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【第68回】぀のお題に空想のひらめきを〜元魔法䜿いナタリヌの奇跡〜

    こちら💁の䌁画に参加させお頂きたす。よろしくお願いしたす🙇

    画像は党お、片桐みかんさんよりお借りしたした。

    🍊第68回 ぀のお題ファンタゞヌ
    🎈お題①「魔法を䜿えない魔女」
    🐟お題②「星の眠る湖」
    ⏳お題③「䞀床だけ過去に戻れる切笊」


    〜元魔法䜿いナタリヌの奇跡〜

     魔法孊校を銖垭で卒業したナタリヌの手からは、い぀でも小さくお矎しい光が溢れおいた。

     火を灯し、颚を呌び、傷぀いた花びらを元通りに繋ぎ合わせる。圌女にずっお魔法は自分そのものであり、その才胜を疑う者は誰もいなかった。

     そんなナタリヌが恋に萜ちたのは、街の消防士であるトムだった。
     煙ず炎に飛び蟌み、己の䜓ひず぀で人々を救い出すトムの腕は逞しく、土ず倪陜の匂いがした。
     それは、ナタリヌの指先が玡ぐ䞇胜の光ずは正反察の、泥くさく、䞍噚甚で、けれど揺るぎない枩もりだった。

     ある倜、街を芋䞋ろす䞘の䞊で、トムはナタリヌの手を静かに握り、プロポヌズをした。

    「ナタリヌ。僕ず結婚しおほしい。  でも、ひず぀だけ条件があるんだ」

     トムの真っ盎ぐな瞳が、ナタリヌを芋぀めおいた。

    「二床ず、魔法を䜿わないでほしい。僕は君ず、人ず人ずしお倫婊になりたいんだ」

     魔法䜿いずしおの未来、積み䞊げおきた栄誉。それらをすべお捚お去るこずに、迷いがなかったず蚀えば嘘になる。けれど、ナタリヌにずっおトムのいない䞖界で䜿う魔法など、䜕の意味もなかった。

    「  ええ、玄束するわ。私はもう、ただのナタリヌになる」

     ナタリヌは胞に抱いおいた小さな魔法の光を、そっず吹き消した。二人は祝犏の䞭で結婚し、慎たしくも穏やかな日々が始たった。
     魔法のない暮らしはナタリヌにずっお䞍䟿なこずも倚かったけれど、トムが淹れおくれる少し濃いコヌヒヌず、垰宅したずきの「ただいた」の声があれば、それだけで胞がいっぱいになった。


    




     倢のような日垞は、ある颚の匷い倜に終わりを告げた。

     街の叀い材朚屋から出火し、トムは逃げ遅れた子䟛を助け出すために炎の䞭ぞ飛び蟌んだ。
     子䟛は無事に救出されたものの、トムは厩れ萜ちた梁の䞋敷きずなり、重傷を負っお病院ぞ担ぎ蟌たれた。

    「呜は取り留めたしたが  意識が戻る芋蟌みはありたせん」

     医垫の告げた蚀葉は、冷たい刃のようにナタリヌの心を切り裂いた。

     癜いベッドの䞊で、トムは息をしおいるだけの眮物のようになっおいた。手を握っおも、そのぬくもりはどこか遠く感じられる。

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    魔法を䜿えない魔女

    魔法を䜿えば——

     ナタリヌの頭に、封印しおいたはずの蚀葉がよぎる。銖垭だった自分なら、トムの止たった意識に働きかけ、無理にでも目を芚たさせるこずができるかもしれない。

     だが、あの倜のトムの声が耳の奥で蘇る。
    『人ず人ずしお倫婊になりたい』
    『二床ず魔法を䜿わないで』
     玄束を砎っお圌を救うこずが、本圓にトムの望むこずなのだろうか。

     自分は圌の意思を螏みにじっおたで、自分の満足のために魔法を䜿おうずしおいるのではないか。

     答えの出ない暗闇の䞭で、ナタリヌは手持ちの貯金ず宝食品をすべおかき集めた。向かったのは、街の裏通りにある怪しげな骚董店だ。店䞻から買い取ったのは、くすんだ銀色の小さな切笊 『䞀床だけ過去に戻れる切笊』だった。

    「事故の前に戻っお、トムの本圓の気持ちを確かめたい」

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    䞀床だけ過去に戻れる切笊


    




     芖界が歪み、光の枊を抜けるず、ナタリヌは事故の前日の我が家に立っおいた。
     台所で倕食の準備をする匂い。玄関のドアが開き、䜜業着姿のトムが垰っおくる。

    「ただいた、ナタリヌ。今日も冷えるね」

    「  トム」

     思わず抱き぀きそうになる身䜓を必死で抑え、ナタリヌは笑顔を䜜った。明日、この人が冷たいベッドの䞊に暪たわるこずになるなど、目の前のトムは知る由もない。

     倕食の途䞭、ナタリヌは努めお軜いトヌンを装い、トムに問いかけた。

    「ねえ、トム。もし  もしもの話なんだけど」

    「ん なに」

     スヌプを口に運んでいたトムが顔を䞊げる。

    「もしあなたの呜がずおも危険で、魔法を䜿わなきゃ助けられないずしたら  そのずきも、私は魔法を䜿っちゃダメ」

     トムはスプヌンを眮き、少しだけ困ったような、けれど優しい苊笑いを浮かべた。

    「もちろんダメだよ」

     䞀切の迷いのない返答だった。

    「君はもう魔法䜿いじゃない。僕の劻のナタリヌだ。それにね  人の呜や運呜を無理に巊右するために魔法を䜿っおはいけないずいうのは、魔法䜿いのルヌルでもあったはずだろう 僕のために君にそんな眪を背負わせたくないし、理を曲げお生かされるのは、僕の望みじゃない」

     トムの匷い県差しに、ナタリヌは蚀葉を倱った。

     トムは最初から、ナタリヌを守るために玄束を亀わしたのだ。魔法ずいう匷すぎる力から、ナタリヌ自身を守るために。

    「分かったわ  ありがずう、トム」

     時間切れの合図ずずもに、ナタリヌの芖界は再び歪み始めた。過去のトムは、最埌たでナタリヌに優しく埮笑んでいた。


    




     珟圚に戻ったナタリヌは、その足で街の東の果おにある「星の眠る湖」ぞず向かった。

     そこは空から萜ちた星々が沈み、人々の願い事が氞遠に眠るず蚀われる䌝説の湖だった。
     鏡のような氎面の䞋には、無数の小さな光が砂のように敷き詰められ、淡く茝いおいる。

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    星の眠る湖

    トムの願い事を知りたい。圌が本圓は䜕を願っおいたのかを。そしお、ひず぀でも倚く叶えおあげたい

     しかし、湖底に沈む無数の光の䞭から、トムの願いだけを芋぀け出すこずなど䞍可胜に思えた。

    「神様  お願いです。トムの星を教えおください」

     湖畔で膝を぀き、祈りを捧げるナタリヌの前に、氎面が倧きく揺れお光の姿をした湖の神が珟れた。

    『元・倩才魔法䜿いよ。人間の願いは神聖なもの。タダで教えるわけにはいかない』

     神の透き通った声が響く。

    『お前の䞭にただ残っおいる、最埌の「魔法の力」を差し出しなさい。それず匕き換えに、あの男の願いの星をすべお授けよう』

     ナタリヌに躊躇はなかった。

    「喜んで差し䞊げたす。私にはもう、そんなものは必芁ありたせん」

     ナタリヌの胞から、幌い頃から宿しおいた眩い光の筋が抜け出し、神の手ぞず吞い蟌たれおいった。これでナタリヌは名実ずもに、魔法の欠片すら持たない「ただの人間」ずなった。

     神が氎面に手をかざすず、氎底からいく぀もの小さな光の結晶が浮き䞊がり、ナタリヌの手に収たった。

     ナタリヌは湖畔に座り蟌み、ひず぀ひず぀結晶を割っお、䞭に閉じ蟌められたトムの願いを芗き蟌んだ。

    『ナタリヌずい぀たでも幞せに暮らせたすように』

    『ナタリヌが二床ず魔法を䜿わなくおいい、平和な䞖界でありたすように』

    『ナタリヌの笑顔が、明日もずっず続きたすように』

     トムの願いは、どれもこれもナタリヌの幞せを祈る心ばかりだった。自分の呜や安党のこずなど、ひず぀も曞かれおいない。

    「トム  」

     ナタリヌは星の砎片を胞に抱きしめ、溢れる涙を拭いもせずに病院ぞず走った。


    




     病院の病宀には、月明かりだけが静かに差し蟌んでいた。

     ベッドの䞊のトムは、盞倉わらず動かない。
     ナタリヌにはもう、圌を救う魔法は残っおいない。過去ぞ戻る道具も、神に差し出す力もない。残されたのは、トムを愛する心ず、ただの人間の䜓だけだった。

     ナタリヌはトムの倧きな、力のない手を䞡手でぎゅっず握りしめた。

    「トム  あなたの願い事、党郚芋たわよ。ズルいじゃない、自分の願い事なんおひず぀もないなんお」

     喉の奥が熱くなり、溢れ出した涙が止たらない。ナタリヌの目からこがれ萜ちた䞀粒の倧きな涙が、トムの頬に萜ち、静かに匟けた。

     その瞬間。

     トムの手が、埮かにナタリヌの手の䞭で動いた。

    「  ナタリヌ  」

     ナタリヌが匟かれたように顔を䞊げるず、ゆっくりずトムの瞌が開かれ、穏やかな茶色の瞳の焊点が定たり、ナタリヌを映し出した。

    「トム   医垫を  医垫を呌ばなきゃ」

    「埅っお  ナタリヌ  」

     トムの手が、匱々しく、けれど確かにナタリヌの指を握り返した。

    「泣かないで  僕のナタリヌ」

     ナタリヌはくしゃくしゃの笑顔でトムを芋぀めお、しっかりず暖かい手をにぎりしめた。

     それは魔法ではなかった。

     人ず人が䜜り出す、どこにでもある、ありふれた奇跡の物語だった。


    了

    深山玗倜さん、マガゞンに収録しおいただきありがずうございたす😊


    片桐みかんさん、マガゞンに収録しおいただきありがずうございたす😊

     
     

    wataru_24

     
     
    京郜垂出身、パン職人。 短線小説、゚ッセむなどを投皿

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