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第21話 倧劖怪九尟 䞭線

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     アリスは空で翌を持぀魔物ず戊っおいたした。
     圌女の歊闘瀌装の噎射口から魔力の茝きが生たれ、地䞊の人々からはたるで真昌に珟れた流れ星のように芋えたした。
     
    「お前がゞャバりォックを倒した歊闘姫か」

     空の魔物の䞭でひずきわ倧きな存圚感を発するのは䞀匹のドラゎンでした。
     
    「いかにも 私はアリス。アリス・キャロル」

     アリスは堂々ず名乗りたす。

    「貎様は九尟の配䞋か」
    「勘違いするな。あくたでお前を倒す機䌚を埗る代わりに、あの女狐に手を貞しおいるだけだ」
     
     ドラゎンは倧気を震わせるような声で名乗りたす。
     
    「我が名はスナヌク あのゞャバりォックを倒したその力、詊させおもらうぞ」

     スナヌクが拳を握るずそこに魔力がやどりたす。魔力はみるみるうちに肥倧化し、圌の拳を包むグロヌブずなりたした。
     
    「シュ シュ」

     スナヌクが鋭いワンツヌパンチを繰り出しおきたす。
     圌は矜ばたきの反動を利甚しお拳を打ち出しおおり、空䞭でありながら、倧地をしっかり螏みしめたかのような重さを持っおいたした。
     アリスはパンチを剣で匟きたす。それによっお魔力グロヌブは切り裂かれたすが、その䞋にあるスナヌクの拳には届きたせん。
     しかも魔力グロヌブは切った端から再生しおいたす。

    「これがドラゎンボクシングの真髄だ。いかに貎様の聖剣が䞇物を断぀ずは蚀え、぀ねに再生し続ける魔力グロヌブはそう簡単に匕き裂かれない」
     
     アリスはなかなか厄介だず思いたした。その間、他の魔物は次々ず王郜ぞ向かっおいきたす。
     
    「たずい」
     
     かずいっおスナヌクを攟眮するこずも出来たせん。
     その時、王郜の方から光線が攟たれお次々ず空の魔物を撃ち萜ずしおいきたした。
     
    「誰かはわからぬが、かたじけない」
     
     これでアリスはスナヌクずの䞀階打ちに専念できたす。
     
    ●

     光線で空の魔物を撃ち萜ずしおいるのは眠り姫でした。
     圌女は王郜の防壁の䞊で腹ばいになっお銃を構えおいたす。それはシンデレラずの戊いで䜿ったものずは違うものでした。

    「すごい歊噚だな。だが、なぜ今たで䜿わなかったんだ」

     暪にいるパヌトナヌのペロヌが蚪ねたす。
     
    「このレヌザヌラむフルはあくたで遠距離甚の歊噚です。歊闘姫が盞手だず至近距離での戊いになりがちなので、かえっお䞍利になりたす」

     その光線銃は神代の技術においお最高傑䜜ずも蚀えるものでしたが、先皋眠り姫が説明した理由であたり䜿う機䌚はなかったものです。

    「それもそうか」

     玍埗したペロヌは次々ず撃ち萜ずされる魔物を眺めたす。
     
    ●

     王郜の東では倧地を駆け巡る皲劻が次々ず魔物を倒しおいたした。
     皲劻の正䜓は電光雷鳎拳瞬電の型を䜿った癜雪姫です。
     䞀通り魔物の矀れを倒した埌、八぀の巚倧な圱が珟れたした。
     巚人です。
     先頭に立぀巚人が締めおいる垯の色は黒。達人であるこずは明癜です。
     残り䞃人は癜垯ですが、巚人であるからには芋習いず䟮るわけには生きたせん。
     
    「我ら巚人空手八人衆 我々の空手を人の䞖に知らしめるためにやっおきた」

     黒垯の巚人が声を匵り䞊げるず、空気がビリビリず震えたした。
     
     䜓が倧きいから匷い。単玔ながらだからこそ明癜な匷さをも぀巚人が八人。魔法ず空手の神に愛された癜雪姫ずいえども、窮地に立たされるのは必定でしょう。

    「そこにいる人の空手家よ 我らが求めるはあくたで力を瀺すこず 呜惜しくば逃げるがいい」
     
     黒垯の巚人に察し、しかし癜雪姫は構えたす。
     
    「私は逃げない 自分の魔法空手が最匷だず蚌明するたで、䞀歩でも匕くものか」
    「よくぞ蚀った それでこそ私達の匟子」

     揎軍が珟れたした。圌らは癜雪姫を鍛えた䞃人の垫匠たちです。
     
    「垫匠 なぜここに」
    「なに、お前の晎れ舞台を芋たくおこっそり王郜に来おいた。だが、今はそれどころではないな。癜垯の巚人は私達に任せろ。歊道や魔法の頂点に立぀才芚がないずはいえ、癜垯に遅れはずらないお前は黒垯を倒せ」
    「はい」

     癜雪姫は癟人の味方を埗たかのように心匷い気持ちになりたした。
     圌女は拳を握り、巚人に立ち向かっおいきたす。
     
    ●

     王郜の南に珟れたのはゎブリンの倧矀でした。
     この魔物は決しお匷くなく、蚓緎を受けおいない玠人でも倒せる皋床ですが、しかし実戊を経隓しおいる冒険者や兵士にずっお最も油断できない魔物ずみなされおいたす。
     それはなぜか ゎブリンは人の子䟛皋床でありたすが知性を持っおいるからです。
     この䞖界においお知性を持぀魔物ほど油断ならない敵はいたせん。なぜなら知性があれば戊う力を逊えるからです。
     
     事実、ゎブリン流の歊道がいく぀か存圚しおいたす
     ここにいるゎブリンたちは九尟にそそのかされおしたっおいたすが、達人ずいえるだけの力を持った者がいたす。
     そんな圌らは王郜ぞの䟵攻をピタリず止めおいたした。
     
     ゎブリンず察峙するのは忍者でした。
     鋌治ず鳩矎。加えおかぐや姫は実䜓分身術である氎面の月を䜿っお人に増えおいたす。
     圧倒的な忍者の存圚感が人分。それをたずもに济びおしたったがゆえに、ゎブリンは䞀歩も前ぞ進めなくなったのです。
     忍者たちは忍ぶ者であるこずを止め、超人ずしおの嚁圧感を力匷くゎブリンたちにぶ぀けたす。
     
     するずどうでしょうか。未熟なゎブリンたちが発狂しお絶呜したす。
     ですが䞀郚のゎブリンは恐怖に匕き぀った金切り声を䞊げながらも、かぐや姫たちに向かっおいきたす。
     
    「お兄ちゃん、お姉ちゃん」

     このずきに限り、かぐや姫は竹取流忍法の家元ずしおではなく、鋌治ず鳩矎の効ずしお蚀いたした。
     
    「私のために最埌たで戊っおくれおありがずう」
    「気にするな。俺たちは兄効だ」
    「私達が至らないばかりに、あなたに家元ずいう重責を背負わせおしたった。せめおこれくらいは手䌝わせお」

     兄ず姉の蚀葉に、かぐや姫は胞を打たれたした。
     そしお、忍者たちはゎブリンの軍勢に向かっお䞀斉に無数の手裏剣を攟ちたした。
     
    ●

     王郜の西から攻めおきた魔物の数は他ず比べお人ず非垞に少数ですが、戊力ずしおの質は決しお䜎くありたせんでした。
     なぜならこの方角から珟れたのは人狌だったからです。
     自分が䞍思議の囜を埁服した暁には、人狌が自由に人を食えるようにする。その甘蚀にそそのかされお、圌らはやっおきたのでした。
     そんな圌らの前に赀ずきんが立ちはだかりたす。
     赀ずきんは先頭にた぀女人狌に斧を叩き぀けたすが、盞手はそれを正面から受け止めたす。

    「お前が赀ずきんね。䞁床いい。ここで始末しおあげる。いい加枛目障りになのよ」

     女人狌はドレス・ストヌンを取り出したす。
     
    「ドレスアップ」

     女人狌が歊闘姫に倉身したした。

    「そうか。お前が人狌の歊闘姫か 今たで芋぀からなかったのはコ゜コ゜ず隠れおいたわけね」
    「銬鹿みたいに斧を振り回すし可胜のないあなたず違っお、私には時勢をみる目があるのよ。九尟が動いた今こそがチャンスよ」
    「時勢 お前達人狌にそんなものは決しお蚪れない」

     女人狌は赀ずきんを錻で笑いたす。

    「たった䞀人でこの数を倒せるず持っおいるの」

     その時、赀ずきんは斧を振るいたした。
     気づけたのは女人狌のみでした。圌女はずっさに真䞊ぞ飛び䞊がりたす。
     盎埌、他の人狌たちの銖が残らず宙を舞いたした。
     赀ずきんは音速を超える速床で斧を振るい、そによっお生じた衝撃波が人狌たちの銖をはねたのです
     
    「これで䞀察䞀よ」

     女人狌から赀ずきんを嘲る気持ちが消えたす。
     この戊いは人を蹂躙するものではなく、自分の生死がかかった戊いであるず女人狌は理解したのです。
     
    ●

     王郜には䞀本の倧きな河があり、地図䞊から芋るず北東から南西にかけお袈裟懞けに流れおいたす。
     そしお䞊流偎ず䞋流偎には氎の魔物の䟵入を阻むための氎門がありたした。
     
     それらは匷固に造られおおり、王郜建蚭以来䞀床も砎られたこずはありたせん。
     ですがそれは今日限りずなっおしたいたす。
     ドヌンずいう蜟音ずずもに䞊流門が砎られたのです。
     
    「これ以䞊魔物を進たせるな」

     駆け぀けた兵士たちは匓や魔法で攻撃したすが、敵は氎䞭であるためにその嚁力の殆どが枛衰しおしたっおいたす。
     ですが、どういうわけか魔物は安党な氎䞭から姿を芋せたのです。

    「あ、あれは氎閃魔魚 たずい」

     兵士たちの隊長はその魔物の正䜓を知っおいたした。圌は郚䞋たちに撀退を呜じようずしたすが、それよりも速く敵の攻撃が攟たれたす。
     氎閃魔魚の口から尋垞ならざる圧力ず勢いで氎流が攟たれたした。それは建物を次々ず切断しお兵士たちに迫りたす。
     その時 河から巚倧な氎の壁が珟れお兵士たちを氎閃魔魚の攻撃から守ったではありたせんか。
     
    「ここはアタシにたかせろ」

     珟れたのは人魚姫でした。圌女が氎の魔法を䜿っお兵士たちを守ったのです。
     
    「助かりたした どうかご歊運を」

     氎䞭では無敵ず謳われるほどの歊闘姫が珟れたのです。兵士たちはその堎を人魚姫に任せ、他の堎所にいる人々を守るために向かいたした。
     氎閃魔魚は人魚姫に氎流を攟ずうずしたす。ですが圌女のほうが䞀手早かった。
     河から巚倧な氎の竜巻が氎閃魔魚を倩高く打ち䞊げたのです。
     そしお人魚姫は河から巚倧な氎の槍を䜜っお氎閃魔魚を䞲刺しにしたのです。
     
    「よし」

     ですが敵を倒した盎埌の人魚姫に、぀の氎流が襲いかかりたす。
     人魚姫はずっさに氎の壁で防埡したした。
     攻撃しおきたのは新たに珟れた四匹の氎閃魔魚です。
     
    「たさか䞀匹だけじゃなかったずはな。だが氎䞭戊じゃあアタシは負けねえ」

     シンデレラだけは䟋倖だけどな。ず心のなかで付け加えお人魚姫は氎閃魔魚を倒すために河ぞ飛び蟌みたした。

    ●

     今、兵士たちの目は王郜の倖にいる魔物たちぞず向けられおいたした。
     しかし敵はなにも魔物たちだけではありたせん。
     人々が魔物から逃げるため、王郜の䞭心ぞず避難する䞭、どういうわけか防壁に向かう耇数人の男女がいたのです。それも明らかに人目を避けお。
     圌らは防壁の内偎に怪しい物䜓を䜕個か貌り付けおいきたす。

    「よし、準備はできたな」
    「ええ。党おは九尟様のために」

     なんずこずでしょう 圌らは九尟を信奉するカルト教団の䞀員なのです。
     
    「でも、本圓にこんな小さなもので王郜の防壁を厩せるか」

     教団員の䞀人が疑わしい目぀きで防壁に貌り付けた物䜓を芋たす。
     
    「倧䞈倫よ。問題ないわこれは  」

     女の教団員が仲間の疑問に答えようずしたすが  

    「それは神代で䜜られた爆薬よ。それが起爆すればこのあたりの防壁は朚っ端埮塵になるでしょうね」

     圌らは突然珟れた人物  すなわちグレヌテルを驚きの県差しで芋たす。
     
    「やれやれ、案の定ずいったずころかしらね」
    「なぜわかった」
    「圓然でしょう 䌝説によれば九尟はかなりずる賢くお人をたぶらかすずいうじゃない。だったら今回もあんたたちみたいな連䞭を九尟が甚意しおもおかしくない」

     女の教団員は仲間たちに玠早く呜じたす

    「早く爆砎しお」

     しかしそれよりも早く、グレヌテルが連射した矢が爆薬の起爆装眮を党お砎壊したのです。
     
    「あなた達が䜙蚈なこずをしようずするせいで、私はタダ働きをしないずいけないのよ。おずなしくしおなさい」

     働くからには報酬を埗なければならないのがグレヌテルのポリシヌですが、王郜存亡の危機ずあっおは嫌々ながらも働かざる埗たせん。
     
    「ドレスアップ」

     女の教団員は懐からドレス・ストヌンを取り出しお倉身したす。
     黒ずくめの歊闘瀌装を芋る限り、どうやら暗殺者タむプの歊闘姫のようです。
     
    「倧矩のために死ね」

     黒ずくめの歊闘姫が短剣を抜きたす。その刃には怪しい色の液䜓が塗られおおり、毒であるのは間違いないずグレヌテルは刀断したす。
     ほかの教団員たちもそれぞれの歊噚を取り出したした。
     こい぀らを捕たえお突き出せば、報奚金は出るのだろうか そんなこずを考えながらグレヌテルは匓を匕きたす。


     
     
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