メインコンテンツへスキップ
見出し画像

⛪教会に住むピアニスト Kit Armstrong#️⃣67 リスト《メフィスト・ポルカ》🌀簡素さと“奇妙な音” ❝Musique, ma patrie ! ❞

    Musique, ma patrie ! #67では、Musique, ma patrie ! #67では、リスト《メフィスト・ポルカ》(*1)が紹介される。キット・アームストロングは、リスト晩年のこの作品に「これまで書かれた中で最も奇妙な音」が含まれていると異質さを述べる。リストの後期様式を強烈で忘れがたい感覚を喚起するものとし、他のすべてを消し去るような体験と語る。極度に削ぎ落とされた音楽語法の中で、「豊かさ」や「多様性」といった通常の価値概念が意味を失う状態を生み出す(*2)。この作品の本質は、単なる奇妙な音の存在にとどまらず、言語化を拒む独特の雰囲気にあり、「かすんだ」「取り憑くような」といった比喩によってのみかろうじて示される。ここでの音楽は、極限まで簡素化された表現の中で知覚そのものを変容させる、言語化不可能な体験として提示される。

    ①こんにちは、みなさん。今日お聴かせしたい作品には、私が思うに“これまで書かれた中で最も奇妙な音”が含まれています。②その音が来ればきっと分かるでしょうし、たとえ来ると分かっていても、やはり同じように奇妙に感じるはずです。③これはフランツ・リストの晩年の作品です。④リストの後期作品について何か言いたいのですが、どう表現すればいいのかよく分かりません。⑤実はもう何年も、その言葉を探し続けています。⑥それらは私の中に非常に忘れがたい感覚を呼び起こし、音楽が何をなし得るのかについて、まったく別の側面を示してくれました。⑦それは、他のすべてが消え去ってしまうような感覚だと言えるかもしれません。⑧おそらくそれは、あまりにも剥き出しであるがゆえに、その世界に没入すると、私の思考の語彙から“豊かさ”や“多様性”といった概念が消えてしまうからでしょう。⑨ですから、この奇妙な音を含んでいるという点を別にしても、この作品には独特の雰囲気があり、それを言葉にするのは難しいのです。⑩もしかすると“かすんでいる”と言えるかもしれません。⑪あるいは“忘れがたく付きまとう”ようなものかもしれません。⑫いずれにせよ、その感覚を感じ取っていただければと思います。

    ①hello ladies and gentlemen. the piece I'd like to play for you today contains what I think is the weirdest note ever written.〔I'd like to + 動詞「〜したい」〕〔contains「含んでいる」〕〔what I think is ...「私が〜だと思うもの」〕〔the weirdest(最上級)〕②you will know it when it comes and it will still be just as weird even if you know it's coming.〔you will know「分かるでしょう」〕〔when it comes「それが現れたとき」〕〔even if「たとえ〜でも」〕③it's a late piece by Franz Liszt.〔late piece「晩年の作品」〕④now I would like to say something about Liszt's late works but I don't really know how to say it.〔would like to「〜したい」〕〔how to + 動詞「どうやって〜するか」〕⑤I've been searching actually for many years.〔have been + 動名詞(現在完了進行形)〕〔for many years「長年」〕⑥They instill in me a feeling which is quite unforgettable and that has shown me something quite apart about what music can do.〔instill in「〜に植え付ける」〕〔which(関係代名詞)〕〔unforgettable「忘れがたい」〕〔has shown(現在完了)〕〔what music can do「音楽ができること」〕⑦I could say it's the feeling that they make everything else disappear.〔I could say「〜と言えるかもしれない」〕〔make + 目的語 + 動詞「〜させる」〕⑧perhaps it's because they are so bare, that when I am absorbed into their world, my thoughts' vocabulary no longer contains any notion of richness or variety.〔perhaps「おそらく」〕〔because「〜だから」〕〔so + 形容詞「とても〜なので」〕〔be absorbed into「〜に没入する」〕〔no longer「もはや〜ない」〕〔contain「含む」〕⑨so aside from containing this really weird note this piece has a singular atmosphere which I find it difficult to describe.〔aside from「〜は別として」〕〔singular「独特な」〕〔I find it difficult to + 動詞「〜するのが難しいと感じる」〕⑩perhaps you could say it's hazy.〔you could say「〜と言えるかもしれない」〕〔hazy「ぼんやりした」〕⑪perhaps you could say it's haunting.〔haunting「心に取り憑くような」〕⑫in any case I hope you feel it〔in any case「いずれにせよ」〕〔I hope「〜だといい」〕〔feel「感じる」〕
    出典元(音声)Liszt : Mephisto-Polka | Musique, ma patrie !

    (*1)《メフィスト・ポルカ》:リスト晩年の作品。調性や構造の曖昧さ、独特の和声感覚などにより特異な響きを持つ。

    (*2)後期リストの様式:装飾性を排し、簡素で抽象的な音響へと向かう傾向。後の近代音楽への先駆的要素を含む。

    あなたへのおすすめ