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ちちのチ

    小さい頃、父のことが大好きだった。

    母と違って滅多に怒らないし、毎週なにかしらオモチャを買ってきてくれる。

    身長163センチと小柄だけどマッチョな体格だったので、こどもの自分からしたら父はポパイだった。

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    ちなみにうちのポパイは、硝酸臭いから、という理由でほうれん草はキライだった。なんやねんそれ。


    その太い腕にぶらさがって、ブランコのように遊んでもらった記憶もある(自分はできない)。


    でも、思春期になるにつれて、父のイヤなところが目につき始めた。


    ご飯を食べる時の咀嚼音。

    片方の尻をあげて、ぷっとオナラをするところ。

    皿の代わりに新聞紙の上でトーストを食べるので、バターが落ちて汚れるところ。

    秋になると「柿食うか?」と繰り返すところ。

    冬になると「ミカン食うか?」と繰り返すところ。

    食べ放題のお店に行くと必ず食べすぎて、帰りに気持ち悪くなっちゃうところ。

    くしゃみが大きすぎるところ。

    目をぎゅっとつぶってご飯を食べるところ。


    ……なんか、書き出したらいっぱい出てきたけど、とにかく同性の親に対する思春期特有の嫌悪感は、今思うと結構激しかったなぁ、と思う。


    何か言われたら、もう全部「うるさいなぁ」で返してたな、あの頃(遠い目)



    ある日朝起きたら、父親が居間で新聞紙を広げて、目をつぶってトーストをくちゃくちゃ食べながら、バターをボタボタ落としていた時は天を仰いだ。



    特に目をつぶってご飯を食べるのが妙に嫌で、なんでそんなことするのか聞いたことがある。


    答えは、「目ぇつぶったほうが、味に集中できるやろ」だった。

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    なるほど、だから目隠しするのか。


    とにかく様々な所作を母に怒られたり、小言を言われているのを見て、父親みたいな大人にはならないようにしようと心に誓ったものだ。






    あれから30年近く経った。








    最近妻に「なんで目をつぶってご飯食べるの?」と聞かれた。




    思わずぶっ飛んだ。


    全く自分では気付いてなかった。



    しかも、当時父が目をつぶり始めた年齢(FTAファーストつぶりエージ)よりも、今の自分は10年以上若い。



    遺伝子が加速している……だと!?



    確かに、昔は全然違う顔だったのに、最近はどんどん似てきている。



    眉毛は父親と全く同じ変な形になった。

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    ちなみに子供たちは既に同じ形。不憫。


    顔の形も父と同じくどんどん面長になって、絶望的に帽子が似合わない(どんなに不機嫌でも妻が指さしてゲラゲラ笑うレベル。まじ失礼)。


    くしゃみの音はどれだけ気をつけてもボリュームMAXになって、子供たちから「もーびっくりした!」といつも怒られる。


    最近お義父さんと同じ笑い方だね、と妻に言われる。

    ちなみに、妻が結婚前に実家に泊まりに来てお風呂に入っている時、誰もいないと思って洗面所のドアを開けた残念な父のことだ。同じ笑い方だね、は決していい意味では無い。



    あれだけ拒否していたのに、全遺伝子があわてて父仕様に仕上げてきている!!



    何が可哀想ってこの遺伝子を色濃く受け継いでいる子供たちだ。


    このままだとあと20年くらいでこの血を発現するであろう息子たちが不憫でならない。


    きっとその時は、我が家の男3人、そろって目をつぶってご飯を食べているだろう。







    不憫男子によるフビワングランプリ😂
    最高です👍


    アルロン酸、アルロンさん、よろしくお願いします🥹


    #フビワングランプリ

     
     
     
    ティッシュ字検定TWE師範 | 岩男を笑わせろ杯特別賞 | モノカキングダム2024優勝 | 第六回灯火杯 変態道でも祝っちゃうで賞 | 京大薬博士の読むサプリ| #なんのはなしですかを文芸ジャンルにする |

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