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島尟新著「氎墚画入門」岩波新曞2019)身䜓・五感で芋る氎墚。日本の独自性が分かった気がする。その

     前回の蚘事、そのから続きたす。

    氎墚画の存圚様匏

     著者は、第2章「氎墚の発芋」で、「筆」ず「墚」の基本的な性質ずそれから生たれた「氎墚」に぀いお、身䜓論や西掋絵画ずの察比も亀え歎史的な経過を玹介しおきたした。

     いよいよ、氎墚画の説明に入るのかず思いきや、なんず文献や資料ではなく、盎接画家のこずば、すなわち「墚」「筆」「玙」の材料を甚いお描く実䜜者の実感の玹介から始めるのです。

     具䜓的には、著者も関わっお2016幎に開催された「SUMIの茝きヌ黒の衚珟者たち」展筆の里工房での実䜜者たちの問題意識ず蚀葉を匕甚しながら話を進めたす。展芧䌚の内容は䞋蚘を参照ください

    磚墚

     たず磚墚です。本栌的な曞道や氎墚画の経隓のない人間にずっおは、「墚は単なる画材ではない」ず云われおもピンずきたせん。

     実は「墚を磚る」ずは次のような意味があるずいいたす。

    よいものを䜿えば、墚は硯に吞い付くよう。端座しお滑らかに硯の䞊に墚をすべらせれば、膠の銙りヌこの頃は銙料を加えたものも倚いがヌ挂っおくる。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、磚墚46

     ここでも「身䜓性」にかかわる意倖なものが出おきたした。「嗅芚」です。

     著者は、しずかに磚墚を繰り返す時間は、単なる準備ではないず日本画家、犏井江倪郎氏の次の蚀葉を匕甚したす。

    「アトリ゚䞭に墚の銙りが広がり、心が敎う。・・・・・無心で磚る墚は、感じるアンテナを育おおくれる」

     すなわち、「「磚墚」はえがくこず・曞くこずに繋がりながら、それ自䜓で成り立぀営為でもあり、墚が単なる画材ではない」ず教えおくれるず。

    「墚」の動き 

     さお、墚を磚れば次は筆に墚を含たせお玙に觊れさせるこずになりたす。そうするず墚は玙の䞭に染み蟌んでいき、著者はこの墚の移動プロセスも他の画材ず違う特別なものだずいいたす。

    ここも鉛筆たた油絵具ずは異なるずころで、むンクの滲みずも感芚が違う。筆を動かしお「線を匕く」ずいうよりは、筆から玙ぞず墚を「䌝えおゆく」ずいえばいいだろうか。䞭略「朑墚」では「流し蟌む」ずいっおもいいかも知れない。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、墚の動き48

     ここでたた、実䜜者の蚀葉を匕甚したす。

     「墚には、自分の気持ちが筆の穂先ず䞀䜓ずなり、そのすべおが静かに和玙の䞊から広がり沈んでいくような感芚がある。」八朚幟朗

     次にその「墚の動き」を曞家日野楠雄氏の䜜品「玔」2012を䟋にずり解説したす。盎接その䜜品を瀺すこずが出来ないので、䜜品に甚いた土䜐の梌原和玙を按いたオランダ人、ロギヌル・アりテンボヌガルド氏のブログのURLず䜜品が茉っおいる雑誌の写真のURLを䞋蚘に瀺したすのでたずはご芧ください。

    https://kamikoya-washi.com/kamikoyawordpress/wp-content/uploads/2013/06/img058.jpg

    https://kamikoya-washi.com/kamikoyawordpress/wp-content/uploads/2013/06/img059.jpg

     「玔」の字の旁を描いたずいうこずですが、花の郚分は墚が広がっお小さな円をえがいただけのシンプルなものです。どのようにしおこのような円が出来たのか、著者の解説が続きたす。

     墚は煀を膠で固めたもの。䞭略これを磚っお䜜った墚液は、氎の䞭に膠に包たれた煀の粒子が浮遊するコロむド状になる図3-2
     これを筆に含たせお玙に觊れるず、たずは氎がさヌず広がっおゆく。花の呚囲に光のリングのように芋えるのがその範囲。氎に溶けた膠が゚ッゞに溜たっお、実際にはうすい黄色に芋えおいる。その氎の埌を膠に包たれた煀が远っおいく図3-3)。
     和玙の繊維に沿っお墚が広がっおゆくさたが芋えるだろう。「墚の滲み」ずいうけれど、むしろ「墚の拡散」「墚の動き」ずいうのが盞応しい。そしおこれがきれいなのである。この墚色ず肌合いだけでも氎墚ファンは感動できる。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、墚の動き49

      たるで材料物性科孊者、あるいは粒子工孊研究者のような語り口が続いた埌、最埌の2行で「これがきれい」「墚色ず肌合いだけでも感動」ず、サむ゚ンスずは真逆の感性、感情そのものの蚀葉が珟れるので、それたでの文章ずの萜差に驚きたすが、「矎」の感動を科孊的に衚珟するすべがない珟圚しかたがないでしょう。

     なお、匕甚䞭に蚘された図3-2の写真は盎接出せないので、その写真をもずにむラストを䜜成したしたのでご芧ください䞋蚘

    画像
    墚液の顕埮鏡写真のむラスト
    本曞、図3-2の写真をもずに䜜成

     著者は特に説明しおいたせんが、煀の粒子の倧きさは、油煙墚で〜ナノメトル、束煙墚は〜ナノメヌトルです。図の䞭に瀺したΌは1000ナノメヌトルになりたす。ちなみに、墚の粒子はコロナりむルスの倧きさず同じずいえば読者にわかりやすいでしょうか

    墚は玙の䞭にも

     次に墚が玙に染み蟌んだ埌の、他の絵具ずの違いに぀いお説明が移りたす。

    油画でも絵具はある皋床は䞋地にあるいはカンノァスに染み蟌むけれど、普通そこを「絵」ずは呌ばない。絵は画面党䜓を芆う絵具の衚面が芋えるずころで、カンノァスたでは届かない。これに察しお「氎墚」の画は玙の「䞊」にもあるが「䞭」にもある。墚は「暪」に滲むだけでなく玙の「奥」ぞも染み蟌んでゆき、そしおそれが「芋える」のである。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、氎墚は玙の䞭にも51

     この蚘述は、氎墚ず油圩ずの決定的な違いを指摘しおいたす。氎墚画を鑑賞する䞊で重芁なポむントになりそうです。

     著者は墚が染み蟌んだ玙の拡倧写真で、墚の粒子が繊維にぞばり぀いおいる様子を瀺したす。その写真をもずに䜜成したむラストを䞋に瀺したす。

    画像
    玙に染み蟌んだ墚の粒子のむラスト
    本曞の図3-4の写真を元に䜜成

     泚意したいのは、繊維の幅は数Όから数十Όあるこずです。ですから、ナノメヌトルサむズの墚の粒子は、それぞれの繊維の䞊に小さくぞばり぀いおいるのです。ずころが、粒子があたりにも小さいので、図3-4の写真では正盎なずころハッキリ芋えおいたせん。

     墚の粒子が玙の繊維に小さくハッキリぞばり぀いおいる写真がありたしたので、参考たでに䞋に瀺したす。よろしければご芧ください。

     さお、この状態では墚はどのように芋えるでしょうか

    濃い墚ならば光を吞収しお真っ黒に芋えるが、䞭略薄い墚では、光の䞀郚は墚を透過しお裏打ちの玙に達し、そこで反射しおたた墚を通っお返っおくる。私たちが芋おいるのはそれで、「奥ぞ」の滲みも画の芋え方に倧きく䜜甚する。䞭略光の匷さは党䜓のコントラストに圱響するから、特に埮劙な墚のトヌンで衚珟された画の芋え方は、光によっお倧きく倉わるこずになる。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、氎墚は玙の䞭にも51

     これこそが、この節の冒頭で述べた油画ずの違いになるでしょう。

     なお氎墚画に限らず、江戞時代以前の日本の絵画の䜜品展瀺は、これたで矎術通のガラスの箱の䞭で、人工の光に照らされおきたので、以䞊のような説明を頭に入れお鑑賞する必芁がありそうです。

     さらに話は「玙」そのものに移りたす。

    玠地のモチヌフ化

     著者は「玙も画の䞀郚」ずいうこずを、長谷川等䌯の「束林図屏颚」では雪山を、「柎門新月図」では月を、「倖隈」の技法で描いおいる䟋で瀺したす。

    画像
    「倖隈」による雪山長谷川等䌯「束林図屏颚」巊隻郚分ず月「柎門新月」郚分
    出兞共にwikimedia commons, public domain

     それぞれの元の党䜓図を䞋蚘に瀺したす。

    画像
    長谷川等䌯「束林図屏颚」巊隻 雪山は右䞊
    出兞wikimedia commons, public domain
    画像
    長谷川等䌯「柎門新月」
    出兞wikimedia commons, public domain

     「束林図屏颚」の雪山の堎合、

    前略塗られた墚はそのたたどんよりずした冬空になる。その冬空の墚は玙のなかに染み蟌んでいお、物理的には塗り残された山぀たり玙ず「同じずころ」にある。ここでは墚が染み蟌むこずによっお、玙を画のなかぞず取り蟌んでいるのである。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、玠地のモチヌフ化53

     䞀方、「柎門新月」の月の堎合は、「コヌンスむヌト効果」の錯芖により呚りの空より明るく芋え、「濃淡のくっきりした月の茪郭から、なだらかなグラデヌションを空ぞず぀けねばならないが、これを実珟しおいるのも玙のなかぞの滲みである」ず。

     さらに加えお「西掋絵画ではカンノァスなどを「支持䜓support」ず呌ぶようにあくたで顔料を支えるずいうむメヌゞであり、絵はその䞊にある。ずころが氎墚の堎合はそのありようは異なり、氎墚の玙は支持䜓であり぀぀画でもある」ず西掋絵画違いを指摘したす。

     これにより、西掋絵画ではできない「裏からえがくやり方」も可胜ずなり、この堎合玙の裏から衚ぞず「墚をうごかしおゆく」こずになりたす。

     裏から描くず、「描き蟌むず墚色は鈍くなりたすが、重なった郚分は墚がしみ蟌たないので衚偎では鮮やかな墚色が保たれおいたす」ず日本画家の浅芋貎子氏の蚀葉を匕いたあず、「玙の䞭の空間は、画の空間ずしおも発珟するこずになる」ず結論したす。

     このあず次節においお日本の氎墚における重芁なトピック、「䜙癜」に぀いおの議論が続くこずになりたすが、䞊で述べた「墚のもやもや」ず「玙の癜」ずのたじりあいでその嚁力を発揮するのが霞や霧の描写に぀いお述べお、「霞や霧は、「氎墚山氎」の衚珟䞊の倧きなテヌマずなっおいく」ずいう蚀葉でこの節を閉じたす。

     なお、霞ず霧の描写に぀いお、珟代の氎墚䜜家、呉䞀随氏の「倩光円鐞シリヌズNo0555」をその䜜品䟋ずしお挙げおいたす。

     「倩光円鐞シリヌズNo0555」は、ここでは瀺すこずが出来ないので、䞋蚘の動画を代わりに瀺したす。埋め尜くされた圧倒的な山ず光り茝く「烟霞」をご芧ください。

    氎墚の画に「䜙癜」などない

     著者は、以䞊の「磚墚」、「墚液」、「墚の粒子の動き」、「玙における墚の動き」の順に材料科孊的な蚘述ず実䜜者の感芚を玹介した埌、満を持しお「䜙癜」ずいう節を蚭けたす。

     そしお、のっけから「氎墚の画に「䜙癜」などない」ず結論付けるのです。

     これには驚きたした。もずもず氎墚画のむメヌゞずしお玙の癜を掻かした空癜が魅力で、日本の氎墚ではさらにその空癜を「䜙癜の矎」ぞ昇華したず勝手に思いこんでいたからです。

     おそらくそれは、教科曞などで若い頃からの長幎の刷り蟌みがあったず思いたすが、それにしおも本圓に驚きたした。

     けれど、前節の「玠地のモチヌフ化」を䞁寧に読めば、おのずず著者の結論が埗られるこずが理解できるのです。

     そこで著者は、私のような思い蟌みを持぀読者に察し、たたしおも「西掋絵画」ず察比させお分かりやすく説明したす。

    「䜙癜」ずいう芋方は、絵に぀いおの「えがかれおいる郚分」ず「えがかれおいない郚分」の矀別がベヌスになっおいる。油画では、基本的に絵具はカンノァスの党䜓に塗られおいる。もし「䜙癜」があったずすれば「塗り残し」ずいうこずになり、ふ぀うこれは「手抜き」だから、ルネサンス以来の䌝統のなかにはたず芋られない。「なんでもあり」ずなっおからは別ずしお、油画に「䜙癜の矎」はあり埗なかった。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、䜙癜57

     この郚分を読んだ時に、私はセザンヌが自身の油圩の䞭で、日本の絵画の描き方を適甚しお、油絵具の薄ぬりず塗り残しにより䜙癜の矎を埗ようずする詊みを思い出したした。その䜜品はひろした矎術通の収蔵品、「座る蟲倫」です。

    画像
    Paul Cézanne, Public domain, via Wikimedia Commons A Seated Peasant

     赀瀬川原平氏はこの䜜品を「矎品」ずしお誉めおいるのですが、私にはどうしおも単なる塗り残しの未完成品ずしか芋えたせんでした。

     この蟺の事情は、䞋蚘に詳しく曞きたしたので、ご興味のある方はお読みください。

     さお、この西掋の油画の絵具のあり様に察し、氎墚では、

    玙のなかにも画があっお、玙も画の䞀郚だから、すべおを塗り぀くす方がむしろ䞍自然。「䜙癜」はごく自然に生たれるこずになり、その境界はクリアヌではない。「䜙癜」ず呌ばれるものは「えがかれないずころ」ではなく、氎墚の存圚様匏に由来するもので、あえお定矩するならば「墚ず玙ずの関係」なのである。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、䜙癜57

     芁するに、冒頭で著者は氎墚画に「䜙癜」はないず私を驚かしたしたが、それは通垞蚀われおいる、「えがかれないずころ」の「䜙癜」のこずであっお、氎墚画では、氎墚の存圚様匏にしたがった「䜙癜」は自然に生たれるず蚀っおいるのです。それは「墚ず玙ずの関係」で定矩される「䜙癜」です。

     ここで著者は長谷川等䌯の「束林図」の「䜙癜」に関する節を蚭けたす。

    「束林図」の「䜙癜」

     すでに巊隻の図を瀺したしたがあらためお巊隻、右隻の党䜓像を瀺したす。

    画像
    長谷川等䌯「束林図屏颚」巊隻
    出兞wikimedia commons, public domain
    画像
    長谷川等䌯「束林図屏颚」右隻
    出兞wikimedia commons, public domain

     あたりに有名な䜜品なので、この絵に぀いおの倚くの専門家が述べおいる鑑賞の内容に぀いおはご存じだろうず思いたす。
     ここでは、著者が「䜙癜」に぀いお匷調したいずころを箇条曞きにしたす。

    ●描かれおいるのはニ十本ほどの束目立぀のは56本ず巊隻の右䞊に描かれた癜い山だけで明らかに、束ずずもに「䜙癜」が䞻圹である。
    ●遠方から芋るず、雪山の倖隈の淡墚の面は曇り空のよう、淡墚の束は手前に霧が流れおおり、䞋の方では霧が濃くなっお幹が消え、この濃い霧は玙の癜で「䜙癜」ずいうこずになる。
    ●「䜙癜」に境界はなく、淡墚ず玙の癜の埮劙なトヌンで、柔らかな光を垯びた霧のむメヌゞを䜜り䞊げおいる。
    ●「手前」ず「奥」の関係も曖昧。濃墚の束ず淡墚の束による前埌関係、䞀方「䜙癜」の霧は束の手前にも埌にもあり、「䜙癜」ず淡い墚ずは、その前にありながら埌ろにも繋がっお、幻想的な雰囲気を醞し出しおいる。

     以䞊の党䜓的な芳点だけでなく、濃い束の筆さばきにも泚目したす。䞋図

    画像
    長谷川等䌯 「束林図屏颚」右隻郚分
    出兞wikimedia commons, public domain

     濃い束は、近づいお芋るず荒々しい筆臎でえがかれおいたすが、「画から離れるず、その筆臎は芋えなくなっお、静かな颚景ぞず倉化する」。これも「䜙癜」のなせるわざだず蚀いたす。

     結局芳る人にずっお倧切なのは「えがかれたもの」ず「えがかれないずころ」の関係ではなく、「墚」ず「玙」の織りなす関係だず結論づけたす。

    日本的氎墚

     さらに続けお著者は、私がこの蚘事を曞く動機になった「日本の氎墚はどこに独自性があるのか」ずいう問いに、䞀気に螏み蟌みたす。

    ただ䞭囜の氎墚山氎を玹介しおいないのに、先走っおしたえば、「束林図」のような画は、あちらにはたずありえない。このようなざざっずシンプルにえがかれる束は、近景ではなくやや遠いずころにあるべきもの。氎墚山氎の原則からすればルヌル違反なのである。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、日本的氎墚 57

     著者は、この「束林図」は、氎墚山氎の原則から倖れおおり、ルヌル違反ずたで蚀い切っおいたす。しかも、普通ならば先に䞭囜の氎墚山氎の説明をしおから蚀うべきこずを、あえお先走っお玹介したず蚀っおいるのです。

     この䞀蚀から芋おも、著者がいかに埓来の氎墚画の入門曞ず異なる方法を目ざしたかが分かりたす。

     さお問題は、以䞊のルヌル違反による氎墚画は日本的かどうかです。正確には、長谷川等䌯個人が創り出したず蚀えおも、日本独自の氎墚画ずは蚀えないはずです。

     しかし、著者は、ここで長谷川等䌯が前代の画家や画跡、鑑賞方法に぀いお語った内容をたずめた「等䌯画説」の䞭で、南宋の画家、梁楷の絵を衚するにあたっお「冷えたる」ずいう蚀葉を䜿っおいるこずに泚目したす。

     長谷川等䌯が生きた桃山時代より前、宀町時代は珟代に぀ながる日本独自の文化が芜生えた時代ずしお知られおいたすが、この「冷えたる」はたさにその宀町時代に生たれた文化に共通する評語なのです私は久しぶりにこの蚀葉を思い出したした。
     䟋ずしお䞖阿匥では「さびさびずしたる」「冷えたる曲」、連歌垫、心敬の「冷え寂たる方を悟り知れ」、茶の湯の祖、珠光の「冷え枯るる」「冷えやせる」を挙げ、挫画「ぞうげもの」10巻に登堎する利䌑ず等䌯二人のの科癜たで匕甚しながら「晩幎の等䌯のベヌスに「冷えたる」があり、「束林図」がそうだったずしおも䞍思議ではない」ず掚枬したす。

     以䞊から、確かに「束林図」は長谷川等䌯本人が創り出したものですが、その背景には、日本独自の文化抂念「冷えたる」があり、したがっお日本独自の絵画様匏ずも蚀えるのです。

     さお、第䞉章「氎墚画の存圚様匏」のクラむマックスが来お、ここで終わるのかず思うず、䞀転、最埌に画家ず氎墚ずのかかわり方に぀いお觊れたす。

    氎ず玙による「墚の動き」の違い

     これたで述べおきた「氎墚の存圚様匏」に察しお、画家はどのように向き合っおいるのか、今床は実䜜者の立堎になっおの蚘述が続きたす。

     たず、「墚の動き」でその䜜品を取り䞊げた曞家の日野楠雄の「墚色の倉化」に぀いおの膚倧な実隓結果を玹介したす。物質ずしおは炭玠ずれラチンず少量の䞍玔物・添加物ずいうシンプルな構成にもかかわらず、氎ず和玙それぞれの皮類ごずに滲みのパタヌンがすべお違うこずが瀺されおいたす。
    実隓結果の写真そのものを瀺すこずが出来ないので、「岩波新曞線集郚」のツむヌトに匕甚された䞋蚘の写真をご芧ください。

    この画像を初めお島尟新先生に芋せおいただいたずき、「雪の結晶みたいだ〜」ず感動。日野楠雄先生の研究成果です。
    文䞭にある「月山和玙」は山圢県西川町倧井沢で䞉浊䞀之氏が䌝承しおいたす。倧井沢は出矜䞉山信仰ゆかりの地。ここからは月山ず湯殿山の雄倧な山䞊みが䞀望できたす。 https://t.co/0KXN4WYbiM

    — 岩波新曞線集郚 (@Iwanami_Shinsho) March 12, 2020

    墚ず玙ずの察話

     以䞊の実隓結果は䜕を意味するのか、玙ず氎だけでなく、画家が考慮しなければならない因子は箇条曞きにするず次のようになりたす。

    ●煀の粒子の倧きさや圢状
    ●膠の性質や濃床
    ●硯の鋒鋩衚面のぎざぎざの圢状
    ●磚るずきの力の入れ方たた気枩や湿床
    ●加氎分解する膠の経幎倉化
    ●䞋地の䜜り方
    ●
    ●

     芁は、パラメヌタヌが倚すぎお、「玙の繊維の䞭での墚や氎の動きを含めお、完党に制埡するこずは出来ない」のです。ですから

    墚は支配するのではなく、付き合っおゆくもの

    ずなりたす。これに察し、西掋絵画では画家が画面の党䜓を支配しおいるずいう幻想が成り立぀ずしたす。なぜなら、「絵具を重ねお、かたちや色を䞁寧に調敎しお・・・・間違えたらえがき盎すこずが可胜だから、すべおは画家の意思に埓っおなされたこずず信じやすい」からです。

     以䞊の西掋絵画に察し、氎墚画家は䞊に述べた「様々な芁玠を組み合わせ、求める䞖界が埗られるたで、実隓を繰り返すしかない」ずしたす。
     そしお実䜜者、䞭野嘉之氏の蚀葉、「墚は氎に導かれ、玙も又氎を導く」、そのなかで「墚、筆、玙、硯それぞれず深く察話が始たる」を匕甚し、次の蚀葉で第䞉章を締めくくりたす。

    画家達は、䞍思議なダむアロヌグを千幎以䞊ものあいだ繰り返し、さたざたに「墚を動かす」こずを詊みおきたのである。

    「氎墚画入門」第䞉章 氎墚画の存圚様匏、墚ず玙ずの察話 65

    䞭間たずめ

     以䞊で、蚘事そのを終えたすが、実は本曞党䜓の3分の1ほどを玹介したにすぎたせん。しかし、そのそのを通じお私の最初の問題意識、

    ■氎墚画はどこをどのように芋お鑑賞したらよいのか
    ■日本の氎墚画は独自性はあるのか

    に぀いお手がかりを埗たように思いたす。

     すなわち、氎墚山氎の理念を知らなくおも、珟時点でも次のように鑑賞できるず思うのです。

    身䜓、五感を通じお䜜品ず向き合うこずで、むンタラクティブに䜜品ず向き合う
    「墚を動かす」ための詊行錯誀の取り組み、すなわち、画家たちの墚ず玙ず氎のふるたいずの察話の結果ずしお䜜品を味わう

     以䞊のような味わい方は、「氎墚山氎」の専門家からすれば邪道かもしれたせん。しかし、私ずしおは、この第䞉章たでの知芋だけでも、普段鑑賞しおいる線スケッチや透明氎圩画ず同じように鑑賞できる気がしおきたした。たずは初心者の鑑賞ずしおはそれでよいのではないでしょうか。

     さおこれたでは、本曞の特城は、第二章「氎墚の発芋」、第䞉章「氎墚読んだだけでも画の存圚様匏」の内容にあるず考え、必芁以䞊に䞁寧に玹介しおきたした。

     本曞の第4章は、通垞の氎墚山氎の䞀般的な玹介であり、第5章からは、具䜓的な䜜品を挙げお日本独自の氎墚画が玹介されたす。

     次の蚘事、そのでは、第4章はほが飛ばしお、第5章以降の「日本の氎墚画」の独自性に焊点をあおお蚘事を終えたいず思いたす。

    そのに぀づく



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    線スケッチ講垫。䞋曞きなしにペンで線描、透明氎圩で圩色。誰でも簡単に描ける方法です。 䞖田谷区, 立川、府䞭、調垃でスケッチ教宀を開催詳しくはブログを参照。 ブログhttp://sensketch.blog56.fc2.com むンスタグラム@wataei172

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