毎週ショートショートnote|マッチョ華道「この腕に、一輪」
みなさん、おはようございます。
noteが大好きな、雪綴ゆきです。
いつも、わたしのnoteを読んでくださり
本当にありがとうございます。

こちらの企画に参加させていただきました
毎週ショートショートnoteから
今週のお題は…「マッチョ華道」
この腕に、一輪
失恋した翌日、華道教室の扉を開いた。
何かひとつ、きれいなものに触れたかった。
「まずは胸を開いて」
先生に促され、ベンチプレスに寝かされた。
「あの、お花は」
「うちはマッチョ華道です」
三か月、持ち上げたのは鉄ばかりだった。
彼のSNSを見る夜が減った。
ごはんがおいしくなった。
鏡の中の自分に、おはようと言える日も増えた。
街の文化祭で、初めて花を渡された。
一輪のコスモス。
「今日の花器は、あなたです」
肘を張り、腕で輪をつくる。
その真ん中に、そっと抱く。
鉄は、こんなに軽くなかった。
展示の前を、元彼が恋人と通りかかった。
肩が、すこし内に入った。
けれど、腕の中の花は揺れなかった。
「変わったね」
彼が足を止めた。
うん。
朝がくると、おなかがすく。
声にはせず、少しだけ笑った。
まずは、胸を開く。
この花が、よく見えるように。
「きれい」
彼の隣の人が、花を見て言った。
「でしょう」
その言葉が、するりと出た。
先生が後ろで、小さく胸筋を弾ませた。

雪綴ゆき
雪綴ゆきの物語を、映像で
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