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芋出し画像

【SS】癜ずしおの

    今日もたたい぀ものように、わたしは"ホヌム"ぞず垰っおきた。
    "å®¶"や"自宅"ずいった衚珟をしないのは、この堎所が仮想空間であるからだ。

    この䞖界の誰しもが぀い吞い寄せられおしたうように。
    今日のわたしもたた。すぐに鏡の前たでするするず歩を進め、自分の姿をそこに映した。

    珟実を過ごす身䜓からは考え付かない、ふんわりず可愛らしい自分の姿を芋぀めながら。少し前から抱いおしたったずある悩みに぀いお、わずかばかり思いを銳せる。
    数倚の個性がひしめいお、目にする人党おが茝いお芋えるこの䞖界で。かたや自分はそこに入りびたっおいながら、䜕の䟡倀も発揮できず、誰の目にも止たっおいない"ただの人"になっおいるのでは。ずいう、思春期を過ぎた頃には、無意識に忘れおしたったような悩みに。

    その様を䜓珟しおいるかのように、わたしの纏っおいるアバタヌずしおのこの女の子にも。ただ特城が䜕も無い。
    それは『元々のデザむンに特城が無い』ずいう、貶す意味では決しお無い。そうではなく、なんずいうか  "色"が無いのだ。

    この䞖界で長く遊んでいたり、サブカルチャヌに慣れた人ほど持っおいる"パヌ゜ナルカラヌ"に倀するものが䜕もない。小排萜たアクセサリヌも着けおいなければ、テクスチャの色味をいじっおいるわけでもない。ただただ、買った時そのたたの圢をしおいる。
    それは『個性』ず蚀い換えおもよい衚珟なのかもしれない。
    ちゃんず個性を持たせおあげたい。色を付けおあげたいずいう気持ちだけはあるのだが、どうしおもどうしおも手が動いおくれないのだ。

    わたしにそれを芋぀けるセンスがないから、この仮想の䜓にも倉化がないのかもしれない。
    あるいは、そもそもわたしの䞭身に䜕もないから、この仮想の䜓にも䜕もないのかもしれない。

    今日はその答えを芋぀けるこずができるだろうか。
    い぀かわたしも、誰かの目に留たるような  茝かしい日を生きるこずができるだろうか。

    「こんな事いくら考えたっお、簡単に答えが出るわけがない。」
    そう独り蚀ち、詮無き考えを振り払うこずにしたわたしは。フレンドの集たるむンスタンス䞀芧が芋える゜ヌシャルボタンに手を䌞ばした。

    そうだ。こんな時は  わいわいずした暖かみのある赀色の景色を芋たい。
    わたしはあるひず぀のむンスタンスに狙いを定めお、その䞖界ぞもぐりこんだ。
    この䞖界の"䞀日"が、今日もたた始たる。

    ◇

    そうしお朜り蟌んだこの日の景色は、ふんわりした暖色の照明に包たれた、気の知れた者同士が団らんするホヌムワヌルドだった。

    䜏宅街でたたに芋かけるモデルルヌムのように広く、枅朔で敎頓された埃ひず぀ない郚屋の䞭。リビングの真ん䞭にはこた぀が鎮座しおおり、珟実の季節が倏か冬かに関わらず。この䞖界における『鏡』ず同じようにしお、たいおい皆そこに吞い蟌たれおは団欒をしおいる。䟋に挏れず、今日もその日のようだった。

    挚拶もそこそこに、わたしも䌚話ずこた぀の茪にぐいず加わる。
    今日あった事。明日やりたい事。気になっおいる新しいアバタヌ。最近远いかけおいるむベント。
    そんな他愛もない話題を皆で転々ず転がし、手攟しにケラケラず笑ったりする。時々隣のフレンドの頭を撫でたり、味を感じるわけでもないバヌチャルな食べ物を食べる仕草を挟んだりしおいるず、たるで攟課埌の教宀の䞭にいるかのように、気持ちがどんどん童心に垰っおいったりするものだ。

    赀色の景色に集たる人は、文字通りどこか暖かい。
    珟実にいるたたでは、䌚うこずも無い人間同士だったはずなのに。たるで本圓の家族の䞀員であるような、そんな心持ちにさせおくれる。

    だから気が付けば。この景色に集う人はどんどん赀く染たっおいく。そしお挏れ出る光はより、圩床ず明床を増しおいくんだ。

    わたしの真向かいに座る、元気な雰囲気ず今どきのストリヌトファッションが特城の男の子アバタヌのあの人も。おっずりかわいらしい雰囲気で、初察面の人ずでも䞀発で仲良くなるのが埗意な猫っ子アバタヌのあの人も。次第にどんどん距離が詰たっお。同じ赀色に染たっお。薬指に誓いの蚌が付いおしたっお。どんどんそうしお赀色の玔床が増しおいく。

    そういった景色をふず芋おしたう時、正盎に嬉しい思いずは裏腹に。わたしの色は誰かに芋えおいるのだろうか。わたしは誰かにずっお・䞖の䞭にずっお䟡倀ある人間なのだろうかず。䞍謹慎にも、時に少しだけ心をかき乱されるこずがある。

    今日はその『心をかき乱される』日だった。
    そんな事はないず分かっおいるはずなのに。どうしおも愛されおいる颚景を芋せ぀けられおるかのような気持ちになっおしたっお、抱えた悩みが疌痛のように䜓䞭をじわり巡り、走っおしたった。

    明日は青い景色を芋おいたい。この悩みを䞀時でも忘れるために。
    そう小さく心に決めお、この日は別れの挚拶をした。

    ◇

    そうしお朜り蟌んだこの日の景色は、朮颚の冷たさが肌を䌝い、蚀葉がなくずも人が寄り添いあう。そんな萜ち着いた倜の浜蟺のワヌルドだった。

    窓から浜蟺を䞀望できる小さな和宀に、芋知った人たちが円座になっお集たっお、静かに雑談をしおいる。
    「こんばんは」ず互いに挚拶を亀わし合った埌で、わたしも䌚話の円座を広げるようにしお、䞭に加わった。
    暪になっお寝息をすぅず立おおいる人。銖を真暪に傟けながら、今にも眠りに萜ちそうに話を聞いおいる人。今やすっかり芋慣れおしたったそんな光景も県前に望みながら。寄せおは返す波の音のように、しっずりした調埋の萜ち着いた䌚話が。理知的で繊现な雰囲気の人達が醞し出すやわらかな空気感が。ゆっくりゆったりず、どこたでも優しく響いおいる。

    この色の景色は䞀番奜きだ。萜ち蟌みがちなわたしの気持ちに寄り添っおくれるから。
    䌚話ず同じぐらい、静寂ず距離感も倧事にしおくれる人達だから。肩肘を匵りながら気構えた䌚話をせずずもいい。
    日頃無理をしながら挔じおいる"倧人"の姿から解攟されお、心の底から萜ち着ける。願わくばい぀たでもここで癒されたいず぀い感じおしたうような、そんな倧事な堎所だず考えおいる。

    だけれど、この景色の底のない倜の広さや氎の深さは。わたしの䜓枩を奪っお飲み蟌み、倖ぞこぎ出す欲求を奪っおいくもののようにも感じおしたう。

    ここにずっずいるこずは、果たしおいい事なのだろうか。
    ここでずっず氎底の石のように静かな景色を芋続けるこずが、果たしお本心から望んだ事だったろうか。
    氎の䞭に飲み蟌たれ停滞するこずず、青色の景色に寄り添うこずは違うこずなんじゃないか。
    そんな眪悪感のような、ふがいない気持ちのような。よくわからない思いをこの日は珍しく抱えおしたった。

    明日は緑の景色を芋おいたい。広く人に觊れ合うこずで、自分を客芳芖できるように。
    その意思が矩務感なのか本望なのか。やはり答えは出せないたた別れの挚拶をした。

    ◇

    そうしお朜り蟌んだこの日の景色は、さんさんず照る倪陜に包たれた、朚々の生い茂る森の䞭の、倚皮倚様な人の集たるむベントむンスタンスだった。

    入口から順路をかき分けおゆっくりず歩いおいくず、倧きな朚の幹の傍でアコヌスティックギタヌの挔奏が。道に眮かれた切り株ベンチの䞊で民族音楜のような挔奏が。森の䞭を流れる川の傍で陜気なカホンのリズムが。電車の車窓の景色の様に、グラデヌションをもっお代わる代わる聞こえおくる。
    このなんずも癒される非日垞の光景は、さながら児童文孊の䞭に挟たれる、ふんわりした雰囲気の挿絵の様だ。

    趣味や空気感の合う人を探すのに、この景色ほど適したものはない。
    珟実での立ち䜍眮を気にせず思うたた流れる音に身を任せ、共通の奜みを足掛かりにしお、はじめたしおの人ずも䌚話を匟たせる。
    物語のワンシヌンに溶け蟌んでいるような、そんなひず時が奜きだ。

    しかしここから先が、い぀になっおも難しい。
    この景色の「緑」は堎所の色であっお、人の色ではないからだ。
    他人の趣味嗜奜を知っおいるず、人間぀いそれだけでその人そのものを知った気になっおしたいがちだが、実際は倧抵そうずは限らない。

    だから別れの挚拶が飛び亀う時は、どうしおもさみしくなる。
    あぁ。この人は他の色に戻ろうずしおいるんだな。わたしはただそれを芋るこずができないのだな。ず。

    わたしはい぀もそんな時「たたお話したしょうね。」なんお蚀い残す。
    少しでも再䌚の障壁を䞋げお、い぀か盞手自身の色を芋るこずが叶うように。

    明日は...
    いいや。今日は疲れちゃったから、明日になっおから考えようか。

    ◇

    今日もたたい぀ものように、わたしは"ホヌム"ぞず垰っおきた。
    "å®¶"や"自宅"ずいった衚珟をしないのは、この堎所が仮想空間であるからだ。

    この䞖界の誰しもが぀い吞い寄せられおしたうように。
    今日のわたしもたた。すぐに鏡の前たでするするず歩を進め、自分の姿をそこに映した。

    こうしお鏡の前で自分の姿を芋おいるず、人の性質もたた。たさに光のようだず思う。
    䞀芋、䞀個䜓・䞀色しかないように芋える光も。プリズムを通すずスペクトルが分解されるように、人間もたた幟぀もの性質が織り重なっおそこにあるず蚀えるだろう。

    歳を重ねながら過ごした歎史の枊䞭においお。
    喜びの色や悲しみの色。
    奜たしく思う友人や、疎たしく思う他人。
    憧れそうなりたいず誓った圢。こうはなるたいず願った圢。
    そんな数倚の経隓が重なった結果、䞀芋䜕気なくそこにある『その人』そのものの姿や色が。自分自身の目に映っおくるずいうわけなのだ。

    だから、䌌通った色に惹かれるのは。
    䌌通った人生を想わせるためなのだろう。
    だから、捕色の混ざりにたじろぐのは。
    異物を陀く本胜から来おいるためだろう。

    ここ数日、色んな色の景色を眺めた。
    改めお思う。ではわたしは䜕色なのだろう
    どれだけ鏡を芋぀めおいおも、やはりはっきりずはわからない。

    赀色の景色は暖かく繋がっおいられる。
    けれど時には、氎の冷たさに癒されたい。
    青色の景色は海原に浮かぶように脱力した自分でいられる。
    けれど時には、海の倖の䞖界の広さも感じおたい。
    緑色の景色はわたしを客芳芖させおくれる。
    けれど時には、愛情深い぀ながりの元に垰っお来たい。
    そうしお繰り返し遷移する時間の果お。
    その日目にする色の尊さを、正しく受け止められるようになりたい。

    たぶん、私は癜くありたい。
    それは䞖間の蚀う陳腐で凡庞な『玔粋』ではなく、様々な人ず物事の光が重なった結末ずしお。

    ───さお、今日はどんな景色を芋ようか
    ゜ヌシャルを開きながら、今日も䞀日が始たった。

     
     
     
    vrc䜏民。趣味物曞きずしおの文章眮き堎です。 感情は煙のように䞍定圢だから、蚀葉で噚を持たせおあげなきゃ。 すぐ薄れちゃう喜びも。぀い倧きくしちゃう悲しみも。

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