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消費者の購買プロセスの変化 #158

    我妻武彦@製造業 経営者

    ■ AIDMAとAISASで考える「記憶の進化」

    マーケティングとは、セールスが商品を販売する行為であることに対して、「自然と売れる仕組みをつくる」ことと定義づけています。

    そのためにも消費者が、どのような購買決定プロセスを進むのかを把握することは重要となります。
    そして、その理解のために用いられる消費者の購買プロセスの代表的なフレームワークがAIDMAとAISASです。

    両者を比較すると、単なる時代の違いではなく、消費者における“記憶の役割”の変化が見えてきます。

    ■ AIDMAモデル:記憶が中心だった時代


    AIDMAは以下の5段階で構成されます。

    * Attention(注意)
    * Interest(興味・関心)
    * Desire(欲求)
    * Memory(記憶)
    * Action(行動)


    このモデルでは、購買プロセスの中心に「Memory(記憶)」が位置しています。
    つまり重要なのは、どれだけ消費者の頭の中に残るかでした。
    覚えている商品は選ばれる可能性があり、忘れられた商品は比較対象にすら入りません。

    そのためAIDMA型マーケティングでは、
    「いかに記憶に残すか」が最大の課題になります。
    広告やCM、繰り返しの露出、話題性の獲得などはすべて、記憶を前提とした施策です。

    この構造は、内部記憶(人間の脳の中の記憶)を前提としたモデルと言えます。

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    ■ AISASモデル:記憶が表から消えた時代


    AISASは以下の構造です。

    * Attention(注意)
    * Interest(興味)
    * Search(検索)
    * Action(行動)
    * Share(共有)


    AIDMAと比較すると、「Memory」が消え、「Search」と「Share」が追加されています。

    一見すると、記憶の重要性がなくなったように見えます。
    しかしこれは誤解です。

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    ■ AISASの本質:記憶の外部化モデル


    記憶には、大きく2種類あるとされています。

    * 内部記憶(人間の頭の中)
    * 外部記憶(インターネット・SNS・検索エンジン・書籍・資料など)

    そもそもAIDMAは内部記憶に依存したモデルでした。

    対して、現代は、デジタルが普及したことで、外部記憶といえる検索エンジンやSNS、レビューサイトから簡単かつ迅速に情報を引き出すことが可能です。

    AISASにおけるSearchやShareは、正に、外部記憶を前提とした行動です。
    つまり、記憶が不要になったモデルではなく、記憶を「保持するもの」から「アクセスするもの」へ変化させたモデルなのだといえます。

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    ■ マーケティング構造の変化


    ここで重要なのは次の一点です。

    記憶の形は変わっても、購買の条件は変わっていないということです。
    どれだけ優れた商品でも、どこにも残っていなければ選ばれることはありません。

    つまり、「記憶されること」も「検索されること」も、本質的には同じ条件を満たしています。

    確かに、AIDMA時代の構造はシンプルでした。
    * 広告 → 記憶 → 購入

    一方AISASではプロセスが拡張されています。
    * 広告 → 興味 → 検索 → 比較 → 購入 → 共有

    ここで重要なのは、購買前に「検索」という行動が標準化されたことになろうかと思います。

    ■現代マーケティングの本質


    あらためてAISAS時代である現代において重要なのは、「記憶させること」そのものではありません。

    重要なのは、検索される状態、共有される状態を設計することです。

    AIDMAからAISASへの変化は、記憶の消失ではなく構造変化です。
    記憶は消えたのではなく、外部に拡張されました。
    そして形が変わっても、本質は変わりません。

    それは、「消費者の記憶領域(内部・外部)に残らなければ選ばれない」という一点です。

    つまりマーケティングとは、記憶と検索の両方に残る設計そのものだと言えます。

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