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日ごろの成果を挙げる時

我が家では私が炊事係なのは、何度か話してきたことである。
仕事から帰宅して、なるべく早く提供するための最適解が丼ものであるが、本来私は、パスタやハンバーグ等の洋食が好きであり、得意なのである。

帰宅後に炊事をするのは面倒だという人が大半だろうと思うが、
私の場合はそもそも趣味であることと、競馬で言う叩きのような役割がある。
なぜなら、

『先輩の家で飲む際につまみを作る』

というイベントが発生するからだ。
しかし先輩は、そんなに食べるほうではないので、メイン級と手軽なものを用意しておけば事足りる。

そんな折、とうとう『おつまみハンバーグ』を披露する機会がやってきた。
何十回も練習と改良を重ねてきた私にとってこれは試練であり、
そして成果を挙げてさらなる改良とモチベーション、自信を保つ厳粛な場なのである。

調理時間の丁度良さ、かつ、つまみとして酒が進むような味付け。

これらを満たす条件を考えた結果、入れる野菜は玉ねぎのみである。
あめ色に炒めて、粗熱を取り除く時間を考えると酔いが冷めていって場がしらけることを危惧してのことだ。
「たまねぎだけなんて普通じゃね?」と思った方は、慎んでほしい。
試行錯誤の末でたどり着いた、私の舌がそう決定したという過程が大事なのである。

ひき肉は常温に戻しておいて、塩はひき肉一面に、ブラックペッパーは半面程、ナツメグを一面に振りかけたら、たまねぎ、パン粉、コンソメ、卵黄一個を落として捏ねる。
ねっとりするまで捏ねたらいよいよ成形に入る。
ここで私は、氷を入れたり、凹ませたりはしない。
そんな工夫をしなくても、ふっくらと仕上げるための練習をしてきているからだ。

調理器具や環境が普段と変わることに言い訳をするつもりはない。
いつも通り、洗い物を済ませながら仕上げていく。

香りにつられて、先輩が見に来る。
良い兆候だ。
イメージは味を大きく変化させる、良い方にも悪い方にも。
幸いポジティブな言葉を頂けたので、ここも上手くいったようだ。

ソースは作らない。
なくても美味いように調整してある。

メイラード反応云々とうんちくを垂れ流しながら、5つ焼きあがった。

そして自信満々にサーブする。

「確かにソース要らないな。ナツメグが最後に抜けていって絶妙だ。これ以上足したら風味が壊れるな。美味い」

成果は挙げられたようだ。
3つ召し上がられて、ビールをがぶがぶ飲んでいらっしゃった。
さて、もう一つは最近思いついて事前に適当に作っておいた、おじさん系つまみである。

揚げ焼きした茄子と蓮根、獅子唐にじゃことなめたけ、そばつゆにわさびを溶いておいて混ぜる。
最後に山椒を振りかけて完成。

タッパーから出して、食べ始める。

「渋い。けどこれくらいが一番美味い。わかってるな」

と、これでもかと箸が進んでいる。

なんなら、近所の独自に配合された七味をかけてバクバク食べている。

帰りのバス停まで歩いている途中にも、

「あの獅子唐のやつがなにより美味かった」

と太鼓判を押していた。

成功したのか?とふわふわした気持ちを抱えて帰路につく。

お得意のヘパリーゼを飲みながら、次はカルボナーラで逆転を狙おうと決意した。


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