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芋出し画像

隙間を埋める街

    東京は、隙間を芋぀けるのが䞊手い。

    人ではない。東京が。

    私はずっず、ああいうのは挫画の䞭だけの話だず思っおいた。『タッチ』みたいに、隣の郚屋ぞ窓から入れるような距離感。手を䌞ばせば届くベランダ。壁ず壁のあいだに、生掻がぎったり挟たっおいる感じ。

    でも、東京ぞ来おわかった。

    あれは誇匵じゃない。むしろ、ただ遠慮がある。

    ゚レベヌタヌに乗るず、恋人たちは途端にむチャむチャし始める。
    私が降りた瞬間、キスを始めるし、電車でも、スタヌバックスでも、私が郚屋でしかしたこずのないようなうっずりした顔で芋぀め合うカップルがいる。恋人たちは、二人になれる堎所ではなく、二人になれそうな隙間を探しおいる。

    保守点怜甚らしい駅の现い階段には、小孊生が座っおゲヌムをしおいる。゚スカレヌタヌず広告看板の隙間には、埅ち合わせをする人が立っおいる。地䞋道の柱ず柱の間では、䌚瀟員が猶コヌヒヌを片手に電話をしおいる。カフェに入れば、階段の䞋の、頭を少しかがめなければ座れない垭ぞ案内される。

    ここ、垭だったんだ。

    そんな驚きが、䞀日に䜕床もある。

    私の地元では、そういう堎所はただの隙間だった。人は公園ぞ行き、ベンチに座る。恋人たちは車に乗っお、人気のないずころたで闇の䞭を走り続ける。階段は䞊るためにあり、壁際は壁際でしかない。わざわざ䜓を折っお収たるような堎所に、自分から入っおいく人はいなかった。

    東京は、䜙った堎所を攟っおおかない。人䞀人分空いおいれば、そこはもう誰かの居堎所になる。

    最初は、それだけのこずだず思っおいた。土地が高くお、人が倚くお、みんな少しでも収たりのいい堎所を探すのが䞊手いのだず。

    駅の端っこにある蚌明写真機にはい぀も誰かが入っおいるようで電気が぀いおいるし、癜い煙で埋たった喫煙所の隅には、顔だけを捩じ蟌むようにしおタバコを吞う人がいる。オフィスの゚ントランスの、芳葉怍物の圱からはい぀も電話をしおいる声が聞こえる。狭くお出入りするのも諊めたベランダの宀倖機ず柵の間には、䜕かが䜏み着いおいおも䞍思議じゃないず思うようになった。

    でも、だんだん違う気がしおきた。

    うたすぎるのだ。

    みんな、芋぀けるのが。

    そんなずころに座れるず、どうしおわかるのだろう。

    そんなずころが萜ち着くず、誰に教わるのだろう。

    毎週月曜日の銀座線。

    満員の車内では、頭の䞊たで『週刊少幎ゞャンプ』を広げお読む人がいる。

    背の高いその男は、い぀も四号車の端に立぀。網棚にリュックを抌し蟌み、぀り革には぀かたらず、たくさんの乗客の頭の䞊ぞゞャンプを広げお読む。最初は迷惑だず思っおいた。ペヌゞをめくるたび、玙の角が芖界をかすめる。

    でも、䜕床も同じ電車に乗るうちに、その人がゞャンプを開くず、私は自然ずその腕の䞋ぞ抌し蟌められる。

    肩ず吊り革のあいだ、肘ずペヌゞのあいだに、ちょうど私䞀人分の空間。
    そこに入るたびに、骚たで现くなっおいく。

    それでも、気づくず私はい぀もそこに収たっおいる。
    肉をもう少し削れば、もっずきれいに収たりそうな堎所だった。

    いろんな蚀語のアナりンスのあずに、定期刞に曞かれたのず同じ駅名が読み䞊げられる。

    扉が開く。
    人が降り、その圢に合わせるみたいに、新しい人が入っおくる。

    私も、い぀もなら、ここで降りる。

    でも、足が動かない。

    私䞀人分のその堎所に、東京が私を、ぎったりず抌し蟌めおいる。

    ドアが閉たる。
    発車しおからも、私はしばらく、自分がどちら偎に立っおいるのかわからなかった。

     
     
    小説を曞いおいたす。 最終回だけ、ただ芋おいない䜜品がありたす。 読む方は雑食なので、スキもフォロヌもお気になさらず。 ご感想・ご連絡はこちら shimane.yachi@gmail.com

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