
今の光は

もう色褪せたはずの夏を、気づくとまた抱きしめている。
復縁なんてしなければよかった。あの煌めきをとっておきたかった。と思う夏がある。復縁なんてしなければあの夏は綺麗なままで、あの曲も色褪せないままで。
でも、色褪せたあの夏も色褪せたあの曲も、静かなあたたさをもったセピア色で、それはそれで今も好きなのかもしれない。
「覚えていること」と「思い出に残っていること」は=ではないけれど、本当にそうなのだろうか。明確に区別するとしたら感情が伴うかどうかかもしれない。「覚えていること」は単にデータや情報として記録しているだけで感情は伴っていないのか。前意識や無意識的なところで感情が動いているのか。
「思い出」は星の光みたいだ
星みたいに
星の光みたいに
過去の光が
現在(いま)私に届いた
届いたその光は
もうその瞬間は存在していない
あの夏も
あの日の私も
あのとき聴いていた曲も
あのとき抱いていた想いも
今はもう存在していない
今の私は
その光を受け取っている
「思い出」は過去そのものではなくて、過去から現在へ届いている光なのかもしれない。星と同じように届くまでに時間がかかるのかもしれない。
あの頃は気づかなかったことに今になって気づいたり、あの頃はただ苦しかったことを今になって愛おしく思えたり。遠い星の光が、何年も何年も旅をして、ようやく目に映る。
色褪せたはずの夏は
遠く離れて和らいで
輪郭もぼやけて
セピア色になって
そうして
光として私に届いた
今の光は
いつ
私に届くのだろう