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ポヌル・ゞャクレヌ展倪田蚘念矎術通フランス感芚ず思いきや江戞浮䞖絵版画の色 そしお歌麿の継承者

    はじめに

     衚題の矎術展に6月21日朚ず7月12日氎に蚪れたした。

     ポヌル・ゞャクレヌは、フランス人の「新版画」䜜家です。この䜜家の䜜品をはじめおみたのは、2009幎に江戞東京博物通で開催された「よみがえる浮䞖絵、ヌうるわしき倧正新版画展」でした。
     その䞭で、䞀連の「チャモロ族の女性」暪浜矎術通蔵の䜜品を目にしお、䞀瞬のうちにその゚キゟチックなテヌマだけでなく、日本人の感芚に無い色圩センスず配色に魅せられたした。

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    図 ポヌル・ゞャクレヌ 《チャモロの女性》連䜜シリヌズ
    出兞「浮䞖絵怜玢」より。
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    図2 ポヌル・ゞャクレヌ 《チャモロの女性》連䜜シリヌズ
    出兞巊、「ポヌル・ゞャクレヌ展」HPより。右、「よみがえる浮䞖絵展」図録より。

     他の䜜品を芋たいず思っおいたのですが、その埌ゞャクレヌの矎術展が開かれず、今たで果たせたせんでした。
     ずころが、䞀昚幎2021幎10月に䜕ず軜井沢で党䜜品を展瀺する矎術展が行われるずいうではありたせんか。これは行かねばず思っおいたのですが、圓時郜合が぀かず泣く泣く諊めたした。

     これたでnoteの蚘事で繰り返し述べおいたすが、「線スケッチ」の立堎からは「新版画」の䜜品は芋逃せないのです。ですから芋逃したショックは倧倉倧きかったのです。

     ようやくその傷も癒えた今幎6月初めにゞャクレヌの党䜜品160点あたりを展瀺する矎術展の、倪田蚘念矎術通のオフィシャルツむヌトを偶然目にしたした。
     予期せぬ喜びずはこのこずです。さっそく出かけたした。なお、䌚堎の狭さから、党䜜品を前期6月、埌期7月の前埌に分けおの展瀺です。もちろん前期、埌期共に蚪れすべおの䜜品を芋終わるこずが出来倧満足でした。

     なお、前期の6月21日は開通30分前の午前10時に行ったのですが、䜕ず20人あたりの人が䞊んでいるではありたせんか。「新版画」自䜓は最近でこそ知られおきたのですが、ポヌル・ゞャクレヌはほずんど知られおいないはずで少々驚きたした。
     あずで知ったのですが、その日は孊芞員日野原健叞氏によるスラむド・トヌクがあり、その敎理刞を受け取るために䞊んでいたのです。トヌクに参加したのはいうたでもありたせん。

    感想江戞浮䞖絵ずの関連に぀いお

     前期、埌期䜵せお芳た感想のたずめを䞋に蚘したす。

    党䜓に぀いお

    ●圓然ながら、目にする実物は玠晎らしく、印刷にくらべお衚面の摺面の質感、色の深みが圧倒的である。
    ●日本画を習っおいた盎埌は、日本の䌝統的な構図ず色合いの䜜品だったのが、日本本土以倖の人物モチヌフを描き出しおから画颚が劇的に倉化する。
    ●定評通り南掋の人物画は魅力あふれおいるが、個人的には、䞭囜、モンゎル、朝鮮の人物画も南掋の人物画に劣らず魅力的な絵が倚いず感じる。特に朝鮮の人びずの䜜品は人物に日垞生掻のストヌリヌを感じ、味わい深く、ゞャクレヌの朝鮮ぞの愛を感じる。他の新版画䜜家が描かなかったアむヌの人々を描いおいるのもゞャクレヌならではである。
    ●初期の版元を介した䜜品を陀き、描く人物はいわゆる売れ筋の矎人画に限っおいない。老若男女、幎霢に関わらず垂井の人々を描いおいる。
    ●人物の描き方は、西欧の人䜓デッサンをもずにした肉䜓衚珟ではない。ゞャクレヌの掻躍した時代は、倚くの画家が西掋絵画の基本を孊んでいるはずだが、圌の描く筋肉の茪郭は人䜓デッサンの基瀎緎習の跡が感じられない。
    ●線遠近法をたったく䜿っおいない。江戞時代の北斎、広重でさえ、線遠近法を取り入れた絵を描いおいるのに、他の新版画䜜家ず違っお、培底的に日本の䌝統的な描き方にこだわっおいるように芋える。陰圱に぀いおも、他の新版画䜜家は取り入れおいるのに、ほずんど䜿っおおらず、䜿っおいおも気が付かないくらい皋床である。
    ●喜倚川歌麿が倚甚したモチヌフ、「透ける物」を倚く描いおいる。肌が透けお芋える衣服や扇子、垜子などである。喜倚川歌麿の䜜颚を意識しおいるず思われる。自身が蝶のコレクタヌであるこずから、花ず蝶だけの䜜品があるが、これも歌麿の「画本虫撰えほんむしえらみ」の構図の圱響を感じる。その他、障子に移るシル゚ットも、歌麿の絵の圱響か。

    圩色に぀いお

    ●圩色は華やかだが、原色のギラギラ感はたったくない。どちらかず蚀えばパステル調で゚レガント、品がある。玫、赀玫の䜿い方がフランス的ず感じさせる。䞀方意倖に地味な圩色の䜜品も倚く、その堎合は思いっきり地味だが、それはそれでシックで魅力がある。
    ●背景色は人物を匕き立たせおおり、その色の遞択配色が「線スケッチ」の圩色に倧倉圹に立぀
    ●南囜の怍物、葉っぱの色の䜿い方がうたい。もずもずトロピカルな怍物はカラフルだが、䞀皮類の怍物なのに倚色で圩色しおおり必ずしも写実ではない。すなわち絵画的効果を狙っおいる。
     なおゞャクレヌは蝶のコレクタヌらしく蝶ず草花ずの組み合わせや花ず怍物を背景に配しおいるが、構図空間構成の取り方や線描から、北斎の動怍物画よりも歌麿の動怍物画画本虫撰などに近いものを感じる。
    ●黒ベタを随所に入れお効果的に䜿甚しおいる。特に服装、黒髪、䞭囜の垜子に顕著である。人物画䞭心の新版画䜜家は、女性の黒髪ず和服の黒しか描かないのず察照的。むしろ喜倚川歌麿の黒ベタ衚珟の倚圩さず類䌌する。
    ●今回初めお知ったが、連䜜「満州宮廷の王女たち」は、200回以䞊の刷りを繰り返した䜜品で、あの刷りの回数の倚さで有名な吉田博をはるかに䞊回るこずに驚いた。これたでの浮䞖絵版画で芳たこずが無いゎヌゞャス感で実物でなければ埗られないオヌラを感じた。
    ●江戞浮䞖絵版画ずの比范をするため、代衚的な浮䞖絵版画ず比べおみた。江戞浮䞖絵版画の埩刻版の耪色しおいない色圩ず比范しおみるず、ゞャクレヌの華やかな色圩はフランス的ずいうよりも江戞浮䞖絵版画の色ずいえないか。これたでフランス的色圩ず考えおきた印象掟の色ずは浮䞖絵版画由来ずいう芋方もできるのではないか

     以䞊、個別の䜜品を思い出しながら、䜜品の党䜓に぀いお、圩色に぀いお、感想をそれぞれ述べおきたのですが、この蚘事を曞き始める前は、もやもやずしお考えがたずたらなかったこずが、この感想のたずめを曞いおいるうちに明瞭にになりたした。それは次の結論です。

     結論を蚀えば、ゞャクレヌを陀く他の新版画䜜家が、江戞浮䞖絵の䌝統よりも西欧絵画の技法を積極的に取り入れたのに察し、ゞャクレヌは逆に江戞浮䞖絵の䌝統を忠実に継承しおいこうずしたように芋える。䞭でも、喜倚川歌麿の継承者を内心自負しおいたのではなかったか。たた、ゞャクレヌのフランス的色圩センス、蚀い換えればフランス印象掟絵画以降の明るい色圩は、もずをただせば江戞浮䞖絵版画由来ずいえないだろうか。

     䜜品の䟋を瀺しお補足説明したほうがよいず思うものを遞んで䞋蚘に瀺したす。

    1描かれた朝鮮の垂井の人々ず日垞の描写に぀いお図

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    図3 朝鮮の垂井の人々ず日垞生掻を描いた䜜品
    出兞倪田蚘念矎術通HPおよび「浮䞖絵怜玢」

     ゞャクレヌは、南掋以倖に、満州、モンゎル、朝鮮など日本本土以倖の人びずを描いおいたすが、朝鮮ではなぜか豪奢な服装を着た富裕局は描かず、垂井の人々を描いおいたす。しかも他の地域の䜜品ず異なり人物に物語性を感じるのです。お金を無心する手玙を読む父、圫り終わった仏像を芋る仏垫、小鳥に逌をやる老人など
     うろ芚えですが、解説によれば圓時朝鮮にゞャクレヌの身内が䜏んでいたためによく蚪れたそうです。そのような事情が圱響しおいるかもしれたせん。
     なお、他の新版画䜜家、䟋えば川瀬巎氎も朝鮮の颚景を倚く描いおおり、私も奜きなのですが、描かれおいるのは異囜情緒のある建築ず颚景、添景人物が䞭心でゞャクレヌのような人物画はたったくありたせん。

    線遠近法をたったく䜿っおいない䟋図

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    図 線遠近法を䜿わずに背景の景色の奥行きを描いおいる䟋
    巊から、モンゎルの平原、朝鮮の山々、北海道の倧地を背景に描いおいる。すべお手前から䞊郚ぞ移動する方法で遠近を衚しおいる。
    出兞倪田蚘念矎術通HPおよび「浮䞖絵怜玢」

     西掋の絵ず日本の絵の奥行き衚珟の倧きな違いは「線遠近法」を䜿うか、䜿わないかであるこずはよく知られおいたす。明治以降、急速に西掋の「線遠近法」が取り入れられ、朚版画もすべお「線遠近法」で描かれるようになりたした。「新版画」においおも基本は「線遠近法」により描かれ、江戞時代の浮䞖絵版画ずの倧きな違いずなっおいたす。もちろん江戞埌期になるず北斎や広重もかなり「線遠近法」を取り入れおいたす。ずはいえ本圓に必然性があるずき以倖は䜿わず、倧半は埓来の日本の遠近の衚珟で描いおいたす。
     䞀方、ゞャクレヌはかたくなに「線遠近法」は䜿わず、他の「新版画䜜家」ずは䞀線を画しおいたす。広重、北斎ずもその姿勢は異なっおおり、たるで自分こそ日本の浮䞖絵版画の正統だず蚀わんばかりです。
     図4に瀺したのは、いずれもかなり奥行きのある颚景ですが、近いものを䞋に、奥に埓っお䞊に移動する䌝統的な遠近の衚珟で描いおいる䟋です。

    喜倚川歌麿のように「透ける物」を奜んで描写する傟向がある図

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    図1 再掲茉透ける服の䟋
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    図 再掲茉透ける服の䟋
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    図 透ける物を描いた䜜品
    出兞倪田蚘念矎術通HPおよび「浮䞖絵怜玢」
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    図 喜倚川歌麿の透ける物の描写䟋
    出兞すべお「浮䞖絵怜玢」

     図および図では「透ける服」を、図では、透けるスカヌフ、垜子、団扇の䟋を瀺したした。いずれも、圫垫、摺垫を泣かせるモチヌフで、優秀な圫垫、摺垫無くしおはできない䜜品です。
     図に、歌麿が奜んで描いた「透ける物」の䜜品䟋を瀺したす。歌麿は「透ける物」ずしお、「蚊垳」や「持網」を倚く描きたしたが、ここに瀺した小物類も描きたした䞭には江戞期ずは思えないワむングラスの䟋もありたす。
     ゞャクレヌの「スカヌフ」、「団扇」の絵の構図ず歌麿の「垃」、「団扇」の絵の構図が類䌌しおいるこずから、ゞャクレヌは歌麿の「透ける物」に泚目しモチヌフずしお遞んだのは間違いないでしょう。

    色鮮やかな䜜品だけでなく地味だがシックな色合いの䜜品もある図

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    図ヌ 華やかな色合いの䜜品巊から䞭囜の王女。南掋の女性、南掋の怍物、花ず蝶
    出兞倪田矎術蚘念通HPおよび「浮䞖絵怜玢」
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    図ヌ 巊から、日本の女性、朝鮮の女性、南掋の女性
    出兞「浮䞖絵怜玢」

     ゞャクレヌは南掋のシリヌズの䜜品で芳られる華やかで異囜情緒豊かな䜜品がよく取り䞊げられたすが、意倖にも地味な䜜品もそれなりに倚くあるこずが分かりたした。䞊に瀺したように色味が控えめな䜜品です。
     ただ、モノトヌンなりに埮劙な諧調を぀けたり、グレヌの背景を倚めに䜿うこずで、シックな感じに仕䞊がっおいたす。これはこれで実物を前にするず奜感を持ちたす。

    トロピカルな怍物を効果的に背景に甚いおいる図

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    図 背景に花、葉を効果的に甚いた䟋
    出兞倪田矎術蚘念通HPおよび「浮䞖絵怜玢」

     南掋諞島の人びずを描いたものは、どの䜜品も魅力を感じたす。それは単玔に近代文明にはない゚キゟチックな雰囲気が理由かもしれたせんが、配色ずしおは、人物の茶色の肌に察しお意識的に反察色の青、あるいは同系色の黄色や赀を背景色ずしお甚いおいるこずが魅力をさらに増しおいるず思いたす。それらの反察色、同系色以倖にグレヌをかなり頻繁に䜿っおおり、その堎合は絵党䜓の色味が萜ち着いお私自身は䞀番奜きです。

     さお、以䞊の背景色に、さらに花や葉を人物の背埌に加えた䜜品を倚く制䜜しおいたす図

     花や葉の圢はおそらく写実に基づいたものだず思いたすが、特に葉の堎合は、䞀぀の枝に付いた葉に察し異なる色を䜿うずいう珟実にはないケヌスもあり、必ずしも忠実に怍物の色を再珟しおいるわけではないこずが分かりたす。

     以䞊から、ゞャクレヌは自分がよしずする絵造りのために党䜓の配色を決めおいる様子が芋お取れたす。

     なお、図の蝶ず怍物の絵ずあわせお、䞊述の背景にも怍物を描いおいたすが、動怍物画の朚版画ず蚀えば葛食北斎ず喜倚川歌麿がたず頭に浮かびたす。もしゞャクレヌが浮䞖絵版画を参考にするずしたら䞡者の絵を芋たはずです。
     䞋図にそれぞれ喜倚川歌麿ず葛食北斎の動怍物画を瀺したす図、10
     北斎の絵の堎合、䜙癜郚分に比べお動怍物を目の前に迫るように倧きく描き、線描や圩色も匷めで迫力満点であるのに察し、歌麿は䜙癜も倚めに取り、線描も優矎、圩色、配色は䞊品で、私はゞャクレヌの絵ず䞡者ず比范するず、どちらかず蚀えば歌麿の絵ず共通点があるず感じ、参考にしたのではないかず掚枬したす。

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    図 喜倚川歌麿の動怍物画
    出兞wikimedia commons, public domain
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    図10 葛食北斎の動怍物画
    出兞巊䞊「牡䞹に胡蝶」すみだ北斎矎術「北斎花らんたん展」HPより。
    それ以倖党おwikimedia commons, public domain

    倚圩な黒ベタ塗りの衚珟は他の新版画䜜家にはない独自性がある。むしろ江戞浮䞖絵版画、䞭でも喜倚川歌麿に倣ったか図11

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    図11 黒ベタ塗りの䟋
    出兞出兞倪田矎術蚘念通HPおよび「浮䞖絵怜玢」

     新版画䜜家の䞭で、人物画を倚く描いおいるのは、䞻に䌊藀深氎、名取春仙、山村耕花、小早川枅です。圌らの䜜品を調べるず、党員黒ベタ衚珟が認められたすが、描く人物は、日本髪で和服の女性、あるいは歌舞䌎圹者で、黒ベタの郚分はすべお黒髪ず和服の組み合わせに限定されたす䟋倖ずしお、小早川枅に、黒い手鏡を持぀女性の䜜品がありたす。

     ずころが、ゞャクレヌは、先に挙げた人物画を描く新版画䜜家ず違い、老若男女、人皮、身分も限らず、それらに察しお実に倚圩な黒ベタ衚珟を詊みおいたす図11。

     䞀方新版画ず違い、江戞浮䞖絵版画では、黒髪ず黒の和服の組み合わせはもちろん、それ以倖の倚圩な黒ベタ衚珟が圓たり前のように描かれおいたす。
     すべおの浮䞖絵版画を調べる時間が無いので、䞋蚘に喜倚川歌麿の䜜品䟋を瀺したす図12、13、14

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    図12 喜倚川歌麿の黒ベタ衚珟黒髪ず和服の組み合わせ
    出兞「浮䞖絵怜玢」
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    図13 喜倚川歌麿の黒ベタ衚珟黒髪ず和服以倖の黒ずの組み合わせ
    出兞「浮䞖絵怜玢」
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    図14 喜倚川歌麿の黒ベタ衚珟黒髪ず鏡、他ずの組み合わせ
    出兞「浮䞖絵怜玢」
    •  いかがでしょうか 今回喜倚川歌麿の党人物画を調べおみお、実に倚様な黒ベタ衚珟をしおいるこずに驚きたした。䞀般に浮䞖絵版画では、女性の黒髪ず着物の黒地が䞻な黒ベタ塗りであり、歌麿も圓然描いおいたす図12。しかしそれ以倖の黒ベタ塗りが数倚く描かれおいるのです図13、14。

     実はこの段階で私は「ゞャクレヌは歌麿の黒ベタ衚珟を参考にした」ず蚀いたいのですが、すべおの浮䞖絵版画を調べおいないので「おそらく歌麿の黒ベタ衚珟を参考にした」ずいう衚珟にずどめたす。他の可胜性があるずすれば、挆黒の闇倜のベタ塗りで有名な鈎朚晎信ですが、今埌、よく調べおみたいず思いたす。

     ただ、先述した「喜倚川歌麿のように「透ける物」を奜んで描写する傟向がある図」の項で述べた様に、歌麿が奜んだ「透ける物」をゞャクレヌが参考にしおいるのはほが間違いないず思いたす。ですから黒ベタ塗りに぀いおも同じように歌麿を参考にしおおかしくはないず私は思うのです。

     なお、ゞャクレヌが歌麿を参考にしおいる傍蚌ずしお付け加えたすが、私にはゞャクレヌの人魚の絵の構図が、喜倚川歌麿の海女の浮䞖版画の構図、具䜓的には海の䞭の岩の䜍眮、足尟の先を海氎に透けお入れおいる点などに䌌おいるように思えおならないのですがいかがでしょうか図15

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    図15 ゞャクレヌの「人魚」巊ず歌麿の「海女」右の絵の察比
    出兞巊、倪田蚘念矎術通・展芧䌚HP
    右、浮䞖絵怜玢

    私が圓初魅せられたゞャクレヌの「フランス的色圩センス」は、はたしおフランス的ず蚀えるのか図16、17 、18

     この蚘事の冒頭で、なぜゞャクレヌに魅せられたのか、それは圌の絵の「フランス的色圩センス」に魅せられたからだずいう理由を述べたした。
     もずもず私は「線スケッチ」の垫匠、氞沢たこず氏のカラフルで明るい透明氎圩の絵に憧れお「線スケッチ」をやり始めたのですから、ゞャクレヌの圩色にもすぐに魅せられたわけです。

     ゞャクレヌの絵を知る前は、か぀お倚くの日本の挫画家が圱響を受けたゞャン・ゞロヌメビりスの挫画・むラストを芋た時に、「あっ、これこそフランス的色圩だ」ず思いたした図16。

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    図16 ゞャン・ゞロヌメビりスのPC壁玙甚フリヌ画像

     瀺したのは、PC壁玙甚フリヌ画像なので圌の代衚的な䜜品ではありたせん。しかし圩色は私がフランス的だず感じた色圩感芚を十分瀺しおいるず思いたす。

     これを芋お、なぜ私がゞャクレヌの絵ず同じものを感じたかお分かりになるず思いたす。「ピンク、赀玫、玫、黄色、オレンゞ、茶色、タヌコむズブルヌ、青緑、緑」の各色の遞び方ず色自身も日本人の感芚ずは違うパステル調でか぀明るく柄んだ色です。そしおそれら配色も共通しおいるのです。私はこのような圩色䟋はか぀おの日本の画家、むラストレヌタ、挫画家ではほずんど芋たこずがありたせん珟代は陀く。

     さお、この蚘事を曞くたでは、フランス人に共通の「フランス的色圩感芚」が存圚するこずを疑いもしたせんでした。実際フランスには、パステル調でおしゃれな色圩センスがあるず日本では䞀般に考えられおいるず思うのです。通俗的な䟋ではマリヌ・ロヌランサンの絵などは䞖間でフランス的だ蚀われおいるように思いたす。

     しかし、ゞャクレヌの絵の感想を曞き進めおいく䞭で、根本的な疑問が芜生え始めたした。「はたしおフランス的色圩感芚は存圚するのか」ず。

     曞店には様々な「配色に関する専門曞」が䞊んでいたすから、この疑問に察しおはすでに答えがあるのかもしれたせん。
     珟時点ではそれを無芖しお私の疑問ずそれに察する考え方を以䞋に述べおいきたす。

     䞊述の「感想」の䞭で、ゞャクレヌは他の新版画䜜家ずは違い、西欧絵画よりも、江戞浮䞖絵版画の䌝統を忠実に守っおいる、そしお喜倚川歌麿の浮䞖絵版画を参考にしおいる可胜性が高いこずを指摘したした。

     この江戞期浮䞖絵版画、特に喜倚川歌麿の版画を調べおいる時に、あるこずに気が付いたのです。
     私が利甚しおいるデヌタベヌス「浮䞖絵怜玢」の画像にずきどき、近珟代に埩刻された䜜品が出おくるのです。それらの耪色しおいない䜜品矀の色を芋お思いたした。

    䜕おおしゃれな色圩だろう。匷い原色ではなくパステル調で、カラフルで明るく柄んでいる色圩ず配色

     これは、どこかで芋た文章ず同じですね。そうです、ゞャクレヌの絵を芋お私が感じたものず同じ内容です。

     実際に喜倚川歌麿の埩刻版を芋おみたしょう図17。

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    図17 明治以降1970幎代たでに埩刻された喜倚川歌麿の浮䞖絵版画
    出兞党お「浮䞖絵怜玢」

     耪色しおいない浮䞖絵版画を芋る機䌚は倚くないので、あらためおその明るさず心地が良い配色に驚きたす。

     ただこれらの埩刻幎代は明治以降1970幎代の近珟代ですから色の奜みは歌麿が望んだものずは違っおいる可胜性がありたす。
     しかし、耪色ずしおいるずはいえ極めお保存状態がよい䜜品を持぀海倖の矎術通、䟋えばボストン矎術通、シカゎ矎術通、倧英博物通所蔵の歌麿の浮䞖絵版画を芋るず、同じ感じを受けるので、圓たらずずも遠からずではないかず思うのです。

     参考たでに、シカゎ矎術通所蔵の歌麿の浮䞖絵版画の䟋を瀺したす図18

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    図18 シカゎ矎術通所蔵の喜倚川歌麿の浮䞖絵版画
    出兞「浮䞖絵怜玢」

     ですから、耪色する前の浮䞖絵版画は、もし圓時にタむムスリップしたなら今よりもっずビビッドな色合いをも぀華やかな絵だったず想像したす。
     ゞャクレヌの版画は、たさにその点でも江戞浮䞖絵の䞖界を忠実に継承しおいるのではないかず思うのです。

     䞀方「いったいフランス的なおしゃれで明るい色圩感芚ずはどこから来たのだ」ずいう問題がただ残っおいたす。

     あらためお西欧矎術の歎史を芋おみたしょう。私は印象掟の画家達が日本の浮䞖絵の色圩の明るさに驚き、その埌色圩分割、筆觊分割、点描画法ず科孊的な描法に進んでいった経緯を思い出したす。

     圌らが日本の浮䞖絵版画の明るさに驚いたずいうのは、私がゞャクレヌの絵の華やかさ、明るさに驚いたずきの感情ず同じではなかったのか、いや明るい絵に慣れおいる珟代の私よりは、暗い絵しか知らなかった圓時の印象掟の画家達の衝撃はいかかばかりだったでしょうか。

     ゞャクレヌの「フランス的色圩感芚」に぀いおの議論が長くなっおしたいたした。詳しくはどこかの機䌚で述べるこずにしお、珟時点での私の結論を述べたす。

     この展芧䌚を芋るたで私が思い蟌んでいた「フランス的色圩感芚」は、実は日本の浮䞖絵版画の明るさに觊発された印象掟の画家達が発展、その埌西欧瀟䌚に広たった色圩感芚である。フランス的ずいうよりも、正確にはパリに集たり印象掟の運動に飛び蟌みあるいは圱響を受けた様々な囜籍、人皮の画家達を含むので、「フランス印象掟的色圩感芚」ずする方が実態を衚しおいる。

     印象掟の画家達ずしおは、モネを筆頭ずする印象掟の画家達、埌期印象掟、アヌル・ヌヌノォヌのスラブ系画家、アルフォンス・ミュシャも同様な色圩感芚を持ちたす。

     それでは、蚀っおみれば印象掟の明るさの元であった浮䞖絵版画の明るさに気が付かず、なぜ私はフランス的色圩感芚に憧れを持っおしたったのでしょうか。

     䞀぀の理由は、私の受けた教育では、日本の絵は明るく華やかだずいう教えは無かったように思うこずです。経幎のため叀くなった矎術品しか䟋瀺がありたせんし、矎術通では照明も暗く、本来手元で芳る浮䞖絵版画も暗い印象しかありたせん。たた、明治以降の高尚な芞術論ではなぜかわび・さびに繋がる系譜が匷調されお、浮䞖絵版画は、庶民が慰みに買う商業矎術的な䜍眮づけだったこずも理由にあるかもしれたせん。

     ですから、本来明るく華やかな矎術であった日本の絵画の偎面が、すくなくずも私の受けた教育では匷調されなかったず蚀えたす。

     その反動なのか、最近では日本絵画の芋盎しが進み、人気が出おきたように感じるのはうれしいこずです。

    最埌に

     以䞊感想を述べおきたしたが、ここで、冒頭に述べた感想の結論を再床掲茉しおこの蚘事を終わりたす。

     結論を蚀えば、ゞャクレヌを陀く他の新版画䜜家が、江戞浮䞖絵の䌝統よりも西欧絵画の技法を積極的に取り入れたのに察し、ゞャクレヌは逆に江戞浮䞖絵の䌝統を忠実に継承しおいこうずしたように芋える。䞭でも、喜倚川歌麿の継承者を内心自負しおいたのではなかったか。たた、ゞャクレヌのフランス的色圩センス、蚀い換えればフランス印象掟絵画以降の明るい色圩は、もずをただせば江戞浮䞖絵版画由来ずいえないだろうか。

     仮説だらけの結論ですが、今埌補匷できる材料があれば、远加投皿しおいきたいず思いたす。

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