
猫がキーボードの上を歩くと…
猫がショートカットを発見する
最近、Wired 英語版に「猫がキーボードの上を歩くたびに Mac や Windows のショートカットを学ぶ」という記事が掲載されていた。猫がパソコンのキーボードの上を歩いた結果、
• ウィンドウが消える
• 仮想デスクトップが切り替わる
• Dock が隠れる
• スクリーンショットが撮られる
など、飼い主には理解不能な現象が発生する。そして飼い主はあわてて検索し、「そんなショートカットがあったのか」と知ることになる。
猫にしてみれば、もちろんパソコンを操作しているつもりはない。ただキーボードの上を歩いているだけである。しかし、人間が普段やらないようなキーの組合せを偶然実行することで、人間が知らなかった機能を露出させてしまう。
これは少しおもしろい話だとおもった。
人間は「正しい操作」しかしない
人間は、コンピュータを使うとき、「こう操作するものだ」という暗黙の前提を持っている。そのため、普通は試さないキーの組合せが大量に存在する。しかし猫にはそのような前提がない。だから人間が試さない領域へ自然に入り込んでしまう。
これはセキュリティ分野でいう「ファジング」に少し似ている。ファジングとは、大量のランダム入力を与えて、予想外の動作や脆弱性を探す方法である。最近では、クロード・ミトスという AI が人間の想定しなかった操作手順や脆弱性を見つけることも話題になっている。もっとも、猫は脆弱性を探そうとしているわけではない。ただ気まぐれに歩いているだけなのだが。
この話から私はバロックの作曲家ドメニコ・スカルラッティの「猫のフーガ」という曲を連想した。
スカルラッティの「猫のフーガ」
スカルラッティには、《ト短調のフーガ》 (いわゆる「猫のフーガ」) として知られる曲がある。伝説によれば、彼の飼い猫がチェンバロの鍵盤の上を歩き、そのとき偶然できた音型をスカルラッティが気に入り、曲の主題にしたという。
もちろん、どこまで本当なのかはわからない。しかし、この逸話が長く語り継がれてきたこと自体が興味深い。
ここでも猫は、「正しい演奏」をしているわけではない。しかし、人間の常識から外れた動きをした結果、人間が思いつかなかった音型が現れる。そして作曲家は、そこに面白さを見出す。
ショートカットとフーガは同じ構造をもつ
つまり、
• パソコンではショートカットが発見され、
• 音楽ではフーガの主題が発見される。
猫は何かを創造しようとしているわけではない。それでも、人間が前提としている操作法を共有していないために、人間が見落としていた可能性を露出させる。
猫・オウム・AI
これは猫に限らない。オウムが音声アシスタントを誤作動させるという話も、ときどきニュースになる。人間の声を真似したオウムが、「Alexa」や「Hey Siri」のように AI を起動することばを偶然発音し、音楽を再生したり、家電を動かしたりするのである。
もちろん、オウムは音声アシスタントの仕組みを理解しているわけではない。しかし、人間とは違う発声やタイミングで言葉を発するため、人間が予想しなかった入力になってしまう。
「理解していない者」が発見する
最近の AI にも、少し似たところがある。
生成 AI は、人間が思いつかないような連想や単語の組合せを出力することがある。その結果、人間が想定していなかった使い方や、ときにはシステムの弱点まで見つかってしまうことがある。たとえば、開発者が想定していなかった手順で操作を組み合わせることで、本来は起こらないはずの挙動に到達してしまうような場合である。
AI は「わざと変なことをしよう」と考えているわけではない。しかし、人間と完全には同じ前提を共有していないため、人間が探索しない方向へ進んでしまうことがある。
人間はしばしば、「理解している者」が新しい発見をすると考える。しかし実際には、「理解していない者」のほうが、予想外の可能性を見つけることがあるのかもしれない。
猫がキーボードの上を歩く話も、どこかそれに似ている。だから、猫がキーボードの上を歩くことも、単なるいたずらとは言い切れないような気がする。
備考
なお、この記事は Wired の記事などについての ChatGPT との対話ログから作成した草稿を ChatGPT とともに修正して投稿したものである。