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「氎䞭の哲孊者たち」氞井玲衣Radical Will〈ラディカル・りィル〉の行方、アヌトであり哲孊であるもの、あるいは、アヌトでも哲孊でもないもの

    No.1〈問う〉ずいう動きがダむアロヌグの氎䞭を跳ねる、氎䞭の哲孊の生誕、あるいは、アヌトであり哲孊であるもの、アヌトでも哲孊でもないもの

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    問うずいう生の叫び声が、ダむアロヌグずいう氎䞭の䞭で跳ねる。その瞬間論理が撚り合わされ、哲孊が生たれる。問うずいう動きの䞭でしか出珟しない、ダむアロヌグの動きの䞭の哲孊。氎䞭の哲孊。構築されるこずのない断片性の哲孊。ダむアロヌグの氎の䞭を泳ぐ、問いによっお切り取られた生の血が流れおいる身䜓ず時間ず蚘憶。それは、埮现な欠片のような論理を持぀こずで哲孊でありながらも、身䜓ず時間ず蚘憶を持぀こずで、アヌト芞術ずなる。氎䞭の哲孊は、身䜓を有する論理であり、論理を有する身䜓である。

    〈アヌトであり哲孊であるもの、あるいは、アヌトでも哲孊でもないもの〉

    それが氞井玲衣の氎䞭の哲孊だ。

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    No.2氞井玲衣の「手のひらサむズの哲孊」、決然ずしお瀺されるあらゆる既存の哲孊を吊定し批刀する䞍遜で無謀なもの

    「人々ず問いに取り組み、考える。哲孊はこうやっお、わたしたちの生ず共にあり぀づけおきた。借り物の問いではない、わたしの問い。ささやかで、切実な呌びかけ。」P005より匕甚

    「ささやかで、切実な呌びかけ」ずしおの問い。ダむアロヌグの䞭で、その問いがのたうち回る。ダむアロヌグの䞭で、その問いがその本質を顕わにする。そのダむアロヌグずいう動きの䞭にしか生たれない蚀葉。それはすでに存圚しおいる、曞かれた蚀葉ではない。これから口にされ、曞かれ、これから芋぀け出される未来の未圢の蚀葉、これからの蚀葉ずしおの哲孊。

    知識ずしおの哲孊、普通の蚀葉ではない哲孊、䜓系/構築ずしおの哲孊は、穏やかにでもきっぱりず吊定され、動きずしおの哲孊が、方法スタむルずしおの哲孊が、普通の蚀葉の哲孊の姿をしお、開始される。

    それが、氞井玲衣の「氎䞭の哲孊者たち」で瀺されるものだ。氞井玲衣は静かに、しかし決然ずしお、この哲孊を提瀺する。それがあらゆる既存の哲孊を吊定し批刀する䞍遜で無謀なものであったずしおも。それが、あらかじめ、䞍可胜な詊みであったずしおも。氞井玲衣はその傲慢ず無知ず匷欲を隠すこずなく、それを詊みる。

    氞井玲衣はそれを「手のひらサむズの哲孊」ず呌ぶ。

    「そんな問いをもずに、䞖界に根ざしながら䞖界を芋぀めお考えるこずを、わたしは手のひらサむズの哲孊ず呌ぶ。それは、空高く飛翔し、高みから䞖界を现断し、敎然ずたずめあげるような倧哲孊ではない。なんだかどうもわかりにくく、今にも消えそうな䜕かであり、あいたいで、ずらえどころがなく、過去ず珟圚を行き来し、うねうねずした意識の流れが、そのたたも぀れた考えに反映されるような、そしお寝がけた頭で䞖界に戻っおくるずきのような、そんな哲孊だ。」P005〜P006より匕甚

    「氎䞭の哲孊者たち」は、哲孊を身近で楜しくやさしく圹に立぀ものずしお玹介する、哲孊゚ッセむのふりをした、氞井玲衣哲孊宣蚀曞だ。

    Twitter 氞井玲衣「氎䞭の哲孊者たち」

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    No.3解剖図氞井玲衣の「手のひらサむズの哲孊」、あるいは、その〈ラディカル・りィル〉の皮膚ず肉ず骚栌ず内臓ず血

    氞井玲衣の「手のひらサむズの哲孊」を私なりに腑分けし、その纏う皮膚ず圢䜜る骚栌ず脈打぀内臓ず軋む肉ず流れる血を、癜日の䞋に明らかにしたいず思う。いささか、䞍穏圓な物蚀いかもしれないが、氞井玲衣の「氎䞭の哲孊者たち」が目論む哲孊は、その芋掛けずは倧きく異なりラディカルなのだ
    その〈ラディカル・りィルRadical Will〉束岡正剛のスヌザン・゜ンタグぞ向けられた蚀葉より匕甚の内郚の姿の现郚を目撃しなければならない。

    解剖は以䞋のような手順で行われる。

    始めにNo.4においお、「䜜者の氞井玲衣ずは䜕者か」を説明したい。衚面的に。No.5ずNo.6においお、その纏う皮膚ず躍動する肉のありようずしお、「キャッチ・アンド・リリヌスの哲孊」ず「むンプロノィれヌションの哲孊」を語り、No.7においお、その哲孊が生たれた堎所ずそれを圢䜜る骚栌ずしお、「絶望のれロ地点から始たる哲孊、あるいは、救いずわかりあうこずに぀いお」を語る。

    そしお、終わりにNo.8ずしお、脈打぀内臓ず流れる血ずしお、「アヌト芞術が掎み取る普遍的なるもの、そしお、哲孊が掎み取る普遍的なるもの」を語り、氞井玲衣哲孊の真髄である〈アヌトであり哲孊であるもの、あるいは、アヌトでも哲孊でもないもの〉の意味を解き明かす。

    尚、远䌞ずしお、1氞井玲衣哲孊が生たれたわたしたちの珟圚の光景に぀いお、2氞井の偏愛に぀いお、そしお、3この本の真の䜜者に぀いお、ほんの少しだけ。「氎䞭の哲孊者たち」の䜜者の本圓の姿に぀いお蚘述し、クロヌズする。

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    No.4䜜者の氞井玲衣ずは䜕者なのか あるいは、カラカラず哲孊が笑う、普通の人による普通の蚀葉による普通の哲孊

    䜜者の氞井玲衣ずは、どのような人なのか

    1991幎、東京郜生たれ珟圚31歳哲孊研究ず䞊行しお様々な堎所で哲孊察話を行っおいる、などなど。䜜者玹介のプロフィヌルをそのたた読むず、哲孊の若き俊英なのかず思っおしたう。「詩ず怍物園ず念入りな散歩が奜き」ずも。メルヘンの䞭の異物のような「念入りな」の蚀葉が䜕かしら䞍穏な気配を挂わせおいお気になっおしたうのだが。

    しかし、この本「氎䞭の哲孊者たち」を読めば、盎ぐに、実は、䜜者の氞井玲衣はかなりフザケタや぀で、しかも、盞圓に腹黒くフテブテシむや぀だずいうこずが分かる。さらに付け加えるならば、プロフェッショナルのコント䜜家でもある。もちろん、その正盎さを耒めおいるわけでもなければ、その誠実さに感動しおいるわけでもない。䟮っおいるわけでもない。単に本圓のこずを私は蚀っおいるだけなのだ。

    ぀たり、氞井玲衣ずは特別な人ではなく、普通の人なのだ。

    普通に傲慢で無知で間抜けで匷欲で芋栄っ匵りで、普通に匱く傷付きやすく、普通に賢く匷く優しいのだ。そしお、普通に才胜もある。「氎䞭の哲孊者たち」は、普通の人のために普通の人が曞いた普通の蚀葉による普通の哲孊なのだ。

    だから、安心しお、この本を手にしお欲しいず思う。怖がるこずも遠慮するこずも避けるこずも、䜕もない。難解な哲孊甚語など、䞀切、登堎しおこない。それは分かりやすさを求めた結果ではなく、そのこずには明確な意図があり、氞井の野心的詊みの䞀端でもある。そしお、たちがいなく、䜕床も爆笑しおしたうこずになる。哲孊の䞭から笑いが零れ萜ちる。

    晎れ枡った青空の䞋で、陜射しのようなカラカラずした笑いの光の䞭、玠敵あふれる普通の人による普通の蚀葉による普通の哲孊。ブルヌの氎䞭の哲孊

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    No.5キャッチ・アンド・リリヌスの哲孊、あるいは、壊れるわたしず誰も答えを知らない問い

    〈キャッチ・アンド・リリヌスの哲孊〉

    氞井玲衣の、それは、たるで、キャッチ・アンド・リリヌスcatch and releaseをする釣り人のようにも芋えおしたう。その釣り䞊げた跳ね螊るその獲物をあっさり手攟しおしたうのだ。魚を獲るためのものではなく、釣りずいう行為のための、哲孊。獲った魚の䞭に智慧を芋぀けるのではなく、獲るずいう動きの䞭に智慧を芋出す哲孊。ダむアロヌグ哲孊察話の可胜性ず䞍可胜性がそこに芋え隠れする。問いは答えを探し、答えは新たな問いを産み、再び、答えを求める。答えは氎の䞭にリリヌスされ、新たな問いず共に泳ぐこずになる。

    さらにそこには、䞀床、獲られた受け止められた魚人の思いが、再び、䞖界の䞭に攟たれるずいう残酷さも存圚しおいる。氞井玲衣の哲孊は必ずしも結論ぞず答えぞず人を導かない。たた、「〈結局ひずそれぞれ〉にしない」P035より匕甚ず、自閉するこずも蚱さない。自分自身が壊れるこずも恐れず、かりそめの気䌑めの解答を瀺すこずもしない。

    その冷培さず優しさ。おもねるこずのない厳しさを持぀氞井玲衣哲孊。答えのない哲孊。「本圓にそれでいいんだっけ」P067より匕甚の哲孊。「ぐねぐねず境界が混ざり合い、わけがわからない䞖界が露わになる」P038より匕甚の哲孊。氞井玲衣の哲孊は獲物を効率的に捕たえるものではなく、それは本質的に反/非生産的なものなのだ。聡明さを砎壊し非効率的な愚鈍になるための哲孊。灯りを消し始たりの暗闇の䞭に立ち戻る哲孊。

    「哲孊は䜕も教えない。哲孊は手を差し䌞べない。ただ、異なる声を聞け、ず蚀う。」P070より匕甚
    「わたしの硬盎しおしたった信念を誰かがあっけなく壊しおしたう。こわくお、危うくお、うれしくお、気持ちがいい。・・・他者の考えや蚀葉がざわざわずわたしの玠肌をなでるずき、わたしははじめお自分がどこにいるのかがわかる。真っ暗闇の䞭、誰かに腕を぀かんでもらえたずきのように。」P040より匕甚

    それでも、䞀方で、「「倩空の城 ラピュタ」のパズヌの父芪が䌝説のラピュタを垣間芋るシヌンがたたらく奜きな」P214より匕甚氞井玲衣は、䞖界が芋せるその瞬間を、その芋぀けた瞬間を捕たえ保存したいず欲望する。

    「だが同時に、哲孊察話をしおいるずき、あずもう少しで「かわる」ずいうこずにたどり着けそうな感芚に陥るこずがある。それは「最適解」のような暫定的なものでもなく、「共通合意」ずいうような、その堎だけの取り決めでもない。もっず普遍的で、矎しくお、圧倒的な䜕かだ。それに到達するずいうこずはない。その予感がするだけ。/にもかかわらず、その予感はひどく甘矎で、決定的なのである。」P019より匕甚

    キャッチ・アンド・リリヌスcatch and release。氞井玲衣の腕の䞭で捕たえたそれが跳ね螊る。

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    No.6むンプロノィれヌションの哲孊、あるいは、䞀回性の哲孊

    〈むンプロノィれヌションの哲孊〉、あるいは、〈䞀回性の哲孊〉。

    ダむアロヌグ哲孊察話はむンプロノィれヌションimprovisation即興だ。䞀回きりだ。同じこずは行われない。むンプロノィれヌションずしおの哲孊。勝敗のない生身の栌闘技ずしおの哲孊。楜譜なき即興的挔奏䌚ずしおの哲孊。脚本なき挔劇ずしおの哲孊。偶然性の芋䞖物ずしおの哲孊。䞀回だけの参加型゚ンタヌテむメント嚯楜ずしおの哲孊。反埩するこずのできない哲孊、怜蚌するこずのできない哲孊、もう䞀床のない、䞀回性の哲孊。

    だが、忘れおはならないこずは、その䞀回きりのむンプロノィれヌションの枊䞭にいた者たちが、䞀回きりのむンプロノィれヌションによっお、その内的なるものを䞍可逆的に倉曎される可胜性を持぀ものであるこずだ。䞀回きりのむンプロノィれヌションが、それが䞀回きりであり、それが継続されないからず蚀っお、それに参加した者たちに䞀回だけしか䜜甚しないずいうわけではない。その䞀回が、その䞀回きりが、決定的な倉曎を生み出すこずがあるずいうこず。その䞀回性の意味。䞀回であるこずを、むンプロノィれヌションであるこずを、軜んじおはいけない。

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    No.7共感の王囜が厩壊し、絶望のれロ地点から始たる哲孊、あるいは、救いずわかりあうこずに぀いお

    「哲孊は救いになりたすか、ずも聞かれる。わからない。なるひずもいるだろう。だけどそれが哲孊のおかげなのかもよくわからない。哲孊で救われたんじゃなくお、自分で自分を救たんじゃないだろうか。わからない。/氞井さんは哲孊に救われたんですね、ずも蚀われる。そうなのかな。わからない。/でも、哲孊があっおよかったなずは思う。」P055より匕甚
    「他者ずわかりあうこずはできたせん、他者に䜕かを䌝えるこずはできたせん、ずいう感芚は、広く共有されおいるように思う。わかりあうこずができないからこそ面癜い、ずか、他者は異質だからこそ創造的なものが生たれる、ずかいう蚀説もあふれおいる。その通りだ。その通り。党くもっお、完璧に、同意する。だがわたしはあえお蚀いたい。/それでもなお、わたしはなお、あなたずは完党にわかりあえないずいうこずに絶望する。」P030より匕甚
    「だが誰も「わかる」ずは蚀わない。わたしたちは互いに、誰䞀人わかりあうこずはできない。そのこずを、誰もがわかっおいる。その事実が、わたしたちをやわらかく぀なぐ。/わたしはあなたの苊しみを理解しない。あなたのかなしみを氞遠に理解しない。だから、共に考えるこずができる。圌女の涙が、しんしんず降り泚いで、気が぀けばわたしたちは氎䞭にいる。共に息を止めお、深く朜っお、集䞭する。//わたしたちはバラバラで、同じ海の䞭で぀ながっおいる。」P059〜P060より匕甚

    氞井玲衣は、哲孊を救いず぀なげるこずにためらい、「わたしたちはわかりあうこずはできない」ず明確に断蚀する。しかし、氞井玲衣は、その埌に、「だから」ず蚀う。「だから、共に考えるこずができる」ず。絶望の果おに存圚する、考えるずいうこず。共感の王囜が虚構ずしお厩壊し、考えるこずを攟棄した無数の人々が吐き出され、孀独の荒地のような海原に遺棄される

    誰もが知っおいる。わたしたちはわかりあうこずなどできないこずを。「だから」、わたしたちは考えるしかない、それ以倖に人ず人が手を぀なぐ方法などない、その絶望のれロ地点から立ち䞊がる氞井玲衣の哲孊。手を぀なぐために、考えるこずが哲孊ずしお浮䞊する。わかりあえないわたしたちの前に。

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    No.8Book前口䞊アヌト芞術が掎み取る普遍的なるもの、そしお、哲孊が掎み取る普遍的なるもの

    氞井玲衣哲孊が〈アヌトであり哲孊であるもの、あるいは、アヌトでも哲孊でもないもの〉であるこずを瀺したいず思う。氞井玲衣哲孊の栞心ずも蚀えるこの話を簡単に解き明かすこずは困難だ。No.8はBook1からBook5に枡るこずになる。

    少し、話を敎理しおみよう。アヌト芞術ずは䜕か 哲孊ずは䜕か アヌト芞術ず哲孊の関係性、それらを、幟分蚀葉を圧瞮した圢で、足早に語り、その議論を基に氞井玲衣哲孊の詊みの䞭心に䜍眮するものに぀いお語りたいず思う。

    さお、アヌト芞術ず哲孊に぀いお、個別性ず䞀般性ず普遍性ずいう切り口で語っおみたいず思う。あくたでも、それらはアヌト芞術ず哲孊の䞀断面でしかないずしお。

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    No.8Book2アヌト芞術が普遍的なるものぞ蟿り着く回路

    アヌト芞術を個別性の䞭から普遍性を掎み取る行為ずするのであれば、哲孊は䞀般性の䞭から普遍性を掎み取る行為ずなる。

    普遍的なるもの。それは根源的なるもの。それは䜕か定たった圢をした真理のようなものではない。それは理ではない。それは揺れ動きながら静止し、光を遮り、圱を生み出すものでありながら、自分自身から限りない光を攟぀、混濁した䞍透明にしお透明なるものである。

    ひずりの人間の内奥をさらに深く朜行し、その圌方に存圚する普遍性を探し出す行いずしおのアヌト。個別性の䞭の孀独の䞭に、静かにひそむ論理を超えた普遍性。ひずりの内郚を通過するこずでしか取り出すこずができない普遍性。人生ずいう時間の物語を背負うひずりの人間から生み出されたものでありながらも、その物語を超越した普遍的なる物語。䜜者の人生の叫びが刻み蟌たれおいながらも、その物語の投圱物でも所有物でも埓属物でも付属物でも小道具でもない、超越的非合理的䞍合理的宇宙的存圚、アヌト芞術

    繰り返す。アヌトは䜜者によっお䜜り出されながらも、それは䜜者を凌駕する。䜜品のそれがアヌトずしお存圚するのであれば、それは䜜者の物語の倖郚に存圚する。䜜品は䜜者のものではない。アヌトは本質的に原理的に受け手のものであり、䜜者のものではない。䜜者から生たれた䜜者のものではない䜜者を超えた普遍的なるもの、それがアヌト芞術ず呌ばれる存圚だ。

    だからこそ、䜜品を、䜜者の物語の䞭に人間の生のありようを読み取るための道具ずし、䜜者の物語の䞭に閉じ蟌めるようなこずをしおはならない。それは、䜜者の物語の倖郚に存圚するアヌトの存圚の吊定であり、アヌトでしか捉えるこずができない普遍性の吊定でもある。そしお、䜕より、それは人間の生のありようの吊定である。

    人はひずりでありながらも、人は人でありながらも、そのひずりを超えたものを、人間であるこずを超えたものを、生み出すこずができる。人はその生においお、その生の領域倖の存圚を誕生させるこずができる。アヌト芞術は人の生のありようの可胜性であり、時空を超え存圚を超えお人間の魂を揺り動かすものである。

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    No.8Book3哲孊が普遍的なるものぞ蟿り着く回路

    䞀方、哲孊はアヌトず異なり、䞀般性から普遍性に蟿り着こうずする。考えるずいう方法を甚いお。哲孊のおける、考えるずいうこずは論理の階段を昇るこずではない。それは論理の階段を䜜るこずだ。いや、正確に蚀えば、それは飛躍するこずだ。飛躍したその埌の痕跡ずしおの論理の階段。未螏の䞍可芖の䞍可胜の階段を目指しお、宙を飛躍し、そのありもしない階段を昇るこず、それが哲孊における考えるずいうこずだ。あるいは、その頂点に到達した埌、埌ずさりながら論理の瞄梯子で、出発点である麓たで降りるこず、それが哲孊における考えるずいうこずだ。

    そこには、事前的な、あるいは、事埌的な論理の階段が必ず存圚しおいる。それが劂䜕に奇怪な䞍噚甚な難解な䞍可胜なものであったずしおも。論理の階段ずは考えるずいう行為の蚘憶なのだから。哲孊ずは、その普遍性ぞ蟿り着く回路を論理の存圚によっお刻明に提瀺し、その普遍性ぞ行く通路を䞀般性の䞭に解攟し぀぀、普遍性を掎み取るこずだ。哲孊が考えるずいう方法を甚いおいるのは必然なのである。だからこそ、哲孊が導き出す普遍性はその導き出される過皋がどれほど難解であろうずも、誰にでも開かれた普遍性なのだ。考えるずいう行為による普遍性ぞの䞀般性を有する接近、それが哲孊だ。

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    No.8Book4決定的に異なる二぀の普遍性、アヌト芞術ず哲孊、あるいは、遠い堎所に行っおしたった普遍性

    そこに、アヌトが掎み取った普遍性ず哲孊が掎み取った普遍性の決定的に異なっおいる点が存圚しおいる。アヌトの持぀普遍性は、残念ながら、誰にでも開かれた普遍性ではない。それは、個別性から導き出されものであるが故に、非合理であり䞍合理であり、その内容は受け手に委ねられ、結果ずしお、閉ざされた普遍性ずなっおしたう。簡単に蚀っおしたえば、アヌト芞術は人を遞んでしたうずいう話になる。他方、哲孊の持぀普遍性が本質的に開かれたものであるずしおも、倚くの人々にずっお、その論理の階段を昇り切るこずは難しいだろう。そしお、信仰による普遍性の倢を倱っおしたった、神なき時代の珟代に僅かに残された手段であるアヌト芞術ず哲孊。普遍性は、わたしたちの手の届く堎所から遥か遠い堎所に存圚するこずになる。

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    No.8Book5氞井の詊みの生たれた理由、あるいは、〈ラディカル・りィルRadical Will〉の行方

    考えるこずが蟱められ哲孊が難解なものずしお退けられ、創造が䜜者の人生の物語の䞭に封印され、アヌト芞術が莅沢で浮䞖離れしたものずしお䟮蟱される。珟実はあらゆる手立おを尜しお、普遍的なるものを人々から遠ざけ、人々は抗うこずなく自ら進んでそれらを手攟す。

    普遍的なるものこそが、珟実に察抗する唯䞀の術であり、アヌト芞術ず哲孊こそが、その普遍的なるものに盎接アクセスするこずができる、人間の可胜性の根源であるにもかかわらず。そのわたしたちの珟実の只䞭で、氞井玲衣は普遍的なるものを掎み取ろうずしお、氎䞭に朜行し、もがくこずになる。

    氞井玲衣の詊みが生たれたのは、理由のないこずではない。それは珟代の珟実を生きる者たちの切実な願いなのだ。氞井玲衣の哲孊の本質は、普遍的なるものを掎み取るこずにある。その方法を問わず。ダむアロヌグ哲孊察話は、それを目的にしたものではない。そしお、哲孊でさえ、それを目的にしたものではない。氞井玲衣の哲孊は、芋せ掛けの姿でしかない。氞井玲衣の哲孊は哲孊ではない。それはもっず別の䜕かなのだ。

    ここに、氞井玲衣の哲孊が〈ラディカル・りィルRadical Will〉であるこずの意味が存圚しおいる。それは、個別性ず䞀般性の盞反する地平が盎亀するダむアロヌグずいう堎所から普遍的なるものが誘われる〈アヌトであり哲孊でもあるもの、あるいは、アヌトでも哲孊でもないもの〉なのだ。生身の身䜓ず時間ず蚘憶ず論理を持぀人間たちによるダむアロヌグが、その䞍合理で非合理で䞍可胜な営みを可胜にする。ダむアロヌグずいう氎䞭の䞭で。

    〈ラディカル・りィルRadical Will〉ずしお氞井玲衣の哲孊。その行方「手のひらサむズの哲孊」を仮の名前ずしお、

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    远䌞1考えるこずずアヌト芞術が䟮蟱される、そのわたしたちの珟圚の光景、あるいは、氞井玲衣の哲孊の生たれた堎所

    考えるこずが䟮蟱されるこずになっおしたったのは、い぀からだろうか 考えるこずが、難しく高床なこずず呌ばれるようになっおしたったのは、䜕がきっかけだったのだろうか わたしたちは、い぀から、考えるこずから逃げ始めたのだろうか 考えるずいうこずに察する激しい憎悪ず䟮蔑。理屈ばかり䞊べお気取りやがっお、考えるより行動しろ、䜓を動かせ、結果を出せ、頭をからっぜにしお。無垢なる知識なき民衆こそが革呜の埒だ、ず。

    そしお、アヌト芞術ずいう創造もたた、䟮蟱されるこずになる。二぀の方向から。ひず぀は、䜜者の人生の物語を圩る道具ずしお貶められ、もうひず぀は、生きるためにそれが必芁䞍可欠なものではないずいう理由で䞍芁なものずしお貶められる。偉倧なる必芁䞍可欠なる生き様ず人生の物語、善き生き様、善き人生こそが矎しい。アヌト芞術など、䜙分な食り物であり、その埓者にしか過ぎないず。

    それが人の生から生み出されたものでありながらも、時に、それが人の生から倧きく溢れ出す巚倧な宇宙的なものであるにもかかわらず、人生ずいう物語の出来事の䞀端ずしお、人の生の枠組みの䞭に抌し蟌たれる。あるいは、こころを持たなくずも人は生きるこずができるかのように、こころがこころであるこずを支えるアヌト芞術が、䞍芁なものずしお無残に捚お去られる。それが、こころを棄おるこずず同じこずであったずしおも。

    これが氞井玲衣の哲孊の生たれた、わたしたちの堎所の光景だ。

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    远䌞2䞍合理ず独自性ぞの偏愛、あるいは、玔粋哲孊者になれない者

    「だが、䞀方で、わたしは哲孊するひずが、自身の背負う欲求や、経隓や、苊痛や、偏愛を、普遍性のためにあっけなく捚象しおしたうこずを望たない。そのひずの、共有し埗ないこだわり、探求の堎に吊応なく露呈しおしたう独自性、そしおその病に䌌た䞍自由さを心から愛する。/そしおそれが䞍合理であるこずぞの狂おしい愛しみがある。」P226より匕甚
    「わたしは合理性や論理を信頌しおいる。だが同時に、䞍合理の飛躍を愛しおいる。わたしは普遍性ず同時に独自性を愛する。」P227より匕甚

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    远䌞3暗黒神・黒氞井クロレむ、ダヌク・サむドを撒き散らし暎れたくるの巻、あるいは、「氎䞭の哲孊者たち」の本圓の䜜者

    終わりに、氞井玲衣のもうひず぀の顔、黒氞井クロレむに぀いお蚘述し、この蚘事をクロヌズしたい。これを曞かなければ、「氎䞭の哲孊者たち」に察しおアンフェアだず思うので。

    暗黒神・黒氞井クロレむがダヌク・サむドを撒き散らし暎れたくる。

    〈走っおいるバスに跳び乗るのは倫理的に危ないこずなのか/サルトルの「呌びかけ」の抂念に぀いお〉の巻「飛ぶ」P024改題
    氞井玲衣がその衣を脱ぎ捚お、黒氞井クロレむずしおその本性を顕わす。「氞井、芋本を芋せおくれ」「こい぀もか」闘争に逃げるこずをしない哲孊者・黒氞井クロレむが、察話の䞭を飛び、サルトルの「呌びかけ」の抂念を確かめるために走っおいるバスに跳び乗ろうずする。黒氞井クロレむ、サルトルのその手を掎み取れ

    〈汝自らを知るゆえに我ホルモンなり/゜クラテスずデカルト〉の巻
    「我思うゆえに/我あれよ」P139改題

    黒氞井クロレむ、ホルモンに支配されその奎隷ずなる。プロフィヌル垳の奜きな蚀葉「我思うゆえに我あり」。゜クラテスが珟代に蘇り、黒氞井クロレむ、プロフィヌル垳を゜クラテスに曞いおもらう。゜クラテスの叡智ず偉倧さが瀺される。゜クラテスよ、氞遠なれ

    〈おじさんず圌のザヌサむぞ捧げるレクむ゚ム〉の巻
    「あの日あのわたしの/隣に座った/あのおじさんぞ」P161改題

    バタフラむ・゚フェクトによっおドナルド・トランプの倧統領就任匏ず町のさびれた䞭華料理屋が぀ながり、黒氞井クロレむの犯した眪の重さずその悔恚が䞖界に鳎り響く。「あの日あのわたしの隣に座ったあのおじさんぞ」。クロレむ、小田和正か、それずも、寺山修叞か。おじさんず圌のザヌサむぞ捧げるレクむ゚ム。黒氞井クロレむの流す涙が哀しくも矎しい

    それからそれから、クロレむはただただダヌク・サむドを撒き散らし暎れたくる。「氎䞭の哲孊者たち」は氞井玲衣/黒氞井クロレむによっお曞かれたものなのだ。フェアであるために、そのこずを明蚘しお、クロヌズする。

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    がんやりずずりずめもないこずを考えるこずが䜕より奜きです。映画、小説、挫画、音楜、アヌトを深く愛しおいたす。生業ずしおテクノロゞヌに関わっおきたした。この堎では、わたしのずりずめのない蚀葉の断片を曞き連ねおゆきたいず思いたす。

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