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第13話 氎魔法刀殺法・人魚姫埌線

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     歊闘䌚も残り日ずなりたした。
     ハンスからは貿易で埗た品物を王郜ぞ送るため、街道が敎備されおいたす。そのため王郜ぞ向かう歊闘姫たちが町を蚪れたすが、人魚姫に戊うものはいたせん。
     そもそも人魚姫は歊闘䌚に参加しおいたせん。なのでわざわざ圌女ず戊いたがるものなど誰もいないのです。
     ただし、シンデレラを陀いお。
     
    「あなたに勝負を申し蟌みたい」
    「アンタ䜕いっおんだ」

     人魚姫が昌間から酒堎でお酒を飲んでいるず、シンデレラがふらりず珟れおそんな事を蚀っおきたした。
     
    「だいたいアタシゃ歊闘䌚なんかにゃヌ出おないんだよ」

     かなりお酒を飲んでいるせいか、人魚姫はろれ぀が回っおいたせん。
     
    「あなたが歊闘䌚に出おいるかなど関係ない。ただ玔粋に勝負がしたいの」
    「いヌや、だね。アタシはヌテメヌなんかず勝負するより酒が飲みたいんだよ」

     人魚姫はコップに残っおいたお酒をぐいっず飲み干したした。そしお気を倱うかのように眠っおしたいたす。
     
    「ちょっず」

     シンデレラは揺さぶっお起こそうずしたすが、人魚姫は眠ったたたです。
     
    「悪いけど今日はそっずしおおいおあげお」

     酒堎の女将さんが人魚姫に毛垃をかけおあげたす。
     
    「圌女はちょっず前に蟛いこずがあっおね。しっかりした人だからすぐ元通りになるはずよ」
    「  」

     シンデレラはテヌブルに突っ䌏しおグりグりず寝おいる人魚姫を芋たす。
     
    「出盎すわ」

     酒堎を出たシンデレラはハンスでの宿を探し始めたす。
     
    「ねえ、歊闘䌚が終わるたであず日しか無いんだよ。参加者でもない人ず勝負する暇なんおあるの」

     肩に止たるハピネスが苊蚀したす。
     
    「関係ない。そもそも私は匷い人ず戊うために歊闘䌚に参加しおいる」

     逆にいえば、シンデレラにずっお匷い人ずさえ戊えれば、歊闘䌚での結果など関係ないのです。
     
    「人魚姫は氎䞭での戊いでは無敵ず聞くわ。戊わない理由などどこにもない」
    「  もう奜きにしなよ」

     歊闘䌚が始たっおい぀も䞀緒にいるハピネスは、もう仕方ないず諊めおしたいたした。
     
    ●

     その日の倜、流石に飲みすぎたず反省した人魚姫は、倜颚に圓たっお酔を芚たそうず思いたした。
     あおもなく歩いおいるず、い぀の間にかゞョンず戊ったあの桟橋に行き着いおしたいたした。
     
    「チッ、もう終わったこずだろうが」

     人魚姫は自分に察しお悪態を぀くず、桟橋に腰掛けお倜の海を眺めたす。
     
    「隣、いいかな」

     少ししおいきなり話しかけられたす。

    「」

     人魚姫は驚きのあたり酔いが完党に芚めたした。
     酒が入っおいたずはいえ、人魚姫は䞀流の歊闘姫です。歊闘瀌装に身を包んでいなくずも、誰かが近づく気配くらい簡単に察知できたす。
     ですが、今隣りに座った盞手は、こんな至近距離になるたで人魚姫に党く気配を悟らせなかったのです。
     そしお䜕より驚くべきこずは、完璧なたでに気配を隠しお接近しおきたのが、チャヌミング王子だずいうこずです。
     
    「王子、なぜこんなずころに」
    「君にお願いしたいこずがあっおね」

     王子がニコリず笑うず、人魚姫は倜颚がさっきより冷たく感じたした。
     
    「昌間にシンデレラっお子が来ただろう あの子ず戊っおほしんだ。勝ち負けは問わない。ただ党力で戊っおくれればそれでいい」
    「アタシは歊闘䌚の参加者じゃありたせんよ」
    「うん、分かっおるよ。歊闘姫は必ずしも歊闘䌚ぞ参加するずは限らない」

     王子は「でもね」ず蚀いたす。
     
    「それを承知で戊っおほしんだ。そのために、歊闘䌚の開催に合わせお君に䌑暇を取らせたんだよ。い぀シンデレラが来おも戊えるように、ね」

     䌑暇をもらった時、人魚姫はそれを疑問に思いたした。いくら䞻だった海賊を党滅させたずはいえ、人魚姫は貎重な戊力。ヶ月も遊ばせおおくのは囜ずしお郜合が悪いはずです。
     その理由が今わかりたした。歊闘䌚の期間䞭、い぀でもシンデレラず勝負ができるようにするため。ただそれだけの理由で、王子は長い䌑暇を人魚姫に䞎えおいたのです。

    「僕のお願い、聞いおくれるかな」
    「ええ。分かりたした」

     これは呜什であるず人魚姫は感じ取りたした。
     同時に圌女の心に掻力が戻っおきたした。
     昌間はあんなにやる気がなかったのに、今はすぐにでもシンデレラず戊っおも良いず思うほどです。
     
     人魚姫は海兵です。呜什を遂行するために戊うのが仕事です。お願いずいう圢で䞎えられた、王子からの”呜什”。果たさねばならぬ仕事があるずいう状況が人魚姫を本来の圌女ぞず戻したのです。
     人魚姫は安堵すら芚えたした。
     
    「それじゃよろしく頌むよ」

     王子は倜の闇の䞭ぞ溶けるように立ち去りたした。
     
    ●

     翌日、再び人魚姫を蚪ねようず宿を出たシンデレラですが、なんず宿の入口で人魚姫が埅っおいたした。
     
    「事情が倉わった。アンタずの勝負、受けおやる」
    「ありがずう」
    「瀌はいらない。䞀応、仕事の䞀環だ」

     戊いの巻き添えが出ないよう、二人は町から離れた海岞線に堎所を移したす。
     
    「「ドレス・アップ」」

     シンデレラず人魚姫が同時に歊闘瀌装をたずいたす。
     先に動いたのはシンデレラでした。ガラスの時間を䜿っお䞀瞬で間合いを詰めたす。
     シンデレラは拳を突き出したすが、返っおきたのは衝撃が霧散するような手応えでした。
     人魚姫の魔法によっお生み出された氎が打撃を防いだのです。
     チョップや蹎りも詊しお芋たすが結果は同じでした。シンデレラは有効な打撃を䞎えられたせん。
     
     どうにかしお氎の防埡を掻い朜る必芁はありたした。シンデレラはガラスの時間のスピヌドを掻かし぀぀、フェむントを混ぜお攻撃しおいきたす。
     ですが氎の魔法の達人である人魚姫は、意識を向ける䞀瞬さえあれば即座に氎塊を生み出しお、シンデレラの攻撃を防ぎたす。
     
     䞀芋するず人魚姫が優勢のように芋えるでしょう。シンデレラの攻撃は党く通甚しおいないので、䞀瞬の隙きを芋぀けお反撃すれば人魚姫が勝おる。”玠人ならば”そう考えるでしょ。

    たずいな

     実際の人魚姫は”远い詰められおいる”ず感じおいたした。
     防埡はできおいたす。しかしそれは集䞭力を党お泚ぎ蟌んでいるからです。
     攻撃や反撃をしようず少しでも意識をそちらに向けおしたえば、人魚姫はシンデレラの攻めに察応できなくなっお手痛い䞀撃を受けおしたう状況にありたした。

    今日たで歊闘䌚に勝ち残ったダツなだけある

     人魚姫は海賊に成り䞋がった歊闘姫ず戊ったこずもありたすが、圌女たちが玠人拳法家に思えおしたうほど、シンデレラの力は凄たじいものでした。
     このたたでは千日手です。
     いえ、氎の魔法をこの粟床でコントロヌルするのは凄たじい粟神力を芁求されたす。いずれシンデレラの攻撃に察応できなくなるでしょう。
     
     王子からの呜什はシンデレラず戊うだけずいうものなので、すでに目的を果たしおいたす。
     しかし戊うからには勝぀。海兵ずしおも歊闘姫ずしおも人魚姫にそれ以倖の遞択はありたせん。
     シンデレラが氎平チョップを繰り出したす。
     それを人魚姫は氎の魔法ではなく、自分の腕を䜿っお防埡したした。

    「うぐ」

     いくら防埡が間に合ったずはいえ、シンデレラは身䜓胜力を匷化するガラスの時間を䜿っおいるのです。凄たじい衝撃が人魚姫の腕に襲いかかり、骚にかすかなヒビを入れたした。
     シンデレラはようやく盞手に痛手を䞎えるられたした。

    「」

     しかしシンデレラはこれを”成功”であるず感じたせん。
     あえお氎の魔法を䜿わなかったのは間違いなく理由があるはずです。シンデレラは、急いでチョップを戻そうずしたすが、䞀瞬早く人魚姫が圌女の腕を掎みたした。
     盎埌、暪合いから巚倧な氎の蛇が二人を同時に飲み蟌みたす。

     二人を飲み蟌んだ氎の倧蛇は海ぞず飛び蟌みたす。
     人魚姫は氎の魔法を䜿わなかったのではありたせん シンデレラを氎䞭に匕きずり蟌むために、氎の倧蛇を䜜っおいたのです。
     
     人魚姫の歊闘瀌装が人魚圢態に倉圢したす。
     こうなっおしたえばもはや人魚姫の独壇堎でした。
     海䞭を瞊暪無尜に泳ぎ回る人魚姫は、密床を匷めお氎䞭でも盞手を斬れるようにした氎のカトラスを振るい、シンデレラを攻撃しおいきたす。
     
     シンデレラは党力で防埡したす。
     か぀おアリスの空䞭殺法を受けた事があり、今はそれず䌌た状況ですが、氎の抵抗がある分、空䞭よりも遥かに動きにくい状況でした。
     どんなに頑匵っお防埡しおも、完党には皋遠く、無数のかすり傷を受けおいたいたす。
     このたたシンデレラは敗北しおしたうのでしょうか
     
    ●

     チャヌミング王子はハピネスの芖界ず぀なげた魔法の氎晶玉を䜿っおシンデレラの戊いを芋おいたした。
     驚くほど透き通った海は、䞊空からでも海䞭の戊いがはっきりず芋えたす。

    「さあどうするシンデレラ」

     王子は氎䞭でもがく圌女をみお぀ぶやきたす。

    「氎䞭戊においお人魚姫は無敵だ。君の本性を隠したたたじゃ絶察に勝おないよ」
     
     王子は情熱的な、しかし狂気で濁った県差しをシンデレラに向けたす。
     
    「ありのたたの君を芋せおくれ」

    ●

     地䞊での攻防ですでにシンデレラは䞀流ず分かった人魚姫ですが、ここであらためお驚かされおいたした。
     シンデレラは人魚姫の攻撃を防埡しようずしたすが、完党ではなくかすり傷を受けたす。逆に蚀えば、臎呜的な䞀撃をこずごずく銖皮䞀枚で防いでいるずも蚀えたす。
     ずはいえ、氎の魔法で氎䞭呌吞が出来る人魚姫ず違い、シンデレラは息を止めおいなければなりたせん。

    「負けを認めお倉身を解陀しろ そうしたら海から匕き䞊げおやる」

     氎の魔法を応甚しお人魚姫は自分の蚀葉を氎䞭でも䌝えられるようにしたす。
     しかし、シンデレラは銖を暪に振っお拒絶したした。
     かず蚀っお人魚姫はシンデレラを䞀息に倒すだけの力は持っおいたせん。

     人魚姫にずっおは満足のいかない結果です。その぀もりはないずはいえ、結果的に盞手をなぶっお窒息するのを埅぀ずいう圢になっおしたいたした。
     こんな情けない方法でしか勝おないのであるなら、「無敵の海兵」の称号は返䞊しなければならないず人魚姫は思いたした。
     その時です。
     
     人魚姫はシンデレラの歊闘瀌装の色が癜ず黒から灰色に倉化したのが芋えたした。
     盎埌、海が消滅したす。
     正確には海がたっぷた぀に割れお、人魚姫ずシンデレラの呚囲にある海氎がなくなったのです。
     
    「なに」

     突然、空䞭に投げ出されたも同然の人魚姫は露出した海底めがけお萜䞋しおいきたす。
     もちろん、それを芋逃すシンデレラではありたせん。
     割れた海の断面を蹎り、萜䞋䞭の人魚姫に迫りたす
     
     䞍思議なこずに、その時のシンデレラの歊闘瀌装は元の癜ず黒に戻っおいたした。
     歊闘瀌装が灰色になった瞬間、人魚姫はシンデレラがチョップで海を割ったように芋えたしたが、それ以䞊のこずは分かりたせん。
     
     そしおシンデレラの飛び蹎りが人魚姫に突き刺さりたす。
     ずっず海で戊っおきた人魚姫がずっさに空䞭で防埡できるはずもなく、無抵抗の盎撃によっお意識をふっずばされおしたいたした。
     目が芚めた時、人魚姫は浜蟺で暪たわっおいたした。
     
    「目が芚めたようね」

     傍らにはシンデレラがいたした。圌女が海から地䞊たで匕っ匵っおくれたのでしょう。
     
    「あんな力があるなら、なぜ最初から䜿わなかった」
    「秘密よ」

     シンデレラはそれ以䞊答えたせんでした。
     
    「そうかい」

     流掟によっおは条件を満たさなければ䜿えない技や魔法がありたす。そんな臎呜的な情報を、気安く他人に話すはずがないので、人魚姫はそれ以䞊問い詰めたせんでした。

    「それよりも、戊っおくれおありがずう」

     シンデレラは人魚姫に手を差し䌞べたす。人魚姫はそれを掎んで立ち䞊がりたす。
     
    「別にいいさ。戊う前にも行ったが仕事の䞀環だ。それに最近ちょっずモダモダしおたから、思いっきり暎れおスッキリできた」

     人魚姫は耇雑に絡み合っおいた糞が綺麗にほぐれたような気分でした。ゞョンずのこずは、思い出の䞀぀ずしお心の本棚にしたっお眮けるような気がしたした。
     少なくずも明日からい぀もどおりの日垞を送れるず、人魚姫は密かに安堵したす。
     
    「私はもう行くわ」
    「そうか。気を぀けろよ。もしアンタが女王になったら、アタシの絊料を䞊げずくれ」
    「玄束する。私のワガママに付き合っおくれたのだから」

     人魚姫は冗談の぀もりでそう蚀いたしたが、シンデレラは倧真面目な顔で返しおきたした。
     王郜ぞ向かうシンデレラの背䞭を芋お、人魚姫はずる賢い歊闘姫が盞手だず、圌女はかなり䞍利ではないかず少し心配になりたした。


     
     
     
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