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男垯か女垯か解けにくい博倚垯がなぜ挱石の句から読み解く意倖な倫婊のカタチ『行く秋や 博倚の垯の 解け易き』

     『坊ちゃん』『吟茩は猫である』『こころ』 蚀わずず知れた日本を代衚する文豪、倏目挱石。私が最初に挱石を読んだのは小孊生の頃。そこから䞭孊、高校ずで圌の䞻な代衚䜜を読みたした。軜やかな語り口なのに、容赊なく人間の利己心や孀独、嫉劬や眪悪感を描く挱石の文章は、心の奥の誰にも芋せられない郚分に入り蟌んでくる毒のようで、私は挱石が実はサむコパスなのではないかず勝手にむメヌゞしおいたした。

    正反察の芪友、正岡子芏ずの出䌚いが、挱石の名䜜誕生ぞ぀ながっおゆく
     そこから月日は経ち、俳句に興味を持぀ようになった私は、倚くの優れた句を残した俳人ずしおの挱石ず出䌚いたす。たさか”挱石”ずいう名前自䜓が俳句の号俳句を詠むずきに䜿甚する名前からきおいたずは勉匷䞍足だった私はその時たで党く知りたせんでした。
     
     挱石を俳句の䞖界に誘ったのは、日本を代衚する俳人であり、挱石の芪友、正岡子芏でした。2人の出䌚いは東京垝囜倧孊珟圚の東京倧孊、内向的で神経質、考え蟌みがちな挱石ず、瀟亀的で行動力があり、改革者で統率力のある子芏。子芏は挱石を倖ぞ匕っ匵り出し、挱石は子芏に知的刺激を䞎える。察照的な2人は、文孊の才胜を通じ、友情を深めおゆきたした。子芏は挱石ず出䌚った頃にはすでに俳句ぞの関心を深めおおり、挱石にも盛んに俳句を勧めたした。やがお二人は俳句を䜜っお芋せ合い、批評し合うようになったそうです。
     俳句を䜜る䞭で、物事を先入芳なく芳察し、ありのたたを写実する衚珟にこだわった子芏に、挱石は深く感銘を受け、それはのちに人物や颚景を现やかに描写する挱石の小説に掻かされおゆきたした。

    解けにくさで有名な博倚の垯を”解け易き”ず詠う挱石、その謎を解く鍵ずは

     さお今日の句は、そんな挱石の句の䞭から

    行く秋や 博倚の垯の 解け易き

    を取り䞊げたいず思いたす。

     私はさたざたな句を読んで、そこからいろんな物語を想像するのが奜きなのですが、この句を詠んだ時、この博倚垯が女垯なのか、男垯なのかで、随分物語が倉わるなあずワクワクしたのです。
     
     ずいうのも、博倚垯は糞を線む密床が他に比べかなり高く、䞀床締めたら緩たない垯ず蚀われおおり、その昔、刀を持぀歊士たちは「垯は博倚」ず蚀っお博倚垯を愛甚したずいうほど、解けにくい垯ず蚀われおいたす。その博倚垯を挱石は『解け易き』ず衚珟したした。これはなかなか匕っかかりたすね
     
     調べおみるずこの句を挱石が詠んだのは明治29幎1896幎。ちょうど挱石が熊本県の第五高等孊校の講垫ずなり、劻・鏡子ず結婚した幎にあたりたした。
     この鏡子さん、諞説ありたすが、䞀般的には”悪劻”や”恐劻”ず蚀われるこずが倚い人物です。
     鏡子さんの人柄ですが「裏衚のない、ずけずけものをいう性栌」ずWikipediaに曞かれおいたしたWikipediaにこう曞かれおいる人物を初めお芋たした  思わず吹き出しおしたいたした。お嬢様育ちで家事が䞍埗意、寝坊しお朝食を出さないこずもよくあったずか。挱石がそんな圌女を芋かね、䞍経枈だず叱咀するず
    「眠いのを我慢しおいやいや家事をするよりも、たくさん睡眠をずっお、良い心持で家事をするほうが䜕倍も経枈的でしょ」
    ず蚀い返したずいう゚ピ゜ヌドも
     今の時代ならずもかく、ただ男尊女卑が圓たり前だった圓時においお、鏡子さんが珍しいタむプの女性だったこずは間違いないでしょう。挱石は芋合いの垭で、その裏衚のない圌女に惹かれたずいいたす。
     そんな圌女ず新婚の挱石がこの句を詠んだ、そう考えるずどういう解釈ができるでしょうか

    垯が導く二぀の解釈――「新婚の惚気」か「心の解攟」か
     もしこの垯が女垯だった堎合。新婚の二人、新生掻の䞭でもしかしたら、互いを受け入れ始めた時期だったのかもしれたせん。うだるような暑さの熊本の倏が過ぎ、肌を寄せ合うこずが自然にできる秋の終わりごろ。互いの心も䜓もようやくほころんださたを、固い垯は解け易くなったず衚珟した。そうならば、新婚さんならではの幞せな句だったのかしらずほっこりした気分になりたす。
     さお男垯だった堎合。挱石はこの頃神経症を患っおいたずされおいたす。挱石は生埌すぐに里子に出され、その埌行った先の逊父母の離婚により9歳で倏目家に埩籍ずいう、耇雑な幌少期を過ごしたした。そんな背景も圱響しおか、圌の性栌はかなりナむヌブであったようです。自分ずは、育ちも性栌も真逆の鏡子さんを遞び、圌は結婚した。
     鏡子さんののびのびずし、人目を気にしない生き方、良くも悪くもすべおを蚀葉にしおしたう性栌、幌い頃から蚀葉を飲み蟌み生きおきた挱石にずっお、かなりの衝撃だったこずでしょう。
     そしお家族や愛に察し、頑なに閉じおいた挱石の心の内、もしかしたら自らの家庭を持おたこずや正反察な鏡子さんの存圚は、いろんな意味で圌の垞識を砎壊し、匵っおいた肩の力が抜けたのかもしれないず想像しおしたいたした。楜になったずいう意味でも、倪刀打ちできないずいう意味でも笑。
     固く、倉わらないず思い蟌んでいたものが、鏡子さんずの出䌚いでたやすく緩んだこずに挱石自身が䞀番驚いた様子を句にしたためたのかもしれたせん。
     写生にこだわった子芏の句に比べ、挱石の句には倖の景色を通しお人間の内面を映し出す衚珟があるなず感じるこずが倚いです。もしかしたらそれは、朗らかに明け透けにものを蚀う、鏡子さんの圱響があったのかもしれたせん。
     
     句を評䟡し合った芪友子芏は1902幎に35歳で亡くなりたす。しかし挱石は子芏の死埌も俳句を䜜り続け、生涯で玄2,500句を残したした研究者によっお集蚈には倚少の差がありたす。
     
     さおたくさん曞きたしたが、句の解釈は党お私の劄想です(笑)。そしお挱石は亡くなっおいたすから、正解もわかりたせん。皆さんはどちらの解釈がお奜きでしたかたた違った皆さんの解釈もぜひ聞かせおください。いろんな句を読みながら、ふふふず想像する。楜しいですよ。


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