
自販機のアタリと1000円札
自動販売機でアタリ、出たことある?
最近ではアタリ機能が付いている自販機を見ること自体が少なくなったが、私が子どもの頃はたくさんの自販機に付いていたと記憶している。

少し調べてみたところ、自販機のアタリの確率は2%以下らしい。
100本買って2本当たるかどうか。
ガリガリ君やチョコボールの銀のくちばしと同程度だろうか。
そんな幸運な自販機のアタリが出まくった話をしようと思う。
ナタデココが流行した頃、ナタデココドリンクと共に自販機に並んでいた「島と大地の実り」という、到底ジュースらしからぬネーミングとデザインの缶ジュースが一段と目を引いていた。
当時「コスパが悪い」という理由で自販機でジュースを買ってもらえることがほとんどなかった。
ジュースを買う時はスーパーの1.5リットルのペットボトルと決まっていたのだが、この「島と大地の実り」は缶ジュースでしか売っていない。
姉と一緒に母に頼み込み、
どうしても「島と大地の実り」が飲みたいのだ!
姉妹で分けるのでどうか1本買って欲しい!
と熱烈に頼み込んだ。
なんとか母に熱意が伝わり「特別よ」と1,000円札をもらい、嬉々として姉と「島と大地の実り」が入っている自販機まで駆けて行った。
期待に胸を膨らませながら汗で湿った1,000円札を自販機に滑り込ませ、目当てのボタンを2人で押した。
ガコーンという音と共にジュースが落ち、取り出し口に手を伸ばした瞬間、目のふちにチカチカと光が見えた。
まだ購入ボタンが光っているではないか!!
アタリだ!!
初めてのことに軽くパニックを起こし、
「お姉ちゃん!!ボタン光ってる!!アタリだよ!!」
と興奮して叫ぶと、姉もパニックになり
「早く!!押さないと!!アタリ消えちゃう!!」と
手あたり次第、ボタンを押した。
すると、まだボタンは光ったままではないか!!
姉と二人で興奮がピークに達し、また手あたり次第にボタンを押した。
光ったボタンはアタリではなく、1,000円の残金だったことに気付いたのは
4本の缶が取り出し口に溜まった時だった。
そしてあろうことか、パニックになって押したボタンは、すべて苦くて飲めないブラックコーヒーのものだった。
念願の「島と大地の実り」1本と飲めない缶コーヒーを3本抱いて、行きのテンションでは考えられない足取りで帰宅した。
ちびまる子ちゃんなら顔に縦線が何本も入っているレベルだ。
缶コーヒー3本をおまけに抱いて帰ってきた姿に母は涙が出るほど笑って「コーヒーはお母さんが飲むよ」と言い、私たちに氷入りのグラスを出してくれた。
分け合った1本のジュースは最高に美味しかった。
でも、間違えて押したボタンが全部「島と大地の実り」なら1人1本飲めたのにな、と思っていたことは言うまでもない。