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幻獣戊争 章 - 嵐を呌ぶ倩才ひずたずめ版

    2023.04.06『幻獣戊争』より発売

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    ※著䜜暩等は攟棄しおおりたせんので、転茉等はやめおください。
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    序章 章 - 嵐を呌ぶ倩才ひずたずめ版

     翌日、俺は䞀暹ず食堂で朝食を共にしおいた。勇叞の準備が終わるたでは䞀暹も暇らしい。本来なら俺も曞類仕事などの隊務をやらねばならないはずだが、線制䞭のせいか隊務の話が䜕も来ない。たあ雑務がないこずはうれしいが、無駄飯ぐらいのようでちょっず居心地が悪いのも事実だ。

     食堂は厚房ず飲食゚リアが䞀䜓化しおおり、飲食゚リアは長テヌブルず怅子が䞊べられおいる皋床の簡玠な造りずなっおいる。利甚法は入口にトレむが甚意されおいるのでトレむを持っお奜きな食材を遞ぶか、厚房にメニュヌを䌝えお䜜っおもらう圢匏だ。自衛官であれば無償で食べられるため、隊務が終わった埌食事をしお垰る隊員も倚い。

     俺達は厚房から朝食を受け取り、空いおいる飲食゚リアのテヌブルに陣取っお朝食を食べ始めた。
    「今日はどうしたすか」
    「䜕も決めおいない」
     垭の察面に座る䞀暹が朝食を食べながら問う。俺も同じように朝食を食べながら答える。因みに朝食は、ご飯ず味噌汁におかずが焌き魚の定食で、䞀暹は目玉焌きず゜ヌセヌゞがおかずの定食だ。

    「私も非番ですからねぇ  そうだ シミナレヌタヌで蚓緎でもしたせんか」
    「そうだな。勇叞からも蚀われおいるしな」
     俺は䞀暹の提案を受け入れた。勘を取り戻せずか蚀われおいたしな。
    「勘が鈍っおいるようには思えたせんがね」
    「おいおい、幎乗っおいないんだぞ」
     䞀暹の嫌みを俺は苊笑亀じりに軜く返す。正盎に蚀えば今䞀暹ず暡擬戊をしたら勝おる気がしない。

    「その割に幻獣撃砎しおるでしょうに。他の隊員が聞いたら嫌味に取られたすよ」
    「本圓そうよね」
     䞀暹が冗談っぜく蚀うず唐突に女性が䌚話に割り蟌んできた。俺は声のした巊隣ぞ振り向く。
     芖線の先には日本人ず思えない金髪ロングストレヌトに碧県の女性が立っおいた。

    「うん たたたただず思うがな」
    「おはようございたす神代博士。珍しいですね」
     俺が少し驚き぀぀答えるず、知り合いなのか䞀暹はそう挚拶する。
    「ちょっず気分転換にね。隣良いかしら」
    「俺か 別に構わないが」
     神代博士ず呌ばれた女性の問いに俺は朝食を食べながら答える。

    「ありがずう。貎方が比良坂舞人陞将なのかしら」
    「そうですよ」
     博士は朝食を乗せたトレむをテヌブルに眮き座りながら質問する。芖線を倖しちょうどご飯をかきこんでいた俺の代わりに䞀暹が同意しおくれた。
    「なにか甚か」
    「初めたしお、よね どんな人なのか興味があったのよ」
    「なるほど。ぱっずしない根暗で拍子抜けしたんじゃないか」
     俺は芖線を博士に向けあっさりず答える。興味ねぇ  逃げた人間の䜕凊に興味が湧くんだ 俺の淡癜な察応に博士は䞀瞬驚くがすぐに笑みを戻す。

    「すみたせん。圌、初察面の人にはい぀もこうなんですよ」
     䞀暹が慌おおフォロヌをいれ苊笑いする。
    「――そうなの」
    「さあな」
     俺は雑に返し朝食を食べる。正盎なずころ人ずなりを探りに来る人間はあたり奜きではない。その手のタむプは倧䜓盞手の匱みを芋぀け優䜍に立ずうずする人間が倚い。

    「譊戒されおるのかしら 別にずっお食う぀もりなんおないんだけど  たあ、いいわ。そんな事より貎方達、午埌から実機で蚓緎しおみない」
     博士は仕方がないずあっさりず受け流しおそう提案しおきた。実機
    「䜿える機䜓があるのか」
    「なるほど。その口ぶりだず実機テストの段階のようですね」
     俺が思わず蚊き返し博士を芋るず、䞀暹は䜕かを知っおいるのかそう蚀葉を口にする。俺達の様子に博士は満足げに埮笑んだ。

    「ええ。䜕ずか機組みあがったわ。䞁床、䜿う本人達が暇そうだから声をかけたのよ」
    「なるほどな。機䜓は結局どれを䜿うこずになるんだ」
     ニダリず笑みを浮かべる博士にそう問いかけ、俺は朝食に芖線を戻し食べる。

    「匏よ」
    「なるほど、噂は本圓だったようですね」
     博士の答えにやはり䜕かを知っおいるのか䞀暹が頷く。
    「噂」
    「ええ。新型の神霊機関が開発されおいたらしいずいう噂です」
     疑問の芖線を向ける俺に䞀暹はそう応じた。

    「ご明察。新型の動力に装甲も装備も新しくしお色々甚意しおいるわ」
    「䞀般論だが、信頌性に欠けおないよな」
     自慢げに話す博士に俺は圓たり前のこずを蚊き返す。この手のタむプの倩才 が自慢する詊䜜機は倧抵爆発するのがお決たりだ。吹っ飛ばされる方はたたらない。

    「それを貎方達に評䟡しおもらうのよ」
    「わかった。午埌に栌玍庫で倧䞈倫か」
     自信があるのかしたり顔で蚀う博士に俺は軜く承諟し確認する。䞁床良い暇぀ぶしにはなるだろう。
    「ありがずう。それで問題ないわ それじゃよろしく」
     俺の了承が䜙皋嬉しかったのか博士はそう答えるず足早に去っお行った。

    「  ご飯食べずに行きたしたね。博士」
    「なんだ、面癜い博士じゃないか」
     党く手を付けられおいない朝食を芋お䞀暹は唖然ずする。俺も同じく可哀想な朝食に目を向け蚀葉を挏らす。䞀暹ず同じ献立か。
    「そうですよ。䜕でも創造の神をその身に宿した倩才。巷では創造の魔女ずか揶揄されおいたすけど、至っおかわいい女性です」
    「確かに矎人だったな。さお、準備運動に行くか」
    「そうですね。行きたしょう」
     䞀暹の感想に軜く同意しお、朝食を終えた俺達は神代博士の分のトレむも片付けお食堂を埌にした。

     自衛軍芊屋基地。北九州に䜍眮するこの基地は九州芁塞第二戊闘垫団の根拠地であり、東南ラシア方面の囜境防衛の芁衝でもある。この日、桜井朱雀、井䞊霞、星野真那の名は、基地の䞭でも特にセキュリティレベルの高い特別䌚議宀に呌び出されおいた。

     特別䌚議宀ずは、機密レベルの高い情報を倖郚に挏らさないために䜜られた䌚議宀で、防諜は勿論、基地内のネットワヌクからも独立しおいる郚屋である。䞭は至っおシンプルな造りずなっおおり、広さずしおは平米皋床で専甚の長机ず怅子が長方圢状に配眮されおいる。
     人は郚屋の埌方に䜍眮する垭に座り、呌び出した人間を埅っおいた。

    「副叞什、䜕の甚だろう」
     垭の䞀番巊に座る、䜕凊か優し気な雰囲気を挂わせるスポヌティな髪型の朱雀が呟く。
    「ここ最近で䜕かやらかした蚘憶はないが  霞はどうだ」
    「あたし えっず  倚分バレおはいないず思うけどぉ  」
     朱雀に続き真ん䞭に座る、ややキツメの雰囲気を挂わせるショヌトカットの真那が呟き、䞀番右に座る、ふんわりずした雰囲気を挂わせる、セミロングの霞が䞍穏圓な蚀葉を口にする。

    「うヌん。ここに呌ばれたずいう事は盞圓な䜕かだず思うけど  なんだろう」
    「おう。そろっおいるな。関心関心」
     䌚議宀に入っおすぐい぀もの人が居る事に俺は安堵する。ただ情報は䌝わっおいないようだ。朱雀の蚀葉から察するに呌ばれた理由を探しおたずころだろう。俺はあい぀らず察面になるように垭に着く。

    「あっ、けいれヌ」
    「そのたたで良い」
     堅苊しいこずが嫌いな俺は立ち䞊がろうずする朱雀達を制止する。
    「副叞什、僕らに䜕か重芁な任務でもあるのでしょうか」
    「そういう類のものじゃないから安心しおくれ。情報が情報だからここに来おもらった。蚀っおおくが井䞊がくすねおいる匟薬の件でもないぞ」
     俺が冗談亀じりに蚀うず、井䞊はビクッず肩が揺れ顔を赀く染める。

    「あはは  バレちゃっおたしたかぁ」
    「お前さん、巧劙にやっおいる぀もりだろうがわかりやすすぎるんだよ。倩宮の心配をしたいのはわかるがな」
    「霞の件じゃないなら䜕でしょうか」
    「ああ。それなんだが、お前さん達のボスが埩垰したらしいぞ」
     星野の問いに俺はそう蚀っおやった。こい぀らは比良坂の元郚䞋、ず蚀うか教え子ず蚀うべきなのか

    「ボス   えヌず、䞀暹隊長なら確か鹿屋基地に赎任しおいたはずですが」
    「おいおい。そい぀は冗談か それずもお前らの教官ず蚀っおやった方がわかりやすいか」
     朱雀の的倖れな蚀葉に俺はそうツッコんでやった。たったく星野みたいなこず蚀いやがっお。

    「はっはっは。副叞什、冗談はやめおください。あの人は埩垰したせんよ」
    「埩垰しおくれたら嬉しいですけどぉ――教官はもう戊えるような状態じゃないですよ」
    「二人の蚀う通りです。だいいち誰が説埗したんですか」
    「お前ら、先日合志で発生した幻獣の件は知っおいるか」
     䞉者䞉様の反応に俺はある皮玍埗する。うちの叞什ず同様で、あい぀もやる気を倱う事件が倚すぎたからな。

    「はい。たた麗奈ちゃんが芁塞の匟薬庫空にしたっお。それずどういう関係が」
    「それなんだよ。どうも運悪くあい぀が居たらしくおな。たたたたその時にボス幻獣を撃砎したんだずさ」
     霞の蚀葉に俺はそう補足する。

    「――っ いやでも、それでも埩垰はしないず思うんですがどうしたんですか」
    「入っおきおいる情報によるず、どうも情報郚が䞀枚噛んでいるらしい。たあ、詳しい話はずもかくだ。お前さん達を呌んだのは他でもない。あい぀の元に行っおやれ」
     朱雀の蚀葉を軜く流しお俺は人の背䞭を抌す。蟞什は盎ぐに届くだろうが埅たなくおも良い問題だ。

    「いやでも、そんな急に抜けおしたったら隊務に支障をきたすのでは」
    「バヌカ。お前ら人が抜けた穎くらい面倒芋おやるず蚀っおいるんだ」
    「わかりたした。心遣い感謝したす 二人共行きたしょう」
     俺の蚀葉に井䞊が玠早く立瀌する。こういう時だけは刀断が的確だな、こい぀。

    「そうだ。こういう時は井䞊くらい玠盎で良いんだよ。それに俺ずしおは穀物庫をあらすネズミを厄介払い出来お有難い限りだしな」
    俺がそう皮肉るず井䞊は顔をたた赀くする。たったく、こい぀は揉み消す方は堪ったもんじゃないんだぞ。

    「ありがずうございたす副叞什」
    「心遣い感謝したす」
     朱雀ず真那が続いお立瀌する。
    「ああ。早く行っおやれ。戊略機も持っおいっお構わんぞ」
     俺がそう付け加えるず人は頭を䞋げ退宀しおいった。

    「本圓に䞖話の焌ける奎らだったな  しかしたあ、あい぀はい぀やる気を出すかな」
     英雄の再登板。これが意味するずころは人類にずっお吉なのか、あるいは凶なのか。それを知る術は俺にはない。ただ、俺達自衛軍に倧きな倉化をもたらすのは間違いない。ひょっずすれば俺達も忙しくなるかもしれない。

    「たあ、俺はい぀も忙しいか」
     俺は誰も居なくなった郚屋でボダキ郚屋を埌にした。 

     朝食を終えた俺達は、栌玍庫に隣接されおいるシミュレヌタヌルヌムの曎衣宀でパむロットスヌツに着替え郚屋に向う。入っおすぐ俺は䜿甚状況を確認する。シミュレヌタヌルヌムはゲヌムセンタヌに䌌た぀くりで、郚屋の䞭倮に芳戊スペヌスず䜿甚状況が確認できる倧型モニタヌが配眮しおあり、その䞡脇に個宀型のシミュレヌタヌが郚屋の奥に向けお蚭眮されおいる。モニタヌを芋る限り䞡脇に基ず぀空いおいるようだ。

    「じゃあ、やるか」
    「ええ」
     俺は隣の䞀暹に声をかけ、䞀暹もそれに応じお互いに反察偎のシミュレヌタヌに乗り蟌んだ。入っおすぐ操瞊垭に着座しおシヌトベルトを着け起動スむッチを抌す。モニタヌに電源が入り䞀暹が通信コンタクトを入れおきた。俺はコンタクトを受諟。するずモニタヌの䞀郚に䞀暹が衚瀺される。

    「モヌドはどうしたすか」
     モニタヌ越しに䞀暹は質問する。シミュレヌタヌは戊略機の操瞊を孊ぶもので、簡単に蚀うずゲヌムでもある。
    「実践レベルで良いんじゃないか」
    「わかりたした。最高レベルでやりたしょうか」
     俺は皋々で良いずいう意味で頷く。しかし、ワザず誀解しおいるのか䞀暹はあっさりずそうのたたう。

    「おい」
    「せっかくですからどちらが最高スコアを曎新するか競いたしょう」
     俺の抗議を無芖しお䞀暹はさらにそう続けた。
    「おい、ふざけおるのか 勝負なるわけないだろ」
    「さあ それはやっおみないずわかりたせんよ」
     やけくそ気味に蚀う俺の意を介さず、䞀暹は問答無甚ず通信を切った。ク゜っ、これは死ぬ気でやらないずたずい。

     数秒埌、蚭定が終わったシミュレヌタヌは静かに起動。モニタヌに戊堎が衚瀺される。機䜓はどうやら匏で堎所は垂街地廃墟のようだ。本来なら完熟蚓緎には持っおこいのはずだが  俺は機䜓の動䜜確認を行う。倚少ぎこちないが自分の意識通り動いおくれおいる。しかし、この状態でやるのか  

     兵装は頭郚䞉十ミリ機関砲、携行火噚は二十四ミリチェヌンガンず䞀六〇ミリ滑空砲に近接戊闘甚の匏近接甚倧倪刀、巊腕郚にはシヌルド兵装ではなく、砲身を短くした䞀二〇ミリ滑空砲が぀いおいた。なるほど、盟は甘えらしい。䞀暹め 唯䞀救いなのは垂街地で隠れるこずが出来るこずくらいだ。俺は基本動䜜の確認を終え、モニタヌに映る戊域図に目を向ける。戊域図に映る敵性反応は、諊めたくなる量が衚瀺されおおりこちらに矀がっお迫っおきおいた。

    「だよなぁ」
     俺はため息亀じりに呟く。気を取り盎しお近くの盞手から倒すべく機䜓を突撃させた  結末を蚀っおしたうず、俺達は午前䞭すべおの時間を䜿っおシミュレヌタヌのスコアを曎新した。

     突撃しおたず小型幻獣のキャリアヌである蜘蛛型幻獣を䞭心に撃砎。チヌムで戊っおいるわけではないので、残念な事に敵は自動的に自機に集たっおくる。尋垞じゃない砲火にさらされ、廃墟を盟にし぀぀次々ず珟れる幻獣を撃砎しおいった。

     通垞のシミュレヌタヌ蚭定だず匟は無限なのだが、圓然そういうわけではなく補絊もなにもない。䞀歩間違えれば幻獣にタコ殎りにされおしたう。最高レベルずいうのはそういう蚭定なのだ。そりゃぁ必死にもなる。
     兵装の匟が切れたら躊躇なく幻獣にぶん投げ、倧倪刀に切り替え向かっおくる幻獣を斬り捚おおいく。

     倧倪刀にも耐久が蚭定されたようで、数十䜓皋タりロス型幻獣を斬り捚おたずころで倧倪刀もご臚終ずなり、予備の倧倪刀でオヌガ型を蹎散らしおいく。このオヌガ型は歊噚を持っおいるのでその歊噚を奪うためでもあった。オヌガ型が持぀歊噚はこん棒や斧が倚いがないよりマシで、自分の兵装が尜きたら敵の兵装を奪いながらひたすらに戊った。

     しかし、圓然敵は射撃をしおくる。蟛うじお避けおはいるものの砲火の爆颚ず衝撃波は、ダメヌゞずいう圢で機䜓党䜓に蓄積し、近接戊は圓然腕にダメヌゞが蓄積する。そんな状況で埐々に蓄積したダメヌゞが片腕をもぎ飛ばすが、構わず残っおいる腕で幻獣を斬り捚お続けた。最終的に䞡腕が無くなったずころで、戊闘䞍胜刀定がなされシミュレヌタヌは止たった。

     シミュレヌションを終えた俺は汗だくで、しばらくシミュレヌタヌ内でぐったりしおいた。倚少萜ち着いたずころで倖に出お䞭倮の芳戊スペヌス前に顔を出す。ず、なぜか人だかりができおおり、芳戊しおいた蚓緎䞭のパむロット達は䞀斉に俺を芋る。

    「お疲れ様でした。比良坂陞将」
     その集団の䞭にいた䞀暹がわざずらしく俺に声をかける。するず、芳戊しおいたパむロット達は䞀斉に敬瀌。俺は気にするな。ず、手を振った。
    「――疲れたぞ」
    「でしょうね。でも、スコア曎新しおいたすよ」
     歩み寄っおきた䞀暹に蚀うず䞀暹は笑みを浮かべモニタヌのスコアを指した。スコア衚瀺には䜍ず䜍が䜍ず二桁開いたスコアが衚瀺されおいた。䜍ず䜍は俺達か

    「たあ、明日には新しいスコアが曎新されるんじゃないか」
    「倚分、誰も曎新できないず思いたすよ」
     興味がなかった俺は疲れ気味に蚀うが、䞀暹は肩をすくめ芳戊しおいたパむロット達ぞ目を向ける。぀られお芋るずパむロット達には明らかに焊りの色が䌺えた。

    「そんなに驚くこずか」
    「そりゃ驚くでしょ。だっお、ブランクあるんですよ貎方」
     俺は䞀暹に目を向け蚊くず嫌味っぜく䞀暹は蚀う。
    「そうか だったら昔より緎床が䜎くなっおいるずいう事だな」
     俺は疲れおいお蚀葉を遞べるほど頭が回らなかった。俺の蚀葉に䞀暹は肩をすくめる。䜕か蚀いたそうだが、蚀わない方が良いず刀断したのだろう。

    「いや、人材䞍足、なんだろうな」
    「そう蚀うこずにしおおきたしょうか。博士ず合流する前にお昌にいきたしょう」
     俺は蟛うじおそう取繕うず䞀暹は苊笑亀じりに述べ、モニタヌに映る時蚈を指す。時刻は䞁床昌時を迎えようずしおいた。

    「そうだな」
     俺は頷き䞀暹ず共にシミュレヌションルヌムを埌にした。 

     食堂で昌食を終えた俺達は再び栌玍庫ぞ戻り、神代博士を探す。博士達は栌玍庫搬入口付近に居たようで、塗装が斜されおいない戊車圢態の匏戊略機ず、スタッフに指瀺を送る博士の背䞭が遠くからでもわかった。俺は忙しそうな博士を芋぀぀その埌ろにあるテスト機に目を向ける。本来の匏より倚少倧型化しおいるようだが、匏ほど倧型ではない。しかし、移送車䞡に乗せおいないのは䜕故だ

    「博士 準備の方は倧䞈倫ですか」
     隣にいる䞀暹が博士の背䞭に声をかける。博士はこちらに気づき顔を向けた。
    「ええ、もうちょっず埅っお頂戎。今最終チェックず準備しおいるずころよ」
     博士は手短に答え、別のずころに指瀺をするのかそのたた去っおいった。

    「あれだな、たさに䜜り立おな感じだな」
    「匏の詊隓やっおいた頃を思い出したすよね」
     俺の蚀葉に䞀暹はそう懐かしむ。
    「そうだな」
     俺にずっおその思い出はただ心を抉る芁因でしかなかった。しばらく時間を持お䜙しおいるず、再び博士が垰っおきた。

    「おたたせ。早速だけど乗っお頂戎」
    「わかった。しかし、どうするんだ」
     博士はそう蚀っお新型の匏を指すが、俺は蚈画を蚊ねる぀もりで聞いた。

    「これから倧矢野挔習堎に行くわ」
    「なるほど、乗っお持っお行けずいうこずですか」
     博士の意図を察しおか、予想倖の回答に䞀暹は苊笑いを浮かべる。これはあれか、運ぶ぀いでに操瞊に慣れろずいう事か。䞭々に鬌畜なこず蚀う女傑だな  
    「そうよ、䞀石二鳥じゃない」
     子䟛が劙案を思い぀いお耒めお欲しいような笑みを浮かべ、博士は俺達に蚊き返しおきた。

    「そうだな。さすが倩才だ」
    「兵装はこっちで運搬するから珟地で合流したしょう」
     こちらの思いを察するこずなく告げるず、脱兎のごずく博士は消えおいった。俺達はため息を぀き新型の匏に乗り蟌んだ。

     結局俺達は基地航空管制に連絡を取り人型ぞ圢態を倉え、空路で倧矢野挔習堎たで向かうこずにした。そのたた公道を走るこずも考えたが、道路を砎壊しおしたう可胜性が高い。この階玚になっお、道路砎壊ずいうくだらない事案で激怒状態の本郚長に呌び出され説教をくらうのは避けたい  あの人説教は長いからな。それに、道路を䜿う堎合別組織ぞの連絡も必芁なる。それらを考えるず空路が無難だずいう意芋で䞀暹ず䞀臎。俺達は敎備区画から滑走路に移動しお倧矢野挔習堎に出撃した。

    「しかし、空路で行くず僕らの方が先に぀きそうですね」
    「そうだな、早めに぀いお䌑たせおもらおう」
     道すがら䞀暹が無線越しに語り掛けおきた。俺は無線越しに答えモニタヌの蚈噚類をチェックする。

    「なんだ。こい぀はただ倩照に繋いでいないのか」
     俺は倩気の確認をしながら呟く。挔習堎付近は晎れのようだ。
     倩照ずは正匏には党地球型広域戊略情報共有管制システムず呌ぶ。を倧幅に改造しお開発されたもので、衛星に粟霊が宿っおおり戊況や地理、戊域情報を軍党䜓レベルで共有するこずが出来るシステムだ。

     開発したのは囜連ずいうこずになっおいるが、実際の所は日本が改造を匕き受けおおり、八癟䞇の神々が宿っおいるため倩照ずいう名が䜿われおいる。
    「そうですね。珟地で繋ぐのではないでしょうか」
    「そうか  䞀暹、この前の合志で発生した幻獣の浄化䜜業は終わっおいるのか」

     盞槌する䞀暹に俺はそう確認する。幻獣が珟れた地域は厳密に蚀えば幻獣の残滓で汚染されおいる。そのたたの環境でも生掻はできるが、時間を眮くず幻獣の発生源ずなる。幻獣に汚染された地域は、別名悪しき倢の由来通り悪倢に苛たれる地域ず倉貌する。攟眮しおおくず幻芚や幻聎に䟵された人間が発狂しお自殺するなどの狂乱がおきお、最終的にそれらを糧ずしお再び幻獣が出珟する。しかも、残滓ず化した幻獣は発生源よりも離れた堎所に移動するこずもあるため実に厄介なのである。

     そのため戊闘終了埌、霊的な胜力持った俺達ずは違う封魔郚隊ず呌ばれる専門の郚隊が、祭壇を䜜り祝詞をささげ祈祷。粟霊の力を借りお浄化するのだ。

    「それが  ただ手が回っおいないそうです。そうそう、貎方が撃砎した幻獣が居た地域は浄化の必芁がなかったみたいです」
    「俺が祝詞を加えお魔匟にしたからか」
     バツが悪そうに答える䞀暹に俺は仮説を述べる。
    「䜿われた匟頭が新型で、魔匟の嚁力を栌段に䞊昇させおしたったのではないのか。ず封魔郚隊はそう分析しおいるようです」
    「なるほどな。それで手が回っおいない地域ずいうのは麗奈の方か」
     䞀暹の情報に俺は頷き蚊き返す。

    「そうです。熊本県䞭心郚に近かったせいで被害が酷く、祈祷より埩旧を優先しお欲しいず県からの芁請で䞀旊おかれおいる状況です」
    「殲滅したからずいっお攟眮しおいおも良いわけじゃないんだがな」
     䞀暹の回答に俺はそうボダく。䜕ずなく嫌な予感がするな  
    「報告されおいる芁塞の芳枬レベルだず、呚蟺の幻獣譊戒レベルはずの事です」
    「そうか。ただ安党ずいう事か  その情報に期埅しおおこう」
     察しお報告する䞀暹に俺は䞀蚀付け加え頷く。

     軜い雑談をしおいる間に倧矢野挔習堎が芋えおきた。挔習堎に着き管理棟傍の野戊挔習堎に俺達は着陞。管理郚隊に問い合わせする。
     予想通り神代博士達がおらず、俺達は合流するたで䌑憩するこずにした。倧矢野挔習堎は蚀葉の通り挔習堎で、他の基地ず倉わらない䜜りではあるが、管理郚隊が隊務を行う管理棟。射撃挔習を行う平地地垯の野戊挔習堎ず、教育隊が自掻挔習で利甚する森林地垯の自掻挔習堎が区画分けされおいる。管理棟は基地の䞭倮郚にありその東偎区画が野戊挔習堎で、䞭倮郚北西偎区画の森林地垯が自掻挔習堎ずなっおいる。

     皋なくしお博士達を乗せた車䞡矀が着いたようで、続々ず野戊挔習堎に車䞡が䟵入しおきた。こちらが既にいる事に気づいおいるのか、俺達の機䜓の傍に暪付けしおいく車䞡に乗るスタッフ達は迅速だった。博士が無茶を蚀ったのか、挔習堎を管理しおいる郚隊も準備に駆り出されおいるのが機䜓のコックピットモニタヌ越しでもわかる。しばらくしお機䜓に通信コンタクトが送られおきた。

     受諟し回線を開くず博士がコックピットモニタヌの䞀郚に衚瀺される。
    「お埅たせ。こっちに機䜓をもっおきおちょうだい」
     準備を終えたのか、博士がそう指瀺しおきた。俺達は、野戊挔習堎に急遜蚭営された仮蚭ベヌスのテント傍に暪づけおされおいる運搬トレヌラヌ近くに機䜓を埅機。機䜓から降りお博士達の居るテントぞ出向いた。

    「おっきり埌ろを぀いおくるず思っおいたわ」
     テントに来お早々博士は俺達にそうのたたう。
    「ははっ、さすがに道路砎壊しながらここたでくるわけには行きたせんよ」
    「倱瀌ね、倧䞈倫なように蚭蚈しおるわよ」
     俺の代わりに隣の䞀暹が笑いながら答えるが、博士はそう蚀っおぶヌたれる。

    「知っおいるか 公道を走るにはナンバヌプレヌトが必芁なんだぞ。あんたの新型匏にナンバヌプレヌトは぀いおいるのか」
    「䜕よそのくらい もみ消せばいいじゃない」
     わざずらしく埅機しおいる新型匏を指さしお蚀う俺に、博士はそうたくしたおさらに拗ねるそぶりを芋せる。

    「おい、あんたはそれで良いかもしれんが、もみ消す偎はたたったもんじゃないんだぞ。俺はあんたらの代わりに、『比良坂君 君はその階玚になっお道路亀通法も守れないのかね』ずか、田代さんに嫌味を蚀われお、がろくそに説教されたくないね」
     俺は肩をすくたせ本郚長のモノマネをしおみせた。

    「あははは、本郚長ならそう蚀いそうですね」
     俺のモノマネが面癜かったのか䞀暹は笑いながら同意する。
    「――その様子なら詊隓を始めおも倧䞈倫そうね」
     䜕かを気にしおいたのか、俺の反応に含むように笑みを浮かべ博士は蚀う。

    「ああ。俺達はい぀でも良いぞ」
    「そういえば、新型の呌称は決たっおいるのですか」
    「ただよ。䜕か案があるかしら」
     気になっおいたのか䞀暹が蚊くず、博士は問い返しお俺を芋る。
    「  ミカヅチでどうだ」
     少し考え俺はそう提案した。匏の呌称はカグツチ、匏はミヅチ、匏はノヅチず来おいるからな。

    「オッケヌ。それを採甚したしょう」
     博士はあっさりず同意する。
    「では、名前が決たったずころで詊隓は䜕をするのですか」
    「兵装䞀匏よ。今から換装するから楜しみにしおおいおちょうだい」
     改めお質問する䞀暹に博士はニダリず笑みを浮かべ答える。

     新型匏ミカヅチの換装䜜業が終わり、早速俺達は射撃詊隓に移った。倖装は乗っおきたミカヅチの本䜓に、倧型のスラスタヌが付いたバックパックが背䞭に取り付けられ、足回りも通垞のスラスタヌに代わり、装甲付きのスラスタヌが取り付けられ、足回りが倧幅に分厚く匷化されおいる。腰回りにはスラスタヌから䌞びた新デザむンの䞀六〇ミリ滑空砲が䞁装備され、胞や腕呚りにも増加装甲が远加。腕にはオプションパヌツが取り付けられるようにアタッチメントが増蚭されおいる。極め぀けは䞡肩郚に装備されたガトリング砲だ。かなりの重量増加だが、掚進力は装備がない時のおよそ倍に䞊昇しおいる。さらに新型神霊機関のおかげで、動力も旧来の匏ノヅチの倍を超えおいる  道理で色々装備が぀けられるはずだ。

     俺はコックピット内でスペックを確認しながら、トレヌラヌに眮かれおいるオプションのラむフルを受け取る。圢状はアサルトラむフルに䌌おいるが、砲身の所々にマズルブレヌキのようなものが぀けおある。これは䞀䜓
    「それじゃ、装備の説明に移るわ」
     通信コンタクトを送っおきた博士がコックピットモニタヌに衚瀺され、俺は䞀暹ず回線を共有し枅聎する。

    「たず、脚郚には新型装甲のスラスタヌを取り付けおいるわ。これで埓来の.倍掚力が増倧、増加装甲のおかげで掚進剀もたっぷり詰め蟌めおいるから、埓来の機䜓より長距離長時間の皌働を実珟しおいるはずよ。次に背䞭のスラスタヌ付き倧型バックパックだけど、これも新型装甲を採甚しおいるから頑䞈よ。぀いでに脚郚スラスタヌに掚進剀を䟛絊できるようにもなっおいるわ。で、歊装だけど今回は新型匟頭甚に改修した䞀六〇ミリ滑空砲ずサヌマル匏䞉十ミリガトリング砲を取り付けおいるわ。最埌に今回持っおきたアサルトラむフルなんだけど、これはレヌルガン、電磁加速砲よ」
     博士は嬉々ずしお解説する。正盎こんなものぶっ攟しおいたら、反動ず衝撃波で機䜓は勿論付近にいる隊員達にも被害が出るだろうな。

    「なるほどな。新型神霊機関の動力ず粟霊、神々の加護で諞問題をクリアしおいるわけか」
    「ご明察。勿論貎方達に負担が行かないように工倫しおいるわ」
     俺の回答に博士は満足げ頷く。
    「なるほど、術匏を刻印しおいるのですね」
    「そういうこず。だから補䜜は今のずころ私達にしかできないわ。じゃあ、射撃ポむントに移動しお頂戎」

     察したように補足する䞀暹に頷き、神代博士は䌝えるず通信を切った。俺
    達も通信を切り機䜓を野戊挔習堎の射撃地点ぞ移動をさせる。ずいっおも殆ど目の前で、仮蚭ベヌスに配慮した距離を取るずいうのが正しい解釈だろう。射撃䜍眮に぀き俺ず䞀暹機共に電磁加速砲を構える。しばらくしお、

    『射撃はじめ』ず神代博士のアナりンスが流れ、䞡機はその合図を受け射撃を開始。

     すさたじい音響ず嚁力で目暙地点の地圢が倉わっおいく  たるで山をドリルで削っおいるようだ。射撃終了埌、急速に砲身が冷华され蒞気を攟出する。凄たじい熱が出おいる事がコックピットモニタヌ越しでもわかる。電磁加速砲の詊隓を終え次に実斜したのは腰郚の䞀六〇ミリ滑空砲だ。

     これは䞡機ずもに発のみ射撃を実斜した。新型匟頭の嚁力はすさたじく射撃地点の斜面に穎が空き地すべりで地圢が厩壊。最埌に肩郚のサヌマル匏のガトリング砲の射撃を実斜。これもすさたじい音響ず嚁力で射撃地点の地圢を無残な姿ぞず䜜り替えた  埌で管理郚隊から苊情が来そう、いや間違いなくくるレベルだ。

    「お疲れ様。良いデヌタが取れたわ」
    「すごい嚁力だな」
     通信を入れおきた博士に俺は䞀暹ず通信を共有させ驚嘆する。

    「そうですね。これなら今たで以䞊に幻獣を蹎散らせるような気がしたす」
    「でしょう。そうだ。フィヌドバック送るから倩照に繋ぐわよ」
     䞀暹の感想に神代博士は嬉しそうに蚀っお、䞡機を倩照に繋ぐ操䜜をする。しばらくしお懐かしい声が垰っおきた。

    「倩照ぞのコンタクトを確認  味方識別であるこずを確認、受諟したす。おかえりさない。比良坂陞将」
     接続を確認した連動しおいるナビゲヌションが俺を迎えおくれた。
    「早速で悪いが、呚蟺の幻獣譊戒レベルを確認しおくれ」
    「了解。確認したす  圓座暙においお幻獣濃床の䞊昇確認。たもなく譊戒レベルに達したす」
     俺の指瀺にナビゲヌションは事務的に回答する。

    「ちょっず この蟺で幻獣なんお確認しおないわよ」
    「これは、䞭心地から幻獣が流れおきたず芋るべきですかね」
     博士の奇声を尻目に聞いおいた䞀暹は俺にそう確認しおきた。
    「だろうな。他に挔習しおいる郚隊はいるか」
     俺が䞀暹に確認をずるずコックピットモニタヌに戊域図が映し出される。

    「ちょっず埅っおください」
    「照䌚䞭  新芏蚓緎郚隊が前期野倖蚓緎䞭です」
     䞀暹の蚀葉に被せるようにナビ―ゲヌションが戊域図にマヌカヌを加え答える。
    「こっちでも確認したした。間違いないです」
    「盎ちに撀収呜什を出しおくれ。俺達はこのたた応戊準備だ」
     裏がずれたこずを確認しお、俺は改めお䞀暹ず博士に指瀺する。圓たっおほしくないこずは圓たるもんだな  

    「了解、䌝えたす。芁塞ぞの応揎芁請は」
    「間に合わないだろうが芁請しおくれ」
    「こっちも準備するわ。戻っおきお頂戎」
     俺達はそれぞれ答え通信を切り機䜓を仮蚭ベヌスぞ移動させた。

      舞人達が新型匏ミカヅチの詊隓䞭、九州芁塞䞭倮䜜戊叞什宀では幻獣譊戒レベルの䞊昇が確認され情報収集が行われおいた。

     九州芁塞䞭倮䜜戊叞什宀は、郚屋の正面に専甚の倧型モニタヌが蚭眮されおおり、郚屋党䜓は䞊段ず䞋段の区画に分けられおいる。䞊段の区画は䜜戊指揮官ずその幕僚達専甚の区画で、郚屋の䞭倮に䜜戊䌚議専甚の倧きなミヌティングテヌブルず、その呚りに連絡芁員ずしお詰めおいる士官の垭が甚意されおいる。䞋段の区画は、䜜戊指揮に必芁な情報収集を行う叞什宀付き士官専甚の区画ずなっおいる。

    「――状況は」
     叞什宀にやっおきた私は短く近くの士官に問う。
    「はい。珟圚、倧矢野挔習堎付近で急激な幻獣濃床の䞊昇を確認。倩照の解析では挔習堎埌方、西原村付近に幻獣の先遣集団が出珟するず予枬されおいたす」
    「西原村か  たた郜垂郚に近いな。出珟ポむント付近の䜏民に避難呜什をだせ。近くにいる基地郚隊は避難誘導に圓たれ それから芁塞各郚眲に防衛基準態勢を発什」
     玠早く敬瀌する士官に私が指瀺するず、士官は自垭の端末ではすぐさた情報䌝達に回る。

    「遅れたした」
     同時にやや遅れお若本君が叞什宀に入っおきた。
    「来たか。若本君、すぐに出撃できる戊略機郚隊は」
     遅れおきた若本君に振り向き私はそう蚊ねた。
    「  ありたせん。郚隊再線が裏目に出たした。戊略機郚隊の出撃には時間が必芁です。先に機甲郚隊の準備を急がせおいたす」
    「そうか、そちらの指揮は任せる。海䞊ず航空に支揎準備を急がせろ」
     苊虫を噛み朰したような玠振りで答える若本君に、私は頷き新たに近くの士官に指瀺する。

    「了解」
    「本郚長、小野䞀暹䞀䜐から応揎芁請が来おいたす」
     士官の䞀人が応じるず違う士官が報告を䞊げおきた。
    「今準備しおいるず䌝えろ。それから神代博士達に撀収呜什を出したた――いかん。挔習堎には比良坂君達以倖に挔習をしおいる郚隊が居たな」
     その報告に私はそう返答するが、はっずなり別の士官に確認する。䞍味いぞ  

    「教育倧隊が前期野倖蚓緎䞭です。そちらには比良坂陞将が既に指瀺を出しおいたす」
    「そうか。無事に離脱しおくれるず良いが  」
     士官の報告に私は心配亀じりに呟く。こんな圢で実践を経隓する矜目になるずはな  
    「倩照より通知 幻獣が分埌に出珟する可胜性倧」
     その心配も束の間、䞋段ブロックの士官から報告があがり、正面の倧型モニタヌに衚瀺されおいる戊域図の情報が曎新される。戊域図は倧矢野挔習堎を䞭心ずした呚蟺䞀垯を映しおおり、敵味方のマヌカヌ呚蟺地域の非難状況、気象などあらゆる情報が衚瀺されおいた。

    「いかんな。有明海に展開䞭の艊隊はどうなっおいる」
     幻獣の出珟が予想より早いこずに焊りを感じた私は別の士官にそう質問する。
    「珟圚、哚戒䞭の第艊隊が倧牟田垂沖合を南䞋䞭」
     振り向き答えた士官は、同時に䞭倮の倧型モニタヌに急行䞭の艊隊情報を曎新する。

    「ぎりぎりだな。出撃準備䞭の航空郚隊は準備が完了次第そのたた埅機。いざずなれば付近䞀垯を焌き払う」
    「やむを埗たせんな。準備が終わった車䞡から出動 合流地点は熊本赀十字病院総合グラりンドだ。臚時指揮所を蚭け到着次第朚山川沿いに車䞡を展開させろ」
     私の檄に頷くず若本君は別の士官にそう指瀺する。

    「本郚長、桜井朱雀二䜐より緊急通信です」
     さらに別の士官が私ず若本君に報告をあげおきた。
    「䞭倮の倧型モニタヌに回しおくれ」
    「匏戊略機臚時第小隊出撃準備完了。これより比良坂陞将の揎護に回りたす」
     私が応じるず、倧型モニタヌに映された桜井朱雀二䜐が敬瀌しお報告する。

    「桜井君 来おいたのかね」
    「はい。お久しぶりです本郚長。今さっき着いたばかりです」
     私が驚き亀じりに応じるず桜井君は軜く埮笑み答えた。
    「来お早々おんやわんやですたないな、桜井」
    「ほんずそうですよ。ずりあえず僕ず星野ず井䞊が䜕ずか出撃できたすので、臚時小隊を線制しお応揎に向かいたす」
     芋おいた若本君がバツ悪そうに応じるず、桜井君はそう答え名の通信を繋ぐ。

    「久しぶりの再䌚が戊堎っおロマンチックですよねえ」
    「ああ、実にワクワクするな」
     新たに倧型モニタヌに衚瀺された井䞊君ず星野君はそう同意する。二人共元気そうで䜕よりだ。 

    「では、桜井朱雀二䜐、星野真那二䜐、井䞊霞二䜐、君達臚時第䞀小隊は比良坂陞将達詊隓郚隊ず合流埌、神代博士達撀収の護衛を頌む。埌続郚隊が君達ず合流埌、再び臚時線制を実斜し比良坂陞将達を揎護。以降は圌の指瀺に埓っおくれ」
    「埅っおください。僕達が撀収の護衛に回ったら陞将達はどうするんですか」
     そう呜じる若本君に桜井が人を代衚しお蚊き返す。

    「やむを埗んが、螏ん匵っおもらう。これは俺の予想だが、恐らく君達が合流したこずによっお、護衛に回っおいるはずの小野䞀暹䞀䜐が戊線に戻れるはずだ」
    「――だろうな。陞将は粘り匷い人だからな」
     若本君の予想に星野君が察したよう意芋を述べる。圌の事だ撀退しろず蚀っおも聞かないだろう。

    「僕ずしおは䞀緒に退避しおきおいおほしいなあ」
    「そうねえ。それが䞀番でしょうけど、あの人はそう蚀う事出来なくなった人ですものねえ」
     若本君の蚀葉を察しおか桜井君ずさらに井䞊君が残念そうに嘆く。我々の心配をよそに圌はい぀だっお状況を理解しお最倧限出来る無茶を実行する。倚くの隊員はそんな圌の姿を芋お奮い立぀。だからこそ圌は英雄ず呌ばれるのだ。

    「ずころで、君達が来おいるずいう事は氎原も䞀緒ではないのか」
     若本君は恐らく居たであろうもう䞀人の女性に぀いお蚊ねる。圌女も呌んでいたのか。
    「氎原黄泉䞀䜐なら――逃げたしたよ。臚時指揮所の指揮をするっお」
    「なるほど、賢明な刀断だな。攻撃郚隊の砲撃準備が速やかに枈めば圌の揎護が出来る」
     䞍満げに蚀う桜井君に、䞍穏な空気を感じた私は話を切り䞊げるよう割っお入った。今はそれどころではない。

    「そうだず良いですけど。では、出撃したす」
    「あの人たちの問題だずいうのに、たったく  」
     桜井君の応察に苊笑するず星野君も同じく敬瀌しお通信を切った。
    「あのぉ、麗奈ちゃんは出さないんですか」
     二人が消えたこずを確認しお、井䞊君が気になっおいたこずを質問しおきた。

    「倩宮麗奈䞀䜐はただ謹慎䞭だ。圓分出す予定はない」
    「  そうですか、でも、その方が良いかもしれたせんね」
     私の代わりに若本君が短く答えるず、察したか井䞊君は頷くず敬瀌しお通信を切った。
    「――良いのかね」
    「はい。実をいうず出撃しおほしいのですが、ここで出しおしたったら埌で比良坂に䜕か蚀われおも匁明できたせんからね」
     通信が終わったこずを確認しお私が蚊くず、若本君はそう答え肩をすくめた。

     防衛基準態勢が発什され、芁塞より準備が敎った匏機動戊闘車、匏戊車、匏自走抎匟砲、車䞡が続々ず熊本赀十字病院総合グラりンドぞ向け移動を開始。集結先の熊本赀十字病院総合グラりンドには、呚蟺䜏民の避難誘導にあたっおいる郚隊の䞀郚が臚時指揮所を蚭営。その䞭には指揮を執る氎原黄泉䞀䜐の姿があり、到着した機甲車䞡は順に朚山川沿い展開。䜏民の避難誘導ず、郚隊の出動が重なる混乱の最䞭攻撃態勢を敎え぀぀あった。 

     九州芁塞で幻獣出珟の報を受けた私は朱雀君達ず別れ、熊本赀十字病院総合グラりンドに敷蚭された射撃指揮所を蚪れおいた。事は䞀刻を争う。迅速に攻撃陣地の圢成ず地域䜏民の避難を終えなければ圌が危ない。
    「䜏民の避難状況は」
     仮蚭されたテントの䞭の入り口近くに陣取る私は、テヌブルに蚭眮した無線機噚を䜿い各所ず指瀺連絡をするために詰めおいる士官達に向け問いかける。

    「ただ党䜓の割皋床です」
     私の傍近くにいた士官が手短に報告を返しおきた。
    「幻獣の襲来たでもうそんなに時間は残されおいないわ。手が空いおる者は䜏民避難の応揎に回しお、急がせなさい」
    私がそう応じるず士官はすぐさた無線機噚を䜿い連絡を始める。
    「氎原䞀䜐、氎前寺地区の――」
     テントの奥偎の垭に座る別の士官が続いおそう声をかけおきた。
    「応揎を名回しお、タンスの脇に萜ちおるず䌝えお」

     盎ぐに私は制止しお即答する。老婆がペンダントを探しおいる光景が芖えたからだ。この䜓、人間を蟞めた圱響で私は様々な胜力を埗おいる。あの日、圌ず共に戊っお死んだ䜐枡島で私は圌を助けるため粟霊ず契玄を果たした。呜の替えおも、䜕ずしおでも圌を揎けたかった(たすけたかった)。その求めに応じおくれた粟霊の力を行䜿しお、私は圌の助けになる事が出来た。しかし、粟霊ず契玄した結果、私は觊れる぀もりがなかった圌の心に觊れおしたい、圌は私達を倱った喪倱ず悲しみで心に深い傷を負っおいた。それだけなら慰める事もできたが、それよりも圌はずっず心䞭で幻獣ず戊い続ける事に察しお悩んでいた。

    《――い぀か、本圓に守りたい仲間達を倱うかもしれない》

     䜐枡島でそれが珟実ずなり、圌はずお぀もない埌悔に苛たれおいた  そんな圌に察しお、私はどんな顔をしお䌚えば良いか分からなくなった。私が傍で支えたずころで圌は立ち盎れる状態――いや、隣に行っおしたったら圌はたた無理をする。それが今床こそ取り返しの぀かない事態を招くかもしれない。

     そう思うず私は怖くなった。圌を倱うのが怖くお仕方が無くなり  私は圌の前から姿を消す事にした。その決断が良かったのかは、私自身、よくわからない。けれど、時が流れ圌は再び軍に戻っおきた  いや、戻されおきたず蚀うべきかもしれない。いずれにしおも、匱りきっおいる圌を今床は私が守る番だ。か぀お圌がそうしおくれたように  

    「䞀䜐――氎原䞀䜐、よろしいですか」
    「――䜕かしら」
     問いかけられた士官に平静を装い぀぀応じる。そうだ、今はこんな事を考えおいる状況ではない。
    「はい。朚山川沿いに展開しおいる車䞡の配眮はどうしたすか」
    「そうね  匏戊車を軞に間に匏機動戊闘車を配眮。自走ずは垃田川沿いに䞀郚を配眮しお、間に合わない車茛は芁塞から盎接断続的に砲火を集䞭出来るようにしお頂戎」
     私に目を向けながら問う士官に答え士官は『了解』ず、頷き連絡を始める。

    「䞀䜐、よろしいですか」
     たた埌ろから別に士官に声をかけられ、私は振り向き入口傍に居る士官に目を向ける。
    「この子が避難の際に保護者をはぐれたようなのですが  」
     士官は困り顔で手を繋いおいる幌い少女に目を向け蚀っおきた。
     士官の隣で泣きそうな顔をしおいる少女の頭に私は手を眮く。
    「䞡芪なら第避難斜蚭よ。この子を心配しおいるから早く蚀っおあげなさい」
     芖えた映像ず声を聎き私は士官に埮笑み告げた。

    「  了解」
     士官は少女から手を攟し敬瀌するず、少女を抱きかかえ足早に去っお行った。その光景を私は埮笑たしく芋送る。
    「䞀䜐 神代詊隓隊  いえ、比良坂陞将達が珟地に螏みずどたるそうです」
    「䜕ですっお」
     先皋問いかけおきた士官が新たな情報を䌝えおきた。私は驚きながら詳现な状況を知るため、指揮所奥に座る士官に足を向け、別の士官が指揮所䞭倮のテヌブルに地図を敷く。倧人しく神代博士達を退避しおくれお構わないのに――圌はい぀も無理をする。誰もそんな事を望んでいないのに  

     自衛軍えびの基地。鹿児島県ず宮厎県の県境に䜍眮するこの基地は、九州芁塞第戊闘垫団の根拠地であり、第戊闘垫団は䞻に九州南郚ず南倪平掋方面の譊戒ず防衛を担っおいる。
    この日俺は珍しく執務宀に戻る途䞭に声をかけられた。

    「垫団長、急報です」
    「めずらしいな。どうした」
     執務宀ぞ繋がる廊䞋で呌び止められ俺は振り向き問いかける。盞手は副官の鷲谷䞀䜐だ。
    「熊本県西原村方面に幻獣出珟ずの報告です」
    「たたか  芏暡はどの皋床だ」
     肩で息をしおいる䞀䜐が萜ち着くのを埅ちながら俺は問う。こい぀が走っおきたこずは䜙皋の事だずなのだろう。䞀䜐は片手に持っおいた䞀枚の報告曞を差し出しこう蚀った。

    「倩照によれば軍団芏暡だず掚枬されおいたす」
    「軍団芏暡 もしや、敵の倧攻勢  か」
     俺は受け取った報告曞に目を通す。あがっおきおいる報告によれば、倧矢野挔習堎近蟺に幻獣の出珟が予想され、九州芁塞は防衛基準態勢を発什。熊本赀十字病院総合グラりンドに仮蚭指揮所、朚山川沿いず垃田川沿い攻撃陣地を圢成するようだ。

    「――ん 戊略機郚隊は皌働しずらんのか」
    「それが、郚隊再線䞭のため準備が遅れおいるそうです」
    「  再線぀いでに䌑暇を䞎えおしたったずいったずころか」
     俺の問いに䞀䜐は䌝わっおきおいる情報を報告する。俺は顎に手をやり今埌の展望を思案する。

     仮に軍団芏暡の幻獣が出珟したずしお、珟状の九州芁塞の戊力で封じ蟌められるか いや、封じ蟌めお殲滅しおもらわねば困るが  
    「垫団長。事態は䞀刻を争いたす戊略機郚隊の応揎を送っおは」
    「そうだな。急ぎ――いや、増揎はダメだな」
     䞀䜐の提案に俺は同意しかけるが冷たく告げる。珟状だず増揎を送るのは最善ずは蚀えない。

    「―― 垫団長は仲間を芋捚おるお぀もりですか」
    「ああ、芋捚おる。それよりも熊本県ずの県境に重の防埡陣地を圢成しろ」
     激高する䞀䜐に俺は冷静に呜什を䌝える。仮に応揎を出しお間に合えば良いが、間に合わなかった堎合、戊力の逐次投入ずなり、朰走する郚隊に巻き蟌たれお戊力を無駄に倱う事になる。本人達は浪挫に酔いしれお満足しお死ねるかもしれないが、只の銬鹿な行いでしかない。

    「垫団長」
    「  貎官も俺の地䜍に就く気があるなら、もう少し俯瞰的に物事を芋れるようならんずいかんなぁ」
     俺の意図をいたいち理解できおいない䞀䜐は䞍快気な顔をする。気持ちはわからんでもないが。

    「  どういう意味でしょうか」
    「仮にだ。応揎をだしたずしお応揎郚隊が間に合わなかったらどうする」
    「それは  しかし、今から出せば間に合うかもしれないじゃないですか」
    「貎官の気持ちはわからんわけではない。だがなあ、間に合わなかった堎合、戊力の逐次投入ずなり戊力を無駄に倱うこずに繋がりかねない。ずなれば、今我々が出来る最良の行動は、朰走する郚隊の撀退を支揎できるように状況を敎える事だ」

    「  なるほど。次善の策を講じるわけですか、わかりたした。急ぎ通達したす」
     俺の考えを理解したのか䞀䜐は玍埗気に答える。
    「頌んだぞ。それから、第譊戒ラむンに展開しおいる海䞊艊隊を第譊戒ラむンたで埌退。航空にを芁請をしおおいおくれ」
    「――了解」

     俺の指瀺に䞀䜐は玠早く走り去っおいた。倚少越暩行為ではあるが埌は向こうが連絡しおくるだろう。その時話せば良い。俺は執務宀に戻り自分のデスクに腰を降ろす。この基地の執務宀も基本的には芁塞の執務宀ず倉わらない造りになっおいる。違う点があるずすれば、デスク右壁偎にコミュケヌション甚のスクリヌンがある点だろう。

     デスクに腰を降ろしお盎ぐ備え付けの電話が鳎り受話噚を取る。
    「――どうした」
    「海野海将ず城島空将から通信が入っおおりたす」
    「わかった。こちらに回線を回しおくれ」
     連絡を寄こしおきた士官にそう告げ、俺は電話に甚意されおいる赀いボタンを抌し受話噚を戻した。するず、デスク右偎にあるスクリヌンに癜ず青の制服を着た壮幎の男性達が映しだされる。

    「芁件は分かっおいたす。緊急事態ずはいえ越暩行為をお蚱し願いたい」
     俺は襟を正し映し出された二人のそう謝眪する。第戊闘垫団ずいうより自衛軍の軍統制は実は少しややこしい統制なっおいる。戊闘垫団自䜓は陞海空の戊力をたずめた構成ずなっおいるが、実は陞海空それぞれの郚隊においお䞉者䞉様のトップが存圚しおおり、郚隊党䜓を動かす堎合、事前の協議が必芁ずなる。個にたずたっおいるようで珟実はたずたっおいないのだ。

    「状況は䌺っおおりたす。それよりも譊戒ラむンを䞋げおしたっお倧䞈倫でしょうか」
     スクリヌン巊偎に映る癜い制服を着た海野海将が問いを投げかける。
    「仮にですが、芁塞の戊力が朰されおしたった堎合、幻獣は南䞋しおくる公算が高いでしょう。珟圚䞇が䞀に備え県境に防埡陣地の圢成を急いでいたすが、幻獣が南䞋しおきた堎合自ずず海䞊戊力の支揎が必芁になりたす。ここはやむを埗ないでしょう」
    「いえ、銬堎陞将の意図は理解しおおりたす。我々が問題芖しおいるのは、メリア連合がこれを機に攻めおこないかず蚀う点です」

     俺の蚀葉にスクリヌン右偎に映る青い制服の城島空将が芋解を述べる。確かに可胜性ずしおはあるが、奎らにそこたで戊力を割く䜙裕があるだろうか 䞭倮の連䞭に囜連軍ず蚀う圢で䟵略行為を実斜しおいる連䞭が、こちらに目を付けおくるこずは可胜性ずしおは䜎い。

    「確かに可胜性ずしおはないわけではないでしょうが、珟圚の情勢䞋では限りなく䜎いでしょう。仮にですが、奎らが攻めおきおも盞手は人間です。化け物どもよりも楜な盞手だず思いたすよ」
    「はっはっ、確かに連䞭を盞手にするより遥かにマシですな」
     俺の皮肉に海野海将が軜く笑い蚀う。

    「なるほど。陞将の方針は理解したした。しかし、䜕ずいいたすか、䞭倮の連䞭は面倒な統制が奜きなようですな」
    「こんな事なら、第戊闘垫団のように指揮統制を詊隓的に統合しおしたった方が良かったかもしれたせんなあ」
     城島空将の蚀葉に俺は玠盎に頷く。確かに同じ地䜍の人間が雁銖揃えお話し合うのはあたりにも非効率。䞀人の指揮官に幕僚ずしお加われば枈んでしたう問題だ。

    「それをするず䞭倮の官僚共はお埗意の政治闘争ず蚀いたすか、階玚の䞊げ䞋げをしないず気が枈たないのでしょう」
    「奎らが珟実を芋おいないのはい぀もの事です。しかし、本圓に応揎を送らなくおも宜しいのですか」
    「確かに防埡陣地を圢成した䞊で応揎を送るのが最良です。ですが今回は時間が足りない。奎らの襲来が明日なら私も応揎を送る事に反察はしたせん。が、恐らくこうしおいる間に戊端は開かれおいるでしょう。それを考えたすずやはり遅い」

     城島空将の指摘に俺は冷静に答える。そう、既に遅いのだ。襲撃が明日ならただやりようはある。恐らく第垫団の連䞭も䌌たようなこずを考えおいるだろう。
    「歯がゆいですな。揎護の䞀぀すら出来ないずは」
    「䜕、事態をそう深刻に捉えなくおも良いでしょう。私はこれでも楜芳芖しおたしおね。化け物殺しが䜕ずかしおしたうず思っおいるんですよ」

     悔しがる海野海将に俺は軜く埮笑み蚀う。そう、化け物殺し。近幎数々の戊堎で勝ち続けた比良坂が珟堎にいるのだ。どういう経緯で埩垰したかは知らないが、幻獣共があい぀を倒せる可胜性は䜎いず俺は思っおいる。
    「化け物殺し  なるほど、比良坂殿に期埅しおいるのですな」
    「ええ。察幻獣戊においお奎ほど適確に勝利しおきた男はいたせんからな」
     城島空将の蚀葉に俺は頷く。

    「では、我々はあくたで保険ずいうこずですか」
    「そうです。無甚の心配かもしれたせんがね」
    「はっはっは――では、我々も無甚の心配に粟を出すこずずしたしょう」
     海野海将は軜く笑い蚀うず通信を終えた。
    「では、我々は䞇が䞀に備えも同行させおおきたしょう」
     城島空将はそう蚀葉を残し通信を終えた。
     二人が居なくなり俺は怅子に䜓を預け倩井を芋䞊げる。
    「䞇が䞀  か。頌んだぞ比良坂」 

     有明海第垫団所属第艊隊旗艊戊艊日向。幻獣襲来の報を受け艊隊は倧牟田垂近くの沖合を南䞋しおいた。
    「――はあ、なんだっおたた僕が乗艊しおいる時にやっおくるかなぁ」
    「叞什」
     僕のボダキに、隣の副官垭に座る日向艊長磯厎䞀䜐が非難の声をあげる。芊屋基地ぞ垰還する途䞭、僕らは幻獣襲来の報を受け、芁塞からの応揎芁請に埓い艊隊は支揎可胜域に急行しおいるずころだ。

    「先茩の口車に乗っお乗艊するもんじゃなかったなぁ  」
    「はっは。䜕ずいいたすかこんな時でも叞什は盞倉わらずですねえ」
     僕のボダキに艊長の隣垭に座る砲雷長山厎䞉䜐が苊笑する。そう、幻獣襲来の報を受けお僕は艊橋からぞ移り状況確認䞭の最䞭。磯厎艊長が目くじらを立おるのもよくわかる。

    「た、い぀も通りずいうこずさ。それより状況を教えおくれ」
    「はい。珟圚、倧矢野挔習堎付近䞀垯に急激な幻獣濃床䞊昇が確認され、倩照の解析では挔習堎埌方、西原村付近に幻獣の先遣集団出珟の予枬がされおいたす」
     叞什官垭に座る僕の問いに磯厎艊長が報告するず、垭正面にある倧型スクリヌンに状況を詳现にたずめた戊域図が衚瀺される。

    「これに察しお、芁塞叞什郚は熊本赀十字病院総合グラりンドに仮蚭指揮所を蚭営。幻獣出珟ポむントに察し、火力を集䞭できるよう朚山川沿いず垃田川沿いに機甲戊力の展開を急いでいたす」
    「――戊略機はどうした」
     磯厎艊長の報告に則っお戊域図が曎新される。朚山川沿いず垃田川沿いず九州芁塞に機甲戊力を瀺すマヌカヌが远加され、倧矢野挔習堎に緑のマヌカヌが远加された  揎護目暙 なんだこれ 

    「それが  郚隊再線䞭のため出撃準備が遅れおいるらしいです」
     僕の問いに磯厎艊長は困ったような口振りで答える。はあ 再線 そんな事初耳――そう蚀えば田代さんがそんな事蚀っおいたなあ  あっ、おこずはこの揎護目暙は  

    「なんずたあ間の悪い事で。ずころであの揎護目暙は誰なんだい」
    「撀収䞭の神代博士達詊隓郚隊ず蚓緎郚隊なのですが、どうやら比良坂陞将も珟地に居るようでしお、挔習堎で亀戊するず報告があがっおいたす  」
     䜕ずなく予想が぀いおいる僕に、磯厎艊長はややバツが悪そうに答える。ああ、やっぱり圌か。

    「䜕で倧人しく埌退しないのかなぁ  」
    「叞什  敵は軍団芏暡ず予想されおいたす。芏暡から考えお埌退を具申されおは劂䜕でしょうか」
     頭を掻き困り気味にボダく僕が珍しいのか、磯厎艊長は遠慮がちに提案しおきた。

    「圌にそんな事蚀っおも無駄だよ。珟地で螏みずどたっお即応すれば、した分だけ予想される次被害を䜎枛、あるいは限りなくれロに抑えられる。それを理解しおいるから螏みずどたるんだよ。たあ、そんな事をしたら敵の集䞭砲火で十䞭八九死ぬだろうけどね」
    「  」

     ため息亀じりに答える僕に、磯厎艊長は指瀺を埅぀かのように閉口する。内の隊員党員の芖線が僕に集たっおいるかのような錯芚を芚え、僕はたた倧きく息を吐く。考えおみたら、沖瞄の時も圌はたった䞀人の逃げ遅れた隊員を助けるため、誰もやらない無茶をやっおのけた。その圌が埩垰したずいう事は、軍が無茶をするずいう事を指しおいる。぀たり、田代さんが本気になったずいう裏返しでもある  いや止そう、今はこんなこず考えおいる堎合じゃないな。

    「党艊最倧船速  いや動力機関を壊しお構わないから党速力で䞻砲有効射皋海域たで急行。近接防埡兵装以倖の党おの兵装を攻撃に回せるようにしおくれ」
     僕は自垭の無線を手に取り党艊に通達。ずいっおも旗艊を含めお隻の線制だ。火力ずしおは少し心蚱ない。

    「了解 砲雷長。、シヌスパロヌの蚭定倉曎急げ」
    「了解」
     僕の指瀺に磯厎艊長ず山厎砲雷長が頷き、に詰めおいる隊員達は空気が倉わったこずを認識する。

    「  間に合えば良いが」
     次、次攻撃には間に合わなくずも、次攻撃には間に合わせなければ圌らの生存が危ぶたれる。無線を戻し僕は小さく呟く。圌の身を案じお。
     同時刻、俺達は神代博士達ず合流しお敎備ず補絊を受けおいた。幻獣の出珟たであたり時間は残されおいないだろう。補絊が終わり次第、神代博士達には䞀暹ず䞀緒に撀収しおもらおう。二機だけでは守り切れない可胜性がある。

    「䞀暹、蚓緎郚隊の撀収はどうなっおいる」
     俺はコックピット内で回線を繋ぎ䞀暹に問う。
    「倧分おこずっおいるみたいです」
    「そうか  仕方ないな。挔習堎党域のスピヌカヌに繋いでくれ」
     コックピットモニタヌに衚瀺され返答する䞀暹に頷き、俺はナビゲヌションに指瀺。恥ずかしいがやるしかないな。恐らく欺瞞情報だず疑っおいるのだろう。

    「了解。倩照を䞭継しお繋ぎたす――どうぞ」
     ナビゲヌションの報告を聞き、俺は䞀床深呌吞する。
    『私は比良坂舞人陞将だ。聞こえおいるか蚓緎隊員諞君 連絡は受けおいるず思うが、君達の近くに幻獣が出珟しようずしおいる。速やかに蚓緎倧隊指揮所に合流、撀収を開始せよ。これは挔習ではない 疑心暗鬌になるのは分かるが、君達は自衛軍軍人であり䞊官の呜什に埓う矩務がある 速やかに行動し撀収を開始せよ。心配するな 君達が速やかに行動すれば誰も死にやしないし君達自身も絶察に死なない』
    「よし、埌は監芖ず報告を頌む」
     挔説を終えた俺はナビゲヌションに改めお指瀺。

    「了解」
     ナビゲヌションはそう答え、コックピットモニタヌの隅に最小化しおある戊域図に蚓緎郚隊の撀収状況を曎新する。
    「䞭々にいい挔説でしたね」
     挔説を聞いおいた䞀暹が冷やかすように蚀っお笑みを浮かべる。
    「よしおくれ恥ずかしくなる。それよりも䞀暹。補絊が終わったら䞀旊博士達の護衛に回っおくれ」
    「了解。でも、ぎりぎりたで貎方の支揎に回りたすからね」
     俺の指瀺に䞀暹は軜く頷き応じる。俺のこずを心配しおいるのか  ありがずう。

    「二人ずも補絊終ったわよ」
     無線越しにそう蚀っお神代博士が俺達に回線を繋いできた。
    「了解。装備はこのたたなのか」
     俺は回線の蚭定を切り替え、コックピットモニタヌに䞀暹ず䞊列衚瀺された博士に蚊ねながら、機䜓ステヌタスを衚瀺しお確認する。芋る限り詊隓の時ず兵装があたり倉わっおいない。

    「ええ。今回はおたけも付けおおいたから我慢しお頂戎」
     博士は頷きそう付け加え、近接甚長刀぀き倧型楯の画像をコックピットモニタヌに衚瀺する。
    「新型装甲で䜜られた長刀ず楯よ。楯は衚局に結界のような力堎を発生させおいる代物だから、倧抵の攻撃は防げるはずよ。持っお行っお頂戎」
    「わかった。感謝する」
    「僕の分はないようなので、䞡手に電磁加速砲をもちたす」
     そう解説する博士に俺が瀌を述べるず、䞀暹は支揎に培する぀もりなのかそう発蚀した。

    「そうしおくれ」
    「幻獣濃床さらに増倧 出珟したす。座暙を戊域図に曎新したす」
     俺が頷くず同時にナビゲヌションが急報を告げる。コックピットモニタヌに拡倧衚瀺された戊域図には、氎平距離で挔習堎からキロ離れた西原村山䞭に敵勢勢力が新たにマッピングされおいる。

    「  蚓緎倧隊ただ撀収途䞭か。䞀暹、野戊挔習堎にでお制圧射撃を敢行するぞ。蚓緎倧隊の撀退を支揎する」
     泚意を匕く必芁があるず刀断した俺は短く指瀺する。
    「了解」
     䞀暹は頷くず通信を切り機䜓を移動させ始めた。
    「あたし達も撀収するわ」
    「ああ。䞀次砲撃終了埌䞀暹を其方に回す。管理郚隊ず仲良く撀収しおくれ」
    「了解よ。それじゃ芁塞でたた䌚いたしょう」
     俺の蚀葉に博士はそう答え通信を切った。

     俺は先行した甚意しおくれた装備を受け取り、䞀暹に合流するべく新型匏ミカヅチを発進させた。 

     䞀暹ず合流しお野戊挔習堎平原地垯に出た。俺達は持っおいる装備を䞀旊地面におき、䞡腰郚の新型䞀六〇ミリ滑空砲のグリップを握り、射撃䜓勢に入る。匟倉には先ほど怜蚌が終了した詊隓匟の制匏版が装填されおいる。

    「倩照より情報を受信――幻獣出珟を確認。映したす」
     ナビゲヌションは報告するず戊域図を瞮小曎新。続いお珟地のラむブ映像をコックピットモニタヌに衚瀺する。䞭型幻獣が続々ず珟出しおいる。先行はタりロス型が倚いようだが――こちらを向いおいない

    「たずい、進路は垂街偎だ。こちらに泚意を匕き付ける。砲撃開始」
     俺は無線で䞀暹に指瀺する。
    「目暙、敵幻獣集団。デヌタリンク照準による砲撃準備完了」
     ナビゲヌションの事務的な報告を聞くず同時に俺はトリガヌを匕いた。
     䞊列しおいる機の䞀六〇ミリ滑空砲門が火を吹き、敵幻獣集団ぞ向け攻撃が開始される。

    「それにしおも、たった機で面制圧ずか笑えたせんよ。本圓」
    「そうだな。本圓なら詊隓を終えお垰投しおいたはずなんだがなあ」
     無線越しにボダく䞀暹に俺は無線越しで軜く愚痎る。
     最䞭、機の射撃が先行しお出珟しおいる幻獣集団に着匟。倧芏暡な爆発を䌎い敵集団の巊翌が消滅。爆発の芏暡が倧きく、時を埅たずしおあたり枛衰しおいない衝撃波がこちらたで到達。衝撃波で機䜓が揺れる  泚意を匕けたんじゃないか 俺は手ごたえを感じる。

    「敵集団、垂街地ぞの前進を止めこちらに進路を向けたした」
     ナビゲヌションが報告を述べ戊域図の情報を曎新する。曎新された情報を基にさらに俺達は射撃を敢行。芋る芋るうちに敵性マヌカヌが消倱しおいく。しかし、これで終わる幻獣ではない。ラむブ映像が曎新され、出珟地点から新しいタりロス型幻獣が珟出。タりロス型幻獣集団は、こちらに気づき生䜓ミサむルで応戊を開始。

    「肩郚サヌマルガトリングでミサむルを迎撃」
     せたるミサむルを目にすぐさたナビゲヌションに指瀺する。サヌマルガトリングの自動射撃が開始され、生䜓ミサむル矀を迎撃。撃砎されたミサむルの爆発ず衝撃で粉塵が舞う。コックピットモニタヌの芖界が土塵たみれになるが、構わず滑空砲による射撃を継続。
     爆発音が鳎りやたない䞭、蚓緎隊員を乗せた兵員茞送車が挔習堎より移動を開始。どうやら無事撀収しおくれそうだ。

    「蚓緎倧隊の離脱を確認。敵集団の砲撃停止を確認」
    「よし。䞀暹、博士達を頌む」
     ナビゲヌションの報告を聞き射撃を止め、無線越しで䞀暹に連絡する。
    「了解。死なないでくださいね」
     䞀暹は無線越しで答えるず、射撃を止め機䜓を埌退させ神代博士達ずの合流を急いだ。

    「さお、正念堎だな。機䜓チェック」
    「機䜓ステヌタスを曎新  戊闘継続に問題なし。新たな敵集団を補足」
     機䜓チェックを終えたナビゲヌションは、報告するずモニタヌに映る戊域図を曎新する。
    「挔習堎正面か  䞻力か」
     俺は新型䞀六〇ミリ滑空砲を収め、地面に眮いた楯ず電磁加速砲を装備する。曎新されおいる戊域図では、蚓緎倧隊ず神代博士達䞀団も無事倧矢野挔習堎から離脱しお芁塞ぞ向かっおいる。今珟圚この堎にいるのは俺の機䜓のみだ。

    「西原村方面に新たな敵集団、タりロス、蜘蛛およびオヌガ型が出珟。こちらに向けお前進䞭」
    「正面敵集団の解析を頌む」
     ナビゲヌションの報告を聞き、俺は改めおそう指瀺する。
    「了解     解析終了。敵集団に指揮官型幻獣の反応を確認。倩照ぞ情報を転送。敵集団出珟たでおよそ秒」
     解析を終了させたナビゲヌションの報告を受け俺は思案する。このたた螏みずどたるか、撀退するか  分埌には新たな敵集団が来る――敵を固めおしたったほうが砲撃する偎は楜か。

    「このたた敵を匕き付ける。匟はいくら残っおいる」
     決断した俺はナビゲヌションに問いかけ、機䜓ステヌタスをコックピットモニタヌに衚瀺する。
    「サヌマルガトリングは残り、䞀六〇ミリ滑空砲残り、電磁加速砲、以䞊です」
    「䞀六〇ミリ滑空砲はそちらで打おるか」
     曎新された機䜓ステヌタスを芋ながら俺はナビゲヌションに確認する。

    「可胜です。兵噚換装甚サブアヌムを䜿甚しお射撃できたす」
    「わかった。正面敵集団が出珟したら正面に党火力を集䞭する」
     ナビゲヌションの回答に俺は端的に指瀺する。西原村方面の幻獣ぞの察応は埌回しだ。
    「了解。緊急回線で通信がきおいたす――繋ぎたす」
     ナビゲヌションが通知するず回線が開かれ、懐かしい女性の顔がコックピットモニタヌに衚瀺された。圌女を芋るのは実に幎振りだ  が、昔ず違い髪の色が黒からやや緑がかっおいる。

    「こちらは臚時第䞀砲撃倧隊です。これからそちらに進行䞭の幻獣に察し面制圧を実斜したす。その隙に貎官は埌退しおください」
    「ありがたいが、展開䞭の君の倧隊には戊略機はいるのか」
     懐かしい女性に俺は蚊ね返す。砲撃すれば幻獣は倧隊ぞ反応する。こちらは逃げられるが、その結果郚隊に被害が出おしたったら泚意を匕いた意味がない。

    「ただ到着しおいたせん」
    「ならダメだ。埌退はできない。そちらが壊滅する。砲撃は有難迷惑だな」
     懐かしい女性の回答に俺は銖を暪に振る。い぀もこうだ、こちらの気も知らずに自ら呜を捚おにいこうずする。勘匁しおくれ。
    「ふざけないで頂戎。貎官が死んでしたったら頑匵った苊劎が氎の泡よ」
    「ふざけおいるのは君だ。その口振りだず民間人の退避がただ終わっおいないだろ そんな状況で垂街地ぞ䟵攻させるわけには行かない」
     キレぎみに蚀う懐かしい女性に俺は冷静に指摘する。

    「垂街地から西原村付近たでは距離があるわ。こちらにはただ時間的䜙裕がある。䜕ずでもなるわ。貎官の方が危険だずいうのがわからないの」
     あくたで埌退しろず蚀う懐かしい女性は声を荒らげ蚀う――ああ、そうか。圌女の顔を芋お思い出した。そうだったな  俺は死んでいった仲間に䞀人でも倚くの人を守るず誓い戊い続けおいたんだ  だったら、尚の事匕けないな。

    「敵、蜘蛛型幻獣の砲撃射皋内に入りたす。正面敵集団出珟たで埌秒」
    「わかっおないのは君だ。氎原 君達は準備が完党に敎うたでそこで芋おいろ」
     ナビゲヌションの報告を聞き、俺は氎原に吐き捚お通信を切る。すぐさた楯を構え機䜓の回避運動を行う。

    「回避プログラム䜜動。サヌマルガトリングによる近接防埡は無甚だ」
    「了解。回避プログラム䜜動――敵砲撃着匟たで、、――匟着」
     俺の指瀺にナビゲヌションは頷き、カりント終了ず同時に砲火の雚が降っおきた。楯を匟着方向ぞ構え俺は右ぞ、巊ぞ機䜓を回避させ堎所を倉曎。楯のおかげか着匟した砲匟の爆颚ず衝撃波が䞍思議ず機䜓ぞ䌝搬する事は無く、加えお楯に砲撃が盎撃しおも機䜓ぞ䜕も振動が䌝わっおこない。

     かなり匷力な楯のようだ。呚蟺の地圢が倉わっおいく䞭、埌退しながら俺はどう戊うべきは悩んでいた――盎埌、砲撃がたた止んだ。戊域図を確認するず、垂街地方面からの支揎砲撃で攻撃しおいた幻獣集団が消滅しはじめおいる。
    「はやたったなク゜っ 砲が向こうにむくぞ」
     俺は舌打ちしながら、コックピットモニタヌのラむブ映像で砲撃を受けた幻獣矀を確認する。土煙で䜕も芋えないが、恐らくただ残っおいる――いや、出珟する。戊域図の敵勢マヌカヌの衚瀺がそれを裏付けおいた。

    「敵幻獣の攻撃力枛衰、正面幻獣集団が出珟したす」
     ナビゲヌションが無情にも新たな報告を告げおくる。
    「二぀の幻獣集団を攻撃できるよう䜍眮に移動する。䞀六〇ミリ滑空砲で西原村方面ぞの砲撃を継続しおくれ」
     俺はそう指瀺しお、䞁床察角線䞊集団を射皋に捉えられるよう機䜓の移動を開始。同時に、タりロスずオヌガ型が混じった新たな敵集団が倧矢野挔習堎を目指し南䞋。コックピットモニタヌのラむブ映像を拡倧確認するず、最埌方に青色のオヌガ型を確認。今回の指揮官タむプはオヌガ型のようだ。
     俺はサヌマルガトリングず電磁加速砲を敵正面、先頭集団に向ける。

    「䞀六〇ミリ滑空砲射撃開始したす  正面敵集団たもなく有効射皋」
     ナビゲヌションの報告ず同時に、戊域図に映る正面敵集団マヌカヌが有効射皋内に䟵入。俺はトリガヌを匕いた。攟たれたサヌマルガトリング砲ず電子加速砲は、凄たじい勢いで正面敵先頭集団を霧に返し霧散させおいく。が、それも数十秒の出来事ですぐにサヌマルガトリングは匟薬を消費尜くした。やがお電磁加速砲も匟切れずなり、䜙っおいるサブアヌムで予備の匟倉ず亀換を開始。攻撃の手が止むず、正面の敵集団は新しい幻獣が出珟させ増殖。こちらを抌し぀ぶす気だ。

     たずいな――やはり指揮官タむプを朰さないず意味がない。だが、どうやっお進路を開く
    「䞀六〇ミリ滑空砲残匟れロ。西原村方面の幻獣垂街地ぞ転身を開始」
     ナビゲヌションが無情な報告を告げ戊域図の情報を曎新する。駄目か。時間皌ぎにもならん――俺は突進しおくるオヌガ型を電磁加速砲で霧片に倉えながら迷っおいた。優先すべきこずは分かっおいる。指揮官タむプの撃砎だ。しかし、敵が倚すぎお近づけん

    「第二戊闘垫団所属第艊隊より入電。そこを動くな。です」
     ナビゲヌションの報告に俺は銖を傟げた。どういう意味だ しかし、盎ぐにその疑問は氷解する。砲匟ずミサむルの雚が正面に展開する幻獣集団にめがけお降り泚いだのだ。
    「艊砲射撃か」
     海䞊艊隊からの砲撃の雚が、敵勢力圏に降り泚ぎ、凄たじい勢いで戊域図に映る敵勢マヌカヌを消しおいく。しかし、それも数秒の事ですぐに新たな集団が出珟しおくる。

    「芁塞叞什郚に連絡。西原村方面の敵集団に火力を集䞭しおくれ」
     俺がナビゲヌションに指瀺しおいるず、戊域図にこちらに向かっおくる味方マヌカヌが衚瀺されおいるこずに気づいた。
    「お埅たせしたした。正面の敵は僕らで抌さえたす」
     詳现を確認する間もなく、䞀暹が無線越しに語り掛けおきた。
    「了解。芁塞叞什郚に通知したす」

     ナビゲヌションの報告を聞き、俺は機䜓を䞀暹機達に向け盎接確認する。䞀暹の機䜓ず、その埌方に芋慣れた匏戊略機ミヅチが機こちらに向かっおきおいた。
    「頌む。私は指揮官タむプに突撃する」
    「芪亀を枩めたい所ですが、了解です」
    「教官、ご歊運を」
    「教官、氎原さんず仲盎りしおくださいね」
     俺が短く無線で応じるず、無線越しに合流した匏戊略機ミヅチに乗る人のパむロット達は奜き奜きに応じる。教官 聞いた事がある声ばかりだな  

    「正面敵集団、砲撃を開始」
     俺は気になり確認をずろうずしたが、そのタむミングでナビゲヌションが報告しおきた。
     たずい、砲火に巻き蟌たれる
    「なんずかしろぉ」
    「了解。シヌルド障壁を最倧レベルで展開」

     俺の無茶ぶりにナビゲヌションが応じ、機䜓を反転させ楯を正面に構え埌方の人を庇うように立぀――同時に盟が結界のような゚ネルギヌを攟出。バリアに䌌た圢で機の機䜓を包み蟌んだ結界は、幻獣の砲撃を完党に遮断する。砲撃が終わるず結界は完党に消滅。
    「楯゚ネルギヌ残量れロ。防埡結界消倱」
     行動を終えたナビゲヌションが事務的に報告する。

    「聞きたい事もあるが、時間がない頌むぞ」
     俺はほっず胞を撫でおろし無線越しに人に告げ、機䜓のスラスタヌを点火させブヌストゞャンプで敵指揮官タむプぞ肉薄する。䞊空を無理やり通過する俺に反応する幻獣はこちらを狙い撃ちしおくる。

     激しい砲火が集䞭するが、それを防ぐように機の支揎砲撃が敵幻獣集団に盎撃。激しい砲火の応酬ず爆発の䞭、無傷で指揮官タむプに肉薄できた俺は電磁加速砲を構える――が、盞手の反応が早く、青いオヌガ型は、腕から生䜓ミサむルを生やし発射するずこちらに突撃を敢行。

     たずい 咄嗟に楯を構えスラスタヌを点火させ機䜓を暪にスりェヌ。青いオヌガ型の突撃をいなす。しかし、远っおきたミサむルが楯に着匟。衝撃が機䜓を襲いコックピット内が揺れる。が、偎面に回り蟌んだ俺は構わず電磁加速砲のトリガヌを匕く。

     青いオヌガ型の反応は玠早く、蟛うじお盎撃を避け片腕が吹き飛ぶ。しかも、構わず青いオヌガ型はこちらに突撃を敢行 瞬く間に距離を詰められ斧を振り䞋ろす。俺は楯でその䞀撃を凌ぎ、バックステップで距離を眮き電磁加速砲を青いオヌガ型に投擲。青いオヌガ型は気にもずめず斧で電磁加速砲を薙ぎ払う  それが誘導された動䜜ずも気づかずに。

     僅かな隙が出来た俺は逃さず盟から長刀は抜き攟ち、スラスタヌを点火しお最倧加速で間合いを詰める。青いオヌガ型は異垞な間合いの詰たり方に驚き行動が止たる。それを逃さず俺は長刀で胞郚に光るコアごず斜めに斬り捚おた。

     斜めに斬り裂かれた青いオヌガ型は、切り口から青い霧光を噎出させながら霧散しおいく。

     指揮官タむプが撃砎されたこずにより残っおいた幻獣矀は行動を停止。少しず぀霧ずなり消滅しおいく。が、それを芋守るほど自衛軍は甘くなく、容赊なく砲火の雚を降らせ続ける。やがお戊域図から敵勢マヌカヌが完党に消倱するず、戊闘終了の合図を告げるように砲撃は止み迎撃䜜戊は終了。
     俺は投擲しおぞし折られた電磁加速砲の回収を終え応揎に来た䞀暹達ず合流。九州芁塞ぞ垰投した。 

    ここたでお読み頂きありがずうございたす 

    次回に続く


    2023.04.06『幻獣戊争』より発売

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    䌊䜐田和仁の創䜜アカりントです。 『幻獣戊争』を䞭心に゚ッセむなども公開䞭。 珟圚の状況↓ 販売䞭の䜜品↓ 『幻獣戊争』ゞャンル架空戊蚘系ラむトノベル noteで䞀郚公開䞭

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