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#パルプアドベントカレンダヌ2021 党おは安らかな倜のため2021


     子䟛がサンタクロヌスに䌚いたいず思うのは自然のこずだ。

     幌きゞョン・サンダヌスはベッドの䞭から窓に映る月を芋䞊げ、サンタクロヌスがやっおくるのを今か今かず埅っおいた。

     サンタクロヌスに䌚ったら䜕を話そうか。トナカむが匕く空飛ぶそりに乗せおもらえるだろうか。そのようなこずをゞョンが考えおいるうちに、月日から月日ぞ移り倉わっおいった。

     物音が聞こえた。ゞョンはサンタクロヌスが来たず思った。家には煙突がないから、玄関から入っおきたのかもしれない。

     数日前に聞いた友達の蚀葉を思い出す。サンタクロヌスなんかいない、プレれントは芪が甚意しおいる。

     きっずそれは半分だけ正しかったのだずゞョンは考えた。぀たり芪がサンタクロヌスからプレれントを受け取っお、自分たちの枕元に眮いおいるのだろう。

     扉越しに声が聞こえる。父ず母の声ず、別の誰かの声。

    「サンタさん」

     ゞョンは郚屋を飛び出した。サンタクロヌスにあうチャンスだ。

     圌が最初に目にしたのは赀色だ。サンタクロヌスの衣装ではない。惚たらしく䜓を匕き裂かれた䞡芪の血の色だ。

     悪魔がいた。それは人の心臓を貪り食っおいる。䜓䞭に銃痕があり、深く傷぀いおいた。 ゞョンず悪魔の目が合う。悪魔はニダリず笑った。

    「倧人は駄目だ。魂が淀んでいるからほずんど足しにならない」

     悲鳎を䞊げられないほどの恐怖で、ゞョンは動けなくなる。

    「やっぱり、食うなら子䟛じゃないずなぁ」

     悪魔がナむフのような爪を持぀腕を振り䞊げたず同時に、銃声が蜟いた。

     動きを止めた悪魔の眉間には颚穎が空いおいる。壊れた人圢のように倒れた。

     ゞョンは悪魔を背埌から撃った人物を芋る。拳銃を握ったサンタクロヌスだ。絵本や広告のむラストで描かれおいるような、髭をはやした恰幅の良い老人ではない。歳は代くらいに芋え、服の䞋からでも分かる鍛え抜いた䜓は、たるで戊士のようだった。

     蟺り䞀面が血溜たりになったこの堎所で、圌のサンタ衣装の赀だけは優しい色をしおいた。

    ●

     ゞョンは目を芚たす。過去の䜓隓を克明に再生した倢だった。

     幎前のあの日、ゞョンは悪魔を倒したサンタクロヌスに匕き取られ、クリスマスの真実を知った。

     ここずは別の次元に存圚する地獄。そこず人が暮らす珟䞖はクリスマスの寄りにのみ接続される。

     そしお地獄から䟵略しおきた悪魔は子䟛を食らうのだ。そうするず悪魔はクリスマスが終わっおも珟䞖に留たれる。

     サンタクロヌスは子䟛を守るために悪魔を倒す戊士であり、真のクリスマスプレれントずは、悪魔に脅かされず安らかに眠れる倜だ。

     真実を知ったゞョンはサンタクロヌスを志した。厳しい修行に耐え、参加者の殆どが脱萜する過酷な詊緎を乗り越えお、今幎のクリスマスが初めおの実戊ずなる。

     ゞョンはベッドから起き䞊がり窓の倖から庭園を芋る。人の手から離れお半ば野生化した花々は党おが赀い。

     この土地はどんな花を怍えようず、本来の色ず異なっお赀色になる。ゞョンが䞀時滞圚しおいるルビヌフラワヌ通もその土地柄に因んで名付けられた。

    「血ず恚みの色か」

     この土地の真実を知っおいるゞョンはふずその蚀葉を぀ぶやく。

     か぀おここは癜人至䞊䞻矩を掲げるクヌ・クラックス・クランの過激掟が掻動しおいた堎所だ。情報によれば、の内郚からすら危険芖される過激掟は、口に出すのもはばかれるおぞたしい行いをしおいた。

     過激掟は平等䞻矩ず人暩䞻矩の発展によっお駆逐された。それから時が流れ、この土地のおぞたしい歎史が忘れ去られた頃、過激掟の拠点跡地にこのルビヌフラワヌ通が建おられた。

     通の䜏民たちはしばらくは平穏に暮らしおいたが、今幎の春に遺産盞続をめぐる凄惚な連続殺人事件が発生する。それからは通に定䜏するものはおらず、空き家のたただ。

     ここたで”厄”が溜たっおいる堎所はそうはない。悪魔が地獄から珟䞖ぞ珟界するには理想的なポむントず蚀えよう。

     サンタクロヌス協䌚でも今幎のクリスマスは間違いなくルビヌフラワヌ通に悪魔が珟れるず予想し、ゞョンを掟遣したのだ。

     掟遣されたゞョンがルビヌフラワヌ通に寝泊たりしお週間。クリスマスに向けた準備は䞇端だ。

     ゞョンはアタッシュケヌスを開けお䞭の歊噚を取り出す。あず数時間で深倜だ。歊噚の手入れを怠っおはならない。

     ゞョンが䜿うのは二䞁の拳銃だ。サンタクロヌス銃殺法甚に開発されたもので、名をニコラりスずいう。

     ゞョンは銃を分解し、郚品の䞀぀䞀぀を点怜し、䞁寧に油を匕いおいく。垫から最初に教わったのは銃の敎備だ。それも培底に。よどみなく敎備出来るようになるたで技の䞀぀も教えおもらえなかった。

     二䞁ずも敎備を終え、動䜜確認のためいいく぀かの技の型を取る。

     修行を初めたばかりの頃を思い出す。あの頃の自分は䜕もわかっおいなかったずゞョンはため息亀じりに苊笑する。掟手な技を教えおくれずせがむたびに、叱られおいた。

     コンコンず扉をノックする音。二䞁の銃をそれぞれのホルスタヌに収め、扉を開けるず髭をはやした代ごろの男が぀の玙袋を小脇に抱えお立っおいた。

    「ラむアンさん、どうしおここに」

    「ここを受け持぀支揎郚隊から増員芁請があっおな。それで手を貞しに来たんだ。そしたら担圓サンタクロヌスがお前だっお聞いたんで、䞀緒にメシでもず思っおな」

     ラむアン・ブラッドは぀のうち片方の玙袋をゞョンに差し出す。

     䞭身はクラブハりスサンドだ。トヌストしたパンに挟たっおいるのはみずみずしいレタスずトマト。かりかりに焌いたベヌコン。そしおクリスマスには欠かせないタヌキヌ。

    「ああ、久しぶりだな」

     悪魔ずの戊いを目前にしお、緊匵でささくれだったゞョンの心が和らぐ。

    「俺が独り立ちする前は、皜叀の埌によく䜜っおくれたしたね」

     ラむアンこそゞョンの芪代わりにしおサンタクロヌス銃殺法の垫匠だ。

     ゜ファヌに腰掛け、ゞョンは早速かぶり぀いた。口の䞭いっぱいに懐かしい味が広がる。ラむアンももう䞀぀の玙袋から自分の分を取り出しお食べ始める。

     クラブハりスサンドをじっくり味わいながら、ゞョンはラむアンには心から感謝した。

     垫匠ずしおのラむアンは厳栌であったが、厳しいだけの男ではなかった。今こうしお䞀人前の男になれたのも、圌が枩もりや優しさを䞎えおくれたおかげずゞョンは確信しおいる。

     思い出のクラブハりスサンドのおかげで掻力がみなぎっおきた。これから珟れるであろう悪魔を絶察倒す、必ず勝っおやるず勇気が湧いおくる。

    「なあ、ゞョン、俺も䞀緒に戊う」

     ラむアンのその䞀蚀に、ゞョンは目にも留たらぬスピヌドで銃を抜いおラむアンの眉間を狙う。

     ラむアンも即座に反応しお銃を抜くが、ゞョンず比べおわずかに遅い。

    「それで悪魔ず戊えるず、本気で思っおいるんですか」

     ゞョンは修行時代のこずを思い出す。突然銃を突き぀けるのは、い぀䜕時でも盞手の動きに即反応する力を逊うためのラむアン独特の修行法の䞀぀だ。

    「力が衰えたからラむアンさんは珟圹を退いお支揎郚隊に移ったんでしょう 悪魔は俺に任せお、今の自分の仕事に専念しおください」「  俺は」

     か぀おの垫ずは思えぬほど匱々しいラむアンの声に、ゞョンはハッず息をのみ、銃を䞋ろす。

    「お前を死なせたくない。俺はお前の䞡芪を救えなかった。これでお前たで死んでしたったら、眪悪感に耐えきれない」

     ラむアンの目に涙が浮かんでいる。

     ゞョンも泣きたくなるくらい悲しくなった。昔は無敵のサンタクロヌスだったラむアンが今ずなっおは心身ずもに衰えおいる。

     同時に圌が自分を案じるのは圓然ずも思っおいた。ラむアンはゞョンの第二の父芪だ。

     思えば、あたりにも厳しい修行の日々は、ゞョンをあえお挫折させようずしたのかもしれない。サンタクロヌスは過酷な職業だ。数幎のうちに殆どが殉職する。ラむアンのように生きお匕退できるのは、䞀握りしかいない。

    「俺を息子のように芋おくれるのは感謝しおいたす。けど、幎前のあの時から俺はもう火が぀いおしたった。悪魔が子䟛を食らっお、我が物顔でこの䞖界を闊歩しようずしおいる。冗談じゃない」

     ゞョンは吐き捚おるように蚀った。

    「俺は悪魔ず戊い続ける。サンタクロヌスをやめるのは、死ぬか戊えなくなるかのどちらかだ」

    「ずきには劥協も必芁だぞ」

    「たずえこの䞖の党おが敵になろうず、俺は絶察に劥協しない」

     時間が凍り぀いたような静寂のあず、ラむアンは静かに口を開いた。

    「わかったよ。お前は蟛い修行に耐え、サンタクロヌス詊隓にも合栌した。䞀人前の男が芚悟を決めおいるんだ。俺からはもう䜕も蚀わない」

     ラむアンの目は父芪が息子を芋るものではなくなった。男が男を芋る目だ。

    「俺は持ち堎に戻る。ゞョン、あずは頌んだぞ」

    「任せおください。それずクラブハりスサンド、うたかっです。たた・・䜜っおください」

    「良いずも。腕によりをかけるよ」

     ラむアンは立ち去り、日が萜ちた。クリスマスの倜が蚪れる。

     ゞョンはサンタクロヌス衣装に袖を通し、予備の匟䞞を入れた癜いバックパックを背負う。

     あず数分で日付が倉わる。ルビヌフラワヌ通のロビヌに立぀ゞョンは、自分ず同じ日にサンタクロヌスずなった同期たちに思いを銳せる。

     サンタクロヌス刀殺法の垫走・クリスティヌナ・矎代。

     サンタクロヌス忍法の赀朚鳩矎。

     サンタクロヌス槍殺法の黒井鋌治。

     䞉人ずも自分ず同じ様に、今こうしお悪魔を埅ち構えおいるだろう。

    「党おは安らかな倜のため」

     ゞョンはサンタクロヌスの正矩を口にする。

     ゞョンを含めた人の内、誰が生き残っお、誰が死ぬかわからない。党員が死ぬかもしれないし、党員が生き残るかもしれない。

     でも、勝っお生き残る぀もりだ。今幎のクリスマスを乗り越えたら、新幎䌚を開こうず同期のサンタクロヌスたちず玄束しおいる。

    「ホヌ、ホヌ、ホヌ」

     ゞョンが行ったのはサンタクロヌスが線み出した特殊な呌吞法だ。これによっお筋肉や骚、五感ずいった人䜓の性胜そのものが飛躍的匷化される。

     月日になった。毒々しい赀色に茝く魔法陣が生じる。ゞョンは巊右のホルスタヌから銃を抜き、安党装眮を倖す。

     人の圢に䌌た異圢の圱を芋た瞬間、ゞョンは銃を連射する。

     出珟の盎埌が悪魔を倒す最倧のチャンスだ。敵が流ならこれを逃さなければ確実に仕留めきれる。

     だが、ゞョンの前に珟れた悪魔は流ではなかった。

     鈍い茝きを攟぀䜕かが、悪魔の前で乱舞し銃匟を匟き飛ばす。

    「案の定、忌々しいサンタクロヌスが埅ち構えおいたか」

     ヌンチャクだ。悪魔は金属補のヌンチャクを䜿っおゞョンの銃撃を防いだのだ。

     悪魔は生たれ持った超自然の肉䜓をより掻甚するために歊術を芚える。ヌンチャクで戊う悪魔がいるのは自明の理だ。

     ヌンチャクのリヌチは厄介だ。たずは様子をうかがうため、ゞョンは距離を保぀。

    「ホアタァ」

     シャりトずずもに悪魔がヌンチャクを振るうず、その先端から電撃匟が攟たれる

     ずっさに避けたゞョンの暪をかすめた電撃匟は壁をくり抜くように貫通しお屋倖ぞ消えおいった。

     悪魔は雷の魔術を䜿ったのだ。しかも䜙蚈な砎壊で嚁力を無駄にしないよう凝瞮しおいる。

    「お前、若いな。新米か せっかく呪文の圧瞮高速詠唱を習埗したのに、盞手に䞍足があるんじゃ興ざめだ」

    「悪かったな」

     悪態を぀くゞョンの頬を冷や汗が䌝う。圧瞮高速詠唱は悪魔の䞭でも達人のみが䜿えるずされおいる高床な技術だ。先皋のシャりトは圧瞮し高速化した呪文で間違いない。

    「アタタタタタタタタタタ」

     悪魔はヌンチャクを振り回し、電撃匟を連射する。たるで重機関銃だ

     サンタクロヌス呌吞法による五感の匷化ず極床の集䞭力によっお、ゞョンの時間感芚が鈍化する。加速した意識が肉䜓の速床を超え、たるで氎风の䞭を泳いでいるようにスロヌモヌションずなる。

     ゞョンは発砲する。匟䞞は悪魔ではなく、圌が操るヌンチャクに呜䞭した。そしおヌンチャクの先端から発射される魔術の電撃匟の軌道がそれた。

     悪魔が䞍愉快そうに眉をひそめるのを芋぀぀、ゞョンは䞀歩螏み出しながら再び撃った。 銃匟がヌンチャクにあたっお電撃匟をそらす。

     それを繰り返しながらゞョンは悪魔に接近した。日本のこずわざにならい、虎穎に入らなければ勝利はない。

     途䞭、匟䞞が切れたら、ゞョンはすかさず銃を背䞭偎に回す。バックパックに付属するロボットアヌムが即座にリロヌドした。

     やがお射撃の間合いから、栌闘の間合いぞず入った。

     悪魔は電撃匟を撃たず、垯電したヌンチャクを叩き぀けおくる。

     ゞョンは片方の銃を撃っおヌンチャクを匟き぀぀、もう片方の䞭で悪魔を攻撃する。だが、悪魔もヌンチャクを持たない腕でゞョンの銃を倖偎ぞそらす。

     銃の火ずヌンチャクの雷が無数に生じおは消える。たるでその堎に極小の嵐が生たれたかのようだ。

     たるでチェスや将棋の千日手のように、ゞョンず悪魔の攻防は拮抗した。

     刻䞀刻ず時間が過ぎおいく。悪魔ずゞョンから䜙裕が消えおいく。

     悪魔は子䟛を喰らわなければ、珟界から秒埌に地獄ぞ匷制的に戻される。悪魔にずっおそれは敗北であり屈蟱だ。

     同時にサンタクロヌスにずっおも同じ意味ずなる。悪魔を取り逃がしおしたえば、その者に幎間鍛錬する時間を䞎えおしたう。今幎殺さなければ来幎はより匷くなっお戻っおくる。

     悪魔が床を蹎り、倧きく埌ろぞ飛ぶ。

     たた電撃匟を連射する぀もりだろうか

     ゞョンは銃撃の手を止めずに远撃しようずする。

    「ホヌォォォォォォ」

     悪魔は電撃匟を撃たなかった。代わりにヌンチャクで銃匟を防ぎ぀぀、圧瞮高速詠唱でもなお䞀呌吞では終わらない呪文を唱え始めた。

     倧技を䜿う぀もりだず刀断したゞョンはリロヌドしお備える。

    「アタァ」

     呪文の最埌の䞀節を詠唱し終えた悪魔の党身が雷に包たれる。あれではうか぀に接近できない。

     意識を集䞭させ、ゞョンは五感を研ぎ柄たせる。悪魔の筋肉の僅かな動きすら芋萜ずさず、次の攻撃を先読みしようずした。

     しかし悪魔はゞョンの予想を完党に裏切った。窓を砎っお倖に出たのだ。

     想像を絶する速床で悪魔の姿が消える。先皋䜿った技は、おそらく高速移動で盞手を圧倒するものなのだろうが、あろうこずかそれを逃げるために䜿った。

    「くそっ なんお思い切りの良いプラむドの無さだ」

     悪魔に取っお䞀床戊いを始めたのならば勝぀か死ぬかの二択だ。それ以倖の結果は悪魔にずっお最倧玚の屈蟱で䞍名誉ずなる。敵前逃亡は論倖だ。

     幎前の悪魔を思い出す。あい぀はラむアンず戊っお傷぀き、䞍利になったので逃げ、人の心臓を食らっお䜓力を回埩しようずしおいた。

     粟神的な満足よりも実利を優先する者がいるのは人も悪魔も倉わらない。

     ルビヌフラワヌ通からキロほど離れた堎所に小さな集萜がある。事前調査で数人の子䟛も確認されおいた。

     悪魔はその子らを食らう぀もりなのだ。

    ●

     肉䜓に雷の魔術を付䞎する技は超垞的な悪魔の身䜓胜力をさらに匷化する効果を持぀が、同時に諞刃の剣でもあった。

    「ああ、ク゜。痛え」

     思わず声に出るほどの痛みが悪魔を苛む。電熱で内臓が焌かれおいるのだ。魔術はすでに解けおいる。

     雷の魔術の奥矩を、あろうこずかサンタクロヌスから逃げるために䜿った。この事実が知られれば地獄ではあざ笑われるだろうが、もずより故郷に戻る぀もりはない。

     悪魔にずっお䜕よりも優先するのは子䟛を食らうこずだ。子䟛を喰らい、珟䞖に氞䜏できるようになれば、人間の魂は食べ攟題だ。もう飢えるこずはない。

     悪魔の生は飢えずの戊いだ。魔力で掻動する悪魔は食事をずらなくずも死なないが、しかし飢えは人ず倉わらずにある。

     悪魔の飢えを満たせるのは人の魂のみ。だが地獄に萜ちおくる悪人の魂だけでは、すべおの悪魔を満たせない。

     必然ずしお悪魔同士の戊いが生じ、それが魔術ず歊術の研鑜にも぀ながる。

     そしお党おの悪魔は珟䞖に枡っお、飢えない日々を倢芋るのだ。

     䞍意に、足裏から硬い感觊が䌝わっおくる。

     䜕かを螏んだ。そう思った盎埌、地面が爆ぜた。悪魔は空䞭に攟り投げられ、背䞭をしたたかに打぀。

    「サンタクロヌスのくずめ。こんな卑怯な眠を仕掛けやがっお」

     悪魔の魔力を感知した時のみ起爆するクリスマス甚の地雷だ。サンタクロヌス協䌚ではこのような兵噚も開発されおいる。それをラむアンたち支揎郚隊が敷蚭した。

     喘ぎながら悪魔は立ち䞊がり集萜ぞ向かう。

     新しい痛みが悪魔の飢えを刺激する。

     悪魔は぀いに集萜に足を螏み入れた。飢えで鋭敏化された嗅芚は、目の前の家に子䟛がいるず悟る。

    「ああ、子䟛 子䟛の魂 穢れおない無垢な魂 党おを投げうっおでも欲しかったもの」

     悪魔の口から唟液が垂れる。

     子䟛の魂は䞀䜓どんな味なのだろうか。噂によれば甘いずいう。甘いずはどういう味なのだろうか

     生臭くお゚グみのある悪人の魂しか口にしおいない悪魔は、甘いを知らない。

     これからその甘いを知る。高揚感で心臓の錓動が限界たで高たる。

     だが、その錓動は唐突に停止した。背埌から撃ち蟌たれた、䞀発の匟䞞によっお。

    ●

    スコヌプ越しに悪魔が倒れるのをゞョンは芋た。

     圌は拳銃ではなく察物狙撃ラむフルを構えおいた。名をベルツヘルムずいう。

     ゞョンが習埗したサンタクロヌス銃殺法は䜕も拳銃を䜿った栌闘に限らない。狙撃の技もあるのだ。

     狙撃は特に培底しおラむアンに叩き蟌たれた。ゞョンが自分ず同じ過ちを䟵さないよう、䞇が䞀悪魔が逃げおも、誰かが犠牲になる前に射殺できるようにするためだ。

    「こちらゞョン。悪魔を倒した。死骞の回収ず珟堎の隠匿を頌む」

     通信機を䜿っお支揎郚隊に連絡する。

    『了解した。あずはこっちに任せお䌑んでいろ』

     応答したのはラむアンだった。圌の声でゞョンは緊匵をずき、安堵する。

     ゞョンはもう䞀床、ベルツヘルムのスコヌプを芗く。その先には、悪魔が襲撃しようずした䜏宅がある。窓からは子䟛がすやすやず眠っおいる姿が芋えた。枕元にはその子の䞡芪が眮いたであろうクリスマスプレれントがある。

     それを芋たラむアンは誇らしい気持ちになった。

    終わり

    あずがき
     匕き続き今幎もパルプアドベンドカレンダヌに参加したした。
     昚幎投皿したサンタクロヌス女サムラむ小説の蚭定がかなり気に入ったので、同じ䞖界芳で別のサンタクロヌスの物語を曞きたした。前䜜は戊闘シヌンのみでしたが、今回はゞョンのバックボヌンや䞖界芳を掘り䞋げた描写したした。
     本䜜に読者は戞惑うかもしれたせん。でも、別に執筆圓時の私が酔っ払っおいたずか、広矩のハヌブを吞っおたずかじゃないです。完党なシラフ、完党な正気でアりトプットしたした。
     小説ずいうのは䞖界芳ずかキャラの䟡倀芳をしっかり蚭定しおおくず、「こういう䞖界、こういう人物ならこうなるだろう」ずいう想像力が自然ず働いお、䜜者でも予想倖の文章や展開が出おくるのです。これがいわゆる「キャラが自然に動き出す」ずいうや぀なのです。

    明日はakuzumeさんの「䞉䜍䞀䜓は倩接炒飯なのか?」です。お楜しみに


    昚幎投皿䜜


     
     
    䞻にMTG関係の蚘事ず自䜜の小説を投皿しおいたす。