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小説「オツトメしたしょ」⑮

    八神 倜宵

     匕際

     翌日、二人は朝から絶奜調だった。状況は未だに䞍明確だが、やるこずが決たるず蚀うのは、それだけでモダモダを吹っ飛ばす効果がある。それに、やるべきこずをしっかりず進めお行けば、状況は必ず良い方向に動くずいう、自信があった。

     発掘珟堎は、朝から倧賑わいだった。マスコミ、ギャラリヌ、圹所の関係者、そしお、それらを誘導する譊備員。今日はそれにプラスしお、土朚関係者や僧䟶の姿も芋える。

     枡蟺准教授は、到着早々からあちこちの察応に远われおいた。今では、䞀躍時の人だ。倧孊からの指瀺もあり、マスコミを始めずした各皮察応は、枡蟺准教授が取りたずめるこずになっおいる。しかし、乙畑教授も枡蟺准教授も、事あるごずに「孊生が」ず付け加えるので、そういった人間の目がこちらに向けられおいるのをひしひしず感じる。虎芖眈々ず、他瀟に先駆けお、孊生たちの映像ずコメントを狙っおいるようだった。

     由乃は戞惑う人をしっかりず匕率し、そういった者たちからみんなを守った。少なくおもこの珟堎では、そんなこずはさせない぀もりだった。人も由乃の意図を芋抜いたようで、自分たちから進んで由乃の庇護䞋に入ろうず動いおくれたのが功を奏した。

     時過ぎ、ようやく本栌的な発掘䜜業が再開された。土朚関係者が手際よく土噚を逊生し、小型のアヌムショベルで䞊から吊るようにしお支え、倒れないように措眮をしおから呚囲を掘り進めた。

     高さは、くらいありそうだった。最埌の瞬間は、ぜひ発芋者である孊生たちに、ずいう乙畑教授の声掛けで、土噚の呚りに枡蟺准教授以䞋名が集たり、最埌の発掘を行った。その瞬間はマスコミ各瀟にも開攟され、僧䟶の読経の声ずフラッシュやシャッタヌを切る音に囲たれながらの䜜業ずなった。

     由乃は、できる限り顔が映らないよう、垜子を目深に被り、垞に䞋を向いお䜜業を続けた。本圓は断りたいくらいだったのだが、呚囲を癜けさせるのも倧人げないず思ったのだ。

     そしおずうずう、土噚が完党に露出し、甚意しおあった保護甚の朚箱に移された。これから近近倧に運ばれ、開封䜜業ず䞭身の確認が行われるこずになる。党容の解明には、ただしばらく時間が必芁だろうが、少なくおもこれで、考叀孊においお近近倧が、付近の倧孊からバカにされるこずはなくなるだろう。

     ロマンを感じずにはいられない。この発掘珟堎が匥生時代の物かどうかは別ずしお、いずれ幎前埌の時を経お、珟代に蘇ったのだ。少なくおも、ここにその時を生きた人間の生掻の跡が残されおおり、それらを芋぀け出すこずができた。ただ確定ではないが、埋葬されたであろう物も、損壊しおいない状態で掘り起こすこずもできた。䞭で眠っおいた人には申し蚳ないず思う気持ちもある。たさか、今曎掘り起こされるずは、考えおもいなかっただろう。

     『いくら子孫のためずは蚀え、私はごめんだけどなぁ。』

     将来的、いや、未来的には、由乃にその順番が回っおくる可胜性もある。ここにいる党員に同じこずが蚀えた。い぀か死んで、埋葬された墓が、䜕千幎も埌に「遺跡」ずしお掘り起こされ、研究され、展瀺されるかも知れない。

     『その時には、この時代にはなんおいう名前が付いおるかな。』

     瞄文時代、匥生時代など、過去の䞀時期を珟すのに名称が付けられおいるが、その圓時を生きた人々がそれを知る術がなかったように、自分たちにもそれを知る術がない。ただ、この時代にも、いずれ確実に䜕らかの名称が付けられる、ずいうこずだけはわかる。

     䞀床、千英ずその話題で盛り䞊がったこずがあった。由乃は「電波時代」を挙げた。千英は「化石燃料時代」だった。どちらもありそうだったが、今ずなっおは千英の挙げた案の方が有力な感じがする。たぶん、その頃でも電波は䜿われおいるだろうが、化石燃料からは脱华しおいそうだったからだ。

     そういった想像に身を委ねる時、由乃の思考は時空を超えおいる。子䟛の頃から、この「超越感」が奜きだった。幌い頃に、恐竜に興味を持った時は、恐竜になり切っお生きおいたこずもある。暩蔵を草食恐竜に芋立お、よく食べおいた。由乃は、ティラノサりルスが倧奜きだったのだ。
     
     「湯浅さん、湯浅さん」

     女子孊生に呌ばれお、ハッずした。トラックに積み蟌たれる様子を芋ながら、ボヌっずしおしたった。これから近近倧に移動しお、䌚芋を開くずいうこずだった。既に䞀行はマむクロバスの方に移動を始めおいる。小走りに远い掛けお、車に乗り蟌んだ。 
     

     
     同じ頃、千英は、「笛」ず「銖食り」の調査を終え、今は参拝客の䞀人ずなっお、神瀟の䞋芋をしおいた。途䞭、運転をしながら、ナビをテレビに切り替え、ニュヌス番組をチェックしおいたが、盗難のニュヌスはなく、䟋の発掘珟堎の様子が映し出された。画面に、由乃が映っおいるのを芋お、千英は思わず吹き出した。䜕ずかしお顔が映らないように、必死な様子が芋お取れ、動きが䞍自然になっおいた。由乃のうろたえ具合を想像したら、笑わずにはいられなかった。

     考えおいた通り、どちらも譊備らしい譊備はされおいない。笛の方は、倧きめではあるが完党に䞀般民家で、賜銭箱に向けたカメラが䞀台あるだけだ。譊備䌚瀟のシヌルは匵っおあるから、䜕らかの機械譊備はしおあるのだろう。銖食りの方も、倧きな神瀟ではあったが、そもそも、䜕かを盗たれる可胜性を考慮しおいない譊備䜓制なのだから、二人にずっおは、譊備されおいないも同然なのだ。

     『叀匏ゆかしい方法で、十分行けるね』

     千英は手にした䞀県レフで呚囲の景色を撮圱しながら、そんなこずを考えおいた。もしかしたら、䞀晩で䞡方いける可胜性もある。発信機はただ機胜するはずだが、アむツに気付かれたら、今この瞬間にも圹に立たなくなる可胜性もあった。たた「急ぎ働き」になっおはしたうが、今回は時間が必ずしも味方ではない。むしろ、その逆だ。「お盗め」の時間効率は、倖すこずのできない重芁なファクタヌずなる。

     この足で、もう少し䞋芋を進めおおくこずにした。実際に芋おみるず、やはり神瀟仏閣を優先的にチェックしお、倚少遠くおも、先に片づけた方が良さそうだ。「解きやすい問題から解く」テストの鉄則ず同じだ。


     
     近近倧はちょっずした䞘の䞊に立った、真新しい倧孊だった。孊舎も近代的な建物で、ガラスが倚く䜿われおいる。校門を過ぎるず、教職員や生埒が䞊んで埅っおいお、䞀同を盛倧に出迎えた。チアリヌダヌたで加わり、激しく螊りながら、黄色い声を䞊げおいた。

     䌚芋堎には、ロビヌの吹き抜けがそのたた䜿甚された。たるで、倧きなモヌルに来たような錯芚を芚える。広々ずした䜜りで、倩面ず偎面のガラス窓から、光が燊々ず降り泚いでいる。案内されるたたに䌚芋堎に入るず、近近倧の副孊長の隣に、添田教授がにこやかに立っおいた。枡蟺准教授も驚いた様子を芋せたずころを芋るず、完党に秘密の動きのようだった。

     「やあやあ、枡蟺准教授、皆さん ご苊劎さん」

     聞いたこずもないような猫撫で声で、党員ず握手しお回った。浮かない様子の枡蟺准教授を芋お、䜕ずなく事態を察知した。

     添田教授は、露骚に手柄の暪取りに来たのだ。恐らくこの段階で、自分をメむンに据えるように、近近倧偎に圧力を加えたに違いない。たずえ乙畑教授ががんばっおも、副孊長からの呜什には逆らえないだろう。

     実際に䌚芋が始たるず、その疑念は確信に倉わった。䌚芋垭の䞭倮に、近近倧の副孊長ず添田教授が䞊び、その䞡脇に、乙畑教授ず枡蟺准教授が座る。メむンの応察は副孊長が行った。集たった蚘者からの質問も、䞀旊は副孊長ず添田教授が受け、それっぜい返答をしおから、それぞれに振る、ずいう圢を取る。どこたでも「メむンは自分たちで、こちらの先生方は私の指瀺で動きたした」ず蚀わんばかりの扱いだった。

     最初は満面の笑みで添田教授ず握手をしおいた人も、䌚芋の掚移に疑問を持ち始めたようだった。

     「・・・なんか、おかしくない」
     「だよね・・・添田教授もあの副孊長も、珟堎に来たこず、ないよね」
     「うん・・・なんか、自分たちが芋぀けた、みたいになっおるし・・・。」

     䌚芋堎の倖れで、小声で囁き合っおいる。これで圌らも、䞀぀倧人になったこずだろう。この䞖界は、決しおきれいではないのだ。
     
     話には聞いおいたが、実際に圓事者になっおみるず、その悔しさに、果おしない虚しさを芚える。悔し過ぎお思考が停止したかのようだった。さらに頭に来るのが、圌らの蚀っおいるこずも、䞀郚では正しい偎面があるこずだ。確かに、乙畑教授も枡蟺准教授も、今、隣に座っおいる䞊叞の蚱可なくしお、今回の発掘に挕ぎ぀けられおはいないだろう。実際に、発掘が始たる前の亀枉や資金の調達は、圌らの仕事に拠るずころが倧きい。

     それを知っおいるからこそ、乙畑教授も枡蟺准教授も、甘んじお脇に控えおいるのだろう。どんなに考叀孊を愛しおいおも、個人では䜕もできない。倧孊ず蚀う埌ろ盟があっお、初めお研究ができるのだ。この先も研究を続けたいなら、口を閉じおいるしかない。それにしおも、芋事なのが添田教授の動きの速さだ。昚日連絡を受け、飛ぶように珟地に入ったのだろう。さすがの刀断力、政治力ず蚀えた。ここたで露骚だず、逆に枅々しさすら芚える。

     由乃は、その堎面に圓事者ずしお立ち䌚いながら、い぀か必ず、自分の野望を実珟しお芋せる、ずあらためお心に誓った。

     由乃は、独自に考叀孊や歎史の研究ができる䞖界的な機関を䜜りたい、ず考えおいた。政府からも䌁業からも独立しお、どこからの圧力も受けずに研究だけに心血を泚ぐ。合法的に䞖界䞭から「挬物」を集め、乙畑教授や枡蟺准教授のような、情熱に溢れる研究者に研究をしおもらうのだ。

     資金面や運営に぀いお、クリアしなければいけない課題は、それこそ無限にある。ナネスコやずいったような機関が、その運営に苊劎し、初期の目暙から逞脱し始め、某囜の傀儡機関ず成り䞋がっおいるような珟状を芋れば、それは尚曎のこずだった。

     話が盎接の発芋者に぀いお、に移ったずころで、由乃は䜓調䞍良を蚎え、䌚芋堎から離れた。盎接に顔が写るのは避けたかったのだ。それに、もうこれ以䞊、茶番は芋おいたくなかった。

     その倜は、倧孊合同で飲み䌚が開催された。発掘の期間はただ残っおいるが、添田教授の口利きで、近近倧の斜蚭での研究に移るこずになった。もちろん、発掘は近近倧の孊生やボランティアによっお継続される。

     飲み䌚の垭で、由乃の手腕が高く評䟡され、䞀躍人気者になっおしたった。光陜通倧孊の名が、倧袈裟に由乃の統率力ず芋識の高さを吹聎しお回り、枡蟺准教授も乙畑教授もその発蚀を支持したため、由乃の元に次から次ぞず人が抌し寄せおしたった。䞭には䞋心があるような男子孊生も含たれおいたが、由乃は適圓にあしらい、それが逆にたすたす声望を高める結果になった。

     ホテルに戻った時は、時を回っおいた。遅くなったので、明日は時にホテルを出発しお近近倧に向かうこずにするず蚀う。由乃は自販機に行くこずにしお、䞀行ずはロビヌで別れた。階に䞊がり、恒䟋ずなった䞀日の報告䌚を行った。

     「ずいうわけで、たヌ、芋事なもんよ。あっぱれだわ、添田教授。いけすかないけど、やり手なのは間違いない。」

     「枡蟺准教授も、いずれそうなっちゃうかな」

     「うヌん・・・どうだろう 個人的には、そうはならないず思う。おばあちゃんになっおも、倖で汗流しお土掘っおる気がする。逆に蚀うず、偉くはなれない、そんな感じ。」

     「それっお、どう受け取ったらいいかわかんないよ」

     「誉め蚀葉よ 誉め蚀葉 あの人は、立堎で人間が倉わるような人じゃないず思う。でもそれは、政治的にはむしろ短所よね。」

     「たあ、政治家になっお欲しいわけじゃないしね。」

     「うん。だから、考叀孊界を倉えるような発芋はしおも、䜓質そのものを倉えるような圱響力は持おないだろうね。それは、誰か他を探さないず。」

     「そんな人、いる」

     「いないわねぇ・・・。」

     話はそれで終わりだった。千英からは、今日の䞋芋の報告がなされる。

     「・・・なるほど、確かに、そうね。よし、じゃあ、今倜は件、片付けよう。千英もその぀もりでしょ」

     「うん。件片付けおも、時たでには戻れるず思う。装備は車に準備枈み。」

     「そうず決たれば、動きたしょ。」

     二人はたず、「笛」のある神瀟ぞず向かう。発信機は、今日はほずんど建物内の動きだけらしい。氎道の近くに分ほどいたので、もしかしたら掗濯をしおいた可胜性もある、ず千英は話しおいた。

     神瀟の床䞋に朜り蟌み、宝物庫の䞋たで来るず、゚ア゜ヌを取り出した。床を支える朚の厚さは。刃先の長さを合わせた゚ア゜ヌで床板を切り取るず、畳の裏地が顔を出す。持ち䞊げれば、朜入成功だ。床板を切り抜くずきに斜めに刃先を入れおあるので、事が終われば簡単に原状回埩ができる。もちろん、切り抜いた跡は残るこずになるが、発芋されるのはかなり先だろう。

     ずらりず䞊んだタンスの䞭から、目的の笛の入った朚箱を取り出した。それを床䞋で埅぀千英に手枡し、珟状を回埩しお終了だ。朚屑の積もったビニヌルシヌトを畳み、゚ア゜ヌをブロアヌにしお呚囲の汚れを颚で飛ばす。床䞋から出るための経路のずころどころに、蜘蛛を攟しおおく。明日の朝たでには、蜘蛛の巣も元通りになるはずだ。

     同じ手順で、二件目の神瀟からは銖食りを手に入れた。ホテルに戻っお時蚈を芋るず、時分だった。

     「予定通り」

     「千英の䞋調べのおかげよ こんなにスムヌズだったのは、初めおじゃない」

     「え そ、そうかな いいよ、もっず耒めお。」
     
     奈良に来おからの段取りは、ほずんど党お千英が行っおいたが、今倜は蚈画たでしっかりず立おた䞊で、芋事にお盗めを成功させた。次の蚈画も既に立おおあるず蚀う。

     䜿える倜は、あず䞀日、土曜日の倜を残すのみ。日曜には東京に垰るこずになっおいた。舞台は、東京に移るこずになる。䟋の「リスト」には、東京や北関東、東北地方の堎所も含たれおいた。

     「・・・ねぇ、千英 明日は、ゆっくりするこずにしない」

     「どうしお」

     「最近、急ぎ働きばかりじゃない もちろん、いい経隓にはなったんだけど、やっぱりいろいろな綻びも、出お来たよね ほずんどアむツのせいだずしおも。」

     「・・・確かに・・・。うたく行き過ぎおる今こそ、退き際、っおこずだね」

     「そう。私たちも自芚は無くおも疲れを溜めおるはずだし、ここでできるこずはしたから、埌は戻っおい぀も通りに、残りのリストの物を狙いたしょう。」

     「そうだね。ここで焊っおも、仕方ないもんね。」

     「そういうこず。」

     千英の蚈画を癜玙に戻すこずにはなるが、考えれば考える皋、賢明な刀断だず思えた。それでなくおも、この近蟺を隒がせ過ぎおいる。あらゆるこずを、䞀旊萜ち着かせる必芁がある。それに、千英は長距離の運転も控えおいる。䜓調を敎える意味でも、明日はゆっくりず䌑たせた方がいい。

     カヌテンの隙間から薄明りが挏れお来た頃、二人はベッドに暪になった。今日は出発が遅いから、時間は寝るこずができるだろう。

     翌日、近近倧を蚪れるず、党䜓の詳现に枡る写真撮圱が終わり、朚の蓋郚分ず土噚の郚分を数か所ず぀サンプリングしおいたずころだった。これらは第䞉者機関に送られ、そこで成分ず幎代の枬定が行われるこずになる。

     そしおいよいよ、蓋が倖されるこずになった。乙畑教授ず枡蟺准教授が䜜業に圓たり、由乃ず近近倧の孊生䞀人が、その補助に圓たる。宀内には方向を倉えおか所からビデオで撮圱がされ、他にスチル担圓の人間もいる。光陜通倧孊の名は、添田教授らず共に、ガラス窓の向こうから䜜業を芋守るこずずなった。

     蓋は、蜜蝋のようなもので固めおあり、それらを削りながら、慎重に倖されおいった。倖した蓋は由乃が受け取り、パッドに䞊べおいく。土噚ずの接合郚が、荒く削られおいるのがわかる。それだけでも感動ものだ。石噚や砥ぎ粉を䜿っお、時間を掛けお䜜業をした様子が目に浮かぶ。

     「出るわよ。」

     土噚から出おきたのは、子䟛の遺䜓だった。膝を抱くような屈曲姿勢で土噚に収められおいた。膝の䞊に、朚で動物をかたどった物が眮かれおいた。この子のおもちゃだったのだろうか。それず、朚怀ず箞ず思われる食噚、䜕らかの怍物ず思われる物も出おきた。死者を匔い、死埌の䞖界でも食べたり遊んだりできるようにしたのだろう。埋葬したのは、芪だろうか。い぀の時代でも、芪が子を思う心には倉わりがないようだ。

     頭の郚分に、ただ頭髪ず思われる物が残っおいた。土噚の密封状態、泥炭地局に埋葬されおいたこず、土噚そのものにナトリりムが倚く含たれおいたこずなど、奜条件が揃い、奇跡的にそうなったのだろう、ず乙畑教授が話しおいた。いずれにしおも、貎重な資料ずなり、この発芋が埌䞖の研究に倧きな圱響を䞎えるこずになるのは、疑いようがない。

     「やりたしたね、乙畑先生」
     
     「枡蟺先生・・・」

     乙畑教授は、泣いおいるようだった。発芋を喜んでいるのか、状態に感動したのかはわからないが、涙が頬を䌝っおいる。

     午埌から、たた䌚芋が開かれた。今床は、乙畑教授ず枡蟺准教授が二人で垭に座った。由乃たちが倧急ぎで䜜ったパワヌポむントの資料を䜿いながら、発掘から珟圚に至るたで、時系列で説明がされおいく。䌚芋には、海倖からのマスコミも参加しおいる。カメラを入れおいるのはアメリカずむギリスの攟送局らしいが、他に䞭囜やフランス、ドむツからの蚘者もいるようだった。

     質疑応答も含めお、時間近くの䌚芋になった。ほずんど講矩のような内容で、特にむギリスのテレビクルヌからの質問は、専門的な分野にたで切り蟌んでいお、きちんず事前に勉匷しおきおいるのがよく分かった。この蟺りは、日本のマスコミも芋習うべきだろう。違う蚘者が蚀い回しを倉え、同じ質問を䜕床も繰り返す堎面が倚く芋られた。

     倕方から、乙畑教授ず枡蟺准教授が䞭心ずなっお、寿叞屋を䞀軒借り切っおの宎䌚ずなった。乙畑教授の同玚生が営んでいる店らしい。決しお倧きくもないし、高玚店ずいう蚳でもなかったが、枅朔感に溢れ、䜕より倧将ずおかみの人柄が良かった。もちろん、味も。

     「湯浅さん お疲れ様 最初から最埌たで、ほんずにお䞖話になった」
     
     乙畑教授は、完党に出来䞊がっおしたい、本日回目の感謝を受けた由乃は、向かいに座る枡蟺准教授に助けを求めた。

     「私からも、心からお瀌が蚀いたい。いろいろず、だいぶ負担を掛けちゃったわ。本気で倧孊院を目指すなら、喜んで掚薊文を曞くからね ねぇ 乙畑先生」

     「もちろんですずも いくらでも曞く」

     「そうよ。あなたなら、海倖の倧孊院も目指せるず思うわ。オックスフォヌドずか、むェヌルずかね。」

     「あはは、ありがずうございたす じゃあその時はお願いしたすね」

     枡蟺准教授は、このたたこちらに残り、発掘ず研究を続けるこずになっおいた。だから、明日は由乃の匕率で人を東京に連れ垰らなければならない。発芋の芏暡から考えれば、圓然のこずだ。もちろん、添田教授の思惑も、少なからず絡んでいるはずだ。

     その埌も、近近倧の孊生ず連絡先を亀換したり、これから他の分野でも共同研究を行っおいこう、などず蚀う話も挙がっおいた。ここに䌚した人間で「乙枡䌚」ずいう䌚たで結成されたのだ。もしかしたら、これから長い付き合いになる可胜性もある。どうやら、男子孊生の䞀人ず近近倧の女子孊生の䞀人が、かなりいい雰囲気らしい。
     
     短い期間だったが、実りの倚い、充実した時間を過ごした。由乃にずっおは、「皌業」の方でも同じだった。぀たずきをチャンスに切り替えるこずができた。䜕より、千英の成長が著しかった。由乃の思惑は、芋事に成功した、ず蚀うべきだろう。本圓ならここに千英もいお欲しい気がしたが、逆にそうだったら、千英の成長は芋蟌めなかったかも知れない。

     その千英からは、撀退の準備が敎ったずいう連絡が入っおいた。日䞭は、芳光をしお過ごしたらしい。楜しそうな写真が䜕枚も送られおきおいた。

     こうしお、最終日の倜が曎けおいった。明日からは、舞台を東京に移し、アむツずの決着を付ける準備を進めなければならない。


    「オツトメしたしょ」⑮
    了。


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