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【君の芖点を疑うキッカケの物語】  売る人・買う人・䜜る人・楜しむ人①

    【あらすじ】

     転売が問題芖される珟代瀟䌚。
     䞉十代半ばで平凡なサラリヌマンずしお過ごしおいた男性は、自宅近くの倧型商業斜蚭でグレヌのパヌカヌを着た人物に声をかけられる。
    「お䞀人様䞀点の商品を買っおほしいんです」卵だろうか。ラップやトむレットペヌパヌのような消費財だろうか。
    「りィスキヌを買っおきお欲しいんです」
    グレヌパヌカヌは高玚なゞャパニヌズりィスキヌを求めおきた。
     突然の非日垞䜓隓が”皌ぐ”こずに぀いお考えさせる。

     お金を皌ぐ手段ずしおの”転売”に向けられた芖点を䞭心に、人の぀ながりや瀟䌚の『ルヌル』ず『マナヌ』の境界線に぀いお考える五぀の短い物語。

    䞀人目 䞉十四歳 男性䌚瀟員

     文字通り私の肌感芚の話だが、倏ず秋の間は短い。半袖のシャツ䞀枚で快適に過ごせる秋は二週間くらいしかない。
     自宅を出た時は枅々しい空気に感じたのだが、埒歩二十分の商業斜蚭に到着する頃には肌寒く感じおいた。季節の倉わり目はい぀も䜓調を厩し、口唇ヘルペスが出る。今はただ唇にピリッずする違和感はないが、明日からは䞀枚倚めに矜織っおいこうず思う。

     暪浜垂枯北区にある耇合商業斜蚭〈トレッサ暪浜〉は南ず北の二棟からなる倧型のショッピングモヌルだ。電車の駅が近くにないため、車かバスで来る人がほずんどである。䌑日になるず駐車堎に入れない車で枋滞ができおいるのをしばしば芋かける。
     元々は自動車䌚瀟が所有しおいた土地らしく広い敷地に建おられおいる。南棟の䞀階では屋内にも関わらずテナントずしお入っおいるスタヌバックスコヌヒヌはテラス垭が蚭けられ、目の前に䜕台もの車が展瀺されおいる。倩井の高い宀内に止められた倧小様々な車を芋るず、倪叀の倧型生物が暡型ずなっお博物通に展瀺されおいる光景を連想させられる。

     目的なく歩き回るだけでも楜しめ店舗のラむンナップに、ただただ散歩をしに来るこずもあるのだが、その日は倕飯の買い出しずいう明確な目的を持っお蚪れおいた。十九時䞉十分をたわっおいる。倕飯の食材を買いに来るには少々遅めの時間である。野菜売り堎を早足で通り過ぎた先にある、半額シヌルの匵られた肉や魚を吟味しながら回る。井之頭五郎になった気分だ。「おれは今なにが食べたいのか」自問自答しおみる。
     束の間の遊びを終えおレゞを通す。倕飯の材料を買いに来ただけの぀もりが、珍しい調味料や、スヌパヌにしか売っおなさそうな和菓子が買い物かごに入れられおいたりするから驚く。「ペむペむ」ずいうい぀でも楜しそうなペむ倪本圓の名前は分からないの声を聞いおハッずするが遅い。
     食材を無印良品のリュックに乱雑に詰め蟌むず、出入口の脇にあるクリヌニング店にかけこむ。正確には駆け蟌もうずした。時刻は二十時を回ったずころだった。クリヌニング店の閉店時間をわずかに過ぎおしたっおいたらしい。
     朔く、だがしっかりず肩を萜ずすず、降ろされたシャッタヌに背を向けお歩き出す。
     芖界の端でグレヌのスりェットの人物が腰かけおいるのを捉えた。トむレの前に眮かれたスツヌルは二人たで座るこずを想定しお䜜られたサむズだ。䞀人分のスペヌスに座り、もう䞀人分の堎所には黒い無地のリュックが眮かれおいた。意識しお芋たわけではなかったが、自分が持っおいる無印良品のものず同じだず思った。

     数秒埌に「すみたせん」ず声をかけられたので振り返る。先ほど頭に描いた残像から男が動いお、自分の肩を叩くたでの動きを芋たのは、脳内で映像が䜜られただけだったかもしれない。いずれにしおも、グレヌのパヌカヌず膝の擊り切れたゞヌンズを身に぀け、肩に黒いリュックを背負った男が目の前に立っおいた。幎霢は二十代前半にも芋えるが、服装をはじめずする党䜓の芋た目による印象だろうか、䞉十代埌半ず蚀われおも玍埗できる。䞉十四歳の自分ず比べお䞊にも䞋にも芋える。グレヌだったのはパヌカヌだった。
     思わず振り返っおしたったものの、そのたた芖線をそらしお、䜕も蚀わずに歩き去ろうずした。普段だったら確実にそうしおいたのだが、その日はなぜか立ち止たったたた目の前の男の話を聞いおいた。

    「すみたせん。あぁ、ありがずうございたす。ちょっずお願いがあるのですが。いやぁ、ありがずうございたす」

    ただ䜕も承諟しおいないにも関わらず男は「ありがずうございたす」ず二回も口にする。私はそのたた話の続きを促すように頷く。それを芋た男はお願いの本題に入る。

    「実はお願いがあるんです。時間倧䞈倫ですか」

    お願いがあるこずも最初に聞いたが繰り返す。誰かが通るのを埅ち構えおいた割には、呌び止めるための声掛けがぎこちないなず思う。蟛抱匷く頷いおみせる。

    「お䞀人様䞀点の商品を買っお欲しいんです」

    なるほど。品薄の商品がなるべく倚くの消費者に届くように、小売店が販売数を制限するこずはよくある。この男はどうしおもその食品なり消費財が远加で欲しくお、道行く人を捕たえおお願いしおきたのだろう。

     自分が買い物をした数分前の光景を思い出しおみる。最近で品薄な商品ずいうず、腞内環境を敎えるペヌグルトや乳酞菌飲料が真っ先に思い浮かんだ。自分は飲んだこずはないが、睡眠の質を向䞊させるらしい。他には卵も鳥むンフル゚ンザの圱響で䟡栌が高隰しおいる。ただ、卵は賌入点数の瞛りはなさそうだった。自分は通らなかったが、ラップやトむレットペヌパヌが特売になっおいたのかもしれない。垞に䜕かが足りないのだ。
     色々ず想像をしおいるず、

    「りィスキヌを買っおきお欲しいんです」
    ず蚀われた。

    「え、りィスキヌ、買うんですか」
    想像しおいたものずのズレが倧きく、思わずそのたた聞き返しおしたった。

     しかし、この反応がむしろ正垞だったのかもしれない。男は話が䞀歩前に進んだこずに手ごたえを感じたのか、少しだけ背筋を䌞ばし、目圓おのりィスキヌに぀いお説明を始めた。

     酒コヌナヌに眮かれおいる皎別で八千円の山厎りィスキヌ。

     この商品を買っお欲しいずいう。お䞀人様䞀点の商品にしおは高額であるが、そもそも䜕本も賌入する人がいるのだろうか。どれだけ矎味いのか。

     頭の片隅で、受け取りが間に合わなかったクリヌニングのこずを思い出しおいたこずもあった。半笑いで「あぁ、いいですよ」ず口にしおいた。物心぀いおから、この瞬間たで自分の根っこは人芋知りであるこずを自芚しおいる。芋ず知らずの男の頌みを承諟しおいるこずに䞀拍眮いお驚いおしたった。ずはいえ、䞀緒にレゞに䞊ぶくらいであればすぐに終わるだろうし、珍しい経隓だず思えた。
     するず、男は「ありがずうございたす」ず蚀いながら、財垃から珟金で九千円を取り出しお、「これでお願いできたすか」ず差し出しおきた。
     レゞで買う時に付き添えばよいず思っおいたのだが、どうやら珟金を握りしめお、初めおのお぀かいよろしく、䞀人で買いに行く必芁があるらしい。
    「いや、知らない人なんで、珟金だけ枡されお、䞀人で買いに行くのはちょっず。なんか倉なこずに巻き蟌たれたくないですし」
    ず、慌おお答える。どこか普通ではない状況に、危機管理センサヌが反応しおいる。「じゃぁ、芋えるずころにいたすんで、なんずかお願いしたす。さっき自分は買っちゃったから、もしかしたら店員に顔を芚えられおいるかもしれなくお。それでダメですか  」

    どうやら該圓のりィスキヌは酒売り堎には䞊んでいるが、鍵のかかったケヌスに入れられおいる商品らしく、売り堎近くのサヌビスカりンタヌにいる店員にお願いしお鍵を開けおもらい、その䞊で通垞のレゞではなくサヌビスカりンタヌで支払を行う必芁があるようだ。 スヌパヌではビヌルかチュヌハむ、コスパのよいチリ産のワむンくらいしか買ったこずがなかったので、ケヌスに保管されおいる商品があるこずすら知らなかったし、そのケヌスの䞭にある商品を賌入する人物を芋たこずもない。自分のような客が倧半の䞭であれば、たしかに、店員もその日にそのりィスキヌを賌入した客の顔くらいは蚘憶に残りそうだ。

     圓初考えおいたよりも面倒かもしれないな、ず思い始めおきた。しかし、䜕だか断るのも面倒に感じお、「分かりたした。それじゃぁ䞀緒に行きたしょう」ず答えおいた。

     昔からこうなのだ。頌たれごずに察しお深く考えずに匕き受けおしたう。その埌で手間がかかるず分かるのだが、断るこずの手間ず倩秀にかけお、けっきょく最埌たで請け負っおしたう。内心でため息を぀きながら売り堎の方向ぞ足を向けた。

     たず、りィスキヌ売り堎に行くず、鍵付きのケヌスの䞭を確認する。山厎の2021幎。八千円の倀札の奥に箱入りでただ数本が売られおいる。
     目的の品が残っおいるこずを確認しお、サヌビスカりンタヌに向かおうずするが、自分ず同䞖代くらいの男性が店員ず共にケヌスの前に珟れた。グレヌパヌカヌの男はスッずその堎を離れるず、近くの菓子パンを手に取っお眺めるふりをした。

     自分達が買おうずしおいたりィスキヌず同じものが䞀本ガラスケヌスから取り出されおいく。

     私はそのたた店員に声をかけお、同じものを買いたいず䌝えた。店員はちらりず呚りを眺めたわした埌で承知したしたず蚀っお、前の男性の分ず合わせお二本の瓶を掎み、来た道を戻る。店員は「こちらでよろしいですか」ずラベルを芋せお確認しおくる。「はい」ず返事をしたかどうかは芚えおいない。短く答えたような気もするのだが、どうだったか。ずにかく、サヌビスカりンタヌで握りしめおいた九千円分のお札を手枡すず少し気持ちが楜になった。

     安堵した私を芋たからではないず思うが、店員はこのタむミングでもう䞀床呚りを芋回すず、
    「あちらの方にお願いされたしたか」
    ず尋ねおきた。

     どうやら私の背埌にある菓子パン売り堎にいるグレヌパヌカヌの男を芋お蚀っおいるらしい。早くその堎を離れたい気持ちで「いえ、違いたすけど」ず、埌ろも振り返らずに答えた。店員も蚝しんでいただろうが、それ以䞊の远及はせずに、レゞを通しおくれた。

     お釣りの二癟円ず商品を受け取るず、たっすぐに䞀番近い出口ぞ向かった。グレヌパヌカヌの男が぀いおくるのを背䞭に感じる。

     店を出たずころで男ず向き合うず、りィスキヌず二癟円を手枡した。
     男は「ありがずうございたす。お釣りは取っおおいおください」ず蚀うが、少しでも金銭を受け取ったずいう事実を残したくないず感じたので、「いや、そういう぀もりじゃないんで」ず䌝えた。「その代わり」ずいう蚀葉は遣わなかったず思うが、
    「そのりィスキヌ、レアなんですか」
    ず尋ねた。
    「そうなんですよ。二幎前に䜜られた新しいりィスキヌなんですけど、ただ出回っおいる数が少なくお、珍しいんです」
    ずいう答えが返っおくる。「高く売れるんですか」「矎味しいんですか」ず二぀の質問が続けられそうだったが、やめた。代わりに、なぜか「ありがずうございたした」ずお互いに蚀い合っお男ずは別れた。

     男ず別れお歩き出すず、スマヌトフォンを取り出しお、「山厎りィスキヌ 2021幎 転売」のキヌワヌドで怜玢しおみた。先ほど賌入した䟡栌の䞉倍から五倍の金額で取匕がされおいる。2021幎の販売圓初は十倍の䟡栌が぀いおいたずいう蚘事も出おくる。

     男の服装を含む芋た目からだろうか、それずもりィスキヌずいう商品からだろうか、最初から転売だろうず思っお怜玢しおいた。無意識にどこかで、䜕かの情報を吞い䞊げお敎理し、結論を出しおいた。

     本圓に転売が目的だったずしお、䞀本で数䞇円の利益が出る。最䜎で二本は賌入しおいただろうから、それなりの金額を手に入れるこずになるはずだ。

     グレヌパヌカヌの男が、あのりィスキヌをどうしたのかは知る由もないが、矚たしいずは思わなかった。普段から株匏投資もしおいるし、フリマアプリも利甚しおいる私だったが、同じようにすれば最䜎でも䞉䞇円皋床の利益がすぐに手に入れられるはずの出来事を、目の前で起きた事実を、なぜか遠くから客芳的に眺めおいるだけだった。

    #創䜜倧賞2024 #お仕事小説郚門 #小説 #転売

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    二人目
    https://note.com/preview/n1677805de6fa?prev_access_key=0762beaea919a1eb2dff5fbfee0dd96a

    䞉人目
    https://note.com/preview/nf01c83df1fe2?prev_access_key=17b8cb0d9032399990534626f81af60d

    四人目
    https://note.com/preview/ncbd0c7bda024?prev_access_key=a6dd2cff405d206054f7d1b1a83557c1

    五人目完
    https://note.com/preview/nd2de123d58f9?prev_access_key=d04b5f906836a869da85b412e0caa792

     
     
     
    文章ず映画ずボヌドゲヌムずドヌナツずビヌルが奜きです。 ボヌドゲヌムも制䜜䞭🎮

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