
なぜ私は、キャラクターに顔をつくらないのか
7cmほどのポリマークレイで、大好きな漫画の世界を表現したい。そんな想いで、私は今日も小さな作品を作っています。

漫画やアニメが好きだ。特に『キングダム』や『薬屋のひとりごと』のような、歴史や宮廷を舞台にした作品に惹かれる。気づけば、大好きなキャラクターたちを7センチほどのポリマークレイで作るようになっていた。作品を見た人から、よく聞かれることがある。「どうして顔を作らないんですか?」実は、顔を作れないわけではない。あえて、作らない。理由はひとつ。顔をつけると、その漫画の世界観が変わってしまう気がするから。私にとってキャラクターらしさは、目や鼻だけではない。髪型や衣装、立ち姿、色づかい。そのキャラクターがまとっている雰囲気こそが、その人らしさだと思っている。だから私は、顔ではなく、その世界観を表現したい。
作品づくりで一番時間をかけるのは衣装だ。漫画を何度も見返しては、「この襟は何枚重なっているんだろう。」「この鎧はどんな構造なんだろう。」そんなことばかり考えている。史実の甲冑や衣装も調べる。でも、史実をそのまま再現したいわけではない。実際の甲冑はもっと質素なものも多い。一方で漫画には、作者が物語をより魅力的に見せるためのデザインがある。私は、その絶妙なバランスが好きだ。史実への敬意と、作品ならではの美しさ。その両方を、小さな粘土の中で表現したいと思っている。

私は、オリジナルキャラクターを生み出すのは得意ではない。
ゼロから世界を作る人ではなく、
大好きな作品への敬意を込めて、その世界を立体で表現する人でありたい。
だから今日も漫画を開いて、
髪の流れを見て、
衣装の重なりを見て、
小さな粘土の中に、その世界を閉じ込めていく。
7センチという小さな世界の中で、
髪型だけで。
衣装だけで。
立ち姿だけで。
「あ、この人だ。」
そう感じてもらえたら、それ以上にうれしいことはない。

どの作品にも、顔はありません。それでも、その人らしさが伝わる。そんな作品を、これからも作り続けていきたいと思います。