
写真短歌集 『音に情景、言葉に彩色』
「文を読む、写真を眺むその間、
あなたはずっと私を見てる」
六月のなんてことない海さえも、
綺麗と思う私が綺麗

それでも海は美しいと思った。そう思える私が美しかった。
風吹けば 海に流れる踏切と
波に飲まれる私は車窓

揺れているのは水面か車窓か。
ヒビ一つ入らぬここを"世界"と呼ぶ
最後に踊る泡とビードロ

ここにあることが使命。ここにあるから愛される。
春散りぬ 咲きし涙の零るれば
足もとらるる花筏かな

花弁が落ちれば、たちまち筏と化す。
流れるは、かつての色を纏う君
血肉となった昔日を背に

水抜き穴から流れた花は、その面影を背負う。
麗しく光る華には影を刺す、
誉とやらの拍手と怒号

光が差せば影が刺さる。見るべき実体はどちらだろうか。
「この呼吸、なかったことにならないか。
あわよくばだが、次の呼吸も」