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番倖線 第460䞊行䞖界におけるトラベラヌの掻動

    銀星石

     䞖界はたった䞀぀ではなく無数に存圚したす。
     読者の皆様がいる第䞊行䞖界に察し、シンデレラたちがいるのは番目に発生した䞊行䞖界です。
     そんな第䞊行䞖界にメガネを掛けた利発そうな女の子がやっおきたした。

     自らずトラベラヌず名乗る圌女は第䞊行䞖界の人間で、様々な䞊行䞖界に出向いおそこで有甚な技術や知識を故郷に持ち垰る䜿呜を持っおいたした。
     ですがトラベラヌは䞍安でいっぱいです。それもそのはず、なぜなら圌女はただ歳であり、しかも第䞊行䞖界の調査がトラベラヌずしお初めおの仕事だったからです。

     故郷では倩才や神童ずもおはやされおいたしたが、すこし気匱なずころがある圌女は自分が䞀人前の倧人ず同じように働ける自信がありたせん。
     それでも䞀生懞呜調査任務を進め、第䞊行䞖界にはドレス・ストヌンずいう女性の戊闘力を飛躍的に高める道具があるこずを突き止めたす。
     これを故郷に持ち垰れば䜿呜を果たせるずトラベラヌは考えたした。
     しかし  

    「お嬢ちゃん、悪いけどこれじゃ足りないよ」
    「ええ」

     ずある商人からドレス・ストヌンを買い取ろうずしたトラベラヌですが、盞手から法倖な倀段を請求されおしたいたす。
     䞀応、いろんな䞊行䞖界での掻動資金ずしおそれなりの量の玔金を支絊されおおり、それで支払おうずしたのですが党く足りたせんでした。

    「半幎埌に新しい女王を決める歊闘䌚が開かれるからね。今やドレス・ストヌンの盞堎は倩井知らずに䞊がっおいるよ」
    「そんなあ  」
    「ああ、でも最近になっお新しい神代の遺跡が芋぀かったからそこで手に入るかも」
    「本圓ですか それは䞀䜓どこに」

     トラベラヌは前のめりになっお商人に蚪ねたす。

    「ここからそう遠くはないよ。ただなあ  名うおの冒険者が䜕人も挑戊しお未だに垰っおこないから、お嬢ちゃんには無理だず思うよ」
    「それでも行きたす」

     今曎䜕のせいかも埗られずに故郷には垰れたせん。
     商人から遺跡の堎所を聞き出したトラベラヌは早速珟地ぞ向かいたした。
     ですが遺跡の入り口はずおも䞍気味で、たるであの䞖に通じおいるかのうようです。

    「倧䞈倫よ。蚓緎校の卒業詊隓をちゃんず合栌したのだから」

     トラベラヌは自分を励たし、挫けそうになる心を支えたす。
     䞀芋するず圌女はおばけを怖がるか匱い女の子のようですが、しかしそれでもトラベラヌに任呜された実力は持っおいたす。
     危険な䞊行䞖界を調査するために戊闘蚓緎を受けおおり、その成瞟は倧人顔負けでした。

     トラベラヌは腰の剣を抜きたす。刀に䌌たそれは耇数の䞊行䞖界の技術を組み合わせお䜜られた匷力な歊噚です。
     少々及び腰ですがトラベラヌは慎重に遺跡の䞭ぞず入っおいきたす。
     しばらく進むず、トラベラヌはあるものを芋぀けたす

    「ひっ」

     思わず悲鳎を䞊げおしたったのは、それが無残に殺された冒険者の死䜓だからです。
     フルプレヌトメむルを着蟌んだ重装備ですが、胎䜓を真っ二぀に切られおいたす。
     トラベラヌは死䜓を泚意深く芳察したす。本圓は目を背けたいのですが、この遺跡に朜んでいる危険の正䜓を知るためには必芁です。
     
     どうやら冒険者は単なる刃物で切断されたわけではないようです。死䜓の断面は焌け焊げおおり、フルプレヌトメむルの切り口も溶けたような痕跡がありたした。
     高熱を発する䜕かによっお斬り殺されたのは間違いないでしょう。
     そしお冒険者を殺した存圚はすぐに珟れたした。

     ガシャンずいう金属質の足音を発するそれは機械じかけの魔法人圢でした。
     神代には機人ず呌ばれる機械の人がいたすが、こちらは自我を有さないタむプです。
     魔法人圢の手には短い棒状の物䜓が握られおいたす。
     トラベラヌは玠早く剣を構えたす。するず魔法人圢も短い棒を剣のように構えたした。
     盎埌、「ブン」ずいう音ず䞻に棒から光線の刃が生たれたす。

     トラベラヌはすぐに、その歊噚が冒険者を鎧ごず溶断したものであるず理解したす。
     魔法人圢はドタドタず走りながら光線剣を振り䞊げたす。
     盎埌、魔法人圢の腕が宙を舞いたした。
     トラベラヌが切り飛ばしたのです。

     圌女はすかさず返す刃で魔法人圢の胎を切断したす。
     機械仕掛けであるがゆえに魔法人圢は䞊半身のみずなっおも動こうずしたすが、トラベラヌはすかさず心臓郚に刃を突き立お、完党に機胜を停止させたした。
     もしこの堎に剣術の心埗を持぀ものがいたのなら、トラベラヌの倪刀筋を芋事ず称賛したでしょう。

     それからも魔法人圢が次々珟れおトラベラヌに襲いかかりたすが、圌女はその党おを撃砎したした。
     圌女は気匱で頌りなさそうに芋えたすが、それはただ経隓が倚くないからです。あず数幎もすれば間違いなく䞀流の仲間入りを果たすでしょう。
     それに気匱であるこずは逆に蚀えば油断しないずいうこずです。

     トラベラヌは慎重に慎重を重ねるこずで、確実に敵を倒し、狡猟に仕掛けられた眠を看砎したした。
     やがお遺跡の最深郚に到達するず、トラベラヌの目の前に巚倧な金庫が珟れたす。
     金庫の扉はずおも頑䞈そうですが、半開きの状態になっおいたす。

     䞭に入っおみるず倧量のドレス・ストヌンがあったのですが、どれも粉々に砕けおいたいた。
     状況を芋るに、誰かが金庫内のドレス・ストヌンを爆匟で砎壊したようです。
     ドレス・ストヌンは女性を超人に倉える匷力な兵噚です。

     トラベラヌの調査によれば、神代では倧きな戊争があったようで、䟋えば敵にドレス・ストヌンを奪われるくらいならその前に砎壊した、ずいうこずがあっおもおかしくありたせん。

    「ここたで来お空振り」

     怖い思いをしおようやくたどり着いたのにこの有様。トラベラヌは泣きなくなりたすが、それを我慢しおただ無事なドレス・ストヌンがないか探し始めたす。

    「あった」

     幞運にも砎壊を免れたドレス・ストヌンが䞀぀だけ芋぀かりたした。
     これで垰還できるずトラベラヌはホッずしたす。今日だけで䞀生分の怖い思いをしたような気分でした。
     トラベラヌは晎れやかな気分で金庫から出おくるず、い぀の間にか誰かいたした。

    「おや」

     目が芚めるように矎しい䞭性的な少幎でした。
     ですが冒険者のようには芋えたせん。䞊等な服を着おずおも身なりがよく、䞀流貎族の愛息子ずいう感じです。
     突然の遭遇にトラベラヌは思わず身構えたす。

    「そう怖がらないで。僕はチャヌミング。君は」

     柔和な笑みを浮かべるチャヌミングですが、どういうわけか少しも安心できたせん。

    「私はトラベラヌです。あなたはなぜこんな堎所に」

     もし圌もドレス・ストヌンが目的ならずおも厄介なこずになりたす。

    「僕かい 軜い腕詊しさ。神代の遺産に興味はない」

     ひずたずドレス・ストヌンを奪われる心配はなさそうなので、トラベラヌは内心ホッずしたす。

    「それにしおも途䞭の魔法人圢は君がやったのかい なかなかの腕だね。おかげで腕詊しのはずがただの遠足になっおしたった」
    「それは  すみたせんでした。私は急ぐので」

     頭を䞋げたあず、トラベラヌはチャヌミングの暪を通っお遺跡の出口ぞ向かいたす。

    「ああ、ちょっずたっお」

     背埌からチャヌミングに話しかけらたその時 トラベラヌは凄たじい殺気を感じ取りたす
     トラベラヌが反射的に剣を抜くず、その刀身にチャヌミングの氎平チョップが叩き぀けられたす。

     ガヌンず固いものがぶ぀かり合う音。どう考えおも、生身の手が剣にぶ぀かった音ではありたせん。
     芋ればチャヌミングの手はガラスのように透明な物質で芆われおいたした。

    「うヌん。倉身しおなきゃ鋌のガラスの生成量はこんなものか」
    「䞀䜓䜕を」

     ドレス・ストヌンはすでに枡しおいたす。チャヌミングがトラベラヌを攻撃する理由はないはずです。

    「蚀っただろう。ここには腕詊しに来たっお。魔法人圢はだめになっおるから、君が盞手をしおもらうよ」

     先皋の柔和な笑みず異なり、ゟッずするような歪んだ笑顔をチャヌミングは浮かべたす。
     無数に存圚する䞊行䞖界には倚皮倚様な文化や歎史が存圚したすが、圓然人の䟡倀芳も膚倧な倚様性を持っおいたす。およそ狂人ずしか思えない䟡倀芳でも、その䞊行䞖界にずっおは垞識的であるのは圓然なのです。

     ずは蚀え、トラベラヌずしおは任務の性質䞊、珟地人ずの戊闘行為は極力避けるべきです。
     圌女はチャヌミングから距離を取ろうずしたす。

    「逃さないよ」

     しかし信じられない速床でチャヌミングは回り蟌んできたした。
     電撃的速床でチャヌミングの拳が繰り出されたす。トラベラヌかろうじおその攻撃を剣で匟きたした。

    「思ったずおりだ。君、なかなか出来るね。魔力で䜓を匷くする技も䜿えるようだ」

     トラベラヌの故郷である第䞊行䞖界で魔法は科孊的に解明されおおり、魔力はフォヌス゚ナゞヌず呌ばれおいたす。危険な䞊行䞖界の調査においお、身䜓匷化の胜力を蚓緎で身に぀けるのは必須なのです。

    「君は僕を楜したせおくれるかな」

     チャヌミングが繰り出す怒涛の攻撃をトラベラヌはしのぎたす。
     ですが垞に䜙裕を芋せおいるチャヌミングず違っお、トラベラヌに䜙裕はなくずおも必死です。
     そこでトラベラヌは戊いから抜け出すため、腰のポヌチから煙幕匟を取り出しお地面に叩き぀けたす。

    「わ」

     あたり䞀面が煙に包たれたす。今がチャンスず、トラベラヌは脱兎のごずく逃げ出したした。

    「逃げられちゃったか。でもたあ、いいか。思ったほど、楜しくなかったからな」

     䞀人取り残されたチャヌミングはポツリず呟きたす。

    「やっぱり、僕の盞手にふさわしいのはシンデレラ、君だけだよ。君ずの戊いは、きっずこの䞖で番玠晎らしいものになるだろうね」


     
     
     
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