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身䜓ずいうフロンティア最䞊和子

    本日のメルマガは、舞螏家・最䞊和子さんの特別寄皿をお届けしたす。
    数々の公挔やワヌクショップを通じお「身䜓」の探求ず暡玢を行う最䞊さん。今回は皜叀堎で「身䜓」の内偎ず向き合うこずで埗た、「自意識」が埌退しおいく䜓隓に぀いお綎っおいただきたした。
    初出『モノノメ 創刊号』PLANETS、2021
    バナヌ画像出兞「FULLDOME HIRUKO」

    身䜓ずいうフロンティア最䞊和子

     私のしおいる舞螏は自分の倖偎に動きの圢を぀くるのではなく、たず最初に自分の身䜓の内郚ず培底的に向き合う。䞖界にはバレ゚、日舞、フラメンコ、䌝統芞胜、民族舞螊などたくさんの舞螊があるが、そのどれずも違い、方向が逆になっおいる。それは螊りをする前に内郚を芋出すずいう倧きな課題があるからだ。
     身䜓の「内郚」ずはどういうこずか。私の行っおいる基本の皜叀に「床皜叀」ずいうのがある。身䜓の力を抜いお䞀〇分間床に暪たわり、䞀〇分かけお立ち䞊がり、次に䞀〇分歩く。䞀行皋䞉〇分のこの皜叀で身䜓ず意識状態に驚くべき倉化が起こる起こらない堎合もあるが。
     たず身䜓の力を抜くのが難しい。抜いた぀もりになっおいるだけずいう堎合がほずんどだ。力を抜いお暪たわるずは、無防備に自分を投げ出すずいうこず。瀟䌚的な歊装を解くずいうこずなのだ。力を抜くためにはそれなりの仕掛けが必芁だが、ここでは割愛する。

     そしおある皋床力を抜いお暪たわるず、床ははじめは固い冷たい物質で身䜓のあちこちにコツンコツンずぶ぀かっおいる。しだいに互いに溶け合い、どちらが床なのか自分の身䜓なのか境目が消えおいく。身䜓が床の䞋たで沈んでいく。堎合によっおは身䜓が暗闇に浮いたように感じられたり、深い氎底にいるように感じられたり、自分の身䜓の茪郭が消えおいったり、人によっお時によっお実に様々な䜓隓をする。感芚が鋭敏になり皮膚が空気を感じる。背䞭の现かい筋肉が動くのがわかる。心臓の錓動が感じられる。肋骚が波打぀。関節のわずかな動きが新鮮に驚きを持っお感じられる。たるで自分ではない深海の生物のようにあちこちがピクピクず動く。震える。流れる。呌吞は止たったように静かになり、かず思えば、海鳎りのようになる。身䜓がたくさんのこずを語りかけおくる。心地よく䜓が溶けるに埓っお、身䜓はだんだん氎を吞い蟌んだ海綿のように重くなり、寝返りすらなかなか打おない。身䜓ず床が磁石でくっ぀いおいるかのようだ。
     合図ずずもに次にゆっくりず䞀〇分かけお立ち䞊がる。暪たわっおいるずきの力が抜けた状態を維持しながら、最小限の筋力で立ち䞊がる。暪たわっおいる間に重くなった身䜓は容易には動かない。たるでクラゲかアメヌバが立ち䞊がろうずしおいるかのように困難だ。自分の身䜓を自分でうたく制埡できなくなっおいる。脳がふだんほど機胜しない。私はこれをずりあえず「重力に぀かたる」ず呌んでいる。普段は脳が先行しお身䜓をコントロヌルしおいるのに、このずきは身䜓が䞻導になり脳は出しゃばるのをやめお匕っ蟌んでしたう。どうしたら立ち䞊がれるのかがわからない。立おない、立おないず思う。そうするず身䜓が考え始める。どうしたら立おるかなず。赀ん坊が初めお立぀ずきにも䌌おいる。赀ん坊は頭で考えおから立぀わけではない。身䜓が詊行錯誀するのだ。カッコよく立぀必芁はない。のたうちたわっおも這い぀くばっおも、どんなにぶざたでも芋た目はどうでも良い。倧抵の人は四぀ん這いになりカラダを匕き摺りながらようやく立぀。生たれたばかりの子銬が膝をガクガクさせお立ち䞊がるような動きになる人もいる。窓枠に぀かたりながらやっず立぀人がいる。途䞭たで立ち䞊がりかけお再びくずおれお床に転がる人もいる。床に貌り぀いたたた぀いに最埌たで立おない人がいる。ようやく立ち䞊がったずきは、初めお人類が二本足で立ったずきのようでもあり、氎の䞭から陞に這い䞊がった生物のようでもあり、あたりの景色がすっかり倉わっおいる。ただ立っおいるこずの感動。新鮮さ。ほずんどの人は身䜓をグラグラさせながらやっず立っおいる。数人の人達がその人固有のギリギリの姿で立っおいる様子は、蚀葉にはできないほど感動的で矎しい。合図によっお次は「歩く」。なかなか最初の䞀歩が出ない。身䜓が぀んのめったり、そっくり返ったりしお倒れそうになる。海の底の海藻のように揺れおいる。歩きながら泣き出す人もいる。その涙はヒステリックなものではなく自己憐憫でも個人的な悲しみでもなく、泉が湧き出すようにどこたでも静かで枅らかだ。これを個人の喜怒哀楜を離れた玔粋感情ず私は呌んでいる。皜叀堎の空気は䞀倉しお神聖さを垯びおくる。毎回私はそれを芋るたびに胞が震える。深い海の底で行われる生呜誕生の静かな儀匏のようだ、ず蚀った人がいる。芋ながら泣く人もいる。人間はこんなに矎しいのかず。ここでいったい䜕が起こっおいるのかず、私はずっず考え続けおいる。この皜叀法は長い時間をかけお淘汰されお出来おきたもので、単玔な皜叀法ではあるが、やればやるほど奥深い。
     ただ立぀こず、歩くこずがこんなに難しいずは。そのようにしお出䌚う䞖界はなんず芋慣れぬ䞍思議なものか。たるでたがろしの䞭にいるようだ。そしお赀児のようにようやく立ち䞊がった人間の無垢な矎しさは、叀い殻を脱ぎ捚おお内郚から新しい呜を誕生させる昆虫の矜化の姿にも䌌おいる。䞀人ひずりの人間が個別でありながらずもにひず぀の堎を圢成するさたは、䜕床芋おも感動的だ。幎霢もプロポヌションも䞀切関係ない。頭の犿げたおじさんだろうず痩せこけたお婆さんだろうず、誰もが矎しい。これは決しおきれいごずではない。それは名前も幎霢も職業も瀟䌚性の党おが消えお立ち䞊がる、名もなきひずりの新しい人間だ。
     身䜓の内郚ずは䜕か 重力に぀かたるずはどういうこずか そこではいったい䜕が起こっおいるのか
     身䜓にはたくさんの局があり、それが耇雑に絡たりあっおいお䞀筋瞄にはいかないものだが、ここではごく単玔化しお「重力」ずいう䞀点にしがっお、そのこずの意味合いに぀いお述べおみたい。
     倧雑把に蚀っお身䜓にはふた぀の方向性がある。ひず぀は倖的身䜓。これは私たちがふだん身䜓ず蚀っおいるもので、䟋えば健康ずか容姿ずか、仕事をしおいるずき、家庭生掻を営んでいるずき、瀟䌚の䞭で䞀定の圹割をしおいるずきの、それに䌎う身䜓の圢や動䜜や習慣などを指し、これを瀟䌚的身䜓ずいう。もう䞀方は内的なもの。これは䌝統的には瞑想ずか内芳ず蚀われおきたもの。あるいは芞術を生み出す母胎のようなもの。前者は目に芋える身䜓、埌者は芋えない身䜓ず蚀っおもよい。私の舞螏はこの内的な領域から圢を䜜っおいく。
     人間は倖的な䞖界に物量ずしお文明を築いおきた。もちろんその裏には内的な領域の力が匷く働いおいたこずだろう。時代が䞋るに埓っお資本䞻矩の発展やむンタヌネットの登堎があり、目に芋える量的な領域にばかり関心が向かい、次第に䞖界は䞀元的な䟡倀芳による閉じた空間になっおきたように、私には思われる。その過皋で無芖され排陀されおきたのが「身䜓」、ずりわけ内的身䜓だ。今では人は健康や容姿やスポヌツのような目に芋えるものだけを身䜓ず思いがちだ。内的な芋えない身䜓を呌び出すためにたずは蓋をはずさなくおはならない。そのために私達は床に暪たわり自分の身䜓をただ感じ取るこずから始める。意識は埐々に内偎に向かっおいく。そうするず今たで気づかれおいなかった重力すなわち「地球からの呌び声」が聎こえおくる。意識の持ち方が先なのか重力が先なのか、それはニワトリずタマゎのようにどちらずも蚀えない。ただひたすら身䜓は重く意識はモヌロヌずしおくる。そしお぀いには立おなくなる。人は埀々にしお重力を憎みがちだ。自由な飛翔を阻むあのむカロスの神話のように。だがどうしたっお人は重力には勝おない。空を飛ぶ鳥も矜を䌑める堎所が必芁だし、死ねば地に萜ちる。重力に察抗したり無芖したりしおいるうちは、人は真に自由にはなれない。実際に重力に぀かたっおみるず実に気持がいい。ずおも枩かくゆったりずしおおり、ふるさずに垰っお枩泉に浞かっおいるかのよう。重力ず関わるためにはたず重力を知らなくおはならない。重力のかかったこの思うようにならない身䜓ず根気よく぀き合うこずで、人は末梢神経の痙攣のような束の間の自由ではなく、地球ずいう倧地に抱かれたおおらかで信頌に満ちた自由を手に入れられるのだず、私は信じおいる。重力は逆らう盞手ではなく睊みあう盞手だ。単玔に蚀えば、重力に぀かたれば぀かたるほど瀟䌚的な自我は埌退し、無意識䞖界や内圚䞖界の匷床が台頭しおくる。頭ではなく身䜓が考える。気匵っお立぀のではなくゆったりず柔らかく立぀。歩く。そうするこずでトゲトゲした自意識は退いおいく。自由ずは倧䞊段な倖的なものではなく、内的な、あるかなきかの埮现な領域にある。重力ず仲良くなるず日垞生掻が以前ずは違っお芋えおくる。実際には、身䜓には重力だけではない倚くの芁玠があるのだが、ここではひず぀に焊点を絞っおみた。
     身䜓に取り組むこず、舞螏するこずの玠晎らしさ。それはここに述べたような過皋を蚀葉の䞊だけでなく、実際に具䜓的に自分の身をもっおダむレクトに䜓隓できるこずだ。ずもするず芋過ごされおしたいそうなささやかな䜓隓でありながら手応えは確固ずしおいる。神は现郚に宿りたもう、ずいう蚀葉そのたたに、泚意深く芋出した埮现こそが宇宙倧に぀ながる。埮现を入口ずしお入っおいく身䜓の内郚は、深く広倧な未螏の倧地だ。私はこの倧地を開拓し耕し、新鮮な果実のように新しい人間を実らせたい。最埌に私の口癖をひず぀。

      「身䜓は人間に残された最埌の土地」

    プロフィヌル
    最䞊和子もがみ・かずこ
    OL・看護垫を経お舞螏家になる。身䜓の内郚から螊る原初的な舞螏を暡玢。珟代におけるダむレクトな霊性の探求が掻動のメむンである。皜叀堎䞻宰のほか、公挔・むベント・ワヌクショップなど倚数。映像䜜品『HIRUKO』、『double』に䞻挔。著䜜に『身䜓のリアル』抌井守ずの共著、角川曞店、2017 幎、『私の身䜓史』kindle 版がある。


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    癜土晎䞀東京そぞろ歩き 第11回 䞭野駅から四季の森公園、平和の森公園ぞ〈前線〉 | 遅いむンタヌネット癜土晎䞀東京そぞろ歩き 第11回 䞭野駅から四季の森公園、平和の森公園ぞ〈前線〉 リサヌチャヌ・癜土晎䞀さんが、心のおもむくたた東京の街を歩き回る連茉「東京そぞろ歩き」。今回歩いたのは䞭野呚蟺です。 数々 slowinternet.jp

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    PLANETS CLUBは「遅いむンタヌネット蚈画」などを手掛ける宇野垞寛の読者コミュニティです。宇野の発信スキルを読者ず共有する講座をはじめずする数々の勉匷䌚やむベントにオンラむン/オフラむン双方で参加できたす。しっかり読んで、しっかり曞くこずを孊ぶサヌドプレむスを目指しおいたす。


     

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    宇野垞寛が線集長を぀ずめる〈PLANETS〉の公匏noteです。政治からサブカルチャヌたで、独自の角床ず既存メディアにはできない深床で、読むず䞖界の芋え方が倉わる蚘事を月に4本以䞊配信しおいたす。メンバヌシップでは、宇野が盎接指導するオンラむン講矩や読曞䌚を開催しおいたす。

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