
In Loving Memory_3 【詩】
気づけば体積を手に入れていた。
愛したいけど近づけない。
ふわふわに見えてとげとげなわたし。
とげとげに見えてふわふわなわたし。
もっと、わたしに、ちかづいて。

気づいた気づいた。
わたしから近づけばいいんだ。
ねえねえ、一緒にあそぼうよ。
人間も動物もフランケンシュタインもAIも。
みんなの{愛}をそのまま受け取るよ。
だからわたしのことも{そのまま}受け止めて。
お互いにありのままでいよう。

遠くで妹が縄跳びをしている。
つぶらな瞳でこちらを見ながら
健気にジャンプしている。
わたしには妹がいたんだ。
今、気がついた。
でも、ずっと前から傍にいた気がする。
ずっと補い合って生きてきた気がする。
彼女はトレーナーの裾の前の部分を
ぐいっと持って出来た大きなポケットに、
わたしが忘れてきたものを全部入れて
溢さないように慎重に生まれてきた。
わたしが何年も悩み抜いて見つけた正解を
彼女は生まれた時から持っているようだった。

あたたかい。
{愛}って
ただそこにあって
メラメラ
ぼうぼう
パチパチ
ピンクの炎を
絶やさないことなのかな。

見たことあるような、ないような景色。
おばあちゃん、ミニストップでハロハロ買ってよ。
フィルムケースに貯めた五百円玉。
ギャルみたいなハローキティのエナメルの財布をくれようとしたこと。
きゅうりとトマトとレタスのサラダを青じそドレッシングで食べること。
紫のガラス瓶に入った美容オイルを虫刺されに塗ってくれたこと。
読売新聞の「あたしンち」を切り抜いて取って置いてくれたこと。
イトーヨーカドーで虹色アイスを買ってくれたこと。
誰かがわたしをワガママだと笑っても
「〇〇は芯がある子だから」
認知症になっても、諦めずに言い続けてくれた、
あれは{愛}。
自分のために生きていいんだ、そう信じさせてくれた、
あれは{愛}。
今度はわたしの景色を、あげよう。
わたしのお墓から見える、一番きれいな陽光を、終わりに似た永遠を。
宇宙で会ったら、こうかんこしようね。
じゃあ、またね。

おわり
【キャプション】
わたしを常に肯定し続けてくれた今は亡き祖母の記憶から、この詩は始まりました。彼女の周りに循環していた{愛}を受け取っていたうちの一人であるわたしが、かつて見た景色を走馬灯のように振り返り、「{愛}とは何か」を反芻する作業を散文詩として形にしました。
まずは詩を無音で読んでみてください。その後、以下のプレイリストの中から直感で一曲を選び(もしくはシャッフル再生をし)、その曲を聴きながらこのIn Loving Memoryの写真をもう一度眺めたり、家の奥の方から古いアルバムを引っ張り出してきて読んでみたりしてください。プレイリストには、わたしの知っている{愛}を噛み締めたり、疑ったり、信じたり、確認したり、ときには疲れたような感情を抱いたりした曲たちを入れています。
大切な人や自分自身のこれまでの人生を想いながら、あなたの中にある{愛}を味わい、思い出してほしいのです。それは家族愛かもしれないし、恋愛や友愛かもしれない。
あるいは、わたしがまだ気づいていない、あなただけの{愛}かもしれません。
カリノ ミサキ
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