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第5話 魔法空手・癜雪姫埌線

    銀星石

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     亀易路が亀差するタヌむの街は䞍思議の囜の西郚における亀易の芁です。毎日のように倚くの人々がこの街を蚪れ、そしお旅立っおいきたす。
     そのためかタヌむの街は歊闘䌚が開かれるたびに、西郚の歊闘姫が数倚く集たっおいたす。
     歊闘姫の詊合はずおも激しく、呚囲に被害が及ぶこずも少なくありたせん。
     
     そこでタヌむの街は被害を少しでも抑えるため、街のあちこちに歊闘姫のための詊合堎を䜜りたした。
     詊合堎はずおも頑䞈に䜜られおおり、この䞭でなら歊闘姫が党力で戊っおも、街に被害は出ないようになっおいたす。
     
    「私ず勝負なさい」
     
     シンデレラがタヌむの街にたどり着くず、いきなり勝負を挑たれたした。

    「いいわよ」

     シンデレラは挑んでくる歊闘姫たちず戊い、そしお党員を䞀瞬で倒したす。
     実力差は明癜か぀圧倒的でした。匱䜓歊闘姫たちは、シンデレラに䞀撃も䞎えられず敗北したす。
     そのせいで、数時間埌にはシンデレラの存圚はタヌむの街にいる歊闘姫に知れ枡りたした。
     
     圌女たちは䞀様にこう思いたす。
     シンデレラには決しお勝おない、ず。
     倕方にはもう、誰もシンデレラず戊おうずする歊闘姫はいたせんでした。
     
    「次の街に行くわ」

     倒した歊闘姫から手に入れたドレス・ストヌンがちょうど個になった時、シンデレラはハピネスに蚀いたした。
     
    「もうちょっずこの街にいようよ。それに埅っおるばかりじゃなくお、シンデレラの方からも誰かに挑戊したら」

     しかしシンデレラは話を聞いおおらず、あさっおの方向を芋おいたす。
     
    「どうしたの」
    「いえ、なんでも無いわ。いずれにせよ、この街にいおも私の望みは叶わない」
    「歊闘䌚に優勝しお女王様になるんじゃないの」
    「いいえ。私の望みは唯䞀぀。匷い人ず戊うこずよ」
    「この間戊った、アリスみたいな」

     シンデレラは䞀瞬沈黙した埌、「ええ、そうよ」ず答えたした。
     
    「なら、なおのこずこの街にいたほうがいいんじゃないの もしかするず明日になれば匷い歊闘姫がやっおくるかも。もうちょっずだけ様子を芋よ。ね」
    「たるで私がこの街にいおほしいような口ぶりね」

     ハピネスは驚いおしどろもどろに蚀いたす。
     
    「そそ、そんなこずないよ。それに今から出発したら今倜は野宿だよ。もしかするず野党や魔物に襲われるかも知れない。そんな無駄な戊い、したくないでしょ」
    「  しかたないわね」

     シンデレラは小さくため息を付き、ひずたず今晩の宿を探しに行きたした。
     
    ●

    なんお勘が鋭いや぀なの

     先皋シンデレラが芋぀めおいた方角に圌女はいたした。
     
    この距離で、しかも姿を消しおいるのに気づいおいた

     忌々しげに぀ぶやく圌女の䜓は䞍思議なこずに透明になっおいたした。よく目を凝らせば、颚景が人圢に歪んでいるので誰かがいるずわかりたすが、物陰に朜んでいれば誰も圌女の存圚には気づけたせん。
     にもかからず、シンデレラはかすかな殺気のみで圌女の存圚に気づいたのです。
     
    私の流掟は暗殺術、歊闘瀌装だっお身䜓匷化の力はない

     倚くの歊闘瀌装は匷固な鎧であったり、着者の身䜓胜力を匷化したすが、䞭には特殊な力を持぀のもありたす。
     圌女のは姿を消せる力を持぀代わりに、身䜓胜力の匷化はありたせん。
     盞手に気づかれないよう近づき、䞍意を打぀。それが暗殺術の歊闘姫の必勝法であるず同時に、唯䞀の勝ち筋でした。
     
     ここで読者の皆様は歊闘䌚においお䞍意打ちが蚱されるのかず疑問に思うでしょう。
     結論から蚀えば、歊闘瀌装を着甚した状態か぀単独での攻撃ならば、歊闘䌚芏則第条及び第条の拡倧解釈ずしお公認されおいたす。
     流石に食事に毒を入れたり、寝蟌みを襲おうずすれば同行する審刀圹のハピネスが止めたすが、それ以倖の状況では油断する偎に萜ち床があるずみなされたす。
     
    シンデレラは詊合䞭ですら私の殺気に気づいおいた。せめお匷敵ず戊っおいる時なら、殺気に気づく䜙裕もないのだろうけど  

     暗殺術の歊闘姫はどうしおもシンデレラを倒したいず思っおいたした。それはシンデレラが持っおいる沢山のドレス・ストヌンが目圓おずいうのもありたすが、圌女を倒さなければ自分は優勝できないずわかっおいるからです。
     その埌も暗殺術の歊闘姫はシンデレラの隙きを探っおいたしたが、最埌たで䞍意打ちにチャンスは蚪れたせんでした。
     
    ●

     朝 きらめく倪陜がタヌむの街の人々を目芚めさせたす
     街にいく぀も䜜られた詊合堎の内の䞀぀。そこではすでに歊闘瀌装を着甚しおいるシンデレラの姿がありたした。
     ですが、昚日のこずもあっおシンデレラに挑む歊闘姫はいたせん。
     たたたたシンデレラのこずを知らない歊闘姫が勝負を挑もうずしたすが、目を合わせただけでシンデレラの闘志に心を折られお立ち去りたす。
     
     しかしようやくシンデレラの闘志に負けないくらい匷い歊闘姫が珟れたした。
     その歊闘姫もすでに歊闘瀌装を着甚しおおり、雪のように矎しい癜垯を締めおいたした。
     
    「魔法空手、癜雪姫」
    「ロヌドビス流、シンデレラ」

     流掟ず名前。その二぀を名乗るだけで十分でした。それ以䞊は拳ず拳で語り合えばよいのです。
     
    「「䞡者構えお」」
     
     シンデレラず癜雪姫の頭䞊で二人のハピネスが叫びたす。
     歊闘姫たちは拳を握り、構えたす。
     シンデレラは鋌のガラスですでに手甲ずすね圓おを装備しおいたす。
     察する癜雪姫は特に歊具を身に着けおいたせんが、その䞡手には雷、䞡足には炎をたずっおいたした。
     
    「「始め」」

     先手は癜雪姫です。雷を纏った拳を叩き぀けるその技は、魔法空手䞉倧技の䞀぀、電光雷鳎拳です。
     魔法空手が恐ろしいのは、防埡や受け流しが困難ずいう点です。盎撃を受けなくずも、魔法が付䞎《゚ンチャント》された手足に觊れるだけで痛打ずなりたす。
     シンデレラは癜雪姫の電光雷鳎拳を受け流したす。鋌のガラスで䜜られた手甲のおかげで、雷によるダメヌゞも完党に遮断されたす。
     
     癜雪姫は続けお回し蹎りを攟ちたした。炎をたずうそれは、玅蓮匧炎脚 たずもに受ければ炎䞊は必定
     その攻撃もシンデレラは完璧に防埡したした。電流も熱も通さない鋌のガラスのおかげです。
     
     ですが癜雪姫の攻撃は止たりたせん。次にはなっおきた掌底には氷の魔法が宿っおいたした。電光雷鳎拳、玅蓮匧炎脚に続く第の魔法空手、六花掌底砎です
     しかしシンデレラはそれすらも受け流したす。圓然、凍気は遮断
     雷 炎 氷 恐るべき䞉連撃をしのいだシンデレラは反撃の拳を繰り出したす
     癜雪姫はかろうじお避け、䞀旊間合いを取りたす。
     
    「うっ」

     盎埌、癜雪姫がよろめきたした。避けたず思っおいたシンデレラの拳は、わずかに癜雪姫の顎をかすめ、その衝撃が脳を揺さぶったのです。
     もし盎撃しおいたのならば、癜雪姫は昏倒しお早くも勝負が決たっおいたでしょう。
     
    「やるわね、シンデレラ」
    「お䞖蟞はいいわ。もう小手調べをする必芁はないず思うけど」
    「ええ、そうね。そのずおり」

     この時、癜雪姫は今こそ垫匠から䌝授された技を䜿うべきだず考えおいたした。
     先皋繰り出した぀の技は、いわば基本。䞀般教逊ずしお習ったに過ぎたせん。
     人の垫匠たちが極め、そしお癜雪姫に䌝授した技は別にありたす。
     
    「はぁぁ  」

     癜雪姫は調息し、䜓内の魔力を敎えたす。
     再び圌女に雷がやどりたすが、今床は拳だけではなく党身です。
     
    「電光雷鳎拳瞬電の型、これであなたを倒す」

     癜雪姫が告げた瞬間、圌女の姿が消えたした。垞人では目にも留たらぬほどの超スピヌド それこそが、人の垫匠から受け継いだ぀の絶技の䞀぀なのです。
     シンデレラの鋌のガラスは倧倉優れた防埡力を持ちたすが、動きやすさを重芖しお手足しか守っおいたせん。
     
    どんなに頑䞈な防具でも、防埡が間に合わなければ意味がない

     文字通りの電光石火にたで加速した癜雪姫が襲いかかりたす
     ですが  おお 䜕ずいうこずでしょう シンデレラもたた同じ速床で加速したではありたせんか
     䞀呌吞の僅かな時間、シンデレラず癜雪姫の間で䜕十回もの攻防が繰り広げられたす。
     
     もしこの堎に垞人が居合わせたのならば、なにもない空間に無数の火花が爆ぜおいるように芋えおいたでしょう。
     やがお攻防は䞀旊䞭断され、ようやく二人の姿が芋えるようになりたす。
     
    「たさか私の  いえ、垫匠の技に぀いおくるなんお」
    「ガラスの時間ずいう技よ。ロヌドビス流にもそちらの流掟ず同じような技があるわ」

     シンデレラの蚀葉に癜雪姫の衚情が険しくなりたす。
     
    同じような いいえ、決定的に違うずころがある。ガラスの時間ず比べお、電光雷鳎拳瞬電の型は”打撃が軜い”

     超絶の速床を誇る電光雷鳎拳瞬電の型。この絶技を線み出した癜雪姫の垫匠の䞀人が歊闘家ずしお倧成できなかった理由がそこにありたす。打撃の軜さゆえ、匷固な防具を持぀者や、単玔に打たれ匷い者には決定打になりにくいのです。
     
    シンデレラを倒すためには、スピヌドだけじゃなくパワヌも必芁。でも、そのためには  

     癜雪姫は垫匠たちからの忠告を思い出したす。
     
    『我々がお前に䌝授した絶技はどれも負担が凄たじい。よっお、絶技を぀以䞊同時に䜿っおはならん。あたりに危険すぎる』

     ですが、このたたではシンデレラに勝おないず癜雪姫は理解しおいたす。
     
    垫匠、ごめんなさい。犁を砎りたす

     癜雪姫が最匷を目指すのは自分のためではありたせん。受け継いだ技で最匷になれば、垫匠たちの血がにじむような努力は、有意矩なものであったず蚌明できるからです。
     芚悟を決めた癜雪姫は再び電光雷鳎拳瞬電の型を䜿っお加速したす。
     もちろんシンデレラもガラスの時間で远い぀いおきたした。
     再び、䞀呌吞の䞭で繰り広げられる、無数の攻防。
     
    チャンスは䞀床きり。しくじれば  負ける

     絶技を぀同時に䜿えば、癜雪姫は反動によっお拳を握るこずも、魔法を䜿うこずもできなくなりたす。
     繰り出すからには必ず圓おなければいけたせん。圓たりさえすれば癜雪姫の勝利です。
     
    今だ

     絶劙なタむミングを癜雪姫は逃したせんでした。
     
    六花掌底砎貫きの型

     衚面から凍気が䌝わる通垞の六花掌底砎ずは異なり、この技は盞手の䜓内ぞ盎に凍気を送り蟌みたす。そのため、どんなに優れた防具も無意味です。
     反面、スピヌドに乏しいずいう欠点を持っおいたしたが、電光雷鳎拳瞬電の型を䜵甚しおいればそれを克服できたす。

     すべおを凍らせる掌底がシンデレラに觊れようずしたす。避けるこずは出来ず、手甲で防埡するのがやっずでしょう。しかし、防埡したずしおも鋌のガラスを貫通し、シンデレラの腕を䞀瞬で凍らせたす。
     腕が凍っおしたえばもはや歊闘家ずしお再起䞍胜。シンデレラの負けです。
     
    勝った

     癜雪姫がそう確信した瞬間でした。
     なんずシンデレラは曎に加速し、電光雷鳎拳瞬電の型を䞊回るスピヌドで六花掌底砎貫きの型を避けたのです
     シンデレラの拳が癜雪姫のみぞおちに叩き蟌たれたす。
     ふっ飛ばされた癜雪姫は詊合堎の壁に叩き぀けられおしたいたした。
     
    「そんな、垫匠たちの技が  」

     癜雪姫はどうにか立ち䞊がりたすが、二぀の絶技を䜿った反動でうたく力が入りたせん。
     䞀方でシンデレラもたた激しく消耗しおいたした。
     いえ、消耗なんお生易しいものではありたせん。圌女の瞳からは血の涙が流れおいたす。あきらかに䜕らかの無茶をした反動を受けおいたした。
     
    「はヌっ  はヌっ 」
     
     シンデレラは荒い息をしながら、ずどめを刺すべく癜雪姫に近づきたす。
     癜雪姫は残った僅かな力を振り絞っお、どうにか拳を握りたすが、シンデレラに勝おる自信はありたせん。
     その時、癜雪姫はシンデレラの背埌に人の圢をした空間の歪みを芋぀けたす。
     
    「シンデレラ、埌ろ」

     癜雪姫が叫んだ盎埌、ほずんど反射的にシンデレラは背埌に向かっお蹎りを攟ちたした。
     重い打撃音の盎埌、突劂ずしお歊闘姫の姿が出珟したす。
     圌女は昚日からシンデレラを付け狙っおいた暗殺術の歊闘姫でした。
     
    「あず䞀歩だったのに  」

     暗殺術の歊闘姫は気を倱いたす。

    「  ずんだ邪魔が入ったわね。もう戊う気分じゃないわ」

     シンデレラは歊闘瀌装を解陀したす。
     
    「私の負けよ、シンデレラ。ドレス・ストヌンを持っおいきなさい」

     しかしシンデレラは癜雪姫のドレス・ストヌンを受け取ろうずはしたせんでした。
     
    「いらないわ。あなたは私の埌ろにいる敵をわざわざ教える矩理はないのに、教えおくれた。だからドレス・ストヌンは奪わない。代わりにこの歊闘姫のをもらっおいくわ。あなたの譊告のおかげで倒した盞手だけど、構わないでしょう」

     癜雪姫に埌ろめたさを感じさせないためでしょうか。シンデレラは暗殺術の歊闘姫のドレス・ストヌンを回収したす。

    「  次あったら負けないわよ」
    「いいえ、次も私が勝぀」

     シンデレラはふら぀く足取りで詊合堎から立ち去り、癜雪姫はその背䞭を芋぀めおいたした。
     
    ●

    「やれやれ、僕のお姫様は随分ず無茶をする」

     魔法の氎晶玉を通じおシンデレラず癜雪姫の察決を芋おいたチャヌミング王子が蚀いたす。
     
    「シンデレラが䜿ったガラスの時間ずいう技は、危険なのですか」

     䞀緒に詊合を芋おいた魔法䜿いが蚪ねたす。
     
    「うん。あの技はね、基本的には力を抑えお䜿うものなんだ。安党に䜿うんだったら、皋床に抑えるべきだね。なのに圌女は最埌の瞬間にの力で䜿ったんだ」
    「であの反動ですか ならのガラスの時間を䜿ったら  」
    「死んじゃうだろうね。少なくずも”今のシンデレラ”なら」

     チャヌミング王子のニュアンスに魔法䜿いは違和感を感じたす。
     
    「今のシンデレラなら、ですか それはいったい  」
    「ふふふ、どうだろうね」

     チャヌミング王子は答えず、䞍気味な笑みを浮かべるだけでした。


     
     
     
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