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忙しくて、自分の時間がない。必要なのは、足し算ではなく引き算

    忙しすぎて、自分の時間がない。やるべきことはこなしているのに、心が満たされない。やりたいことがあるのに、その時間さえ持てない。

    もし今、そんな思いを抱えているなら、はじめにお伝えしたいことがあります。それは、あなたの段取りが悪いからでも、努力が足りないからでもありません。多くの方が、同じ苦しさを抱えています。今日は、その忙しさの正体と、そこから抜け出すための小さな知恵について、お話しします。

    便利になったのに、なぜ忙しいのか


    私たちは、とても便利な時代を生きています。かつては何時間もかかっていたことが、今では、あっという間に片づきます。

    しかし、これほど便利になったのに、私たちは、少しも暇になっていません。むしろ、やることは増え、比べる相手も増え、心が休まる時間は、減っているように感じます。

    なぜ、効率化が進んだはずなのに、忙しいままなのでしょうか。その答えの一つが、「足し算」にあります。

    忙しさの正体は、足し算


    私たちの毎日は、放っておくと、どんどん足し算になっていきます。

    新しい情報を、足す。予定を、足す。物を、足す。人との関わりを、足す。何かを加えることで、より良くしようとする。それが、ごく自然な発想になっています。

    とりわけ、三十代から五十代は、役割も、責任も、気遣いも、増えていく時期です。誰かのために動くことが増え、自分のことは、いつも後回しになる。足し算ばかりが続けば、心の余白は、減っていく一方です。忙しさの正体は、この、止まらない足し算なのです。

    必要なのは、引き算


    では、どうすればよいのか。答えは、足し算の逆、「引き算」にあります。

    華道という文化は、この引き算の美学を教えてくれます。花は、たくさん入れれば美しくなるのではありません。どこを残し、どこを空けるか。一輪の花が、最も生きる場所はどこか。そう考えて、余白をつくることで、花は、はじめて生きてきます。

    暮らしも、これと同じです。何を増やすか以上に、何を手放すか、何を省くかが、人生の質を左右します。心が満たされないのは、何かが足りないからではありません。余白が、ないからです。

    引き算は、自然には起こらない


    ここに、大切なことがあります。

    足し算は、放っておいても、勝手に進みます。予定も、物も、気遣いも、意識しなくても増えていく。しかし、引き算は違います。引き算は、自分で意識してつくらないかぎり、決して起こりません。

    だからこそ、あえて、予定を空ける。あえて、何もしない時間を持つ。あえて、誰のことも気遣わない時間を、自分に許す。忙しさに流されていると、この引き算は、いつまでも訪れません。自分の時間は、自分で、意識して取り戻すしかないのです。

    自分の時間を取り戻す、小さな引き算


    難しいことは要りません。今日から、小さな引き算を、一つだけ。

    手帳を開いて、今週の予定から、「やらなくてもよいこと」を一つ見つけて、消す。一日のどこかに、何も予定を入れない、30分の余白をつくる。それも難しければ15分、5分でもいいので、余白を作る。そのあいだは、誰のことも気遣わず、自分を最優先にしてよい時間にする。

    たった一つの引き算でも、そこに、ふっと呼吸できる隙間が生まれます。その隙間が、あなたに、自分の時間を、少しずつ返してくれます。

    余白が、あなたを満たす

    心が満たされないのは、あなたが、頑張っていないからではありません。むしろ、頑張りすぎて、余白を失っているからかもしれません。

    必要なのは、これ以上の足し算ではなく、静かな引き算です。一つ手放すことで、一つ、自分の時間が戻る。その小さな繰り返しが、慌ただしい日々の中に、満たされる感覚を、少しずつ取り戻してくれます。

    どうか、一度にすべてを変えようとしないでください。今日、一つでいいのです。予定を、一つ空ける。その小さな余白から、あなたの時間は、静かに戻り始めます。品のある生き方とは、多くを抱えることではなく、大切なもののために、余白を持つことなのだと思います。

     
     
    品ある生き方が、運を呼ぶ。 一般社団法人和の伝統普及協会| 日本舞踊家元の家に生まれ、経営・人材育成の現場へ。日本舞踊・書道・茶道・華道・歌舞伎・しきたりに学ぶ「丁寧に、美しく生きる」知恵を、今を豊かに生きたい方へ翻訳してお届けします。

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