
介護職は「勤続年数」ではなく「経験年数」がものを言う。
介護の仕事をしていると、 「この人は勤続10年だからベテラン」 「20年もいるから、何でも知っているだろう」
そんな見方をされることがあります。
でも、私は少し違うと思っています。
介護は、 「何年その職場にいたか」より、 「その年月の中で、何を経験してきたか」 が大切な仕事だと思っています。
同じ職場で10年間、 毎日同じ仕事だけを繰り返してきた人。
一方で、5年間の間に、 認知症の方、重度の方、看取り、家族対応、事故対応、急変、クレーム、ケアマネとの連携、新人指導など、 さまざまな経験をしてきた人。
どちらが「経験豊富」なのか。
単純に勤続年数だけでは判断できません。
もちろん、長く続けてきたことには価値があります。
10年、20年と介護の仕事を続けることは、 それだけで簡単なことではありません。
ただし、
「長くいること」と 「経験を積んでいること」は別物だと思っています。
10年働いていても、 10年間ずっと「言われたことだけ」をやっていたら、 実質的な経験値はそれほど増えていないかもしれない。
逆に、勤続年数が浅くても、 失敗して、悩んで、考えて、 いろいろなご利用者様と向き合ってきた職員は、 驚くほど成長していることがあります。
介護は教科書だけでは身につかない。
「このご利用者様、今日はいつもと違う」
「この表情、何か気になる」
「今この声かけをしたら、不安にさせるかもしれない」
こうした感覚は、 実際の現場で人と向き合い、 失敗したり、考えたり、振り返ったりする中で磨かれていきます。
だから私は、 「勤続年数」だけで人を評価したくありません。
大切なのは、
何人のご利用者様と向き合ってきたか。
何回失敗したか。
その失敗から何を学んだか。
困難な場面から逃げずに向き合ったか。
後輩に何を伝えられるようになったか。
そして、 目の前のご利用者様に合わせて、 自分の介護を変えられるか。
これが「経験」だと思っています。
介護の世界では、 年数が増えるほど自動的にベテランになるわけではありません。
1年の経験を10回繰り返す人もいれば、 10年分の経験を積み上げる人もいる。
だからこそ、 「私は10年やっています」 ではなく、
「10年間で、これだけのことを経験してきました」
と言える介護職になりたい。
そして管理者としても、 「何年いるか」だけではなく、 「その人が何を経験し、何を身につけてきたのか」 を見る目を持っていたい。
介護は年数を競う仕事ではない。
経験を積み、 考え、 学び、 人としても介護職としても深くなっていく仕事。
勤続年数は履歴。 経験年数は財産。
私は、そんなふうに考えています。