メインコンテンツへスキップ
見出し画像

かなしくてかなしくてとてもやりきれない

    海尾守

    子供の学校から訃報がメールで届いた

    4年前から寝たきりで意識が一度も戻らなかった
    Sちゃんが昨日亡くなった
    SちゃんはNちゃんと
    通学途中 
    家の前の横断歩道で信号無視の自動車に轢かれた
    Nちゃんは即死 Sちゃん重体

    あれから4年

    長いようなあっという間のような

    その朝我が家のバカ息子は寝坊した
    嫁は仕方なくクルマで息子を学校まで送った

    息子を送り届け家の方へ戻ろうとすると近所の
    交差点は自衛隊のトラックが行手を遮っていて
    大渋滞していた

    あとで分かったことだが
    自衛隊の正門横で起きた事故で 
    救急車がなかなか到着しないため自衛隊員が現場へ
    駆けつけ交通整理や蘇生措置を行っていたのだ

    嫁が知り合いを見つけ何が起こったのか聞くと
    「小学生が2人赤信号を無視した車にはねられた」
    という

    近道を抜けて学校へクルマで送ったため嫁は事故
    現場を通らなかった

    指定された通学路は小学生が轢かれた横断歩道だ
    嫌な予感がした嫁は
    誰が轢かれたのか恐る恐る尋ねた
     
    予感は的中した

    同じクラスのSちゃんとNちゃんだった
    家も近所でクラスも同じ2人だった

    家が近所だと通学時間もほとんど同じになる 
    もう1人近所にいる女の子3人と息子でほぼ毎日
    同じ通学路を歩いて通学していた
     
    同じクラスなので時間が合えば一緒に学校へ向かう
    ただ だらしない息子は時折寝坊して嫁が仕方なく
    クルマで送った

    偶然の寝坊で息子は横断歩道を渡らずに事故を免れた

    テレビ取材

    事故当日 仕事帰りに花を手向けているとテレビで
    見かけるレポーターから声をかけられた
    息子と一緒だったので 
    最初に息子へスマホの画面を見せ
    「亡くなったのはこの子ですか」と尋ねてきた

    息子は「Nちゃんです」と名前を言った 
    すでに誰かがテレビ局へ顔写真を渡したようだ

    わたしは執拗に問いかけるレポーターやカメラを
    遮り家に入った

    息子のメンタルがやばいとはじめて実感した

    身近にいる人が亡くなり動揺する息子を
    初めて見た瞬間だ
    そして同じ通学路を同じ時間通う同級生だけが
    事故にあった

    前日は同じ時間一緒に横断歩道を渡った息子の
    ショックは相当なものだろう

    あれから4年は本当にあっという間だった
    Nちゃんのお母さんを卒業式のあと教室で
    見かけたので
    「せっかくですから」
    と先生から卒業する生徒への餞の言葉が書かれた
    黒板の前で記念撮影を勧めた

    本当ならお母さんが並んで写るハズの娘がいない 
    1人だけの記念写真
    涙が右頬を伝うのが分かった

    Nちゃんのお母さんは微笑んでいた

    卒業する娘がお母さんにだけ見えたのかもしれない
    同級生が式を終え学校を巣立ったあと 
    Sちゃんが1人だけ学校に来て卒業証書が渡された 
    目覚めることはなかったけれど中学生になった

    Sちゃんは今年も息子も同じクラスだ 
    席は息子の前だ
    学校には来れないけれど 
    いつの日かテレビドラマのように突然目覚めるん
    じゃないかとずっと願っていた

    息子や同級生のみんなもきっとそうだと思う 
    昨日までは

    Sちゃんの席はしばらくそのままだった

    Nちゃんは中学生になれなかったけれど 
    進学したSちゃんの席は夏休みになる日まで普通に

    あった

    夏休みはもうすぐ終わる
    我が家のアレクサは 
    突然思い出したかのようにNちゃんと息子の
    2ショット写真を表示する

    夏休みの自由研究でバカ息子とNちゃんが表彰され
    展示されているイオンモールで偶然合い2人で撮影
    した写真だ 
    バカ息子はvサインしNちゃんは微笑んでいる
     
    あれから息子の身長は20センチも伸びた
    小学校の担任の先生が
    「Sちゃんも身長だいぶ伸びましたよ」
    と言っていた

    アレクサ「息子のVサインは消してくれ」

    と命じようと思ったが 
    しばらくそのまま放おっておこう
    SちゃんもNちゃんも忘れてはいけないのだ

    状況が違えば
    今日かなしくてかなしくてとてもやりきれないのは
    わたしと嫁だったのかもしれない

    超難産で生まれ20分以上も呼吸せず 
    どうにか生命は繋だものの 
    生まれた日に大病院のNICUへ転院し
    「脳に障害が残るかもしれません覚悟してください」
    と言われた息子は 
    今年の春に身長だけ嫁を追い抜いた
     
    もうすぐわたしより背が高くなるだろう 

    息子が生きているのも偶然なのだ

    両手両足にチューブや電線が繋がっていた赤兒が
    生意気な事を言うのも偶然なのだ

    でも 
    不運な事故に巻き込まれず中学生になった
    カワイイSちゃんNちゃんにも会いたかった

    忘れないでいたいから
    こんなに痛い乱文乱筆を書いた

    間違って読んだ方

    ごめんなさいm(_ _;)m
    でも 
    かなしくてかなしくてとてもやりきれない

    このやるせないモヤモヤを 
    減らすために ドライバーの皆さん 
    自動車を開発している皆さん 
    警察の皆さん 
    よろしくお願いします🙇

    この記事が参加している募集

     
     
     
    海尾守【ジブチの象】 1️⃣乗物評論家末期患者 2️⃣ニセ地理学者 3️⃣がっかり学にせ研究者 4️⃣不健康料理研究家 5️⃣おやじギャグ中毒患者 この作者の正体を見破った方へ。500字以上で小論文を提出してください。 締め切り:2027年2月29日