薄口醤油は「味が薄い醤油」ではない。和食の料理人が薄口を使う理由
和食のレシピを見ていると、
「薄口醤油」
がよく出てきます。
名前だけを見ると、
「普通の醤油より味が薄いのかな?」
と思う人も多いかもしれません。
でも、薄口醤油を使う大きな理由のひとつは、料理の色をきれいに仕上げることです。
僕も料理をするとき、
「この食材の色を残したい」
という料理には薄口醤油を使います。
たとえば、里芋や大根、かぼちゃ、青物など。
濃口醤油を使えば当然、煮汁にも食材にも醤油の色がついていきます。
もちろん、それが悪いわけではありません。
照り焼きやしっかり色をつけたい煮物なら、濃口醤油が合う料理もたくさんあります。
でも和食では、
食材そのものの色を料理の一部として考える
ことがあります。
白いものは白く。
緑のものはできるだけきれいな緑に。
食材が持っている色をなるべく邪魔せずに、必要な味を入れていく。
そのときに薄口醤油が便利です。
「薄口=塩分が薄い」ではない
ここは意外と勘違いされやすいところです。
薄口醤油の「薄口」は、単純に「塩分が少ない」という意味ではありません。
むしろ一般的には、濃口醤油より薄口醤油のほうが食塩分は高めです。
なので、
「薄口だからたくさん入れても大丈夫」
というわけではありません。
大切なのは、濃口と薄口のどちらが上ということではなく、
作りたい料理によって使い分けること。
これだけでも、和食の仕上がりはかなり変わります。
料理屋では「味」だけを考えているわけではない
料理を作るとき、
「おいしいかどうか」
はもちろん一番大切です。
でも料理屋では、それと一緒に
香り、色、食感、温度、盛り付け。
いろいろなものを考えながら一皿を作っています。
醤油ひとつでも、
「なんとなく薄口を使う」
のではなく、
なぜこの料理では薄口なのか?
という理由があります。
レシピに書いてある調味料をそのまま覚えるより、この理由が分かるようになると料理はもっと面白くなります。
僕自身、そんな料理人が普段考えていることも、このnoteでは少しずつ書いていこうと思っています。
和食の「割合」もまとめました
先日、
『料理人が教える 和食の割合15選 ― 味が決まる「比率」と、その理由。―』
という記事を公開しました。
美味出汁、茶地、浸し地、南蛮地、甘酢、土佐酢、煮物、冷たい麺のつゆ、温そば出汁、万能照りタレなど。
普段料理をするときに使っている割合を、家庭でも使いやすい分量に直してまとめています。
ただ割合を並べるだけではなく、
「なぜこの割合なのか」
「どんな料理に使えるのか」
「どう扱うと失敗しにくいのか」
まで書きました。
興味があれば、プロフィールから読んでみてください。
これからも、料理屋で使っている技術や考え方を、家庭でも使える形にして発信していきます。
いつもの料理を、少しだけ料理屋の味に。
