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祖母が何度も話した関東大震災の話

    私は子供の頃からおばあちゃん子で、よく祖母からいろんな話や昔の遊びを聞いたりした。

    その中に関東大震災の話もあった。

    私が小学生のとき祖母は亡くなったけど、それまでに幾度となく関東大震災の話を聞かされた。
    同じ話を何度もするので「またかー」って思いつつ聞いてたあの頃。

    今さらだけど、ちゃんと聞いておけばよかった。

    関東大震災の時、まだ20代だった祖母は神奈川県の自宅にいたという。

    座布団に座ってお茶を飲んでたら、急にお尻がムズムズしだして、その直後。
    真下からドカーンと突き上げられたと。

    祖母はいつもその場面になると、体を揺らして話していた。

    ものすごく揺れたらしいけど、そのあたりの話はもう私が忘れてしまって……。
    覚えてるのは、あちこちで火災が発生して、どこに逃げていいかわからない状態だったということだ。

    そして火災の影響で熱くて喉が乾いてた。
    祖母は水が欲しくてたまらなかったけど、飲めそうな水がどこにもなかったという。
    多分水道は地震の影響で断水してしまったんだろうね。

    水が飲みたくて川へ向かったけど、川の水は大量の血が流れててとても飲む気になれなかったそうだ。

    のどが渇いて仕方なくて、祖母がふらふらと彷徨ってたら見知らぬ男性に声をかけられた。
    「大丈夫か?」と聞かれて「喉が渇いた」と答えると、男性は持ってた水筒の水を飲ませてくれたそうだ。

    お礼を言ったあと、ふと気になって

    「その水はどこで?」

    と聞いたら男性は血まみれの川を指さして

    「そこの川から」

    と。

    祖母は、すぐその場で吐いてしまったそうだ。

    初めてこの話を聞いた時は、衝撃だった。
    現実離れしているのに、妙にリアルだった。

    そりゃそうだよね。
    祖母は自分の体験を話してるのだから。

    幼少期から祖母が亡くなる小学生高学年まで、何度も聞かされていたので、当時の私はうんざりしていった。

    「その話、もう何回も聞いたよ」と私が抗議しても、祖母は「そうかい?」って言いながら続きを話していた。
    多分途中からは私は聞いてるふりをして、全然聞いてなかったのだろうと思う。

    そのせいか、途中の話を全然思い出せない。
    もったいないことをした。あんなに何度も聞いてたのに。

    でも当時子どもだった私には、それが貴重な体験だともわかってなかった。

    大人になって、大きな地震を見てきた今、それがどれだけ重い体験だったのかわかった。
    もし過去に戻れるならもう一度話を聞きたい。
    むしろこっちから色々質問したい。

    でももう、聞けないんだ。

    だからせめて、祖母の体験をここに置いていこうと思う。

    おばあちゃん、ちゃんと話を聞いてなくてごめんね。
    ちゃんと覚えてなくてごめんね。

    でも、覚えてることだけでも、こうして残しておくよ。

     
     

    もも

     
     
    エッセイを書いてます。 物を失くして探し回ったり、財布を忘れて自分で自分にびっくりしたり。 そんな日々のやらかしや、ふと思ったことを、妙な生き物の生態記録みたいに書いてます。 どうぞ気軽に笑って読んでやってください。 ※本文は自分で書いてますが、一部AIに添削してもらってます。

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