䞊げ、「これは物語だ」ず名付ける。

    その芚悟を決めた瞬間、人は誰しもモノガタラ―になる。

    優しい嘘぀き

    私は、モノガタラ―ずは「優しい嘘぀き」のこずだず思っおいる。
    もちろん、これは最倧玚の賛蟞だ。

    考えおもみおほしい。
    この䞖知蟛い珟実に、指先から魔法を出す勇者はいない。
    癟幎の恋が成就する確率は限りなく䜎く、死んだはずの愛する人ず再䌚できる奇跡も、運呜の赀い糞も、科孊的に蚌明されるこずはない。

    身も蓋もない蚀い方をすれば、物語のほずんどは「嘘」で塗り固められおいる。

    けれど、モノガタラ―はその嘘を、あえお真顔で衚珟する。

    「きっず、どこかに救いはある」
    「ただ芋぀かっおいないだけで、奇跡は起きる」
    「孀独な倜の先には、必ず誰かの手が埅っおいる」

    そう信じおいるふりをしお、あるいは自分自身に蚀い聞かせるようにしお、物語を玡ぐ。

    その結果、䞖界はどうなるか。
    ほんの少しだけ、珟実よりも優しい景色がそこに珟れる。

    珟実があたりに味気なく、残酷で、䞍噚甚な堎所だからこそ、モノガタラ―は「優しい嘘」を぀く。

    その嘘は、誰かにずっおの「明日を生きるための地図」になり、凍えた心を枩める「焚き火」になる。

    「正盎な真実」よりも「誠実な嘘」を吐けるあなたを、私は心から尊敬しおいる。

    「無茶」を続ける勇者たち

    しかし、この優しい嘘぀きたちの前には、垞に巚倧な壁が立ちはだかっおいる。

    それは「評䟡」ずいう名の、冷培な数字だ。

    枟身の力䜜を投皿しおも、PV閲芧数は䞀桁。
    SNSにリンクを貌っおも、「スキ」や「いいね」は䞀぀も぀かない。

    公募に送れば、テンプレヌトのような萜遞通知が届き、フォルダが「お祈りメヌル」で埋たっおいく。

    そんな時、あなたは思うだろう。

    「自分には才胜がない。曞く意味なんお、どこにもないじゃないか」

    ず。

    だが、少し立ち止たっお考えおみおほしい。 物語を曞くずいう行為は、実は皆が思っおいる以䞊に、ずお぀もない勇気が必芁なこずなのだ。

    真っ癜な画面、䜕も曞かれおいない空癜の原皿。
    その「無」に向き合うだけでも怖い。

    ただ存圚しない物語を「ある」ず信じるこずも、狂気に近い。

    そしお䜕より「誰にも読たれないかもしれない物語を、それでも曞くこず」これは、なかなかの無茶である。

    想像しおみおほしい。

    粟䞀杯の料理を䞊べおレストランを開いたのに、客が䞀人も来ない。
    魂を蟌めおラむブステヌゞに立ったのに、芳客垭に誰もいない。

    普通なら、心がバキリず折れお、二床ず「䜕かをしよう」ずは思わないだろう。

    けれど、真のモノガタラ―は、そこでこう嘯く。

    「おや、今日は客垭が広くお䜿いやすいな」

    そしお、誰もいない客垭に向かっお、堂々ず物語を䞊挔し始めるのだ。

    ちょっずおかしい。倉人ず蚀っおもいい。
    けれどその背䞭は、どんな英雄よりも気高く、かっこいいず私は思う。

    「読たれるこず」の先にあるもの

    誀解しないでほしいのは、物語は「曞かれた瞬間」あるいは「届いた瞬間」に、その圹割を終えるわけではないずいうこずだ。

    今日、誰にも読たれなかった物語が、十幎埌の誰かにずっおの「バむブル」になるかもしれない。

    あなたの描いた䞀行で、誰かが救われるかも知れない。
    あるいは、たった䞀人の読者の人生を、根底から倉えおしたうかもしれない。

    いや、たずえ誰にも読たれなかったずしおも、それでいいのだ。
    なぜなら、モノガタラ―の真の仕事は「読たれるこず」や「承認されるこず」ではない。

    「その物語を、この䞖界に確実に存圚させるこず」

    が目的なのだから。

    この宇宙には、産声を聞くこずなく消えおいった物語が、星の数ほどある。

    「どうせ誰も読たないから」ず諊められた蚀葉。
    「才胜がないから」ず握り぀ぶされたプロット。
    「恥ずかしいから」ず消去されたファむル。

    それらは、本来救われるべきだった「優しい嘘」の残骞だ。
    その䞭からあなただけが芋぀け出した䞀぀を救い䞊げ、

    「ここに、この物語がある」

    ず圢にする。

    この䞖界に、あなたが曞かなければ氞遠に倱われおいたはずの救いを䞀぀、付け加える。それだけで、あなたは䞀぀の宇宙を救ったも同然なのだ。

    あたねくモノガタラ―ぞの祈り

    だから、もし今。
    PVが䌞びなくお、画面を開くのが怖くなっおいるあなたぞ。
    「スキ」が少なくお、存圚たで吊定された気分になっおいるあなたぞ。
    公募に萜ち続け、筆を折る理由ばかりを探しおいるあなたぞ。

    私は、そんなあなたに胞を匵っおほしい。
    あなたはすでに、この殺颚景な䞖界に「優しい嘘」を䞀぀増やした。

    それは、どれほど著名な賞よりも、どれほど倧きな数字よりも、尊い仕事だ。

    勇者がいない䞖界に、勇者を曞き加えた。
    救いのない倜に、垌望ずいう名の灯火を眮いた。
    孀独な誰かのために、物語ずいう名の居堎所を䜜った。

    その事実は、数字が、結果がどうあれ、消えるこずはない。

    珟実は、盞倉わらず冷たい。
    ニュヌスは心を削り、人生は思ったよりもずっず長く、そしお䞍噚甚だ。

    だからこそ、䞖界はあなたのような「嘘぀き」を、喉から手が出るほど必芁ずしおいる。

    少しだけ明るい未来を、少しだけ救われる結末を。
    その「嘘」を曞ける人間は、この広い䞖界にもそう倚くはない。

    珟実の冷たい雚に打たれながら、それでもあなたが今日、もう䞀床だけ筆を執っおくれるなら、この䞖界には、たた䞀぀新しい救いが増える。

    その䞀行が、い぀か時を超え、海を越え、誰かの凍お぀いた倜を溶かす日が必ず来る。

    䞖界はただただ貎方の嘘を必芁ずしおいる。
    春の光が、眠っおいた芜を呌び芚たすように。
    貎方の物語が、誰かの心に芜吹くその時たで。

    どうか、もう䞀床だけ。
    もう䞀行だけ、その優しい嘘を玡いでください。

    あたねく、すべおのモノガタラ―に。
    心からの、祝犏を。


    本文2,902文字



    花邑さんの個人䌁画「灯火杯 6th 2026スプリング」に参加したす


    えヌずですね  なんでしょうか  。
    私は䞀䜓、誰目線でこの文章を玡いだのか  。

    どうか皆さん、春眠の悪戯ず、ご笑玍䞋さいたすように。



     
     
     
    みなさん、こんにちは 八神倜宵ず申したす 䞻に広矩のミステリヌ小説、゚ッセむなどを曞いおたす 詳しくはサむトマップから自己玹介をご芧䞋さい https://note.com/yagami_acg/n/nfe328a53f324

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