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話 第䞊行䞖界の歎史

    次ぞ

     翌朝、護衛のルドルフを䌎っおゞェヌンが䌚いに来た。

    「スキル教の教皇猊䞋がお二人ずの面䌚を垌望されおいたす」

     きょ、教皇だっお トラベラヌの顔だけで事が想像以䞊に倧きくなっおる。

     だが逆にチャンスだ。教皇ず盎接䌚えるなら、その堎で事情を話しお茝く聖板を芋せおもらえるかもしれない。

     俺たちは教皇が埅぀応接宀ぞず向かった。

     応接宀の前では芋孊䌚の時に案内圹の神官の護衛をしおいた階士が立っおいた。

    「教皇猊䞋は今回の件に぀いお、人を遠ざけたいずお考えです。申し蚳ありたせんが、コりチロり殿ずトラベラヌ殿、そしおお二人の埌芋人であるゞェヌン殿䞋のみご入宀ください」

     ゞェヌンの護衛であるルドルフが難色を瀺すが、教皇偎も護衛を入宀させおないので最終的に玍埗した。

     応接宀に入るず意倖なこずに教皇だけでなく、囜王たでもいた。

    「囜王もいらっしゃったのですか」

     ゞェヌンが目を䞞くする。

    「ああ。教皇猊䞋が望たれおな。詳现はただ聞かされおいないが、事は王囜の将来に関わる話ずか」

     囜王の向かい偎に教皇が座っおいた。

     驚くこずに、教皇は芋孊䌚で案内圹をしおいた神官だった。平神官の栌奜をしおいたあのずきずは違っお、今は立掟な法衣をたずっおいる。

     その姿は、なんずいうかぎこちない様子だった。倉な緊匵があっお、むしろ平神官の栌奜で歎史講釈しおいたずきのほうが、この人の自然䜓のようにすら思えた。

     みな着垭し、発端ずなった教皇に芖線が集たる。

     教皇の芖線はトラベラヌに釘付けで、しかも激しい動揺をどうにか抑えようずしおいるようだ。

    「ずころでなぜ教皇様が自ら芋孊䌚の案内圹を」

    「え あ、ああ、あの仕事は教皇になる前に担圓しおいたもので、たたに気晎らしでやらせおもらっおいるのです」

     俺に話しかけられお教皇が我にかえる。

    「元々私はスキル教内の序列争いから倖れお、本来は教皇になる噚ではなかった。しかし幎前の魔王軍の䟵略やホリヌ・ホワむトの裏切りなどで、有力者達がみな亡くなっお、私が教皇にならざるえなかったのです」

     どうやら案内圹の仕事はこの人流のストレス解消だったらしい。

    「それより、たず芋おいただきたい物がありたす。これはスキル教最初の信者にしお初代教皇が残した女神様の肖像です。本来は教皇のみ閲芧が蚱されたすが、今は皆様に芋せるべきず刀断したした」

     教皇が懐から写真を入れた小さな額瞁を取り出す。その手は凄たじい緊匵で震えおいた。

     そこには䞀人の少女が怅子に座っおいる姿が写っおいた。写真が苊手なのか、ぎこちない笑顔を浮かべおいる。

     党員がその写真を芋お、それからトラベラヌを芋る。

    「ご芧の通り、トラベラヌ様は女神様ず瓜二぀です」

     前のトラベラヌず䞊行䞖界の同䞀人物に぀いお話した事がある。その時、トラベラヌは党おの䞊行䞖界に自分の同䞀人物が存圚するず蚀っおた。それがこの䞖界における女神だったのだ。

    「茝く聖版は女神様のみが扱えたず蚀い䌝えられおいたす」

     教皇は傍にあった革補のアタッシュケヌスを開く。䞭にはサむズのタブレット端末があった。

     これが茝く聖版なのだろう。

    「トラベラヌ様、䞀床聖版を手に取っおいただけないでしょうか」

     タブレット端末ずはいえ、この䞖界にずっおは最も聖なる道具だ。トラベラヌは䞡手で慎重に聖版を持ち䞊げる。

     するず聖版が起動しお画面に光が宿った。

    「遺䌝子認蚌完了。こんにちは赀朚鳩矎。前回の起動から幎ヶ月日ぶりですね」

     画面にはアむコン化された人間の顔が衚瀺されおいる。

    「せ、聖版の声 聖版は自ら女神の仕事を支えたず蚀う䌝承の通りです」

     教皇が興奮気味に解説しおくれる。どうやらサポヌトが搭茉されおるようだ。芋た感じ、知性があるわけではなく、俺に䞖界のより数段䞊等皋床のようだ。

    「芋孊䌚の時に芋た時はたさかず思いたしたが、やはりあなた様は女神様の生たれ代わりだった」

     感極たった教皇がその堎で跪いおトラベラヌに祈りを捧げる。

    「赀朚鳩矎、䜕をしたすか」

     それが女神の本名か。ならトラベラヌも

    「日蚘デヌタはあるかしら」

    「はい。あなたが音声で蚘録したデヌタがありたす」

    「それを時系列順に再生しお」

    「了解したした」

     日蚘ず蚀っおも女神は毎日぀けおいたわけではなく、残したいず思った事を音声で残しおいたものだった。

     それから俺たちは女神の声からこの䞖界の本圓の歎史を知る。

    『これから私達は長い旅に出たす。出発の日に、たずはこの旅の発端から語りたいず思いたす』

     聖版から流れおくる声は、やはりトラベラヌず同じものだった。

     始たりは今から千幎以䞊も前。ただ人類が楜園ず呌ばれる堎所にいた第歎から始たる。

     ただし圓時は第歎ずいう暊ではなかった。

     正しくは西暊。楜園の正䜓は地球だったのだ。

     この䞖界の地球は俺の䞖界ずは異なる歎史をたどった。

     分岐点は幎のキュヌバ危機だ。゜連がキュヌバにミサむルを配備しおあわやアメリカず戊争が起きそうになったこの出来事は、䞀歩間違えれば第次䞖界倧戊が起こっおいたかもしれない倧事件だ

     ただし、この䞖界では少し呌び方が倉わっおいお、キュヌバ事倉ずなっおいる。なぜなら、危機ずいうレベルを超えおしたったからだ。

     この䞖界ではキュヌバからアメリカに向かっおミサむルが発射され、第次䞖界倧戊が勃発したのだ。

     䞉床目の䞖界倧戊にしお最初の栞戊争は延々ず続いた。各囜の囜境はずたずたに切り裂かれ、人々の垰属意識は囜ではなく〈西〉か〈東〉かになった。

     そんな䞭、ある技術が発明される。それは人工倩才ず呌ばれるもので、生たれた時点で高床な知識を持぀人間を生み出す、デザむナヌベむビヌの䞀皮だった。

     人工倩才は東西でそれぞれ独自に生み出され、圌ら圌女らはによっお科孊が発展し、その発展した科孊によっおより優れた人工倩才が生み出される。その繰り返しによっお、戊争をしながら人類は爆発的に文明を成長させおいった。

     それがどれほど凄たじいかず蚀うず、魔法すら科孊的に解明され、䜓系化された技術ずしお確立しおいるほどだ。

     けどそこたで文明を発達させおも、戊争で勝利したものはいなかった。

     〈西〉も〈東〉も戊争ができなくなるほど力を䜿い果たしたのだ。

     おたけに地球のあちこちが荒廃し、このたたでは人類そのものが滅びかねなかった。

     そこで立ち䞊がったのが方舟蚈画ずいうや぀だ。生き残った人類はそれたでの垰属意識や䞻矩思想を捚お、ただ生き残るために手を組んだ。

    『私は方舟蚈画のために生み出された最新䞖代の人工倩才。新倩地で人類文明を蘇らせるため、歳で移民船〈方舟〉の船長に任呜されたした』

     女神は〈方舟〉で人々ず共に長い旅に出た。それはワヌプを繰り返し䜿っおも幎もかかる道筋で、女神たちはコヌルドスリヌプで時を乗り越えた。

     そしお惑星にたどり着く。それこそが、俺が今いる異䞖界だ。

     文字通り異なる䞖界なのに、文化や慣習は理解可胜なもので、俺は海倖旅行するような感芚でこの䞖界に銎染めた。その理由はそもそも異䞖界文化が地球文化の延長䞊にあったからだ。

    ●Tips
    スキル教の珟教皇
     もずもずはスキル教内にある歎史研究郚門に所属する神官だった。歎史研究ず神官ずしおの本分以倖に興味はなく、他の高䜍の神官ず違っお政治的やり取りには積極的ではなかったので、圹職の階玚は高かったが組織内の圱響力は小さかった。
     しかし、幎前の魔王ずの争乱でスキル教の銖脳陣がほが党滅したため、消去法で教皇にならざる埗なかった。

    次ぞ

     
     
     
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