歌集:ゆめみてた大人になれないままでいい夢よりきれいな現実もあるから
第一章 邪
使い捨て傘を開いて街頭で環境語るばかな政治家
日本の未来はWOWWOWだったのに今は世界を羨むばかり
現代は生きやすすぎて生き地獄淘汰してくれこんな僕など
コロナ前作った幸せだけもって始まる労働終身刑が
不景気でさとりもするさZ世代冷めた夜明けは暗さを残す
疫病と氷河に呑まれ恐竜も絶滅するよな今の若者
死んだあとどうなるかなど知るわけはないのに坊主に祈るわけとは
公園の子供の声を騒音といわぬがほんとは思ってしまう
よく知らぬカタカナ並ぶスライドに神妙顔して頷くだけの日
こんにゃくを生み出した人絶対に話はあわない確信がある
第二章:停滞
雪のあとコーヒー牛乳色の道すべての予定キャンセルしたい
片頭痛冬型気圧まじで無理西高東低最低最悪
なんだかさコンビニおでんのセールってほとんど毎日やってる気がする
中身のない話を続けて寝る前に反省会を開く毎日
肉厚のカーテン閉めて真っ暗の部屋で自分を探して眠る
早生まれ常に半年年下で免許もお酒も君より後で
傘立てに残された傘色褪せて帰る場所なら既に忘れた
迷いながら降る雪たちに選ばれて凍える地蔵に着せられた服
人よりも虫が多いこの街で君はあまりに美しすぎて
人生はピークを過ぎてなお続く僅か50年ぐらいで良いのに
第三章:虚勢
かっこつけブラックコーヒー飲んでいた街角茶店去年潰れた
ドバドバと砂糖溶かして飲み干したエスプレッソは苦い思い出
湖のほとりでおきた殺人を解決したい4限の僕
昨日から読み始めたよサリンジャーひととき君を忘れるために
たくさんの言葉を並べて伝えても伝わったのは言葉だけ
自分だけ取り残された囚われたあの日の放課後まだ輝いて
この狭い田んぼだらけの町だけが世界のすべてだった十七
自転車のペダル回してどこまでもいける気がして夕陽に走る
夢を見てばかりいられるわけでなく夢を叶える力も持たず
うえばかりみては疲れてしまうから水たまりにも青空がある