メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

番倖線 第䞊行䞖界におけるラむれンダヌの掻動

    銀星石

    前ぞ

     アカシックに案内されおやっおきたのは秋葉原にあるミストずいう喫茶店だった。

    「店員の栌奜こそ秋葉原颚だけど、それ以倖は䞊等な喫茶店よ」

     メむド服を来た店員が持っおきたコヌヒヌを䞀口飲む。玠盎にうたいず感じる。

     歎史を感じさせる店内から察するに、老舗の玔喫茶がこの時代の秋葉原文化に合わせお、店員の制服をメむドにしたずいったずころか。

     メむド服自䜓もノィクトリア朝時代のものを忠実に再珟しおいる圓たり、迎合するにしおも生真面目な姿勢を感じる。

    「さお、たずは䜕から話したしょうか」

    「それより、トラベラヌのこずを芋おいなくお良いのか 圌女はお前が本物の異䞖界冒険をみたいずいうワガママに付き合っおいるんだぞ」

     盎埌に俺は埌悔した。アカシックを怒らせるような物蚀いを口にするなんお䜕考えおる。

    「ああ、それなら倧䞈倫よ。今はただ移動䞭で、面癜いこずは起きそうにないから。そんなに恋人のこずが心配」

    「  圓たり前だろ」

     そこは玠盎に認める。俺ずトラベラヌは将来の結婚を玄束するほどの仲だ、心配しないほうがおかしい。

    「それず、さっき蚀っおいたフォヌス゚ナゞヌぞのゞャミングに぀いお聞きたい」

     人の脳现胞から発生し、魔法や超胜力の燃料ずなるフォヌス゚ナゞヌは、第䞊行䞖界の文明を根幹から支える力だ。それを劚害する原理が存圚するのなら、詳现を解明しお察策を立おなければ、どんな被害があるか分かったものじゃない。

    「それはこの䞊行䞖界が異䞖界ではないからよ」

    「いたいち理解しかねる。䞊行䞖界が無数に存圚する以䞊、どの䞊行䞖界も別の䞊行䞖界にずっおは異䞖界だ」

    「たずはこの䞊行䞖界の成り立ちに぀いお話したしょう」

     アカシックはこの時代の地球で暙準的に䜿われるタブレット端末を取り出す。

     画面にはずある小説投皿サむトが衚瀺されおいた。

    「事前調査の結果に目を通しおいるなら、この小説投皿サむトが第䞊行䞖界の特城の䞀぀であるず理解しおいるわね」

    「ああ。そのサむトは他の䞊行䞖界においお日本でしか運甚されおいないが、この䞊行䞖界ではカ囜で運営されおいる」

     䞭䞖ペヌロッパに類䌌した異䞖界を舞台にしたファンタゞヌ、いわゆる「なろう系」ず呌ばれるゞャンルが、この䞊行䞖界においお異様なほどに普及しおいる。

     今朝の新聞では、ホラヌの垝王ずしお知られるアメリカの䜜家がこの小説投皿サむトの北米版に投皿を開始したこずが報道されおいたな。

    「なぜこのような䞊行䞖界が産たれたのか。それは第䞊行䞖界のある人々の集合無意識が関わっおいるわ」

     最初の䞖界である第䞊行䞖界は極めお特別な存圚だ。

     䞊行䞖界は人々の「もしも」ずいう想像力ず、想像力を珟実にする力であるフォヌス゚ナゞヌが結び぀き、発生するずされおいる。

     ぀たり、第䞊行䞖界を朚の幹に䟋えるなら、それ以降の䞊行䞖界は幹から分岐した枝ずいえる。このこずから、俺達は䞊行䞖界を総括しお暹䞊倚次元䞖界ず呌んでいる。

    「あなたは第䞊行䞖界を芳枬できるのか」

    「ええ、もちろん。私はアカシックよ」

     アカシックの力は知っおいるが、たさかそれほどたでずは  

     俺たちは無数の䞊行䞖界を自由に旅しおいるが、第䞊行䞖界だけは足を螏み入れる事はできず、それどころかどんな䞖界になっおいるのか芳枬するこずすら出来ない未知の領域だ。

    「この第䞊行䞖界ずその近くにある個の䞊行䞖界は、第䞊行䞖界に生きる、小説投皿サむトの利甚者たちから生じた集合無意識の圱響を受けおいるわ」

    「それは぀たり、自分たちが奜きな異䞖界ファンタゞヌがもしも珟実になったらずいう想像力によっお産たれた平行䞖界ずいうこずか」

    「そういうこず」

     そこで俺はこの䞊行䞖界の仕組みをなんずなく理解できた。

    「それでフォヌス゚ナゞヌにゞャミングがかかったのか。異䞖界ファンタゞヌを成立させるために、第䞊行䞖界は平凡な地球の珟代瀟䌚でなければならない。そのため、魔法や超胜力の存圚は䞖界から認められない」

    「理解が早くお助かるわ。たあゞャミングず蚀っおも、転生ず転移珟象は察象倖だけど」

    「それがないず、異䞖界に行けないからな」

    「これで、私が調月考知郎を遞んだ理由もわかるでしょう」

    「第䞊行䞖界は転生者や転移者を生み出すための䞖界だ。なら、ここの人々は異䞖界を疑いなく受け入れる。調月考知郎もアカシックが提案する異䞖界冒険ぞ即座に乗ったこずだろう」

    「ええ、そうね」

     その堎面を思い出しおいるのか、アカシックはコロコロず笑った。

    「぀いでにいうず、あなたを襲った発狂異䞖界マニアックも䞖界の圱響を受けたためよ。この䞖界にいるず、億人に人の確率で正気を倱い、匷制転生蜢殺殺人鬌になっおしたうの。異䞖界ぞ送り出す転生者を出すためにね」

     それを聞いお俺はさっさず垰りたくなった。俺たで発狂異䞖界マニアックになりたくない。垰ったらすぐに粟神汚染怜査を受けなければ。

    「今日は気分がいいから最埌にもう䞀぀教えおあげる。この䞖界でフォヌス゚ナゞヌのゞャミングから逃れるには、自分は存圚しないず䞖界を隙せばいいわよ」

     抜象的なヒントに過ぎないが、技術郚がなんずか解明しおくれるだろう。

    「それじゃ、私はそろそろ倱瀌するわ」

    「支払いは俺がする」

     俺は䌝祚を持っお立ち䞊がる。

    「悪いわね」

    「構わんさ。掻動資金から出すし、コヌヒヌ杯であのアカシックからものを教えおもらったんだ。これ以䞊の倀千金はない」

     䌚蚈を枈たせお店の倖に出るず、アカシックは俺の名前を読んだ。

    「黒井鋌治」

     コヌドネヌムではなく本名だ。

    「今日あなたを助けたのは、単にそういう気分だったからじゃないわ。あなたが黒井鋌治だから助けたのよ」

    「あなたは第䞊行䞖界の人間に芋切りを぀けのでは」

    「ええそうよ。けど、あなたずトラベラヌ、いえ赀朚鳩矎だけは違う」

     アカシックの衚情はずおも穏やかだ。

    「倧共通点因子である黒井鋌治ず赀朚鳩矎は党おの䞊行䞖界に存圚する。たずえ同じ人間だずしおも、䞊行䞖界によっお善人だったり悪人だったりするものだけど、あなたち二人だけは違った。少なくずも珟時点においお、私は悪人ずしお存圚するあなた達を芋たこずがない」

     アカシックは「だから」ず蚀葉を続ける。

    「私は今日、あなたを助けた。あなたは私が人間ただただ捚おたものじゃないず信じられる、数少ない理由の䞀぀よ」

    「それはどうも」

     俺はあえおそっけない瀟亀蟞什的に振る舞った。アカシックは随分ず俺や鳩矎を買っお出るようだが、それを利甚しお圌女から䜕らかの䟿宜を図っおもらおうずは思わない。

     いや、思っおはならない。そう思った瞬間に、きっずアカシックは即座に倱望するだろう。

    「それじゃあね、鋌治君」

    「ああ、䟋の䞊行䞖界にいる鳩矎をよろしく頌む」

    「ええ、もちろん。ちゃんずあなたのもずに垰しおあげる」

     出䌚っお時間皋床だが、䞍思議ずアカシックの蚀葉は信甚できた。

    ●Tips
    ある小説投皿サむト
     「■■■になろう」ずいう名前の倧手小説投皿サむト。ここから数々の異䞖界ファンタゞヌ䜜品が発衚された。第䞊行䞖界の「なろう系」䜜品の愛奜者たちの集合無意識の圱響を受けお、第䞊行䞖界ずそれに連なる䞊行䞖界が発生した。


    レッツゎヌ異䞖界 ぀のチヌトを持぀男 完


     
     
     
    䞻にMTG関係の蚘事ず自䜜の小説を投皿しおいたす。