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䌊月䞀空の心霊奇話 ヌそのいわく付きの品、浄化したすヌ 第31話

    島厎 玗郜子

    ◆第1話はこちら

    第2章 死を蚘憶した鏡

    9 棲み぀いた生霊

     本圓にひどい有様であった。
     恭子が家に来られるのを嫌がっおいたのも玍埗だ。
     二人の様子を芋た恭子は、䞍安そうな顔をする。

    「ちょ、䜕 やっぱりこの郚屋に䜕かいるのね」
    「恭子  」
    「ねえ、はっきり蚀っお。䜕が芖えるの」
    「汚い郚屋」
     ぜ぀りず蚀う玗玀に同意しお、䞀空も頷く。

    「え」
    「䜕か倉な臭いもするんだけど」
     臭いの元は、玄関に入っおすぐのキッチンからだ。
     芋れば、シンクには汚れた食噚が積み重なり、攟眮された生ゎミが悪臭をたき散らしおいる。

    「だから蚀ったじゃん いきなり家に来られおも困るっお」
     䞀方、䞀空が厳しい顔をしたのには、郚屋の汚さの他に、もう䞀぀理由があった。
    「やはりな。ここにいたか」
     ず、䞊着のポケットから取り出した数珠を勢いよく暪に払う。

    「䜕したの」
    「恭子さんに男の霊が取り憑いおいた。先皋蚀った䞉十代、メガネをかけた小倪りの男。霊は霊でも生霊だ。䞀人暮らしの恭子さんを狙い、あた぀さえ、この郚屋に䞊がり蟌んで自分の居堎所、぀たり〝根〟を匵っおいた。そうしお、垞に恭子さんを芗いおいた」

    「たさか。だっお、さっきも蚀ったけれど、そんな人たったく心圓たりがないし」
     恭子は顔を匷ばらせ、知らないず銖を振る。
     玗玀ははっずなる。
    「そういえば恭子、圌氏ず別れたっお蚀っおたよね」
     その圌氏が、恭子にただ未緎があり、生霊ずなっお憑いおいるずか。

    「そんな幎䞊で小倪りな圌氏なんかいないわよ」
     それはおかしい、ず䞀空は腕を組む。
    「本圓にその男から䜕か貰わなかったのか。郚屋に招いたこずは 接觊はなかったか」
     䞀空の質問のすべおに、恭子はいいえ、ず銖を振る。

    「知らない人から物を貰うなんおこずもないし、もちろん、家に入れるこずも」
     䞀空はさらに難しい顔をする。
    「最初のきっかけがなければ、他人の郚屋に根を匵るこずはあり埗ないのだが」
    「分かった。前の䜏人じゃない それか䞍動産の人ずか。もしくは、このアパヌトに内芋に来た人。その人たちなら郚屋に䞊がれるわよね」

     玗玀の蚀葉に、ふうん、ずあごに片手を圓おた䞀空の目が、キッチンの脇に眮かれおいた段ボヌルの箱に止たった。
    「なるほど。これか」
    「この段ボヌルがどうかしたんですか」
     それは先日、田舎の母から送られおきた荷物であった。
     䞭にはお米や猶詰や日持ちのする食料が入っおいる。

    「それは実家からです。別に怪しいものは入っおいないず思うけれど」
    「いや、盞手は宅配業者の人だ。その男は恭子さんが䞀人暮らしをしおいるこずを知っおいる。ああ  」
     ここぞ来る途䞭に芋かけた、電柱の圱にいたあの男か。
     恭子はあっ ず声を䞊げ、自分の手の甲をさする。

    「この間、荷物を受け取った時に宅配の人に手の甲を撫でられたんです。すごく気持ち悪かった。たさか、あの宅配の人が でも、毎回同じ人が荷物を届けに来るずは限らないですよね」
    「担圓゚リアが決たっおいるだろう」
     それに、家にいる時間垯もい぀も決たっおいるから、同じ宅配人がやっお来る可胜性は高い。

    「そい぀を家に入れたか」
     恭子はううん、ず吊定する。
    「入れるわけないです」
    「玄関にも」
     最初は宅配の荷物を介しお、この郚屋にいる恭子を芋おいるだけであった。だが、それだけでは満足できず、そい぀はもっず恭子に近づきたいず思った。
     そのためには、この郚屋に䞀歩でも足を螏み入れるこず。
     自分の足跡を䞀぀でも残せれば、この郚屋に生霊を飛ばせる。

    「玄関 いいえ  あ」
     思い圓たるこずがあったのか、恭子は手を叩いた。
    「い぀もは玄関先でのやりずりだけど、䞀床だけ、荷物が重いからっお芪切に䞭に眮いおくれたんです。その時は姿芋でした。たさか  そんな」

     今もこの郚屋にその男の生霊がいるのかず思った恭子は、身を震わせた。
    「気持ち悪い。そういえば眠っおいる時、嫌らしい手぀きで足を撫でられた感觊が。それから、耳に生枩かい息をかけられたり  その男の生霊だったなんお」
    「安心しろ。二床ずこの郚屋に近づくなず脅しお片付けた。今埌、恭子さんに意識を向けるこずは蚱さないず念を抌しお」
    「片付けた」
    「い぀の間にですか」
     玗玀ず恭子が同時に蚀う。

    「ああ、そい぀が飛ばしおきた生霊は、この郚屋から即刻出お行っおもらった」
     郚屋に入っおすぐ数珠を暪に切った䞀空の行動が、たさにそれであった。
     䞀空は床を埋め尜くす数々の障害物を噚甚にすり抜け窓際に寄るず、䞀気にカヌテンを開けた。

     電柱の圱に立っおいた男が、背を向け立ち去っおいく姿が芋えた。
     恭子自身に興味を抱いおいたのか、若い女性の䞀人暮らしだからか、男はこの郚屋に生霊を飛ばし、恭子を眺めおいた。
     だが、もう圌女に邪な感情を抱くこずはないだろう。

     さらに、䞀空は郚屋を芋枡す。
     济宀もトむレも、このベッドにも、ただ、男の生霊の残滓のような気配があちこちに感じられた。
     だがじきに、その気配もなくなる。
     感芚が鈍い人なら、男の気配を察知するこずはできない。
     恭子はほっず息をもらす。

    「ありがずうございたす あの  䌊月さんのこずを疑っおごめんなさい。本物の霊胜者さんだったんですね」
     玠盎に頭を䞋げお謝眪する恭子を、䞀空は冷えた目で芋䞋ろした。

    ヌ 第32話に続く ヌ 

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    ◆『霊胜垫・皜ヶ院冬匥 憑かれた屋敷の秘密』(宝島瀟文庫) ◆よろしくお願いしたす😊

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