
あとがき ❃ 6月の物語
こんにちは。
もしかしたら、はじめまして。
Shinobuです。
6月の物語を読んでくださって、
ありがとうございました。
道なき道を、自らの足音だけを頼りに歩いていくこと。
それは風のように自由でありながら、
深い森の夕暮れのように静かで、
ときに自分の呼吸だけが響くほど孤独な旅でもあります。
進み始めるほど、
「本当にこれで良かったのだろうか」
そんな問いが、薄明かりのように心へ差し込むことがあります。
気づかないうちに、
私たちはいつも外側の光ばかり追いかけています。
誰かに見つけてほしい。
誰かに認めてほしい。
誰かに迎えに来てほしい。
まるで夜の海に浮かぶ舟のように、
外側にある遠くの灯台だけを信じてしまうことがあります。
けれど、その長い旅路の果てに待っているのは、
案外、まだ見ぬ誰かではなく、
季節を越え、沈黙の中でずっとこちらを見つめ続けていた
自分自身なのかもしれません。
6月の物語で描きたかったのは、
「本当の自分と再会すること」でした。
涙を流すことは弱さではありません。
雨が空と地上を巡るように、
魂もまた、ときに遠回りをしながら、
何度も涙となって自分へ帰ろうとします。
その遠回りは、間違いではなく、
本当の自分を迎えにいくために必要な時間です
そして受け止められた涙は、
夜空へ昇る雫となり、
やがて名前のない星々の光へ還っていく。
どれほど傷ついても、
どれほど遠くまで迷っても、
もう二度と、自分をひとりにしない。
その静かな誓いが、
誰かの長い夜の、心の窓辺に置かれる、
小さくても確かな灯りになりますように。
読んでくださって、
ありがとうございました。
Shinobu