アンテナ3本、ユーロビートの夜。シャコタン130クラウンで駆け抜けた、あの熱い夏の話。|昭和のクルマ|ローダウンの美学|横浜の夜景|青春のエピソード|90年代の空気|

土曜の夜、山下公園の海岸通りをフルエアロのS130クラウンでゆっくりと流した。窓を開ければ、ギラついた視線と夏の潮風が混ざり合う。カーステから唸りを上げるユーロビート、トランクに林立する自動車電話のアンテナ、イルミのダミーアンテナ、そして誇らしげにそびえ立つブーメランアンテナ。

今じゃお洒落にローダウンと呼ぶが、あの頃の俺たちにとってそれは「シャコタン」だった。真っ黒なフルスモークの窓、灰皿の粒々芳香剤の甘い香りとラッキーストライクの煙が車内に充満していた。汗で滲んだラッキーストライクの箱を、俺たちは何度もポケットから出し入れした。
今考えれば若気の至りだが、あの頃の俺たちの心は、今の異常な暑さなんて目じゃねぇくらい、アスファルトの熱気を凌駕する熱を持っていた。

シャコタン乗りには使命がある。街中のちょっとした段差を前にすれば、「おぉ、どこ行く?」と助手席のツレが驚くほどの急角度でステアリングを切り、斜めに進入してミリ単位で乗り切る。さらに、ガチガチの足回りじゃ満タンの缶コーヒーをそのまま置くことなどできやしねぇ。走り出した瞬間に跳ねて中身が飛び散るから、走り出す前に半分ほど一気飲みするという謎の儀式が必須だった。

俺はナンパはしねぇ派だった。だが、ある時山下公園で路駐してタバコを吸っていた時、女性たちから声をかけられ、そのまま朝までカラオケになだれ込んだ。彼女たちは「男前だったから声かけちゃった」と言い、ツレらが歌っている最中に「エッチしちゃおうかな」なんて直球を投げてくる。俺は「朝まで遊ぶから楽しもうぜ」とサラリとかわし、ただその場の熱狂を仲間と分かち合った。

大黒ふ頭に立ち寄り、ウーファーを積んだズンドコ星人達を横目に缶コーヒーを片手に語り合った夜。その代償として腕に残った、蚊に刺されて赤く腫れ上がった跡さえも、今は懐かしい勲章だ。

あの夏、あそこには間違いなく熱い何かがあった。二度と戻らない、俺たちのギラついた青春の一コマだ。
あんたが過ごした「あの夏」には、どんな熱があった? あの頃の匂いや、胸が締め付けられるような思い出を、もしよかったらコメント欄で聞かせてくれ。待ってるぜ。



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