メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像

燃焌する垂盎の蚀葉/音楜。螺旋圢の階梯を、生成する癜い光の蚀葉、あるいは、四方田犬圊「いただ人生を語らず」

    /2023/8/24/1917/

    /曞かれおはいけないこず、曞いおはいけないこず/燃焌する螺旋圢の階梯ずしおの蚀葉/曞物が燃え䞊がるこずに぀いお/

    画像

    曞かれおはいけないこず、曞いおはいけないこずがある。それを曞いおしたうずそれが曞かれた堎所が発火し燃焌しおしたうからだ。燃え䞊がる曞物。真倏の正午の時間。曞物が、癜い光の䞭、宙を切り裂くように燃焌の炎を旋回させ螺旋圢の階梯を生成させながら燃え䞊がる。曞物に曞かれた/曞かれおしたった蚀葉の蚀葉自身が内包する蚀葉の栞を発火点ずしお炎に包たれる。曞かれおはいけない、曞いおはいけない、燃焌する階梯ずしおの蚀葉。

    自然発火するこず、燃焌するこず、螺旋圢であるこず、階梯を圢䜜るこず、そのこずに拠っおしお、それは垂盎の音楜ずなる。燃焌する垂盎の蚀葉/音楜

    論理にしお倫理の誕生。事件ずしお、必然ずしお、宿呜ずしお。垂盎の音楜ずは論理にしお倫理であり倫理にしお論理である。いかなる意味に斌いおも、像/むメヌゞになるこずが犁止される。想像しおはいけない。描写しおはいけない。蚘録しおはいけない。そんなこずをしおしたうず、その者の身䜓の内郚から火が噎き出したちたちの内に人の圢をした炎ず化しおしたうだろう。燃焌する人間。沈黙の䞭、人圢の灰の塊が盎立するこずになる。だから誰䞀人ずしお垂盎の音楜を䌝聞するこずはできない。立ち䌚う以倖、遭遇するこずができないこず。叀い蚀䌝えの砎片の䞭で灰の残滓が挂うこずになる

    画像

    目撃し蚘憶するこず。垂盎の音楜を前にしお人ができるこずはそのこずだけずなる。耳を柄たし、目を凝らせ。真昌の透明な時間の䞭、曞物が炎に包たれ燃焌する。無数の蚀葉の栞が連鎖的に耇局的に分裂ず融合を重合させ、光が解攟される。癜いひかり。向こう偎からこちら偎ぞ到来するひかり。時間は反転ず正転の最䞭で宙吊りずなり旋回を開始する。垂盎に螺旋圢が生成され階梯ずなり、曞かれおはいけない蚀葉/曞いおはいけない蚀葉が燃焌する。それらのこずばたちは燃焌するこずでしか䞖界に存圚するこずができないからだ。曞かれおはいけない、曞いおはいけない、蚀葉/曞物が燃え䞊がる。

    画像

    燃焌し旋回する蚀葉たちを読むためには階梯を昇るしか方法は存圚しない。さあ、真倏の昌の時間、地䞊の光が氟濫する䞭、燃え䞊がる曞物の䞭ぞず進もう。燃焌の癜いひかりの内郚ぞ螏み蟌み、螺旋の階梯を昇るこずにしよう 

    画像

    /No.1//四方田犬圊「いただ人生を語らず」//獰猛にしお優しきその知性/肉䜓ず䌎に滅びゆく知性の最埌を/

    わたしの前に四方田犬圊の「いただ人生を語らず」ずいう本が眮かれおいる。垯には「歳を取ろうずしおいるわたしは/はたしお聡明になったのだろうか。/幞犏になったのだろうか」ずあり、装䞁には四方田犬圊自身が撮圱した垜子が䞊ぶ。䞃十歳を迎えた四方田犬圊の人生の回顧録、あるいは、老いたる者の幞犏ず埌悔ず垌望ず絶望の蚘録。たるで人生の指南曞のような仕草。

    画像
    「歳を取ろうずしおいるわたしは、はたしお聡明になったのだろうか。幞犏になったのだろうか」
    画像
    「老いおいくこずの、ゆるやかな心がたえ」

    しかし、それが芋せ掛けの仮装にすぎないこずは明癜だ。殊勝な振りをしたずころで四方田犬圊は、ルむス・ブニュ゚ルの四方田犬圊であり、ピ゚ル・パオロ・パゟリヌニの四方田犬圊なんだ。四方田犬圊は四方田犬圊以倖ではない。獰猛にしお優しきその知性は衰えおはいない。でも郚分郚分で少しばかり柔らかくなっおいお、わたしは茫挠ずした哀しい気持ちの䞭に䞀人取り残されおしたった。四方田犬圊が老いる。そしお、四方田犬圊はそれを隠さない。信じ難いのだが信じおよいこずだずも思う。わたしたちは受け止めなければならない。知性が肉䜓ず䌎に有り肉䜓ず䌎に滅び行く知性の最埌を。

    /No.2//咆哮する生者・四方田犬圊の声を/語りえぬものたちを語ろうずしおきたその声を///远悌でも鎮魂でも思い出でもなく、四方田犬圊の蚀葉に぀いお曞くこず/

    画像

    わたしがこの文を曞いおいる理由は、四方田犬圊がいたただ生きおいるからだ。四方田犬圊が生きおいるこの珟圚の時間の䞭で、圌の叫び声を四方田犬圊以倖の者が曞くこず、そのこずに意味がある。ず思うからだ。死によっお四方田犬圊が生者・四方田犬圊ず異なる存圚ずしお倉貌する前に、これを曞かなければならない。咆哮する生者・四方田犬圊の声を正確に蚀葉にするこず。わたしにできるはずもない。しかし、出来るか吊かを問うおはいけない四方田犬圊はい぀いかなる時も語りえぬものたちを語ろうずしおきた。だからわたしもそれに倣っお生きお/吠えお/走る/四方田犬圊の姿を刻み蟌もう。

    画像

    わたしが曞くそれは誀り倚きものかもしれない。しかし、曞かないではいられない。わたしは四方田犬圊に倚くの倧切なものを䞎えおもらったからだ。かけがえのない幞せな時間がそこには含たれおいる。远悌でも鎮魂でも思い出でもなく、四方田犬圊の蚀葉に぀いお曞く事。蚀い蚳ず慰めず感傷ず醜い自慢話はこれくらいにしお、俊敏に手早くさっずやり遂げるこずにしよう。

    画像

    /No.3//四方田犬圊の「いただ人生を語らず」ずは、箎蚀集、寞鉄、であり、四方田犬圊版・〈旧玄聖曞〉、あるいは、〈玄束の蚀葉たち〉

    画像

    目次を芋ればこの本がいかなるものなのか刀明する。はじたりず途䞭ず埌曞きこそ、それらしきタむトルがアリバむ䜜りのように䞊んでいるが、他の各章のタむトルを読めば、この本の本性は別の凊にあるこずが分かる。「いただ人生を語らず」の〈いただ〉に隙されおはいけない。四方田犬圊ずは氞遠の珟圚進行圢の知性であり、圌が人生を語るこずなどこれからもありえない

    画像

    四方田犬圊の「いただ人生を語らず」ずは、箎蚀集であり、四方田犬圊版・〈旧玄聖曞・知恵〉であり、寞鉄である。「寞鉄人を刺す」たさに人を刺す。こずばによっお人が刺されるこずになる。だずすれば、觊れれば皮膚が裂け血が滎り萜ちるこずになる塩の結晶の蚀葉/寞鉄を、したり顔で解説する様ほど醜悪なこずはない。愚者のわたしでさえも目を背けおしたう愚行なり

    だからわたしにできるこずは線纂するこずだけだ。箎蚀集ずしお。四方田犬圊の「いただ人生を語らず」を〈玄束の蚀葉たち〉ずしお組み換えるこず。人生の回顧録ずしお読たれるこずを、䞀旊、拒吊し砎棄し、燃焌し旋回する発光する蚀葉ずしお再線集するこず。吠えろ走れ跳べ四方田犬圊

    画像

    /あずがき/03//『゜ドムの垂』Salò o le 120 giornate di Sodoma, 「サロ、或いは、゜ドムの120日」ピ゚ル・パオロ・パゟリヌニ監督の映画に぀いお

    画像

    /あずがき/03/が四方田犬圊・箎蚀集の前に眮かれる必芁がある。ピ゚ル・パオロ・パゟリヌニ監督の『゜ドムの垂』ず善ず悪、そしお、〈悪霊的なるもの〉に぀いおの文。ピ゚ル・パオロ・パゟリヌニの四方田犬圊の蚀葉を読むために必芁であり、わたしが䜕者であり、四方田犬圊の蚀葉を読む理由に぀いおの文。四方田犬圊が四方田犬圊であり、わたしがわたしである理由。

    わたしは、時折りピ゚ル・パオロ・パゟリヌニ監督の『゜ドムの垂』の[Blu-ray]を真倜䞭の暗闇の静謐の時間の䞭、䞀人で、芳るこずがある。わたしは日々のあれこれずあれこれの日々の、重倧でありながらも些现でもある混沌ずした垌望ず絶望の濁流を泳ぎ溺れる。そんな時『゜ドムの垂』を芳る。
    飲み蟌むこずができないそれでも飲み蟌むほかにない、汚穢を飲み干し、䜓内を満たす汚穢の残虐なる銙りに陶酔し狂気の淵を圷埚うように回遊する。誰もいない真倜䞭の闇、ピ゚ル・パオロ・パゟリヌニ監督の『゜ドムの垂』

    画像
    真倏の玔癜の光の䞭で、四方田犬圊により黄金の名前を冠した暗黒の矩圢に文字が刻印される。

    わたしの䞭の奥深い秘密の堎所に檻が存圚しおいる。檻は厳重に斜錠され、内郚に存圚するものは決しお檻から出るこずはできない。そこに存圚しおいる〈悪霊的なるもの〉。絶察的な悪ずしおの〈悪霊的なるもの〉。その堎所に存圚する悪は、盞察ではなく普遍であり、絶察的な悪なんだ。絶察の悪。

    画像

    善悪が盞察的なるものずしお、時ず堎所によっお、それらは転倒し入れ替わる。目に芋えお耳に聞こえる珟実の珟象ずしお発生する。だが、その亀替は〈悪霊的なるもの〉が詐術を尜しお人々に芋せる巧劙な仮面劇の䞀堎面でしかない。「あなたの善は他人の悪であり、他人の善はあなたの悪でしかない。善悪は季節の颚景のように移ろうものでしかない。昚日の善は今日の悪であり、今日の悪は明日の善ずしお。さあ、わたしずいっしょに善人も悪人も皆殺しに」善悪の黒癜が亀じり合う灰色の混沌の人間の䞖界に君臚する〈悪霊的なるもの〉。わたしたちは絶察悪に翻匄され氞遠に殺戮を繰り返す

    画像

    時ず堎所を超越する普遍的なる絶察ずしお、悪は実存する。人が受け入れるこずが最も困難な事柄のひず぀だ。信じられないほど倚くの人々が受け入れを拒吊する。灰色で䞖界が塗り朰され芆われおいるからずいっお、䞖界に光ず闇が存圚しおいないわけではない。光ず闇はわたしたちの内郚に確実に存圚しおいる。静かに手を胞に圓おおその錓動を感じ確かめなければならない

    わたしがピ゚ル・パオロ・パゟリヌニ監督の『゜ドムの垂』を芳るのは、わたしの内郚の檻の䞭に閉じ蟌めおいるはずの〈悪霊的なるもの〉を確認するためなんだ。そしお、それに逌を䞎えおやるためなんだ。凄く凄く危険な。

    画像

    でも、そうしなければ〈悪霊的なるもの〉は激しく暎れ檻を壊し、わたしの倖郚に出お行くこずになる。それは〈悪霊的なるもの〉が珟実ぞ解き攟たれるこずを意味しおいる。惚劇。珟実の䞭の砎壊。わたしはわたしではなくなり、質量ず圢ず色圩を持぀〈悪霊的なるもの〉に倉貌しお、珟実を物理的に論理的に倫理的に砎壊する。炎が枊巻き倥しい量の血が氟濫し無数の叫び声の埌、わたしは厩壊するこずになるだろう。〈悪霊的なるもの〉は存圚する

    だから慎重に檻の䞭のそれを檻の䞭で生かすしか術はない。誰であれ。偉倧なる者たちの創造が〈悪霊的なるもの〉に向き合う方法をわたしに教えおくれた。ピ゚ル・パオロ・パゟリヌニ監督の『゜ドムの垂』もそのひず぀だ。

    映画の終わりに狂乱の埌の静寂の時間ずしお䞍可解な空癜が蚪れる。それは絶察の圌岞のようにしお、わたしたちの前に暪たわる。ここが今珟圚だず。

    画像

    わたしは、わたしの内郚の檻の䞭に、絶察の悪〈悪霊的なるもの〉を宿す者なのだ。

    わたしたちの内なるそれの声ず姿を確認せよ

    画像

    /No.4//人の蚀葉を線纂する。四方田犬圊版・〈玄束の蚀葉〉、あるいは四方田犬圊箎蚀集・〈塩の結晶の蚀葉/寞鉄〉

    画像

    他者の蚀葉を線纂するこずは、自己の蚀葉を自身が曞くこずず異なるこずなのだが、他者の堎所に存圚するひず぀の颚景の光ず圱を自己が切り抜き、自身の癜地の堎所に自分の手で曞き写し、そこにもうひず぀の颚景が䜜り出されるず、それはたるで、自己の䞭の他者の蚀葉、あるいは、他者の䞭の自己の蚀葉のように芋えおしたうのだ。蚀葉が他者ず自己の間を自由自圚に飛び亀うものだずいうこず。圓然のこずずしお珟れるその圓然に驚くほかない。

    画像

    そしお、わたし/わたしたちは知るこずになる。蚀葉は、自分事のためにあるのではなく、他人事のためにあるのでもなく、人の事のために、存圚するずいうこず。わたし/わたしたちの蚀葉ずは、自己/他者を超える人間の蚀葉。だから、耳を柄たせ目を凝らさなければならない。人のこずばを聎くために 

    画像

    四方田犬圊版〈玄束の蚀葉〉、あるいは四方田犬圊箎蚀集〈塩の結晶の蚀葉/寞鉄〉を線纂する。それは単に四方田犬圊の蚀葉を線纂するずいうこずではなく、人間たちの蚀葉の線纂ずいうこずになる。論理的に倫理的に珟実的に

    わたしたちがこれから読むこずになる蚀葉は、人が人のために人によっお曞かれた、人が人であるための、玄束、誓いの蚀葉。それは、終わるこずのない珟圚進行圢のこずばずしお、わたしたちの䞭ず倖に、今この瞬間ここに。

    画像

    /No.5//忘华に぀いお、あるいは、わたしが、わたしの蚘憶を忘华するこず、幞せず䞍幞せ

    /わたしの蚘憶ず、わたしの内偎に存圚し、わたしがどうしおも、考えるこずのできない郚分/

    「わたしずはわたしの蚘憶だ。はたしおそう断蚀しおしたっおいいのだろうか。わたしは考える。だが、わたしの内偎にあっお、わたしがどうしおも考えるこずのできない郚分もたた、匷烈にわたしを䜜り䞊げおいるのではないか。わたしはその懞念から自由になるこずができない。」

    「忘华に぀いお」より P23 

    /だが忘れおしたうずいうのは本圓に䞍幞なこずなのだろうか。/

    「生きるにあたっお䜕よりも重芁なのは過去に぀いおの蚘憶であり、わたしずはわたしの蚘憶だ。倚くの人がそう考えおいる。だが忘れおしたうずいうのは、本圓に䞍幞なこずなのだろうか。蚘憶が甘矎なものであるか、悲惚なものであるかは、ひずたず問わない。忘れるこずのできない蚘憶、癒しがたい蚘憶を携えながらこれからの生を生き続けるこずが、はたしお幞犏なのだろうか。だれがそれを受け合っおくれるのだろうか。」

    「忘华に぀いお」より P23
    画像

    /No.6//蚘憶に぀いお、あるいは、蚘憶から、歎史ぞ、歎史は人を幞犏にするのか/わたしの県前にぶら䞋がっおいる、解答を埗るこずない問い/

    画像

    /蚘憶に぀いお/「芋たものは芋たものだ。」

    「わたしずはわたしの蚘憶である。ひずたび芋おしたったものは、芋なかったふりをするこずは蚱されない。「芋たものは芋たものだ。」これはドラクロアが『ファりスト』の䞀枚の挿絵に぀けた衚題である。わたしは高校時代から、この蚀葉に捕らわれおきた。」

    「蚘憶に぀いお」より P40

    /蚘憶するずいうのは闘いなのだ。/               すべおを想い出すこずが必芁なのだ。/

    「お前がこれたでの人生で立ち䌚っおきた残酷な光景は、苊痛に喘いでいる人々ずの出逢いは、それではどこぞ行っおしたうのか。それらを䞀括りに珟䞖の蚘憶ず呌んで忘华に付すこずで、お前は重倧なものを喪倱しおしたうのでないか。」

    「蚘憶に぀いお」より P40

    「蚘憶するずいうのは闘いなのだ。わたしに向かっおゞョスリヌンはいった。攟っおおくず、䜕もかもが想い出せなくなっおしたう。心はすべおを忘れおしたうのではないかずいう恐怖に囚われ、無気力に陥り、自分が敗北しおしたったこずすら考えられなくなる。だから党力をもっお忘华に抵抗しなければならない。すべおを想い出すこずが必芁なのだ。」

    「蚘憶に぀いお」より P44

    /抗わなければならない。忘华に察しお、党身党霊をもっお/

    「わたしたちは癒しがたい蚘憶を前に、懞呜に忘れようず努めた。そしお䞀床は忘れたず信じた。しかし忘れるべきではなかった。蚘憶を保ち続けなければならない。忘华に察し、党身党霊をもっお抗わなければならないのだ。」

    「蚘憶に぀いお」より P45
    画像

    //怒り、その神聖なるもの、怒り、その正しきもの//     /怒りを䟮蟱し怚恚を擁護する、邪悪なるものたちの憎しみの魔郜   螏み朰された、怒りの無数の砎片の䞭、氟濫する憎悪//     

    「怒りずは神聖なものである。ある䞍正矩が県前で起きたずき、怒りを抱くこずは正しい。怒りを蚎え、闘争を呌びかけるこずはさらに正しい。なぜならば、怒りを無理に鎮静させるず、それは容易に怚恚に転じおしたうからだ。」

    「蚘憶に぀いお」より P45
    画像

    /抑圧された怒りが、怚恚ぞ転化する。//遍圚する怚恚    /  怚恚を基軞ずする珟代の䞭で、怒りが憎悪ずしお回垰する。//

    「怚恚は遍圚しおいる。芋枡すかぎり怚恚を基軞ずしお運行されおいるのが珟代ずいう時代だず、わたしは考える。憀りをい぀たでも抌さえ぀けおいるず、それが屈折しお、自分だけがいけないのだずいう「良心の呵責」に陥っおしたう。だが、それでは問題は解決しない。「良心の呵責」が反転するず、ずきに途蜍もない憎しみを匕き起こしおしたうからだ。憎悪ずは抑圧された怒りの回垰したものである。回垰するものは぀ねに䞍気味でグロテスクだ。そしお呚囲をメランコリアに染め䞊げる。」

    「蚘憶に぀いお」より P45〜P46

    /怚恚の虜ずなるこずを免れるための、聡明さずしおの怒り/  /       リア王、透明なる狂気を生き延びるために//

    「怒りは愚かなこずだず芋なされおいる。だがリア王は愚かだろうか。圌は自分が狂っお愚かであるこずを充分に知っおいたし、それゆえにもはや愚行を怖れおはいなかった。リア王は最埌たで、その死の瞬間たで聡明であったず、わたしは思いたい。圌は怒りゆえに怚恚の虜ずなるこずを免れえたのだ。」

    「蚘憶に぀いお」よりP46
    画像

    /怒りを滅华しおも怚恚の誘惑に打ち勝぀方法、歎史ずいう芳念//歎史は人を幞犏にするのか、それずも、さらなる苊悶の䞭ぞか/

    「ずはいうものの、怒りは長くは続かない。悲しみが長く続かない以䞊に、早々ず委瞮しおしたう。怒り続けるためには膚倧な゚ネルギヌが必芁なのだ。怒りを滅华しおも怚恚の誘惑に打ち勝぀には、歎史ずいう芳念を持たなければならない。ずはいうものの、その歎史ははたしお人を幞犏にするのか。これたで幞犏にしたためしがあっただろうか。歎史ずいう芳念は逆に人をさらなる苊悶のなかぞず陥れおきたのではないだろうか。」

    「蚘憶に぀いお」より P46

    /心臓の右半分は぀ねに蚘憶を、心臓の巊半分は真逆の忘华を/

    「わたしの心臓の右半分は぀ねに蚘憶を蚎えおいる。人間は歎史のなかでしか生きるこずができない。ひずたび歎史が存圚するず知っおしたった以䞊、それに目を閉じながら生きおいくこずはできない。だから目の圓たりにしたこずのすべおを蚘憶ずしお携え぀぀生きおいくこずだず䞻匵する。
     心臓の巊半分はたったく逆のこずをわたしに瀺唆する。蚘憶ずは埌悔ず苊痛でしかない。人は忘华を通しおしか心の安息に到達するこずができない。忌たわしい思い出から解攟され、浄化された空に向かっお飛び立぀こずが重芁なのだ。」

    「蚘憶に぀いお」より P49

    //歎史の存圚の意味、それはいただに解答を埗るこずなく、            わたしの県前に、ぶら䞋がっおいる。//

    「どうすればよいのか。歎史が悪倢の連続だず理解しおしたった者は、その歎史に察しどのように凊しおいけばいいのか。この問いは、か぀お䞊海で魯迅を悩たせた問いでもあった。それはいただに解答を埗るこずなく、わたしに県前にぶら䞋がっおいる。」

    「蚘憶に぀いお」より P49
    画像

    /No.7//読むこずに぀いお、あるいは、悪埳、眰せられるこずなき/

    画像

    /曞物はそれを手に取るたびにたったく異なった盞貌を芋せる。 読もうずするこちら偎がそのたびごずに違った人間になっおいるからである。/

    「これたでいくたびずなく読み返しおきた曞物ずは、もはや曞物の域を超えた䜕ものかである。優れた曞物はそれを手に取るたびにたったく異なった盞貌を芋せる。理由は単玔で、読もうずするこちら偎が人生のさたざたな局面にあっおそのたびごずに違った人間になっおいるからである。たたたたの偶然からこれたで想像もしおいなかった䜓隓を重ねおしたった者は、これたでになかった関心に捕らわれ、以前ずは異なった角床から昔銎染みの曞物に接近する。曞物もたた予期しおいなかった顔を芋せ、たったく未知であった衚情で埮笑しながら読む者を魅惑する。」

    「読むこずに぀いお」より P52
    画像

    /次々ずわたしの蚘憶を吞収し膚らんでいく曞物、その蚘憶の局を捲りあげおいく歓び/

    「曞物は他人が曞いたものではあるが、次々ずわたしの蚘憶を吞収し膚らんでいく。それを繰り返し読むこずの歓びは、その蚘憶の局を捲りあげおいくこずにあるのではないのか、今のわたしはそう思っおいる。」

    「読むこずに぀いお」より P57

    /曞物の海を挂流する。/

    「わたしは次から次ぞず曞物を盞手に挂流を続けおいる。これたでもそうだったし、これからもそうだろう。」

    「読むこずに぀いお」よりP65
    画像

    /No.8//曞くこずに぀いお、あるいは、救枈のために、ただひたすら自分䞀人の/

    画像

    /〈わたし〉にずり憑いお離れない問題を、終わりにしお、   新しい堎所ぞ、自由の堎所ぞ、ず移行するための゚クリチュヌル/

    「わたしは䜕のために曞いおいるのだろうか。わたしは人に尊敬されないために、たた同情されないために曞いおいる。偉倧な人物だなどず、間違っおも人に誀解されないために曞いおいるのだ。わたしは机に向かうのはただ偏ひずえに、〈わたし〉ずいう問題から解攟されたいからに他ならない。自分にずり憑いお離れない問題を終わりにしお、新しい堎所ぞ、より自分が自由を感じられる堎所ぞず移行できるようにするこず。それがわたしの゚クリチュヌルの目的である。」

    「曞くこずに぀いお」より P66
    画像

    /救枈ずしおの曞くこず/自分「䞀人がため」に/

    「曞くこずはただひたすら自分の救枈のためにある。困難な救枈に垌望を䞎えるためにある。」

    「曞くこずに぀いお」より P68

    「ひずたびは宿呜のように芋えおいた問題を䞹念に解きほぐし、自分にずっお本質的なものず偶発的なものをより分け、埌者を取り陀いお自分の思念をより浄化されたものに倉えるこず。」

    「曞くこずに぀いお」より P68

    「わたしもたた、自分「䞀人がため」に曞いおいる。曞いたものを通しお人を啓蒙教化しようずか、瀟䌚を動かしおみせようなどずいったこずは、埮塵も考えおいない。短くない文筆生掻のなかで、゚クリチュヌルにはそのような暩胜などないずいう真理を思い知らされおきたからだ。」

    「曞くこずに぀いお」より P68
    画像

    /No.9//音楜に぀いお、あるいは、「奜むず奜たざるにかかわらず、暎力的な陶酔ぞず誘っおいく䜕ものか」

    画像

    /バッハずノィノァルディ/ 

    /長い間、午前䞭はバッハを流しながら食事をしたり、小さな雑事を片付けたりしおいた。それをノィノァルディに切り替えた。/

    「長い間、午前䞭はバッハのCDをずっず流しっぱなしにしながら食事をしたり、小さな雑事を片付けたりしおいた。六十歳を超したころからそれをノィノァルディに切り替えた。
     バッハには人間を超越したずころがあり、人間が䞖界から消滅したずしおもいささかも動くこずない無限の諧調が䞖界には存圚しおいるずいう心理を指し瀺しおいるようなずころがある。わたしの死埌もバッハは䜕も倉わるこずなく䞖界に流れ続けるだろう。
     ノィノァルディはたったく違う。そのvivaずいう音の響きからもたやすくわかるように、生きるこずの悊びそのものだ。わたしは忘れられおいた圌のノァむオリン曲を発掘し、ムッ゜リヌニの前で挔奏しおみせたオルガ・ラッゞの録音を聎いおみたいず思う。もしそれが今でもどこかに残っおいればのこずであるが。」

    「音楜に぀いお」より P104
    画像

    /音楜に぀いお/事件ずしおの音楜/

    「本圓の音楜は最初、わたしを驚かす。自分の内偎にあるこずなど予想もしおいなかった未知の感情が䞀瞬にしお県前に実珟され、自分を誘い蟌もうずしおいるこずを、わたしに告げ知らせる。それはわたしを拉臎し、わたしを包み蟌み、そしお突然に攟り出しおしたう。わたしは茫然自倱のたた、元の堎所に匕き戻される。」

    「音楜に぀いお」より P105
    画像

    /音楜は容易に人を道埳的倒錯ぞず導いおいく。あるいは、圌らが歌うずき、わたしは歌わない。圌らが戯れに笑いあうずき、わたしは笑わない。/

    「音楜は容易に人を道埳的倒錯ぞず導いおいく。わたしが想い出すのは、ミラン・クンデラの話だ。」

    「音楜に぀いお」より P110

    「音楜はそれに心酔する者、矀れだっおそれを唱和するもののむデオロギヌを、容赊なく䜓珟しおいる。同じひず぀の歌を歌い合う者たちは、それだけで信頌できる「同志」である。逆に異なった歌のもずに集う者たちは、互いに敵同士である。その意味でわたしは人ずずもに、声を合わせお歌うこずのできる歌をもっおはいない。」

    「音楜に぀いお」より P112

    「ずはいうものの、わたしは誰かずいっしょに声を揃えお、同じひず぀の歌を歌うこずがない。他の人たちが声を合わせお歌っおいるずき、わたしは䞀人、憂鬱な気持ちを抱えお黙っおいるこずだろう。圌らが歌うずき、わたしは歌わない。圌らが戯れに笑いあうずき、わたしは笑わない。もしわたしにずっお䞍条理が存圚するずしたら、にもかかわらず、圌らが死ぬようにわたしもたた死に赎くずいうこずだろう。」

    「音楜に぀いお」より P113
    画像

    /音楜を根拠づけおいる感傷性、あるいは、䞖界の悲惚の衚象に察する玔粋な音の結晶䜓/クセナキス/

    「垞軌を逞した野蛮を前にしたずき、人は容易に感傷ぞず流されおしたう。ラゞオはひっきりなしにチェコの誇りずするスメタナを流し、感傷を駆䜿しお県前の砎局を手なずけようずしおいた。クンデラはプラハに蔓延するセンチメンタリズムの嵐に耐えがたいものを感じ、あらゆる音楜が聎けなくなっおしたったずいう。そのずき圌はたたたた䜜曲家の名前を知らないたたに、クセナキスの音楜を知った。数孊のふるい理論を揎甚し、いっさいの感傷を拒吊しお成立しおいる音楜に圌は深い悊びを感じた。毎晩のようにクセナキスを聎き続け、䞀時はそれ以倖の音楜を受け付けないたでになったずいう。
     わたしにはこのクンデラの気持ちがよく理解できる。ある皮の音楜を根拠づけおいる感傷性がずきずしお䞍朔に感じられ、その粘着的な性栌に耐えられなくなるずいったこずがある。」

    「音楜に぀いお」より P113〜P114

    「しかし倖偎から䞍甚意に感傷的な過去の流行歌をもちこむだけで、はたしおそれは事足りるものだろうか。倧惚事が起きたずきにこそクセナキスを聎くべきではないか。䞖界の悲惚の衚象に察しおどこたでも無関心を暙抜し、玔粋な音の結晶䜓ずしお存圚しようずする圌の䜜品に耳を傟けるべきではないかずいうのが、わたしの考えである。」

    「音楜に぀いお」より P114
    画像

    /No.10//犬に぀いお、あるいは、「犬はわたしのダルマにしお他者なのだ。」

    画像

    /今床こそわたしは傍らにいお、犬の最期を看取るこずにしよう。予行挔習ではない。わたしの死の傍らに誰かがいるずいう保蚌は、どこにもないのだから。/

    「わたしは考える。蘇鉄䞞は死をいかに迎えるこずだろうか。それがい぀になになるかはわからないが、今床こそわたしはその傍らにいお、犬の最期を看取るこずにしようず思っおいる。
     おそらくもう犬は䜕も求めないだろう。ただ、わたしがいっしょにいるだけで、満足しおいるこずだろう。わたしはわたしのダルマが消えおいくのに立ち䌚うこずになる。犬の終焉を看取るこずは、人間のそれぞの予行挔習であるずいう人もいるかもしれない。だがわたしには、少し違うような気がしおいる。わたしが死に赎こうずするずき、傍らに誰かがいるずいう保蚌はどこにもないのだから。」

    「犬に぀いお」より P150
    画像

    /犬に぀いお/「犬はわたしのダルマにしお他者なのだ。」

    「そう、犬はわたしのダルマにしお他者なのだ。/犬はわたしずいっしょに走っおいる。圌はわたしが自分ほどに速く走るこずができないず知っお、どう思っおいるのだろうか。ダルマはわたしを導くが、わたしがずきおり付いおいくこずに疲劎し、歩みを緩くしたずき、どのような県差しをわたしに向けるのだろうか。」

    「犬に぀いお」より P153
    画像

    /No.11//信仰に぀いお、あるいは、赊すこずのできない者を、赊すこず、その極限の可胜性

    画像

    祈り、信仰、あるいは、䞖の䞭には二皮類の人間しか存圚しない/

    「信仰ずいう行為にずっお重芁なのは、䞖の䞭に信仰を抱いおいる人間ず、信仰に䜕の関心も抱かない人間の二皮類しか存圚しおいないずいう事実である。ある超越的な察象に向かっお祈りを唱える人間ず、祈りずいう行為をそもそも理解できない人間の二皮類だずいい換えおもいい。ずりあえず超越的な存圚の呌称はさほど重芁ではない。重芁なのはその存圚を芋぀めながらたったき自分を垰䟝するか・しないかの問題である。」

    「信仰に぀いお」より P264
    画像

    /神聖なる怪物たち/                                      信仰ず懐疑の䞡極を芋぀めおきた者たちの存圚/

    「だがわたしを魅了しおやたないのは、みずからの粟神が危機的な堎所に赎こうずしおいるこずを自芚しながらも、぀ねに信仰ず懐疑の䞡極を芋぀めおきた者たちの存圚だ。
     小説の䞭で神がいればすべおが蚱されるず曞いたドスト゚フスキヌ。神は死んだが、神を殺したのはわれわれだったのだず説いたニヌチェ。カトリックの神を深く信仰したのちに棄教し、神などいるわけがないわず痙攣的な笑いをしおみせたゞョルゞュ・バタむナ。神が䞍圚であるにもかかわらず、その虚無の神を埅ち望むのだず宣蚀したシモヌヌ・ノェむナ。圌らは揺るぎなき信仰に身を眮いお、安定した垂民生掻を送ろうなどずは考えおもいなかった。䞀歩螏み間違えればたちたち奈萜に転萜するずいう堎所に身を眮きながら、困難な思考を続け、ために粟神ず肉䜓が犠牲になろうずも意に垰するずころがなかった。わたしはこうした神聖なる怪物たちを遠くに認めながら、倧孊で宗教孊を専攻した。」

    「信仰に぀いお」より P265〜P266
    画像

    /蚱されざるこずず蚱されるこず/神の存圚ず䞍圚によっお/

    「神がいないからすべおは蚱されおいるのだろうか。それずも神がいるからすべおは蚱されおいるのだろうか。ドスト゚フスキヌに発するこうした問いを突き付けられたずき、玠朎な自称無神論者たちはどのように答えるだろうか。」

    「信仰に぀いお」より P267
    画像

    /無神論/キリスト教の圱、分身ずしお/

    「無神論ずいうのはキリスト教に特有の珟象である。少し匷い衚珟になるが、キリスト教の圱、分身だずいっおもいい。それがキリスト教にのみ可胜な蚀説、立堎であるこずを理解するためには、たずえば無仏論ずいうものを想像しおみるだけで十分だろう。」

    「信仰に぀いお」より P267

    「そう、キリスト教だけが無神論者を生み出し、それに敵察するこずで護教論を発展させおきた。異端を創り䞊げ、異端を執拗に批刀するこずを通しお、教矩をより堅固なものに倉えおきた。高床に掗緎された無神論ずは、実のずころ神孊の分身に他ならない。」

    「信仰に぀いお」より P269
    画像

    /仏ずは人間によっお到達が可胜な生の階梯であり、超越的存圚ではない。仏教ずはすでに高床に掗緎された無神論の䜓系である。/

    「無仏論なるものは、歎史的に存圚したためしがなかった。仏教ずいう宗教の性栌を考えるず、原理的にも考えるこずが䞍可胜である。仏教は、明恵が法然を教矩的に批刀するように宗掟によっお察立するこずはあるかもしれないが、仏の存圚を吊定するこずはありえない。ずいうのも仏ずは人間凡倫によっお到達が可胜な生の階梯であっお、それ自䜓は超越的存圚ではないためである。仏教埒は神のような超越物を必芁ずせず、西掋颚にいうならば、すでに高床に掗緎された無神論の䜓系である。」

    「信仰に぀いお」より P267〜P268
    画像

    /時が到来すれば、神はおのずからわたしの前に顕珟するだろう。

    /神ずは、蚌明によっお存圚が瀺されるものではない。䜓隓されるべき䜕ものかである。䜓隓が欠萜しおいる限り、知性、理性では到達するこずができない。/

    「ずはいうものの、神の存圚は蚌明によっおなされるものではないこずを、すでにわたしは知っおいる。神ずは䜓隓されるべき䜕ものかであっお、その䜓隓が欠萜しおいるかぎり、どのように理性ず知性を働かせおも到達できないものなのである。
     もしわたしが神を必芁ずするような事態に陥ったずすれば、神はおのずからわたしの前に顕珟するだろう。わたしを招き寄せるこずだろう。必芁がないず刀断すれば、神はわたしの前に出珟しないだろう。」

    「信仰に぀いお」より P271

    「聖パりロがコリント人に宛おた手玙のなかにある䞀節は、長い間わたしの導きの糞であった。その時が到来しおわたしが神に出逢うのであれば、それで充分ではないか。䜕もその存圚を吊定したり肯定したり、知的遊戯に情熱を泚ぐ必芁はあるたい。」

    「信仰に぀いお」より P272
    画像

    /われわれの県前にある自然が今、このように存圚しおいるずいうこず自䜓が神である。/スピノザ/

    「珟圚のわたしにずっおもっずも寛容になれる立堎ずはスピノザのそれである。スペむンを远攟されたナダダ人の埌裔であるこの人物は、われわれの県前にある自然が今、このように存圚しおいるずいうこず自䜓が神であるず説いた。」

    「信仰に぀いお」より P273
    画像

    /信仰、人の生の苊痛に意味を䞎えおくれるそれ、しかし、無際限の欲求/

    「麻酔や投薬の圹割ずは、人が身䜓に受けた苊痛を軜枛するこずである。だがそれは、苊痛に意味を䞎えるこずはできない。自分が珟䞋に苛たれおいる苊しみが無意味なものであるず刀明したずき、人は絶望し、より深い苊しみに苛たれる、人間は意味を糧ずしお生きる者であり、無意味には耐えられないからだ。苊痛に意味を䞎えおくれるものは信仰しかない。 
     信仰ずは、い぀かは生きるこずの意味に到達できるのではないかずいう期埅である。たたその意味を求める欲求でもある。だが、それには果おがない。人は歎史から解攟されるこずがあるかもしれないが、内面の信仰には解攟がない。信仰ずは文字通り、無際限なものである。」

    「信仰に぀いお」より P274
    画像

    /いかなる自力をもっおしおも動かしようのない珟実/自分の意志ず情熱の無力を培底しおわたしに教えるもの/こず/

    「わたしの自力瀌賛の哲孊が少しず぀倉化しおいったのは、五十歳を超えたずころである。文化庁の掟遣で半幎をむスラ゚ル/パレスチナに、もう半幎を旧ナヌゎスラビアのセルビアずコ゜ボ自治区の倧孊に滞圚し、日本文化を教授するずいうこずを行い、戊争の惚犍ず敗戊盎埌の瀟䌚の混乱を目の圓たりにしたずきであった。わたしの県に次々ず入っお来る悲惚は、自分の意志ず情熱の無力を培底しおわたしに教えるのだった。いかなる自力をもっおしおも動かしようのない珟実が、そこには展がっおいた。」

    「信仰に぀いお」より P278〜P279

    /悪は実圚する。自分の倖偎に存圚しおいる脅嚁ずしお、そしお、悪はそれを認識する者の内偎にも存圚する。//それをどのように解決すればよいのか。/悪の救枈ずしおの赊し/

    「悪は実圚する。それは単に善の欠劂privatio boniでもなければ、自分の倖偎に存圚しおいる脅嚁であるだけでもない。悪はそれを認識する者の内偎にも存圚する。ではそれをどのように解決すればよいのか。もし赊すこずが悪の解消であり、悪の救枈であるずすれば、それはどのようになされるべきなのか。わたしを捕らえたのは、それたで䞀床も真剣に向き合ったこずのない問題だった。」

    「信仰に぀いお」より P279
    画像

    /赊すこずのできない者を、人はいかにすれば、赊すこずができるのか。赊し乞われたからずいっお、ただちに赊しを䞎えるこずができない事態が転がっおいる。/

    「赊すこずのできる皋床の悪人は、赊すこずができる。だが赊すこずのできない者を、人はいかにすれば赊すこずができるのか。
     謝眪ずいう蚀葉がある。フランス語ではpardonner,぀たり赊しを䞎えおほしいdonner un pardonずいう意味である。謝るずいうのは赊し乞うこずなのだ。だが赊しを乞われた偎は、乞われたからずいっおただちに赊しを䞎えるこずができるだろうか。謝られたからずいっお、はい、わかりたしたず返事をしお、すたすこずなどできない事態が、䞖の䞭にはいくらでも転がっおいる。」

    「信仰に぀いお」より P279

    /赊せない者を赊すこずはできない。しかし圌らを赊さないわけには先に進たない。その矛盟に぀いお考える枠組みを䜜り、矛盟する行為を、実践するこず。矛盟の向こう偎の極限の行為の可胜性/

    「赊すこずのできない者を赊すずいうのは、蚀葉の矛盟である。だがこの矛盟を重々承知の䞊で赊しを䞎えなければならない状況ずいうものが、確かに存圚しおいる。」

    「信仰に぀いお」より P280

    「芪鞞は回り道に回り道を重ね、恐ろしく長い物語の末に結論を語る。どうしおも赊すこずのできない悪行の者が存圚する。だがその者たちにしおも浄土に向かうこずができるのだ。絶察に赊されない者すら、赊されるずいうこずがありうるのだ。
     難解な挢文を読み䞋した『教行信蚌』を読み進み、぀いにこの䞀節たで読み進んだずき、わたしはパレスチナずコ゜ボで垣間芋た残虐ず悲惚に぀いお考える枠組みに、ようやく到達できたような気がした。赊せない者を赊すこずはできない。しかし圌らを赊さないわけには先に進たないずすれば、どのようにその矛盟する行為を実践するこずができるのか。」

    「信仰に぀いお」より P281
    画像

    /絶察に赊すこずのできないものが、䞖界には存圚しおいるのだ。

    「あるずきわたしは金石範キム・゜クボンに蚊ねたこずがあった。赊せない者を赊すこずはできたすか。枈州島の惚事を小説で描くこずに人生のほずんどすべおを費やした䜜家はただちに答えた。赊すこずはできない。絶察に赊すこずのできないものが、この䞖界には存圚しおいるのだず。」

    「信仰に぀いお」より P281〜P282

    /信仰からはるか遠いずころに留たっおいる者は、赊すこずからも赊されるこずからも、攟逐されたたたなのだろうか。/

    「わたしは倱語に芋舞われる。赊すこずができるためには䜕かしらの信仰に垰䟝しなければならない。それでは信仰からはるか遠いずころに留たっおいる者は、赊すこずからも赊されるこずからも攟逐されたたたなのだろうか。」

    「信仰に぀いお」より P282
    画像

    /No.12//死に぀いお、あるいは、未来から、止めどもなく流れ到来する時間の倖偎ぞ/  巡りゆく季節の円環の時間の䞭で/

    画像

    /わたしずは時間の内偎に生起する珟象であり、わたしは死んだずきには、時間の倖偎ぞず行く。/

    「物質が存圚しおいないずころに時間はない。物質が運動を開始したずき、はじめお時間が発生する。宇宙が開闢する以前には物質はなく、時間はなかった。いや、もずい、「以前」ずいうこずすらなかった。」

    「死に぀いお」より P292

    「わたしずは時間の内偎に生起する珟象である。だずするならば、死を定矩するこずはさほど困難ではない。わたしが生たれる以前には時間の倖偎にいたずすれば、わたしは死んだずきには時間の倖偎に飛び出しおしたうだろう。芁するに、本来いた堎所に戻っおいくだけのこずではないか。時間の倖偎ずは䜕か。それは物質の存圚しない空間であり、空間さえも存圚しない堎所である。簡単にいえば無だ。」

    「死に぀いお」より P292
    画像

    /時間は未来から到来するものである。//           時間はただ存圚もしおいない未来から止めどもなく流れお来お、䞀瞬、珟圚ずいう状態に達し、次の瞬間に消滅しおしたう。/

    「時間は過去から未来ぞず進んでいくわけではない。未来から到来するものである。時間はただ存圚もしおいない未来から止めどなく流れおきお、䞀瞬ではあるが「珟圚」ずいう状態に達したかず思うず、次の瞬間に消滅しおしたう。過去ずいう、もはや存圚しないものに属しおしたうのである。われわれは結局のずころ、珟圚ずいう須臟しゅゆの時間しか認識するこずができない。」

    「死に぀いお」より P293〜P294

    「ただ、ここで気に留めおおかなければならないのは、時間には繰り返しがないずいう事実である。ひずたび過去ずなっおしたった時間は、もう二床ず回垰しおくるわけではない。時間の進行は線的である。未来が珟圚になり、それが過去ぞず抌し流されおいく。わたしずはその奔流のなかで狌狜しおいる小さな魚にすぎない。わたしは時間のなかに生れ萜ち、時間のなかで揉みくちゃにされながら、時間を飛び出しお死の領域に到達するこずになるだろう。」

    「死に぀いお」より P294
    画像

    /死から逃れるこずはできない。だが、死が携えおきた物語を切り替えるこずはできる。/巡り反埩する季節の円環の時間の䞭で、/

    「どの花々も季節に応じお蕟を膚らたせ、花を咲かせるず、皮子を残しお枯れおいく。ずはいうものの、翌幎も、さらにその次の翌幎も、同じように蕟を膚らたせ、花を咲かせおは枯れおいく。庭仕事をするずは、こうした怍物の持っおいる時間のリズムを読み取り、それに埓っお生きるこずであり、線䞊に進行する時間ずは別の秩序にある時間に觊れるこずだ。」

    「死に぀いお」より P296

    「繰り返しいうこずになるが、死から逃れるこずはできない。だが、死が携えおきた物語を切り替えるこずはできる。人生には初めず終わりがあり、その間はただ䞀盎線に時間が進行しおいくばかりであるずいう思い蟌みから䞀歩退き、時間の本質は反埩にあるずいう認識ぞず進むこずだ。土を掘り返しお球根を䞀個ず぀怍えこんでいくわたしは、そのたびごずに怍物が本来的に携えおいる再生の力を分有するこずだろう。枯れお死滅するこずが生たれ倉わるこずであるずいう教えを、チュヌリップやクロッカスから孊ぶこずだろう。わたしが想い出すのは、ノォルテヌルが『カンディヌド』の最埌に曞き぀けた蚀葉、「汝の庭を耕せ」である。」

    「死に぀いお」より P296〜P297

    /矛盟に満ちおいる生が、死ずいう雷の䞀撃によっお、その意味が統合され理解可胜なものずなるずいうわけではない。/

    「なるほど生は矛盟に満ちおいるかもしれないが、かずいっお死ずいう雷の䞀撃によっおその意味が統合され、理解可胜なものずなるずいうわけではないのだ。生はただい぀たでも繰り返しの途䞊にあり、始めも目的も定かでないたた、あるずき偶発的に終わりを告げる。それは時間ずいう秩序からの脱萜に他ならないのだが、はたしおその脱萜を悊びをもっお受け容れるこずができるかどうかが、これからのわたしの䞻題だろう。

    薔薇を剪り棘をののしる誕生日    䞉鬌」

    「死に぀いお」より P297
    画像

    /あずがき/00//少しばかりの、あずがきを/ 自分「䞀人がため」の、救枈ずしお/

    画像

    四方田犬圊の蚀葉たちはここたでずする。あらためおいうたでもないこずだが、線纂された四方田犬圊の蚀葉たちが描写する颚景のかたちず色圩は、わたしにも郚分的に理由がある。匕甚され再構成され短い文が挿入されたそれは、四方田犬圊の「いただ人生を語らず」ずは䌌おいないのかもしれない。しかし、これは〈四方田犬圊の蚀葉に぀いお曞くこず〉のわたしの応答だ。

    それでも、少しばかり、あずがきを曞きたいず思う。          自分「䞀人がため」の、救枈ずしお、曞く。

    画像

    /あずがき/01//燃焌する蚀葉に぀いお//   別の仕方で//垂盎的なるものたちに぀いお/

    画像

    それがそこに出珟する。顔を真䞊ぞ䞊げ芆い尜くすものたちの圌方ぞ芖線を向ける。しかし、昇ろうずした途端に頭郚は䞀瞬身震いし硬盎し石化する。静止埌、頭郚は力なく匱々しく厩壊し身䜓の䞊郚から流䜓ずなり、四方ぞず流れ萜ち平面の地面を濡らす。それでもそこかしこに珟れる䞊ぞ向かう者たち。地平線の向こう偎ぞでもなく氎平線の向こう偎でもなく、この堎所のこの地点からの飛翔を䌁おる者たち。なぜ、圌ら圌女ら、あるいは、圌ら圌女らではない者たちがそうするのか 理由は平面の果おを瀺すそれらが無限に埌退するこずを知っおいるからだ。地平線/氎平線の向こう偎に存圚するのは、遠くに地平線/氎平線を芋枡す芋通しの良い堎所でしかない。䞖界の倖郚ぞ向かう者たちが、芖線を氎平ではなく垂盎ぞ向けるこずは圓然の事なのだ

    画像

    だが、すべおが垂盎的なるものずしお存圚できるわけではない。前埌巊右を埋め尜くす垂盎的ならざるものたちの無惚な残骞たち。わたしたちが日々を暮らす郜垂は、厩れ萜ちた垂盎的ならざるものたちの砎片で象られおいる。

    画像

    人の生、぀たり人生ずは、氎平の蚀葉の海を航海するこずであり、「人生を語る」ずは航海日蚘を朗読するこずを意味するこずになる。そこには垂盎の蚀葉は存圚しない。なぜなら垂盎の蚀葉ずは䞖界の倖郚に存圚する蚀葉であり、䞖界の倖郚で遭遇する蚀葉であり、䞖界の倖郚から飛来する蚀葉だからだ。航海の䞭で、時折り、䜕かしらの誀りずしお、あるいは、偶発的な事件ずしお、氎平の海に垂盎的なるものが萜䞋/䞊昇しおしたうこずがある。波立ち小さな混沌が生たれるが、海面を揺り動かすこずはない。再び、海は凪ぐ

    画像

    䞖界の倖郚に存圚する蚀葉を求めお、孀独の䞭、異圢の者たちだけがその者たちを〈知性を持぀者たち〉ず蚀い換えおもいい。〈知性を持぀者たち〉を異圢の者ず呌ばざるを埗ない、珟圚の時間の䞭で、燃焌する垂盎の蚀葉/音楜を読み曞き聎き挔奏するために、神聖なる怪物ずしお䞖界を切り裂いた、偉倧なる創造者たちの埌を远い、癜いひかりの螺旋の階梯を昇っお行く

    画像

    あずがき/02/長線小説『すべおの鳥を攟぀』、あるいは,「抵抗ず反撃ずしおのレクむ゚ム」

    長線小説の圢匏の蚀葉で語られる四方田犬圊の蚀葉たち。だがこれは映画でもあり挫画でもあり歌でもある。

    「抵抗ず反撃ずしお、/それは死者たちに向けた花束であり、生き残った者たちぞの譊告ではないか/そしお、レクむ゚ム」

    画像
    四方田犬圊のはじめおの長線小説、小説の圢をした、映画、挫画、歌、そしお、レクむ゚ム。

    語りえぬものを語ろうずする、党おの異圢の者たちのために、そしお、神聖なる怪物ぞ〈了〉

    この蚘事が参加しおいる募集

     
     
     
    がんやりずずりずめもないこずを考えるこずが䜕より奜きです。映画、小説、挫画、音楜、アヌトを深く愛しおいたす。生業ずしおテクノロゞヌに関わっおきたした。この堎では、わたしのずりずめのない蚀葉の断片を曞き連ねおゆきたいず思いたす。

    あなたぞのおすすめ