
【詩】オレンジへ還る
(⚠︎詩のようなもの。長文)
🍊オレンジへ還る🍊
神が命をくれた
母が身体を
父が名を 与えてくれた
祝福の中
泣いて別れた同志たちを
忘れてしまった
終えたらまた会えると
心は言った
だけど目的を忘れてはいけないよ
魂が言った
わかったと
僕は応えた
深く沈んでいった先に
光を見つけた
数多に輝くそれらの中から
一等目映いのを選んで
落ちていった
この先に
僕の道がはじまるんだ
笑顔のアーチが
肯定してくれる声たちが
僕が特別なんだって 教えてくれた
でも
しばらくすると
競争しなくてはならなくなった
夢が現実に砕かれることもある
勝ち続けることは
ときに僕を圧迫した
やがて敗北も味わい
涙の味を知る
優しく頬を撫でていく風に
癒しを求めたけど
その風が戻って来ないことも知る
そんなときは
焦る気持ちを抑えて
「僕は僕」と言ってみる
追い越されても
立ち止まってみる
気が向けば
歩きだして
少し歩調を速めてみるのもいい
思いきり寝転がって
道草食って
休んでみるのもあり
どれが効いたのか
少し足が軽くなっていた
走れば走るほど軽く
僕はいつの間にか跳んでいた
遠くに見える あれは
誰だろう
その背に叫ぶ
その人は 振り向いて手を振った
その顔が笑顔だったので
僕は嬉しくなって飛んでいった
彼と僕は似ていた
彼は僕の名を呼び
僕は彼の名を呼んだ
並んで歩けば
歩調もぴったり
僕らの旅がはじまる
僕は彼を信頼していたし
彼もまた僕を信じてくれた
ひとりじゃないことで
世界が変わって見えた
彼もそう思ってくれていたら
いいのだけれど
となりを向けば
新しい火を起こす横顔
夜が来ても
もう怖くなかった
目を細める朝が来て
太陽が照らす掌
オレンジ色が駆け巡る
晴れた日は
傘を投げ出して 泉まで走った
僕が鼻歌を歌えば
彼はそれに適当な詩をつけた
楽しかった
僕たちは食べ物を奪い合ったり
不安を互いのせいにすることもなく
危険には共に立ち向かったし
互いの荷物を持ち合って進んだ
あの分かれ道までは
仲の良かった僕たちだけど
分かれ道のたびに 意見の相違はあった
僕は右へ
彼は左へ
行くべきだと言った
木々が鬱蒼としている道より
開けた道のほうが歩きやすい
そう僕が言うと
雨雲が覆う空を見上げた彼が
雨宿りできる場所が必要になってくると言う
それもそうかと
僕は納得して 彼に従うこともあるし
でもやはり森は危険ではないかと言って
彼が頷くこともある
譲った先が崖であっても
岩山に塞がれていても
もちろん相手を責めたりしなかった
また引き返せばいい
ふたりの旅が少しでも長く続くことに
安堵さえしたのだから
季節が一周したころ
また 分かれ道が来た
大きな大きな分かれ道だった
覚悟が必要だった
僕は彼の行きたい道がわかったし
彼もまた理解していただろう
彼の顔を見ると
僕とは違う色の瞳が濡れていた
彼が僕の頬にそっと指を伸ばす
あわてて笑って見せたけど
うまくいったかどうか
彼の光る手をかたく握った
次会うとき
今の自分より前進していること
そう約束をして
彼は山を登って行った
その背を見送って
僕は僕の夢のため
海に出ようと思う
ひとりの夜
今日も 眠れない
燃える炎が 心もとなくて
沈んだばかりの太陽が待ち遠しい
下手くそな鼻歌を補ってくれる歌声もなく
触れていくだけの風にさえ
すべて攫われそうになる
心だけは攫われないよう
友の詩を思い出す
この勇気が 希望に変わるように
この一歩が 道標と成るように
生まれた理由は ただひとつ
見つけにきて
わかるように光るから
探しにきて
わかるように照らすから
夢をみる
この詩が叶うことを
頼りなく瞬く星に 自分が重なる
友との別れが間もないのに
こんな弱気ではいけないのに
月明かりが 影を引く
静かで真っ直ぐで
先が見えない
まるで僕の未来のよう
友の詩を抱いて 目を閉じる
闇がこんなに暗いとは
弱虫な僕だけれど
朝が来れば勝算はみえた
雲を蹴散らした太陽は無敵だ
風向きが変われば
夢の片鱗を掴める
少しでも歩みを止めなくて良かった
本当に少しずつだけれど
景色ぐ変わってきたのだ
潮の匂いに 僕の心は躍った
海が近いのかもしれない
まだ見ぬ景色に 思いを馳せれば
日没後の不安が癒えた
道行く人々は僕と同様
一握りの愛を持って
孤独と戦っていた
僕にはなんの武器もなかったから
親切そうな人に教えを乞うた
賢い彼らはたくさんのことを教えてくれた
けれど
どれも僕が欲しいものではなかった
ある日
胸に亀裂が走った
驚いた僕は壊れる寸でで逃げた
割れたまま抱えて
取りこぼした破片をそのままに
逃げた
こんな感情は知らない
一体何が起こったのか
わからない
わからない
何があった
わからない
戻らない
直らない
ようやく
時が教えてくれた
お前は陥れられたのだと
乱れた脈は 畏怖を
荒い呼吸は 激情を
熱を失った心臓は 嫌悪を
凍りきった腹底から
次に湧き上がったのは
青白い炎だった
それが憎悪であることも
時は教えてくれた
冷たい炎に焼かれる前に
辛うじて割れずに済んだ胸を 撫でおろした
月が太陽を追うほど
僕は強く
孤独になった
心を強くするためには
心を固く重くする必要があった
もう二度と裏切られないよう
騙されないよう
もう二度と流されないよう
動じないように
あの日から青白い火が燻っている
僕の気持ちに反して
鋭い眼光で辺りをずっと窺っているのだ
誰が敵か
敵は誰かと
雨季が続く
僕の心を侵食して腐らせる長雨が
僕も友と一緒に
山を目指していれば良かったのだろうか
疲れた
どうして海を目指していたのか
なぜ海が良かったのか
思い出せない
無いものを数え
足りないものは諦めた
それが大人だよ
そうなんだろうか
友の顔が
記憶が淡くなっていく
遠い空に手をかざしてみる
一切の光を遮る雲は
厚く
重く
とうとう泣き出して
僕の心を裏切るだけ
こんなもの
この手で支えられるものか
僕の掌にはもうオレンジは巡っていなかった
ただその手形が
顔に影を落としただけだった
遠くの友を想う
雨も風も強くなってきたよ。
山頂は近いかい。
空気は薄くないかい。
君の夢は叶ったの。
そう投げかけてあの歌を思い出す
けれど…
ごめん。
僕、全然光らせてないや。
約束したのに。
再会のときは自慢話をしようじゃないかと
こんな僕じゃ きっと彼は怒るだろうな
もしこの嵐に勝てたら 僕は変われるだろうか
いや、変わらなくてはいけない
嫌いなままの自分で終われない
留まったままの僕じゃ 友に恥ずかしい
弱音は吐き尽くした
あとは進むだけ
僕は容赦ない雨風に挑む
吹き飛ばされないよう 身を低くして
ぬかるむ泥に足が埋まり転んだ
体を強く打ってしまった
でも大事無い
今度はもっと慎重に進むんだ
また足を滑らせないように
もう転ばぬように
息が苦しい
前が見えない
怖い
痛い
辛い
嵐が体温と気力を奪う
風がこんなに重いとは
雨がこんなに痛いとは
それでも進む
だって、まだ生きているから
「まったく無茶をする」
苦笑する友の声が聞こえた気がした
嵐が優しい風に変わる夢をみながら
太陽が昇っている
辺りは凪いだ湖のように静かで
でも寂しくない
ああ、ここは…
そうだ、懐かしい
僕は帰ってきた
太陽に一番近い場所
悔いは残るけれど
僕の旅は終わったらしい
「おかえりなさい」
同志たちが笑っている
ただいま。
僕はすべてを思い出す
名前も、使命も、目的も
約束も、孤独も、夢も
ここよりも色も光も薄い世界で
悲しみも痛みも深く刻まれたこと
でも光に変わる愛があって
心次第で色を放つこと
望まれた誕生に歓喜して
笑顔を花束に迎えられた恵み
自分で選んだ星の家族
おめでとうの意味
ありがとうの価値
共に歩んでくれる友の歌声
夢追う横顔
希望を内包した瞳に 勇気を得たこと
語り尽くせぬ旅のエピソードも全部。
あの夜の頼りない瞬き
オレンジを失った焦燥感までも
すべてを思い出した
汚い心模様さえ
愛しく美しく思えるなら
もうすべてを赦そう
ただいま。
もう一度言ってみる
夕陽色の雨に包まれて
心が感情を解放する
魂が静かに語る
震える
還したはずの感触を 探るように見渡せば
雲の原の先には
星のように命が煌めいている
湧き上がるオレンジが
また僕を震わせる
友をここで待つのもいいが
僕はわくわくしている
また新たな目的ができた
少し休んだら
また下りて行こう
まだ海を見ていないから
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最後まで読んでくださり
本当にありがとうございました🌸
言葉は風のようなもので
必要な人のもとへだけ届くのだと思っています。
今日
この詩があなたの心のどこかに触れたのなら
それ以上の喜びはありません☺️
あなたの日々が
少しでも優しくありますように🕊️