
高橋正人 配色研究・デジタルアーカイブ15
【 takahashi method 基礎デザイン10 】
色相の彩度・明度・面積の大きさを変化させることによって、
より複雑で様々なバリエーションが限りなく生まれます。
アーカイブ15では、「近似色相」についての説明です。
先生の私塾での教科書『新版 基礎デザイン』の目次、
「 2 色相による配色 」の ②についてです。
① 補色
② 近似色相2色
③ スプリット・コンプリメンタリー
④ 連続多色
「近似色相」は、一般的には類似色ともいわれ、色相環の中で近い位置にある色相を指します。補色のような、真反対ほど離れている色を含まない配色です。
色相環から選ぶ色数は少なめですが、彩度・明度の変化を取り入れるので、
高級な大人っぽい印象の配色といえます。
【 近似色相2色_彩度・明度の変化_01 】
黄と黄緑、赤と朱のように色相環で近い関係の色を選びます。
純色と黒を混ぜた色、白を混ぜた色、灰色を混ぜた色をつくり、
明暗の変化、あざやかさの変化を生む色の組み合わせをつくります。
・明度段階 純色2色は、近い色ではっきりと見分けられる色にする。
それぞれに黒、白、グレーを混ぜ、
変化のある明度差をつくる。
・面積/配置 明度差の違う色相を接するように置く。
鮮やかな純色2色は、小さめの面積とする。
・無彩色は用いない。


【 近似色相2色について_ 教科書からの抜粋】
「 ② 近似色相2色
色環の上で近い位置にある2色で、共通性が強く,変化の少ない配色であるが、全体が1つの色調に支配されるので、統一感が強く、デザイン的効果は決して弱くない。 例えばコントラストの強い色調を組合せた服装に対し、全体を近似色で統一した服装はかえって人目をひく効果がある。 1つの作品のなかで変化が多い少ないということと、雑然たる視覚環境のなかにおける、印象の強弱は別である。
従ってポスターのような人目をひく必要のあるものの配色に当って、いつでもコントラストの強い色調を用いるということは、必ずしも適切ではない。まわりが単色の壁とすれば、その方が目だつ効果があるが、そのような強いコントラストの広告がひしめきあっている車内や、駅の掲示板などでは、かえってコントラストの弱い、近似色で統一したものの方が目だつ効果がある。
近似色相2色は、できるだけ近い色相で、しかもはっきり見分けられる色相差をもつことが必要である。色相が離れすぎると、単純で粗野な感じになり、色相が近すぎると、単調で変化が乏しくなる。
近似色相2色では、明度差が殆どない場合が多い。青と青緑、紫と青紫などがそうである。この場合は、どちらかに少量の白または黒を混ぜて、いくらか明度差をつくるのが良い。
但し、近似色相は、変化の少ない点に特色があるので、あまり大きい明度差つくらない方が良い。明度差が大きくなって、不調和になるわけではないが、弱い美しさを出すためには、明度差も大きくないのが適当である。」
出典:高橋正人『新版 基礎デザイン』(岩崎美術社 1984年)「 ② 近似色相2色 」より
【 近似色相2色_低彩度色の組み合わせ_02 】
青と青緑、黒と赤紫、オレンジと黄のように、色相環上で近い純色2色を組み合わせます。
選んだ純色2色にグレーを混ぜ、低彩度のみの配色とします。
(色相環ですぐ隣の色は、グレーを混ぜるとほとんど同じ色になるため、
1つまたは、2つくらいおいて色を選択するのが良い)
デリケートで高級な印象になります。
・明度段階 近い2色に、グレーを混ぜ低彩度色をつくる。
色調の変化が少なく単調になるので、
3段階程度の明度差をつける。
(暗色は、色面または線でも良い)
・面積/配置 わずかな明度差でも、なるべく明暗が交互になるように
配置する。
どの色も、あまり小さくしない。
(補色と違い、一方を極端に面積を小さくすると、
存在がわからず、色の効果が発揮できない)
・無彩色は用いない。


【 近似色相 120度_彩度・面積の変化_03 】
色相環上で1色(A)、(A)と大体120度の1色(B)(C)を使用します。
・明度段階 離れた純色1色(A)のみ、グレーを混ぜ低彩度色をつくる。
(A)と大体120度の1色(B)(C)をとる。
(B)(C)の純色2色は、見分けられる色を選ぶ。
・面積/配置 低彩度にした純色1色(A)は、大面積にする。
純色2色(B)(C)は、小さめの面積とする。
・無彩色は用いない。


高橋先生は、幾何形態を題材にした「構成学」では、例えば紙面の平面上に3D 的な立体感を感じる奥行きについても、研究されていました。
私の受講当時、先生はIBMと協力して進化論的アートを切り拓いていたウィリアム・レイサムの展覧会チケットを送ってくださり、『必ず見てくるように』と仰いました。
古典的なアナログ技法を徹底させる一方で、常に最先端の技術や概念に対して先進的な感覚であった先生の視点は、今の私にとっても大きな指針となっています。
また、色彩に関する課題は、色を単に「選ぶ」ものとしてではなく、「関係性を理解する」対象として捉える視点を与えてくれました。
こうした学びと実践、教育者としての視点を受講生におしみなく注がれていたことで、先生の元からは、有名な先生方、デザイナーの方々が多く輩出されたのも理解できます。
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もしも、2026年のAI突入時代に、高橋正人先生が生きていらしたら…
と、ふふふと思いながら、先生を偲ぶ時があります。