
休日の未定
朝は遅くに起きた。今日は祝日の振替だったか。3連休の最終日だ。今日が終われば、ゆっくりと過ごせる日は、次の土曜日まで待つことになる。月曜が休みなので、通常5日間働くところを、4日間働いて土曜を迎える。与えられた任務はこなすが、できれば毎日休んでいたい。
今日の朝ごはんは、明太トーストを食べる予定だった。予定だったというのは、今の時点で明太トーストを食べていないからで、丸い壁掛け時計は2時半を示している。
昨日の朝、すなわち日曜の朝ということになるが、キッチンで食パンの袋を開けてトーストの準備をしていると、冷蔵庫からタッパを取り出した家内が「私はこれでトーストをつくる」と言う。「それ、なに?」と聞くと、「明太子」と家内は言う。
「ぼくもそれが食べたい」と言うと、「そうなの?」と家内は言って、二人分の明太トーストをつくりはじめる。タッパから取り出した真っ赤な明太子をカッティングボードの上に置き、包丁をつかって上手に明太子の皮を取る。粒だけになった明太子を小さな器に入れてマヨネーズで和えて明太マヨをつくる。薄くバターを塗った食パンの上に明太マヨをたっぷりと塗り付け、とろけるチーズをパラパラと散らしてブラックペッパーを少量ふる。トースターの内部に2枚を慎重に配置してから扉を閉める。
最近、トースターの調子が悪くて、目安の4分にタイマーセットしても焦げ目がつかない。やっぱりトーストはキツネ色に焼きあがって欲しい。家内と相談して、思い切って6分にタイマーセットしてみた。
明太トーストが出来上がるまでの間に珈琲を淹れる。コーヒーサーバーの上にドリッパーを置いて紙フィルターの端を折ってセットする。キッチンの奥から持ってきた珈琲豆の袋を開けて紙フィルターに珈琲豆を盛る。沸騰したケトルのお湯を豆の上から少しだけ注いで豆を蒸らす。一呼吸おいて、円を描くように湯を注ぐと豆が膨らむ。しぼんで行く途中で、また円を描くようにして湯を注ぐ。何度か繰り返す。
明太トーストの出来上がりを知らせるトースターの電子音が聴こえる。トングを使って白い皿と青い皿に一つずつ移された明太トーストがダイニングに運ばれる。二つのマグカップをダイニングテーブルの上に並べて湯を注ぐ。マグカップが温まったのを確かめてからシンクに湯を棄てる。ダイニングテーブルに並べたマグカップに、サーバーの珈琲を注ぐ。
こんがりと焼き上がった明太トーストを、一口かじるとサクッと音がして、明太子の塩辛さとマヨネーズの酸味が良い具合に混ざり合う。「これ、おいしい」とぼくが言うと、「よかった」と家内が言う。マグカップの珈琲を一口飲むと、苦味が口のなかで広がってグッと引き締まる。美味しい朝ごはん。
それで、この明太トーストがとても美味しくて、「明日の朝も食べよう」、ということになったのだけれど、予定は未定で、今日はそのように朝ごはんがつくられることはなかった。起きると家には誰もおらず、ダイニングの椅子に座ってぼんやりしていると、エコバックを両手に持った家内が帰って来た。その時点で10時半を回っていて、ぼくの朝ごはんは、家内のお昼ごはんと合流し、ざるうどんになった。美味しいお昼ごはん。