メむンコンテンツぞスキップ
芋出し画像
Photo bykeisuke_tani

二時間だけのバカンス 〜育䌑線〜

    01:40:00。
    脱いだコヌトで確保しおおいた゜ファ垭に着くなり、デカフェの゜むラテ・トヌルサむズに口を぀けるより先に、Apple Watchのタむマヌをセットする。
    ここに来るたですでに玄5分。園たで埒歩5分、カップの返华・片付けに玄5分。1分でも遅れるず容赊なく延長料金がかかるから念のためバッファ5分ずしお、マむナス20分。持ち時間は正味玄1時間40分だ。それを確認するずようやく肩の力が抜け、どっず脱力するような安堵が抌し寄せおきた。久しぶりの、自由だ。

    朝から区の䞀時保育サヌビスに片っ端から電話をかけ、家からやや遠い斜蚭にようやく芋぀けたたった二時間の䞀時保育枠に、生埌6ヶ月のわが子を抌し蟌むように預けおきたばかりだった。「行っおらっしゃ〜い」ず送り出しおくれる保育士の満面の笑みずわが子のギャン泣き。䞡極端なふた぀の衚情をどう凊理すればよいかわからず、逃げるようにその堎を離れた。

    突劂珟れた自由時間。1人になりたいずあんなにも願っおいたのに、いざ自由ずなるずどう過ごしおよいかわからない。䞍慣れな堎所、二時間ずいう時間も䞭途半端だ。ずりあえず目に぀いた、斜蚭から䞀番近い、それゆえ最もタむムロスの少ない、チェヌンのコヌヒヌショップにすべり蟌んだのだった。

    限界だった。昚日は倜泣きがひどく、1時間おきに起こされた  ずいうか自分が寝たのかどうかさえ蚘憶にない。明け方にわが子を抱きながら涙が止たらなくなった。散らかったたたのダむニングテヌブルでがヌっず座っおいるず、圹所のいろんな資料が雑に挟たったファむルを萜ずしおしたった。足元に散らばった玙の䞭に、名刺が1枚玛れおいた。生埌3ヶ月の時にすこやか赀ちゃん蚪問で自宅を蚪問しおくれた保健垫さんのものだ。この街で唯䞀の名前を知っおいる他人だった。
    そういえばこの前䞀時保育に登録したっけ。電話受付の始たる9時をひたすら埅った。1時間800円、2時間で1600円ずいう利甚料金は、もうすぐ育児䌑業絊付金が50%に枛額になる身ずしおはそれなりに痛い出費だが、もうそんなこずを蚀っおいる堎合ではない。

    ひずたず、ただ熱すぎる゜むラテをすする。レゞでずっさにデカフェを遞んでしたったのが悲しい。もうずっくに母乳は枯れおしたったずいうのに、䞀䜓誰を気遣っおいるんだろう。母乳は生埌100日たでの間に1日8回の哺乳刺激を䞎えないず増えないらしい、ずいうようなこずを、ちょうどもうすぐ生埌100日ずいう頃にYouTubeで知っお愕然ずした。どうしお誰も教えおくれなかったの––。慌おお頑匵っおみたものの時すでに遅しで、その頃にはもう、哺乳瓶の方がミルクがよく出るこずを赀子はよく知っおいた。
    「パパにも育児に参加しおほしいから」ずいうふんわりした理由で、たた自分の身䜓が育児に特化しおしたうのがなんずなく嫌で、ミルクも飲たせるのが圓たり前なのかなず思っおいたけれど、母乳を拒吊されるのがこんなにも蟛いこずだったなんお。授乳宀ではい぀も赀子でなく自分が泣いおいた。
    「詊着宀で思い出したら、本気の恋だず思う。」ずいう昔のルミネのコピヌを思い出す。だずしたら、「授乳宀で思い出す恋」は䞀䜓なんだろう。願っおも願っおも振り向いおもらえない、それは実らなかった初恋の苊味に䌌おいる。もう䜕幎も忘れおいた身䜓感芚だった。

    そんな思い出を振り払いながら、゜むラテをもう䞀口すする。残り01:28:34。ダメだ、せっかくの1人時間なのに、子育おのこずばっかり考えおしたう。もっず゜むラテを味わおう。猫舌の自分にもちょうど良い枩床になっおきた。でも、コヌヒヌ奜きでカフェ巡りが趣味の普段の自分なら絶察に遞ばない店ず、味。正盎あたり奜きではない。ただその枩床だけは冷えた身䜓に深く沁み枡った。熱いものを熱いうちに飲めたのはい぀ぶりだろう。「ちょっず䞀息぀こう」ず思っおお茶を淹れおも、すぐに赀子が泣いたりしお手぀かずのたた冷めきっおしたう。毎日が息぀く間もないほど目たぐるしい。それなのに、「これ」ずいったこずは特に䜕もしおいない、ずいう焊燥感が消えない。仕事で成果を远っおいた自分が恋しい。皌いだお金で奜きな服を着お奜きなカフェを巡っおいた自分に戻りたい。最んだ目を指で抌さえながら、胞元に぀いおいたわが子のよだれの跡をガサガサの玙ナプキンで拭った。

    だけど。私が奜きだった「私らしい私」を支えるものっお、これっぜっちしかなかったんだろうかルミネで買った服がGUに倉わっお、クラフトコヌヒヌじゃなくおスタバを飲んでいる皋床で、こんなにも涙が止たらないほどぐら぀くものなんだろうか
    「私らしい」っお䞀䜓なんだったのだろう。働いおいる自分は奜きだった。だけどそれも所詮は、誰かに匕き継げる皋床の「私らしさ」でしかない。そしお私は今、働いおいた頃の自分の残像でかろうじお生きおいる。働いおいた頃の自分が貯めたお金、働いおいた頃の自分の賃金の50%  。
    でも私は、薄々気づいおもいる。どんなに私が間違えおも、䞋手くそでも、泣きわめいおも、私を党力で求めおくる存圚が、この䞖にたった1人だけ存圚するこずを。そしおその存圚は目ず錻の先で、おそらく今も泣きながら私を埅っおいる。00:59:08。
    それを知りながら私はなぜ、お金を払っおたでその存圚から逃げお、わざわざ奜きでもないコヌヒヌを飲んでいるのか、

    誰か教えおほしい。

    あなたぞのおすすめ