
【ギリシア哲学】『イタリア学派ピタゴラス派アルキュタス』
【はじめに】
ピタゴラスは言いました。
万物は数である
では次の問いです。
数は、本当に現実世界を説明できるのか?
この問いに対して、
はじめて「自然を数学で理解できる」と示した人物がいます。
それが――
アルキュタス
数学・音楽・宇宙・政治。
バラバラに見えるものを、すべて「数の関係」でまとめようとした哲学者です。
しかも彼は、ただの学者ではありません。
• 将軍として無敗だったとも伝えられる
• 政治家として市民に支持された
• 発明や工学の話まで残っている
• そして人柄の良さでも語られる
(子どもへの配慮、怒りを抑える逸話など)
──こんな“異色すぎる哲学者”、なかなかいません。
以下、人柄が見えるエピソードも交えながら紹介していきます。

① 数学は自然を説明できる
アルキュタスの核心はここです。
『数学は自然に使える』
彼はこう考えました。
• 音の高さは弦の長さの比で決まる
• 動きや速さは数で表せる
• 形や空間は図形で理解できる
つまり
数学は自然の言語
という発想です。
これは現代でいう
「自然法則は数式で表せる」という考えに近いものです。
アルキュタスは、
ピタゴラス派の数の思想を
現実世界へ広げた人物でした。

② 理論と現実を両立した哲学者
アルキュタスは非常に珍しい哲学者です。
• 数学者
• 音楽理論家
• 天文学者
• 将軍
• 政治家
南イタリアの都市タラスで
将軍に7回連続選出されたと伝わります。
(通常は連続就任が制限されていた)
しかも戦争は無敗とされます。
つまり彼は
理論だけでなく
現実世界でも成果を出した哲学者
でした。

③ プラトン救出に関与した人物
アルキュタスは
プラトンの友人
として知られます。
当時プラトンは、
シチリア島シラクサの政治に関わり、
権力争いに巻き込まれました。
その結果、
捕らえられ
奴隷として売られた(プラトン捕縛事件)
と古代で伝えられます。
このとき動いたのが、
南イタリアのピタゴラス派ネットワーク
そしてアルキュタスでした。
彼は政治的影響力を用い、
プラトン解放に関与した
と伝えられています。
哲学者が哲学者を救う。
この出来事は、
ピタゴラス派の数学思想が
プラトン哲学へ流れ込む接点とも考えられます。
【豆知識】
プラトンは3回シラクサを訪問
-1回目プラトン40歳-
ディオニュシオス1世へ僭主政治批判→怒りを買う→奴隷売却事件
-2回目プラトン60歳-
ディオニュシオス2世へ哲学を教えるために訪問→生意気だとシラクサ追放される
-3回目プラトン67歳-
ディオニュシオス2世哲学を学びたいと再要請→プラトン「了解」→プラトン捕縛事件

④ 子どもに優しい発明家
意外な一面もあります。
アルキュタスは
赤ちゃん用ガラガラの発明者
と伝えられます。
理由は、
子どもが家具や物を壊さないよう
遊び道具を与えるため。
これは古代で
教育的配慮の例
として称賛されました。
哲学者でありながら、
生活や教育にも目を向けた人物
でもあったのです。
